退職理由はどう伝える?退職願の書き方や転職時の面接の答え方を解説

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この記事のまとめ

  • 退職理由は嘘をつくべきではないが、会社にマイナスな印象を与える内容は避けよう
  • 転職活動時の面接では、企業のニーズを考えた退職理由を伝えると良い
  • 退職願と退職届は、名称は似ていても書類の内容は全く異なる
  • 円満退職には会社を辞める理由の伝え方を意識するだけでなく、入念な事前準備が必要

「会社に本当の退職理由を伝えにくい」「退職願の書き方で悩んでいる」という方もいるでしょう。退職の理由は、事実に合わせつつ前向きな内容を伝えることがポイントです。このコラムでは、会社への退職理由の伝え方や、退職願・退職届の書き方について解説。また、転職活動の面接で退職理由を聞かれたときの答え方についても例文を用いてまとめています。

退職はいつまでに会社に伝えるべき?

退職をいつまでに申し出るか、期限については会社によって異なります。法律上では期間に定めのない雇用形態の場合、2週間前までに退職届を提出すれば退職できると定められていますが、基本的には会社の就業規則に従うのがマナーです。所属している会社の就業規則に退職に関する期間が記載されているはずなので、事前に確認しておくと良いでしょう。

よくある退職理由の例

一般的には、以下のような理由で退職を考えるケースが多いようです。

  • ・給与に不満がある
  • ・人間関係に問題がある
  • ・残業が多い
  • ・思っていた仕事と違った
  • ・社風と合わない
  • ・社長や上司と考え方が合わない
  • ・仕事にやりがいを感じられない
  • ・会社に将来性を感じない

上記のように、待遇面や労働環境に不満を抱き、退職を決意する人が多い傾向があります。また、結婚や出産、家族の介護などを機に退職しようと考える人や、身体的に現職場での労働が難しくなったという人もいるようです。

企業に退職理由を伝えるときの注意点と例文

退職をするためにはまず上司に相談する必要がありますが、伝える際はやや注意が必要です。「実際の退職理由と会社に伝える内容は違っても良い?」と疑問に思う人もいるでしょう。結論からいうと、会社に伝える退職理由は事実であることが大切です。ただし、会社への不満をそのまま伝えることは避けましょう。伝え方によってはすぐに退職を認めてもらえないこともあるようです。以下で円満に退職するためのポイントをまとめているので確認しておきましょう。

1.マイナスな内容は避ける

前述のとおり、退職の本当の理由が職場での人間関係や給与への不満であっても、そのまま伝えてしまうと会社に対して悪い印象を与えかねません。そのため、「もう少しチームワークを活かした働き方がしたい」「より効率的に働きたい」など、自分の希望の働き方に焦点をあてた理由に言い換えるのがおすすめ。マイナスな印象を与える可能性がある退職理由は、ポジティブな内容に変換して伝えるようにしましょう。

2.交渉の余地を残さないようにする

退職理由によっては、会社から引き止められる可能性があります。特に、繁忙期や、少数精鋭で業務を行っている会社の場合は注意が必要です。曖昧な理由を伝えると「こんな条件だったらどうですか?」と交渉されることも考えられるでしょう。退職することが自分の中で決まっているのであれば、伝える際は意志を強く持ち、交渉の余地を残さない理由にすることが重要です。

退職理由で嘘をついたらどうなる?

本当の退職理由が伝えづらいからといって嘘の内容を伝えるのは避けましょう。理由について深く聞かれたときに答えられない可能性があるうえ、嘘がばれたら相手に不信感を与えてしまいます。そのことが原因で退職するまで居づらい雰囲気になることも。あくまで本当の理由に基づいた退職理由を伝えることが大切です。

企業へ退職理由を伝える場合の例文

実際に退職理由を伝える際の例文を、ケース別に紹介します。退職理由の伝え方に悩んでいる方は参考にしてください。

個人的な事情が退職理由の場合

結婚や妊娠、親の介護などの場合は、「子どもを授かり、働き続けることが難しくなった」「親の介護が必要になった」などと事情を隠さずに伝えましょう。体調不良を理由として退職する場合は、身体に負担の少ない部署への異動を提案される可能性があるので「会社に残れる体調ではない」とはっきり伝えます。

会社側への不満が退職理由の場合

人間関係など、職場環境につらさを感じる場合は「新しい環境で自分を試したい」、待遇や仕事内容に不満があるときは「〇〇の専門知識を身につけたい」など、前向きな退職理由に変えましょう。また、残業時間の多さに不満があるときは、「ワークライフバランスを重視した働き方がしたい」と言い換えるのがおすすめです。

