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残業時間の上限はどれくらい?世の中の平均やトラブル対処法を紹介
更新日
この記事のまとめ
- 残業時間とは、企業ごとに定めている所定労働時間を超えて働いた時間のこと
- 労働基準法で定めている法定労働時間は「1日8時間・週40時間」
- 法定労働時間を超えた時間外労働の上限は、原則「月45時間・年間360時間」
- 2023年時点で残業時間の平均は10時間だが、業種によって異なる
- 残業手当は、1時間あたりの賃金×割増率×残業時間で求めることができる
- 残業時間が長いと感じたときは、上司に相談し自身の業務効率化を図ることが大切
残業時間でお悩みの方は少なくないでしょう。このコラムでは、残業時間について、労働基準法や36協定に触れながら分かりやすく解説。厚生労働省のデータを基に、平均的な残業時間の紹介もしています。また、残業手当の計算方法や、残業時間に関するトラブルなどについても解説。残業時間が長いと感じたときの対処法も、まとめているので、ぜひ参考にしてください。
残業時間とは
残業時間とは、企業ごとに定めている所定労働時間を超えて働いた時間のことです。たとえば、9時から18時までの所定労働時間で20時まで働いた場合、残業時間は2時間となります。この2時間に対して、企業から残業代が支払われます。
時間外労働と法定内残業
残業時間を厳密に分けると時間外労働と法定内残業となります。時間外労働は、厚生労働省が定める法定労働時間を超えて働いた場合を指します。たとえば、「1日8時間、週40時間」で勤務している方が残業をすると時間外労働となるでしょう。時間外労働には、割増賃金が発生します。
一方の法定内残業は、法定労働時間内で所定労働時間を超えて働いた時間を指します。
法定労働時間とは?
法定労働時間とは、法的に定められている労働可能な時間です。「労働基準法の第32条」によると、企業は「1日8時間、1週間当たり40時間」を超える労働を従業員にさせてはいけないとされています。法定労働時間については「法定労働時間とは」のコラムでも詳しく解説しているので、併せてご覧になってみてください。
参照元
e-Gov法令検索
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
残業時間の上限はどのくらい?
企業は36協定を締結することで、法定労働時間を超えた時間外労働を可能にしています。しかし、時間外労働にも上限があります。厚生労働省の「時間外労働の上限規制わかりやすい解説」によると、時間外労働の上限は「月45時間、年間360時間」。特別な理由がなければ、上限を超えた残業時間は認められません。ただし、「特別条項付き36協定」を結ぶと、条件付きで「月45時間、年間360時間」を超える労働が可能となります。その条件とは、納期のひっ迫や機械のトラブルへの対応など、臨時的に時間外労働が必要とされるケースです。しかし、そのような場合でも、以下の規定を守らないといけません。
・時間外労働が年720時間以内
・時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満
・時間外労働と休⽇労働の合計について、「2ヶ月平均」「3ヶ月平均」「4ヶ⽉平均」「5ヶ月平均」「6ヶ⽉平均」がすべて1⽉当たり80時間以内
・時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6ヶ月⽉が限度
上記の上限が設けられています。
36協定とは
厚生労働省によれば、36協定とは、時間外労働・休日労働に関する協定のこと。企業が労働者に「1日8時間、週40時間」を超えた時間外労働、または法定休日の労働を命じる際に締結します。36協定を締結せずに、時間外あるいは休日に労働をさせた場合、会社は労働基準法違反となります。36協定に違反した企業の罰則については、関連コラムの「36協定って何?違反するとどうなる?」でも紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。参照元
厚生労働省
時間外労働の上限規制わかりやすい解説
平均的な残業時間
厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和5年分結果確報(1p)」によると、所定外労働時間の月平均は10時間。この結果は、業種や雇用形態をひとまとめにした平均値です。
業種別に見てみると、運輸業・郵便業の所定外労働時間が月22.7時間なのに対して、飲食サービス業は月5.1時間。業種によって平均的な残業時間は、異なっています。残業の少ない仕事は、一日の作業量が決まっていることやルーティンワークが多いことなどが特徴です。詳しくは「早く帰れる仕事って?作業効率を上げる仕事術や転職のポイントも紹介!」のコラムで紹介しているので、目を通してみてください。
参照元
厚生労働省
毎月勤労統計調査 令和5年分結果確報
残業手当(時間外労働手当)の計算方法
残業手当は、1時間あたりの賃金×割増率×残業時間で計算できます。1時間あたりの賃金は、時給制で働く場合「時給」が1時間あたりの賃金です。一方で月給制で働く場合、まずは1時間あたりの賃金を求める必要があります。これは、月給(基本給+諸手当)÷月の平均所定労働時間で求めるのが一般的です。次に割増率とは、時間外労働を行った際に発生します。
