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大卒認定試験って本当にあるの?大卒資格の取得方法や難易度について
更新日
この記事のまとめ
- 大卒資格とは、4年制大学の卒業者が取得できる「学士」の称号のこと
- 「高卒認定試験」はあるが、「大卒認定試験」という試験は存在しない
- 大卒資格を取るには、大卒認定試験ではなく大学の通信教育課程や夜間部を受ける
- 大卒資格があれば、大卒が応募条件の企業にもチャレンジできる
- 大卒資格を取得するには、学びたい内容やライフスタイルに合った方法を選ぼう
「大卒認定試験に合格したら大卒になれる?」「大卒になれば収入アップは可能?」など、大卒資格を取るべきか迷っている方もいるでしょう。このコラムでは、大卒資格を取得する方法について解説します。「高卒認定試験はあるけれど、大卒認定試験はあるの?」という疑問や、大卒資格を取るメリットとデメリットにも触れているので、大卒資格取得を検討する際にお役立てください。
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大卒認定試験は存在する?
「大卒認定試験」という名称の試験は存在しません。この項では大卒資格の定義について詳しく解説するので、ぜひご一読ください。
そもそも大卒資格とは
大卒資格とは、一般的に4年制大学を卒業することで得られる資格のこと。大卒の資格を得た人は「学士」という学位を取得します。試験を受けるだけで取得できる資格ではないため、大卒資格を得るまでには一定の時間が必要です。
大学を中退すると大卒資格はもらえませんが、その後大学に通いなおしたり、足りない単位を取得したりして必要な条件を満たせば、学士の学位が取得できます。
「学士とは?修士や博士との違いと就活に与える影響を解説」のコラムでは、学位の種類や就活への影響を紹介しているので、チェックしてみてください。
「大卒認定試験」という試験は存在しない
中卒認定試験(中学校卒業程度認定試験)や高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)があるため「大卒認定試験もあるのでは?」と思うかもしれませんが、2024年時点で、「大卒認定試験」という名称の試験は存在しません。
「大卒認定試験がある」と誤解が生まれてしまう理由のひとつとして、高卒認定試験の名称が2004年度まで大検(大学入学資格検定)だったことが考えられるでしょう。文部科学省の「高等学校卒業程度認定試験」のページにも、「旧大学入学資格検定」という但し書きがあります。「大検」という略称から、「大卒資格を得られる認定試験がある」と誤解されることが多いようです。
参照元
文部科学省
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大卒資格を取得する5つの方法
文部科学省の「大学設置基準第32条」では、大学の卒業要件を「124単位以上を修得すること」と定めています。以下に単位の取り方を5パターン紹介するので、自分の目標やライフスタイルと照らし合わせながら、どの方法が適しているかを考えてみましょう。
1.日中に通学制の4年制大学へ通う
大卒資格を得る一般的な手段としては、昼間の時間帯に通学制の4年制大学へ通う方法があります。学内の掲示板やメールを活用して教員とコミュニケーションがとれるのは、大きなメリットといえるでしょう。学生同士で情報交換ができるので、大学に通い続けるモチベーションが保てるという利点もあります。
ただし、前述したように、大卒資格を得るには、124以上の単位取得が必要です。社会人として働いている人が平日の昼間に大学に通うのは現実的ではありません。働きながら大卒資格を取りたい方には、以下の方法が有効です。
2.夜間学部(第二部)がある大学で単位を取得する
夜間帯の時間に空きがあるなら、大学の夜間学部に入り卒業を目指す方法がよいでしょう。
大学によっては、平日の夜間(午後4時半開始、午後6時開始など)に授業を行う学部が設けられています。平日の夜に加えて土曜日の日中に授業を行う大学もあり、平日の昼間に大学へ通えない方も充実した授業が受けられるのが特徴です。