面接で退職理由を伝えるときのポイントと例文

転職活動においても、ネガティブな退職理由を正直に伝えるのは避けましょう。前職の愚痴や批判は、採用担当者に「入社後に同じ不満を持つかもしれない」と不安を抱かせてしまうことも考えられます。一方で、面接での退職理由に関する質問は、答え方によっては採用担当者に良い印象を与えられる可能性も。応募先企業に退職・転職の理由を聞かれたら、勤め先に伝えたときと同様、前向きな表現に言い換えて伝えましょう。その際は、漠然とした理由ではなく、応募先企業のニーズに沿った内容にすることがポイントです。

面接で退職理由を伝える場合の例文

面接で退職理由を聞かれた場合の、具体的な伝え方の例文をケース別にご紹介します。

待遇への不満が退職理由の場合

「前職では自身の成果が給与に反映されず、モチベーションの維持が難しいと感じました。努力や実績をしっかりと認めてもらえる会社で、日々ステップアップをしたいと考え、退職を決断しました。」

「給与が低かったから」とストレートに伝えることは避け、「正当に評価をしてもらえる会社で働きたい」と前向きな内容に言い換えることがポイントです。やる気があることをアピールすることで、採用担当者に積極的な印象を与えられるでしょう。

労働時間への不満が退職理由の場合

「前職では残業が多く、終電で帰宅することも多くありました。また、休日出勤をすることもあり、しっかりと休息をとれませんでした。そのような状態が続いたことで業務では本来のパフォーマンスが発揮できない状況になり、退職を決断いたしました。」

労働時間を改善するために転職をするときは、「オンとオフのメリハリをつけて、質の高いサービスを提供したい」ということを伝えましょう。仕事へのやる気をアピールすることがポイントです。

結婚や介護など家庭の事情が退職理由の場合

「前職は結婚を機に退職しました。働き続ける選択肢を最後まで考えておりましたが、今後の出産や育児(または介護)に備えて退職することを選びました。現在は育児(または介護)も落ち着き、再び働きたいと思い就職活動をしております。」

育児や介護など家庭の事情で前職を退職した場合は、現在は働ける状況になったことをしっかりと伝えましょう

人間関係が退職理由の場合

「前職は個人主義の色が強く、個人の能力のみで成果を出せるよう日々努力してしてきました。試行錯誤を重ねた結果、個人売上では常に上位をキープできました。今後は個人ではなく、チームで仕事に取り組むことで、自らのスキルをより高めたいと考え、退職を決断しました。」

人間関係が原因で退職を決意した場合は、業務についても触れながら伝える点がポイント。人間関係のみに焦点をあててしまうと、採用担当者に「努力不足なのではないか」「自社でも同じことになるのではないか」などと思われる可能性があるので注意が必要です。

転職時の面接で退職理由を聞かれるのはなぜ?

面接で退職理由を聞かれるのは、「長く働き続ける人材かどうか」「仕事に対する姿勢」などを知るためといえます。「仕事に対するモチベーションが高い人に、できるだけ長く働き続けて欲しい」と考えている企業は多いようです。面接では、同じ理由で早期退職する可能性がないことや、意欲的に働く気持ちがあることを採用担当者にしっかりアピールしましょう。

退職願と退職届の書き方 

上司に退職相談をして受け入れてもらえたら、退職願または退職届を提出する必要があります。次項では、退職願と退職届それぞれの書き方を説明します。

退職願と退職届の違い

退職願と退職届は、名称は似ていても全く違う書類です。退職願は、あくまでも会社に退職をお願いするための書類であり、認められる前であれば取り下げることも可能です。一方、退職届は退職を届け出る書類であり、受理された時点で会社を辞めることが決定します。上司に相談することなくいきなり退職届を提出すると、強引に退職を進めようとする印象を与えてしまう恐れも。円満退社をしたいのであれば、まず退職願を出すほうが良いでしょう。

退職願の書き方

一行目の中央やや上に「退職願」と書きます。2行目には便箋の下のほうに「私事」もしくは「私儀」と書き、改行しましょう。退職願の内容は「この度、一身上の都合により令和◯年◯月◯日をもちまして退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。」と記載します。3~5行目に申し出る年月日・所属先・氏名を書き、最後に宛名を書いてください。基本的に社長宛としましょう。退職願の書き方については、「退職願は封筒に入れた方が良い?書き方や提出する際のポイントを解説」のコラムも参考にしてください。

退職届の書き方

退職届と退職願の書き方はさほど変わりませんが、内容が少し異なります。退職届の場合は、「この度、一身上の都合により令和◯年◯月◯日をもちまして退職いたします。」と書きましょう。