「しっかりマスター 割増賃金編」によると、割増率は残業時間によって異なり、法定労働時間を超えた場合は25%、時間外労働が1ヶ月60時間を超えた場合は50%などの定めがあります。通常の割増率の場合は25%なので、1時間あたりの賃金に1.25倍をかけた計算になります。たとえば、月給25万円・月の平均所定労働時間が173時間・割増率1.25・残業月20時間の場合はどうなるでしょう。まず、1時間あたりの賃金が25万円÷173時間=1,445円。月の残業代は1,445円×1.25×20時間=36,125円となります。
参照元
厚生労働省
しっかりマスター 割増賃金編
残業時間に関するトラブル
残業時間のトラブルには、みなし残業やサービス残業、長時間の残業などに関するものがあります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
みなし残業
みなし残業制度とは、残業の有無に関わらず、給与に一定時間分の残業代が含まれる制度です。みなし残業制度が適用されるのは、以下の2つの業種になります。
・「事業場外労働」…会社の外で働く職種で、営業職や記者など。
・「裁量労働」…デザイナーやエンジニアなど、創造的・専門的な職種。会社側は、労働時間の設定や時間配分を労働者に委ねることが多い。
みなし残業制度のもとで働く場合は「みなし残業時間を超過した分の残業代が支払われているか」「みなし残業代の含まれる1時間あたりの給与が、最低賃金を下回っていないか」を確認しておくと良いでしょう。また、雇用契約書でみなし残業の時間数・賃金や基本給などを確認しておくことも大切です。不足している残業代は会社に請求できます。
サービス残業
サービス残業とは、残業時間の賃金が支払われないことです。賃金が発生しない労働や、残業時間の端数を残業代に含めない場合がサービス残業に該当します。サービス残業に悩む場合は、労働基準監督署に相談が可能です。その際には、雇用契約書や就業規則、実際の労働時間の記録などの書類が必要になります。
長時間の残業
長時間の残業は、体や心に不調を招く恐れがあります。残業時間が長くなることで、疲労の蓄積や集中力の低下、体調不良を引き起こす恐れがあるでしょう。また、ストレスを蓄積する要因にもなり得ます。もし、残業時間が長くストレス発散ができない場合は、適度な運動や趣味に没頭する時間を持つことが大切です。ストレスの対処法については「ストレス発散できない人の特徴とは?すぐ実践できる解消法や予防策も解説!」のコラムで紹介しているので、参考にしてみてください。
残業時間が長いと感じたときの対処法
残業時間が長い場合は、勤めている会社の雇用契約書を確認してみると良いでしょう。時間外労働の有無のほかに、定めている時間を確認できます。
上司への相談や業務の効率化を図る
業務量の多さで残業時間が長くなってしまい悩んでいる場合は、上司に相談してみると良いでしょう。配置人数の変更や異動など、改善に向けた対応をとってもらえる可能性があります。また、自身の業務効率化を図ることも大切です。仕事の優先順位をつけ、スムーズに仕事を進められるよう工夫すると良いでしょう。効率的な仕事の進め方について「仕事ができる人にはこんな特徴が!効率的な仕事術とは」で紹介しています。業務効率化の参考にしてください。
残業時間が少ない企業へ転職する
なかなか状況が改善しそうにない場合は、転職をするのも一つの方法です。前述したように、長時間の残業は身体に負荷をかけるだけでなく、心の不調を招くことも。深刻な状況にならないよう、残業時間の少ない企業への転職を考えてみると良いでしょう。残業が比較的少ない職種について「「残業なし」の仕事に転職するには?正社員で土日休みも実現できる?」で紹介しているので、参考にしてみてください。
会社を選ぶ際は、自分に合う働き方ができるか入念に確認することが大切です。企業研究を行い、残業の有無や業務内容を確認しておくことをおすすめします。自分に合う働き方を探したいという方は、就職エージェントのハタラクティブへご相談ください。専属のエージェントが就職活動をサポート。詳細な企業情報をもとに、一人ひとりにあった求人をご紹介します。残業時間の少ない企業や未経験歓迎の企業など、ご希望に沿った求人のご紹介が可能です。すべてのサービスが無料なので、自分にとってより良い環境で働くための手段としてご検討ください。
残業時間に関するFAQ
ここでは、残業時間に関して想定される疑問をQ&A方式で解決していきます。
残業時間の定義とは?
残業時間とは、各企業が定める所定労働時間を超えて働いた時間です。法定労働時間の上限は、原則として「1日8時間、週40時間」。法定労働時間を超えて働く場合は、企業が36協定を締結する必要があります。詳しくは本コラムの「残業時間とは」をご覧ください。
働き方改革で残業時間の上限はどう変わった?
働き方改革で残業時間が改定される前は、「特別条項付き36協定」を締結すると残業時間に上限がありませんでした。改定後は、「月45時間を超えて時間外労働をさせられるのは年に6回まで」や「月の時間外労働は100時間未満」など超えてはならない上限が設けられています。
仕事量が多いときの対処法は?
仕事量が多い理由として、企業側と労働者側それぞれに原因が考えられます。会社側の割り振りが問題の場合は、上司に相談してみると良いでしょう。労働者側に問題がある場合は、仕事の効率化を目指すことがおすすめです。詳しくは「効率の良い仕事の進め方を知りたい!業務が早い人は何をしている?」をご覧ください。
残業時間を減らす方法はある?
時間を意識し、優先順位を決めて業務に取り組むと良いでしょう。ただし、職場や仕事内容が合わない場合、自分の力では対処できない可能性があります。そのようなときは転職するのも一つの手です。転職エージェントの「ハタラクティブ」では、適性に合った求人紹介を行っています。転職して残業時間を少なくしたい方はぜひ一度お問い合わせください。
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。