夜間学部は「二部」または「第二部」とも呼ばれているため、所属する学部と併せて「法学部第二部」「工学部第二部」のように記載します。
第二部に通って大卒資格を取る場合も、基本的には124単位以上取得しなければなりません。授業の度に通う手間はあるものの、日中に大学に通う場合と同様、学生と話す機会があるのは大きなメリットです。
3.通信教育を行う大学で単位を取得する
決まった時間に大学へ通えない場合は、大学の通信教育を受講する方法がおすすめです。通信教育が受講できる大学は、通信教育課程が設置されている私立大学、もしくは通信課程専門の通信制大学の2種類。通信教育課程で大卒資格を取得したい場合も、原則として124単位以上取得する必要があります。ただし、短大を卒業して「短期大学士」の学位がある場合は、最短2年で大卒資格が取得可能です。
通信教育課程の授業方法は、主に以下の4種類です。
- ・テキストを使った授業(自主学習とレポートの提出)
- ・テレビやラジオによる授業(放送授業)
- ・スクーリング(面接授業)
- ・インターネットを活用した授業
文部科学省の「【参考資料1】大学通信教育に関する基礎資料1(22p)」によると、大卒資格取得に必要な124単位のうち少なくとも30単位(大学によって異なる)は、スクーリングで取得しなければなりません。スクーリングには「夏期スクーリング」「通年スクーリング」「夜間スクーリング」などがあり、実施期間や取得単位は大学によって異なります。最近では、対面授業に代わってインターネットでの授業を導入する大学も増えてるようです。大学を選ぶ際には、「スクーリングは夏期・通年・夜間のどの形式か」「自宅や職場から通学できるか」などを事前に確認しましょう。
4.大卒資格が取得できる専門学校を卒業する
専門学校卒業と同時に大卒認定の資格を取得できる「併修制度」を導入している専門学校もあります。専門学校に通いながら大学の通信教育課程が受講できるため、仕事に必要な専門知識を吸収しながら、キャリアアップに役立つ大卒資格も手に入れられるのがメリットです。
5.「大学改革支援・学位授与機構」を活用する
大学中退者や短大・高専卒業者、専門学校修了者など一定の条件を満たしている場合、必要な単位を取得したうえで独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の試験と審査を通過すれば、大卒資格が取得できます。大学中退者の場合は、中退前に大学に2年以上在籍し、62単位以上取得していることが条件です。同機構の「基礎資格を有する者」に該当するのであれば、以下の2種類のうち、どちらかの方法で必要な単位を取得して大卒資格の修得を目指しましょう。
大学の「科目等履修生制度」で単位を取る
科目等履修生制度は、大学で行われている講義を、その大学の学生以外も受講できる制度です。科目等履修生制度の有無や受講できる科目は、大学によって異なります。
短大・高専の認定専攻科で単位を取る
認定専攻科とは、短大や高専に設置された専攻科のうち、同機構が「大学教育相当の教育を行っている」と認定したもののこと。認定専攻科で修得した単位は、大卒資格の認定に必要な単位としてカウントされます。必要な単位の修得を終え、専攻区分に関するレポートを提出すれば、学位授与の申請が可能です。
基礎資格の確認や科目等履修生制度がある大学、同機構が認定する短大・高専の専攻科を知りたい方は、大学改革支援・学位授与機構の公式サイトをご確認ください。
参照元
e-Gov法令検索
大学設置基準
文部科学省
大学通信教育等における情報通信技術の活用に関する調査研究協力者会議(第1回)配付資料
独立行政法人大学改革支援・学位授与機構
単位積み上げ型の学士の学位授与制度
大卒資格を取得するメリット
大卒資格を持っていると、中卒・高卒の場合と比べて就活の選択肢が大きく増加します。大卒資格を取得するメリットについて、詳しく確認していきましょう。
募集条件が「大卒以上」の求人に応募できる
大卒資格があれば、大卒以上の人材を募集している求人にチャレンジできます。高卒や大学を中退した場合は、応募資格を「高卒以上」としている企業に応募するのが一般的なため、選択肢がある程度限られてしまうことも。
しかし、大卒資格を持っていればより多くの企業に応募できるというメリットがあります。業界や職種について考える際に就職先の幅が広がるため、キャリアの可能性をより高められるでしょう。
