過労死の原因は?働きすぎで倒れる前に予防策を知ろう

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この記事のまとめ

  • 長時間労働や連続勤務などが原因の突然死を「過労死」と呼ぶ
  • 過労が原因の事故や自殺も過労死となる
  • 残業を良しとする風土がある会社では過労死が起こりやすい
  • 月の残業80時間以上は過労死の労災認定ライン
  • 過労死の原因となる労働環境を避けるためには、事前に労働条件を確認することが重要

残業が続いてつらい…休日出勤が多くて休みが取れない…そのような悩みはありませんか?長時間労働は大きなストレスとなり、心身ともに悪影響を与えます。そして、最悪の場合は過労死を招くことにもなりかねません。今回は、過労死を引き起こす原因や国が行っている対策、各種予防策についてまとめました。働き過ぎと感じている方は、ぜひご一読ください。

過労死の原因とは?

過労死の原因として、長時間の残業や休日なしの連続勤務などが挙げられます。「働き過ぎ」によって蓄積された精神的・肉体的な疲労が原因で、ある日突然亡くなってしまうのが「過労死」です。

パートやアルバイトでも起こる過労死

非正規雇用の従業員であっても、長時間労働や超過残業が原因で、過労死するケースがみられます。過労による労災認定は正社員にのみ適用されるとされていましたが、厚生労働省「過労死等の現状(42p)」によると、近年ではパートやアルバイト、派遣労働者でも認定されています。
また、2020年6月に報道発表された、「令和元年度 過労死等の労災補償状況」によると、2019年度の労災補償請求件数は2,996件であり、前年度と比べると299件も増加した結果になりました。また、支給決定件数は725件(うち死亡/自殺未遂を含む件数は174件)となり、増加傾向にあります。

パートやアルバイトでも起こる過労死の図表

 

引用:厚生労働省「過労死等の現状(42p)

参照元
厚生労働省 令和2年版過労死等防止対策白書(本文)
厚生労働省 令和元年度「過労死等の労災補償状況」を公表します

過労が引き起こす死因とは

過労が引き起こす死因の中でも「心疾患」や「脳血管系疾患」、うつ病などの「精神疾患」などが多いといわれています。いずれも、「過重なストレス」が過労死の原因となるようです。ここでは、具体的な疾患名を挙げながら解説していきます。

過労死の多くは「心疾患」や「脳血管系疾患」

過労が引き起こす死因は、脳卒中や心筋梗塞、急性心不全などの「心疾患」や「脳血管系疾患」が多いといわれています。特に30代の突然死では、心不全が約半数近くにのぼり、若い世代の過労死要因の多くを占めます。いずれも、過労によるストレスが大きな原因の一つとなるようです。

ほかにも、睡眠不足・過労を原因とした、勤務中の居眠り運転による交通事故。入浴中の溺死事故などが過労死にあたることも。過労とは直接関係ないようにみえる事故でも、辿っていった結果「働き過ぎ」が原因だと判明し、過労死認定されているケースもあります。疲れは知らず知らずに溜まっていき、過労状態になったときには重篤な身体的、精神的疾患を引き起こす可能性のある恐ろしいものです。具体的な過労の症状や倒れる前にできる対策などを詳しく知りたい方は、「過労で倒れるのはどんなとき?労災はおりる?症状や予防法もご紹介!」も、あわせてご覧ください。

うつ病による自殺も多い

働き過ぎによる、精神的・肉体的なストレスから「うつ病」などの精神疾患を発症し、自死を選択してしまうことも「過労死」と呼ばれます。うつ病が原因で、正常な判断力が失われたり、自殺したいという気持ち(自殺念慮)が生じたりすることがあるようです。これら過労自殺(勤務問題を原因・動機の一つとした自殺)は、厚生労働省「令和2年版過労死等防止対策白書(本文)(26p)」によると、自殺者総数に対して令和元年度は9.7%となり、近年増加傾向にあるようです。

 

うつ病による自殺も多いの図表

 