「一身上の都合」の意味や会社都合との違い

「一身上」とは個人的な事情のことを指し、自己退社のときは退職理由に関わらず「一身上の都合」と表わします。これに対して、経営不振やリストラなどが理由で仕事を辞める場合は「会社都合による退職」です。基本的に、会社都合による退職の場合は、退職届を書く必要はありません。会社都合の場合の退職届については、「会社都合のときに退職届は必要?自己都合退職との違いや書き方・例文も解説」のコラムもチェックしてみてください。

円満退職するための流れ

「退職日が決まってから実際に辞めるまでの間は、何をすれば良い?」と疑問に思う人もいるでしょう。退職日が決まったからといって、それまでの間ただ通常業務をしていれば良いわけではありません。以下で円満退職するためのポイントを確認し、社会人として責任のある行動をしていきましょう。

1. 業務の引き継ぎをする

退職日が決まると後任者が選定され、これまで行っていた業務をすべて引き継ぐことになります。引き継ぎにかかる期間は1~3ヶ月程度が一般的。マニュアルがあると比較的スムーズに引き継ぐことができます。もしマニュアルがない場合は、作成しておくと後任の方も業務を遂行しやすくなるでしょう。

2. 外部でお世話になった人へ挨拶をする

取引先をはじめ、外部で関わりのあった人への挨拶は忘れないように行いましょう。外部への挨拶は、退職日の2~3週間前を目安に、後任者を連れて直接伺うのがマナーです。もし、現在は関わりが薄くなっているなどの理由で、直接挨拶する機会がない場合はメールや書面でも問題ありません。その際は、退職年月日とこれまでのお礼、後任者の紹介を忘れずに書き添えておきましょう。文面での挨拶は、退職日の1~2週間前に送ります

3. 社内でお世話になった人へ挨拶をする

退職日当日になったら、社内でお世話になった方へ挨拶をします。お礼の気持ちとして、挨拶と一緒に1,000~3,000円程度の菓子折りを配ると好印象でしょう。基本的には、最初に直属の上司、次に他部署、自部署、同僚という順番で挨拶をするのがマナーです。もし、相手が不在の場合はメールで退職の挨拶をしましょう。

4. 健康保険証や社員証を返却する

会社の備品全般や社員証、制服、定期券、名刺などは最終日にすべて返却します。社会保険は会社で加入しているのが一般的。会社を辞めれば社会保険も脱退することになるので、保険証は必ず返却しましょう。

5. 年金手帳や雇用保険被保険者証を受け取る

逆に会社から受け取らなければならないのは、年金手帳や雇用保険被保険者証です。これらは転職先に提出する書類でもあるので、忘れずに受け取りましょう。源泉徴収票も転職先に提出する必要がありますが、手続きの関係で後日自宅に郵送されることがほとんどのようです。

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よくある退職トラブルと対処法に関するFAQ

ここでは、退職でよくあるトラブルとその対処法についてQ&A方式で解決していきます。円満退職をするために、事前にしっかり確認しておきましょう。

有給消化をさせてもらえないときは?

上司ではなく人事部などほかの部署に申請しましょう。有給休暇は社員に保証された休暇であり、本来であれば上司が申請を拒否できません。どうしても認めてもらえない場合は、労働基準監督署に相談するのがおすすめです。そのほかの相談窓口については「退職の相談窓口とは?トラブルにも対応してる?種類や利用方法について解説!」をご覧ください。

退職届の受け取りを拒否されたときは?

退職届の受け取りを拒否された場合、内容証明郵便で送る方法があります。内容証明郵便とは、差し出し日時・差出人・宛先・内容を証明する郵便のこと。内容証明郵便で退職届を送った場合、上司が退職届の受け取りを拒否したとしても、会社に書類が到着した時点で有効となり、2週間後に退職できます。内容証明郵便については、「退職届を拒否されたら?知っておきたい法律と対処法」のコラムもチェックしてみてください。

退職を伝えたことで嫌がらせを受けたときは?

証拠を残して人事部や専門カウンセラー、弁護士に相談しましょう。音声や画像だけでなく、受けた嫌がらせの内容や時間、回数などもメモに残しておくのがおすすめです。訴訟を起こす場合は、依頼費用がかかるので注意しましょう。嫌がらせへの対処方法は「退職を伝えたら嫌がらせをされた?労働基準監督署への相談方法とは」のコラムでも紹介しています。

給与がカットや未払いにされたときは?

給与が不足している場合はまず、就業規則に記載のある賃金規定を確認しましょう。賃金規定どおりに計算をしても給与が足りていないときや、給与が未払いの場合は会社に請求できます。万が一、会社が請求に応じない場合は、法的手続きを行いましょう。詳しくは「給料未払いで生活できない!困った場合の対応方法や相談先を解説」のコラムをご覧ください。

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