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降格とは?懲戒処分と人事権行使との違いや違法性を解説
更新日
この記事のまとめ
- 降格には大きく分けて「懲戒処分」と「人事権行使」がある
- 降格処分では、主に減給やポスト変更などが行われる
- 明確な理由のない降格人事は、無効になる可能性もあり得る
- 降格が不服だったり違法だったりする場合は不服申立ても可能
- 自ら降格願いを出す場合は、相手に配慮した丁寧な文章を意識しよう
「降格になったらどうしよう」と不安を抱きながら仕事をしている方もいることでしょう。会社勤めをしていると必ずしも昇格や給与がアップするとは限らず、降格されてしまうこともあります。このコラムでは、降格になってしまう理由などを解説。降格されたら確認すべきポイントや人事における違法性の見極め方も紹介します。降格願いの提出を検討中の方向けに必要な情報もお伝えするので、しっかり確認しておきましょう。
降格とは?
降格とは、社員の役職や職位を下位に引き下げる人事処分のことです。たとえば、部長から次長に職位を引き下げたり、管理職から外したりすることを指します。降格処分の種類は、大きく分けて懲戒処分としての降格と人事権の行使による降格の2つです。降格の理由は会社の状況によってさまざまですが、企業側は懲戒処分としての降格なのか、人事上での降格なのかを先に区別しています。それぞれの違いを確認しておきましょう。
懲戒処分としての降格
懲戒処分としての降格とは、規律違反である行為をした従業員に対して行われる制裁措置のことです。ミスによって会社に大きな損害を与えたり、秩序を乱したりしたことなどが理由として挙げられます。懲戒処分としての降格にあたる例を確認しておきましょう。
無断欠勤・業務不履行などの職務怠慢
勤務態度が著しく悪い場合、降格処分が下されるケースがあります。具体的には長期にわたり繰り返される遅刻や無断欠席、職場離脱、業務不履行などの行為が対象です。勤務時間中の私用メール、スマホ閲覧なども職務専念義務違反となりかねません。上司が適切な指導を行っても改善されない場合は、降格処分となる可能性があるので注意しましょう。
副業・機密情報漏えいなどの就業規則違反
就業規則に違反する行為も降格処分の対象です。たとえば、会社が認めていない副業、機密情報の持ち出し・漏えいなどが該当します。過失により企業に重大な損失を与えた場合も、降格処分を受ける可能性があるでしょう。
セクハラ・パワハラ・盗難などの法律に違反する行為
企業の内外を問わず、法律に違反する行為も、懲戒処分としての降格が行われる可能性があります。労働基準法に抵触するセクハラ・パワハラといったハラスメント行為、窃盗・詐欺・横領といった刑法に反する行為などは、懲戒事由の対象となるでしょう。また、SNSで企業を誹謗中傷し、社会的な信用を毀損する行為も対象となるケースがあるので注意が必要です。
なお、降格人事における懲戒処分には6つの種類があり、それぞれ処分の重さが異なります。懲戒処分の種類は「降格人事はどんなときにされるの?理由や対応方法もあわせて紹介」のコラムで詳しく解説しているので参考にしてください。
人事権行使による降格
人事権の行使による降格は、従業員の能力面が役職に不適任だとみなされた際に、役職から外す措置のことです。降格人事は職位や役職を引き下げる「降職」と、職能資格の等級を引き下げる「降格」の2つに分類されます。降格人事が起こる理由としては、以下のようなケースが一般的です。
マネジメント・業務遂行などの能力不足
与えられた役職における役割を十分に満たせていないと、降格人事の対象となる可能性があります。たとえば、担当部署でトラブルが頻発したり、業績が極端に悪化したりした場合などが該当するでしょう。状況次第では、マネジメント能力や業務遂行能力が乏しいと判断されるかもしれません。能力不足による降格人事は、企業の人事権として認められています。
他部署・他業種への異動
ほかの部署や業種への異動にともない、降格となるケースもあります。配置転換された部署での業務経験が適正ではない場合や、部署異動で新しいスキルや知識を覚える必要がある場合などに行われる措置です。組織体制の変更や本人の希望による人事であることも多く、企業と従業員側との同意のもとで行われる場合もあります。