引用:厚生労働省「令和2年版過労死等防止対策白書(本文)(26p)

参照元
厚生労働省
令和2年版過労死等防止対策白書(本文)

過労死は日本の社会問題

日本の過労死発生率は、世界と比べて非常に高いといわれています。ここでは、その理由や日本の現状・対策について解説していきます。

「残業をすること=良いこと」という認識が原因

日本には、「残業=頑張り」であり、高く評価するべきという「残業文化」が残り、過労死の原因につながっています。結果的に、働きすぎが蔓延し、超過勤務が当たり前になっている企業も多いのです。日本語の「過労死」が「KAROSHI」という英単語として世界から認知されるなど、ここ数十年余り、過労死は日本の社会問題となっています。

責任感が強い人ほど頑張りすぎてしまう

残業や休日出社を続けてまでも仕事を終わらせようと思い詰め、頑張ってしまう人は、責任感が強い人といえます。真面目で頑張り屋の人ほど、途中で投げ出したり、周囲に助けを求めたりすることができず、最終的にはその責任感の強さが原因で身体を壊してしまうことが多いのです。連勤や残業が続いてしまうリスクについては、「20連勤の恐ろしいリスク!過労の症状リストを確認しよう」にも、詳しく書かれています。つい頑張りすぎてしまう方は、ぜひご覧ください。

過労死ゼロに向けて法律も施行

2014年に施行された「過労死等防止対策推進法」は、「過労死をゼロにし、健康で充実し、働き続けることができる社会」を目的に作られた法律です。過労死は、本人だけでなく社会にとっても大きな損失です。多発している過労死を未然に防ぐために、厚生労働省は「過労死等防止対策の特設サイト」を設けるなど、長時間労働の削減や職場におけるメンタルヘルス対策の推進、相談窓口の設置などに力をいれています。

参照元 
厚生労働省
過労死等防止対策

過労死ラインの認定基準

過労死ラインとは、労働者に健康被害が出た場合、「長時間労働との因果関係はあったか」を判断するための基準。この基準を参考にしながら、労災が認定されていきます。ここでは、その詳細をお伝えするので、自身の労働環境に疑問がある場合は参考にしてみてください。

1日4時間以上の残業は危険!過労死ライン80時間

過労死ラインとは、「働き過ぎによる過労死が危惧される目安」のことを指します。具体的には、「病気になる2~6か月の間で平均80時間を超えて、残業や休日出社があった場合、長時間労働が健康障害の原因と認められやすくなる」というものです。健康被害の原因が長時間労働であっても、疲労やストレスは目に見えないことから因果関係を証明することが難しいため、客観的に判断できるよう具体的な数値による目安が設けられました。
そもそも、1日あたりの労働時間は8時間、週40時間以内と定められています。それを超えて働く場合は、企業と労働者の間で36(サブロク)協定と呼ばれる労使協定を結ばなくてはなりません。また、36協定で延長できる残業時間の限度は、1か月で45時間、1年間で360時間以内とあらかじめ決まっているのです。
超過勤務が続く場合には、このような労働条件を逸脱していないか、改めて確認してみましょう。時間外労働が続くことにはリスクがあります。長時間の残業がもたらす影響について詳しく知りたい方は「残業150時間は過労死ライン!時間外労働の問題とは?」も、参考にしてください。

過労による労災認定基準とは

労災かどうかの認定基準は、業務遂行性(労働者が負傷や疾病などを負った際、会社の管理下にあったかどうか)と業務起因性(負傷や疾病が業務に起因して生じたものであるかどうか)によって判断されます。仕事中の怪我などは実際に現場で起きていることなので判断がつきやすいものの、今回、取り上げている「過労死」については、それが業務起因の過労によるものなのか、持病なのか、判断が難しいことも多く、認定されないケースもあるようです。また、過労死等の認定基準には、脳・心臓疾患と、精神障害の場合に分けられています。厚生労働省のWebサイトを見ると、「脳・心臓疾患の労災認定」と「精神障害の労災認定」それぞれのページで、認定基準などが詳細に公表されています。対象の疾病や認定要件などが整理されているので、働き過ぎが気になる方は、1度目を通しても良いでしょう。