高卒求人と比べて収入が高くなる可能性がある
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(3)学歴別にみた賃金」によれば、2022年時点の1ヶ月あたりの賃金は、学歴が高いほど高くなっています。
高卒 | 高専・短大卒 | 大卒 | |
---|---|---|---|
男性 | 29万7,500円 | 34万8,300円 | 39万2,100円 |
女性 | 22万2,900円 | 26万9,300円 | 29万4,000円 |
引用:厚生労働省「賃金構造基本統計調査(3)学歴別にみた賃金」
給与は勤務する企業や仕事内容、年齢などによって変わり、学歴だけで決まるわけではないため、一概に「すべての仕事で大卒のほうが高卒よりも給与が高い」とは限りません。しかし、高卒で就職した場合、同じ年齢の大卒者より収入が低い可能性があることを覚えておきましょう。
受験できる資格の種類が増える
国家資格を含む一部の資格取得を目指す際、大卒資格があれば資格試験の受験資格が緩和されます。たとえば、日本税理士会連合会の「税理士の資格取得」によると、高卒から税理士試験を受験する際には、実務経験もしくは定められた専門資格が必要です。
しかし、大卒者で必要な科目の単位を取得していれば、それだけで学歴要件を満たすため受験資格が得られます。「資格を取ってキャリアの幅を広げたい」「専門職を目指したい」など、仕事に関して明確な目標がある人にとっては、大卒資格の取得に一考の価値はあるでしょう。
一般教養や専門知識が身につく
幅広い知識が習得できるという点も、大卒資格を取得する大きなメリットです。専攻する学部や学科の専門知識が習得できるだけでなく、学生が最低限備えておきたい一般的な教養も身につきます。これまでにご紹介した学歴による収入の違いや求人の募集条件に関するメリットも、大学で得られる知識や教養が社会的に評価されているという理由からきているようです。
大卒資格の取得過程を就活でアピールできる
就職活動の際、スケジュールや体調管理に気をつけながら勉強と仕事を両立したことがうまくアピールできれば、「自己管理能力が高く、向上心もある」と肯定的な評価につなげられるでしょう。特に、正社員もしくはフリーターとして働きながら大学の通信教育課程や夜間学部で単位を取得する場合、スケジュール管理は必須です。
また、科目等履修生制度で大卒資格を取得する場合も、目的意識を持って専門的な知識・技術を習得したことが履歴書や面接でアピールできます。大卒資格を取得するメリットは、「就職に有利って本当?大卒のメリットとは」のコラムでも解説しているので、チェックしてみてください。
希望する業界や職種を考慮して大卒資格を考えてみよう
「大卒資格のメリットは魅力的だけど、取得まで頑張れる自信がない…」という方もいるかもしれません。業界や職種によっては、大卒資格を取得せずに就職したりスキル・キャリアアップを目指せたりする可能性も大いにありますよ。
たとえば、施設に勤務する介護職なら、資格なしや未経験から挑戦できる求人も豊富です。さらに、資格取得の支援制度を整えている事業所を選べば、働きながら介護職員初任者研修や介護福祉士を目指せますよ。
未経験からはじめて専門的な知識やスキルを身につけられる業界は、介護業界以外にもIT業界や運送業界、建築業界などさまざま。就職を見越して大卒資格の取得を考えている場合は、「大卒でなくても就職できるか」「未経験から資格取得やスキルアップが可能か」を確認してみましょう。「安定した仕事を目指す高卒の方へ!おすすめの職業や就活のポイントを紹介」のコラムでは、高卒から専門的なスキルを身につけられる業界を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ハタラクティブキャリアアドバイザー後藤祐介からのアドバイス
参照元
厚生労働省
令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況
日本税理士会連合会
税理士を目指す
大卒資格を取得するデメリット
どのような方法を選んでも、大卒資格の取得には時間やお金が掛かるなど、人によってはリスクを感じる可能性もあるでしょう。以下で詳しく解説します。