降格処分の内容
降格処分では、主に減給と役職変更が行われます。それぞれの詳細を確認しましょう。
降格により給与が下がる
降格で実施される処分として代表的なものの一つは、減給です。前述したとおり、人事権の行使による降格には「降職」と「降格」があり、それぞれで減給の内容が異なります。「降職」は、必ずしも基本給が下がるわけではありません。役職の引き下げにより役職手当がなくなったり減ったりするものです。一方「降格」は、等級が下がることにより基本給が下がります。降格は、肩書が変わらなくても給与が下がるのが一般的です。
降格によるポスト変更
ポストのみが変わる降格処分もあります。たとえば、組織の再編により就いていたポストがなくなり、下位の役職に就くケースなどです。また、人事の見直しを行った結果、役職が統廃合されてポストが入れ替わるケースもあります。
ポジションや地位の変更による降格は、対象者に問題があるわけではなく、あくまでも会社都合による降格に過ぎません。ポスト変更で役職が下がっても、基本給や労働条件は変わらないこともあるでしょう。もし、希望しない人事異動を命じられて不安に感じる方は「左遷と異動の違いを解説!希望していないのに命じられた際の対処法も紹介」のコラムも確認してみてください。
違法性はある?降格されたら確認すべきポイント
降格になった際は、不当降格ではないか確認しましょう。稀に不当な処分が行われてトラブルに発展し、違法と判断されるケースもあります。自分が損をしないためにも、きちんと見極められる知識を身につけましょう。
「不当降格」ではないか
不当降格の理由として以下のようなケースは無効になる可能性があります。
1)「能力不足」という判断に上司の私情が含まれる
2)労働者の合意がないまま「降格」「減給」される
3)減給や降格になったにも関わらず、同じ仕事を担当させられる
4)経営状態の悪化により一方的に「降格」「減給」されている
たとえば過去の判例では、以下のようなケースが違法とされています。
- ・従業員の適性に関係なく、2段階以上の大幅な減給を伴う降格が行われた
- ・従業員を退職に追い込むことを目的に降格させ、単純業務に就かせた
- ・繁忙期に有給休暇をとったことを理由として降格になった
企業側には「採用、解雇、昇進、異動」などを決定できる大きな裁量権があります。人事異動に伴う降格は、根拠を明らかにしなくても基本的には違法になりません。しかし、不当な理由による降格は違法になることがあるので、処分の根拠をしっかりと確認しましょう。
「人事権の濫用」による降格ではないか
会社側が権利を濫用しているかどうかは、以下の要素を総合的に考慮して判断されます。
1)会社側における業務上の必要性の有無、およびその程度
2)能力・適性の欠如などの労働者側における責任の有無、およびその程度
3)労働者の受ける不利益の性質、およびその程度
4)その企業における昇進・降格の運用状況等の事情
上記の内容を照らし合わせても納得できない場合は、会社側の「権利の濫用」が疑われるでしょう。「労働契約法のあらまし(p25)」によれば、企業には人事裁量権があるものの、濫用を防ぐために客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効となることが定められています。明確な理由のない人事権行使は認められていません。もし、降格を伝えられた場合は、日ごろの勤務態度に問題がなかったか、改めて振り返ってみましょう。
参照元
厚生労働省
労働契約法のあらまし
就業規則に「懲戒事由」が明示されているか
就業規則や雇用契約書に懲戒処分としての降格に関する内容が記されていない場合、処分が無効となります。懲戒処分を下す際は、従業員が懲戒事由にあたる行為を行っていたことを証明できなければなりません。もし、降格処分を受けたら、就業規則に懲戒事由が明示されているかも確認しましょう。懲戒事由が定められていても、処分に該当する行為に心当たりがない場合は、不当な処分である可能性があります。処分の重さが妥当ではなかったり、適正な手続きが行われていなかったりする場合も無効となるケースがあるので覚えておきましょう。
不当な降格処分をされたら不服申立てはできる?