労災と給付について

職場環境が原因だからと労災申請をしても、すべてが給付対象になるわけではありません。厚生労働省「令和元年度 過労死等の労災補償状況」によると、2019年度の過労死等に関する請求件数のうち、支給が決定されたのは全体の3割にも満たないのです。過労死で労災認定を受けるには、客観的に見ても原因が仕事だと判断できるような証明が必要となります。何かあったときのために、残業時間や休日出社が記されたタイムカードのコピーなど、記録を手元に残しておくと安心です。

参照元 
厚生労働省  脳・心臓疾患の労災認定 -「過労死」と労災保険-
厚生労働省 精神障害の労災認定
厚生労働省 令和元年度「過労死等の労災補償状況」を公表します

過労死を防ぐためにはどうすれば良いの?

過労死を防ぐためには、自身の健康状態を定期的に確認することが大切です。また、就職活動の段階で企業の労働条件を調べておくと良いでしょう。ここでは、具体的にいくつかの「過労死防止策」をご紹介します。

長時間労働を控える

長時間労働を控えることが、過労死防止には重要です。膨大な仕事をこなしているうちに、いつの間にか労働時間が長くなってしまうことがあります。しかし、度重なる残業や休日出社は、過労死を引き起こす原因となるので注意が必要。連続勤務が続いていないか、きちんと食事や睡眠時間が確保できる時間に帰宅できているか、常に意識しておきましょう。業務量に関しては、自分ひとりで解決するのが難しいため、早めに上司に報告しましょう。

睡眠時間を確保する

睡眠時間を1日7時間程度は確保しましょう。1日5~6時間以下の睡眠が続くと、過労死リスクが高まるといわれています。睡眠時間は「疲労の蓄積度」や「ストレス」と因果関係があるようです。どんなに忙しくても、睡眠時間の確保を優先しましょう。ちなみに、平日の睡眠不足を休日で補う「寝だめ」では、効果が薄いといわれています。なお、「眠りたいのに眠れない」のは、うつ病など精神疾患が原因の可能性もあります。専門の医療機関に相談しましょう。

体調不良が続くときは医師の診察をうける

頭痛やめまい、手足のしびれ、だるさなどの症状が現れた場合は、なるべく早めに医師の診察を受けましょう。毎日忙しく、病院に行く余裕がない場合でも、体調不良を放置するのは危険。早期に原因を突き止め、適切な治療や投薬を受けることが、過労死防止には重要です。

厚生労働省の専門サイトを活用しよう

厚生労働省Webサイトでは、過労死防止のためのさまざまな情報が掲載されています。「労働時間に関する相談窓口」や「自分で疲労蓄積をチェックできるシート」などが1冊のパンフレットにまとまっているので、1度確認してみましょう。そのほかにも、従業員が50名以上の会社では、労働安全衛生法にて、年1回の「ストレスチェック」が義務化されています。自分のストレスがどのような状態なのかを調べる簡単な検査となり、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止することができます。自身の会社に導入されている場合は、必ず受けるようにしましょう。

改善されない場合は労働基準監督署に相談する

就職した会社が長時間労働、超過残業、休みのない勤務を強いる企業だった場合は、放置せずに労働基準監督署などの公的機関に相談してみるのも一つの方法です。勤務先企業を通すことなく、インターネットや電話で相談できます。

退職や転職も検討する

厳しい労働環境から離れ、新たな職場で働くことも検討しましょう。長時間労働が風土として定着していたり、上司に理解がなかったりする場合、個人の力では解決が難しいこともあります。いつか変わるだろう、と我慢して働き続け、体を壊してしまっては本末転倒。過労死を防ぐためには、就職活動の段階で残業時間の上限などを確認しておくことが大切です。事前に休日出社や残業の有無、代休などの休暇制度を確認できる転職エージェントを利用することも、過労死のリスクヘッジになるでしょう。

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