取得までの期間が長い
大卒資格の取得には時間が掛かります。「大卒資格を取ってから就職しよう」と考えていても、必要な単位を取得し終わるタイミングで希望の求人がなければ、就職活動に時間が掛かることも。「大卒資格を取れば希望の企業に就職できる」と一概にはいえないことを覚悟しておきましょう。また、働きながら大卒資格の取得を目指す人は、仕事と学業の両立が負担になることもあります。
お金が掛かる
授業料や通学にかかる交通費など、大卒資格を得るにはまとまった費用が必要になります。社会人として働いていたとしても、学費の支払いは大きな壁のひとつ。文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」によると、2021年に入学した人の授業料は国立大学で53万5,800円、私立大学は平均で93万943円です。
また、せっかく大学を卒業しても、学んだ内容が就職先で活かせない可能性も視野に入れて行動する必要があります。「高い授業料を払って大卒資格を取ったのに、あまり意味がなかった…」と後悔しないよう、大卒資格の取得目的を明確にしておきましょう。
参照元
文部科学省
私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
大卒資格をとらずに就職するという選択肢もある
「大卒資格を取得してから就職すべき?」「そもそも学士の認定はいらないのでは?」と悩んでいる方もいるでしょう。そのような場合は、「自分は何のために大卒資格を取りたいのか」「大卒資格をどのように活かしたいのか」について改めて考えてみましょう。
たとえば、就活をするうえで「大卒資格が必要な専門職に就きたい」という目標があるのなら大卒資格は必要といえます。ただし、希望する職種では学歴を問われにくい場合は、大卒資格の取得に掛かる期間や費用を考えると、就職を優先した方が良い場合もあります。
大卒資格を取らずに就職した場合の収入は?
仮に、大卒資格を取らずにすぐ就職した場合の収入について考えてみましょう。月収が20万円だと仮定すると、4年間で960万円の収入を得られる計算になります。
20万円×48ヶ月(※)=960万円
※12ヶ月×4年=48ヶ月
ここでご紹介した金額はあくまで概算であり、手取り(年金・税金などが引かれて実際に受け取る金額)は少なくなります。手取りは総支給額の約8割といわれているため、仮に、4年間で960万円支給された場合、実際に受け取る金額はおよそ770万円です。
960万円×0.8=768万円
4年間でこれだけの収入が受け取れることを考えると、大卒資格にこだわらず就職活動をスタートするのもひとつの手段です。
また、すぐに就職すると、業務の知識・スキルやビジネスマナーを早く身につけられるというメリットもあります。大卒資格の取得に掛かる期間や費用と照らし合わせて、どちらが良いかを考えてみましょう。
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大卒資格に関するQ&A
大卒資格を取得すべきか悩んでいる方に向け、大卒資格に関するお悩みをQ&A方式で解決していきます。
働きながら大卒資格を取るのは現実的?
仕事をしながら通信制大学や夜間(第二部)課程のある大学で大卒資格を取得する方は多くいるため、可能性はあるでしょう。ただし、仕事との両立が難しく途中で挫折してしまったり、ついプライベートを優先したりしてしまうというリスクも。「全課程を修了して大卒資格を取りたい」という揺るぎない心の強さが鍵となるでしょう。
大卒資格を取るのにデメリットはある?
通信制や夜間を利用したとしても、大卒資格を取るには時間とお金が掛かります。「生活にゆとりがある」「就きたい職種が大卒の募集だけだった」というような場合でない限り、メリットよりデメリットが大きいことも。自分はなぜ大卒資格を取得したいのかよく考えて道を選択しましょう。大卒資格を修得するデメリットは、このコラムの「大卒資格を取得するデメリット」で解説しているので、ぜひご覧ください。
大学中退のままだと就職に不利ですか?
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