降格処分が不当な場合は、不服申立てが可能です。まずは前述した人事権の濫用に該当するか確認しましょう。不当降格が疑われる場合は、人事や総合労働相談コーナーへ相談してみてください。不服申立ては裁判になるリスクが大きいため、慎重に検討することが必要です。なお、降格処分に不当性があると思われる場合は、就業規則を確認しましょう。就業規則を確認したうえで納得できない場合は、人事の相談窓口や労働相談センターに申し出てみてください。
自らの意思で降格願いを出す前に知っておくべきこと
「役職を与えられたが、プレッシャーが重く精神的に辛い」「育児や介護などとの両立が難しくなった」ような場合、降格願いを提出して自ら降格を願い出ることも可能です。しかし、降格願いを出す前に検討しておくべきことがいくつかあります。自らの決断に後悔しないためにも、しっかりと確認しておきましょう。
必要以上の降格・減給処分を受けるリスクがある
一方的に降格を願い出る場合、会社側の心証が悪ければ、必要以上の降格や減給処分にあう恐れがあります。また、一度降格を願い出てしまうと出世しにくい傾向があることも覚えておきましょう。降格願いを提出する際は、慎重に検討してください。
降格願いには明確かつ具体的に理由を書く
降格願いを書くうえで一番大切なのは、降格したい理由です。降格願いを出すのに相応しくない理由であれば、単に「やる気がない」と判断されてしまう可能性もあります。企業側に理解してもらえるよう理由を具体的に示し、ネガティブな印象を与えない降格願いを作成しましょう。
「降格願い」の書き方
降格願いは文言や体裁に定めはありません。しかし、相手に配慮した丁寧な文章を意識しましょう。基本的に手書きで書面を作成しますが、字が汚くて不安な場合はこの限りではありません。
- ・具体的な理由を詳しく書く(病気や育児が理由であれば、具体的な状況を説明)
- ・形式を守り、正式に書く
- ・謙虚に硬い文章で書く
- ・「不服申立てはしない」と誓う
「降格願い」の例文
降格願いの具体的な例文は、下記のとおりです。イメージが沸かない方は、ぜひ参考にしてください。
==============
降格願
私は、家庭の事情(または持病の悪化など)を理由に降格を希望致したく、ご承認くださいますようお願い申し上げます。
降格されました後も、お与えいただいた仕事に従前以上、一生懸命取り組む覚悟であることをお誓い申し上げます。
尚、この願いによる降格に関しての一切の不服申し立てを致しませんことを、ここに申し添えます。
令和◯年◯月◯日 社員名 印
==============
役職が自分の能力に合わず、仕事で精神的な苦痛を感じるのであれば、無理に同じ職場で働く必要はありません。仕事の影響で下記のような状態になる場合は、転職を検討してみても良いでしょう。
- ・精神的に辛さを感じ「仕事に行きたくない」と感じる場合
- ・新しい仕事に取り組んでも成長を感じられない、遂行できない場合
- ・新しい部署や職場で人間関係に悩む場合
なお、不得意な仕事で待遇が低くなる前に転職をすれば、収入やキャリアを途切れさせずに済みます。早めに行動して自分のスキルを活かせる仕事を見つけましょう。働きながら効率的に進めたい場合や、次にしたい仕事が浮かばないなどサポートが必要なときは、就職エージェントの利用がおすすめ。就職・転職エージェントのハタラクティブでは、お悩みや希望を確認しながら適性を考慮した求人をご紹介します。ぜひご相談ください。
降格人事に関するFAQ
ここでは降格について、多くの方が抱く疑問をQ&A形式で解決していきます。
妊娠・出産・育児休暇による降格は違法ですか?
妊娠・出産・育児休暇による降格や解雇は、ハラスメントとして違法と判断される場合があります。過去の判例では、妊娠による業務転換を機に降格させられたケースが違法とされました。判断が難しい場合は、総合労働相談コーナーへ相談してみると良いでしょう。なお「退職の相談窓口とは?トラブルにも対応してる?種類や利用方法について解説!」では、労働問題の相談窓口について解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
人事評価制度の結果は降格処分の基準になりますか?
業績評価・能力評価といった制度の評価結果が思わしくない場合、降格になる可能性があります。ただし、評価制度により降格・減給になる旨が就業規則に明記されていることや、合理的な判断基準による評価であることが条件です。人事評価による降格処分が心配な方は「仕事で評価されない理由と対応策は?人事評価基準を知ろう」をご覧ください。
違法性が高い降格処分は弁護士に相談すべきですか?
降格人事が不当であると思われる場合は、弁護士に相談するのも良いでしょう。ただし、不服申立てや慰謝料を請求するには、降格処分が違法とする根拠を提示する必要があります。まずは弁護士に相談し、法律知識や過去の判例などを考慮したうえで裁判を起こすべきか検討しましょう。なお、降格処分により仕事を続けるのが難しい場合は、転職も一つの手。転職・就職エージェントの「ハタラクティブ」にお気軽にご相談ください。
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。