みなし残業代とは？気をつけたいポイントについて解説！

みなし残業代について詳しく知りたいという方もいるでしょう。みなし残業代とは、給与の中に含まれる一定時間分の時間外労働代のことをいいます。固定残業代や定額残業代と呼ばれることも。このコラムでは、みなし残業代について詳しく解説するほか、就職や転職の際に気をつけたいポイントについても紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

みなし残業代とは

みなし残業代とは、給与の中に含まれる一定時間分の残業代のことです。固定残業代、定額残業代などとも呼ばれます。企業によっては営業手当や業務手当などとされる場合もあるようです。
みなし残業代を給与に含む場合、以下のように、残業時間とみなし残業代を明確にしておく必要があります。

• （例1）月給25万円（月20時間のみなし残業代5万円を含む）
  （例2）基本給20万円＋みなし残業代5万円（月20時間）

求人票や就業規則で、みなし残業代が正しく表されているか確認しましょう。また、厚生労働省の「固定残業代 を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」によれば、「固定残業代を除いた基本給の額」「固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法」のほか、「固定残業時間を超える時間外労働、 休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨」も明示することが求められています。

参照元
厚生労働省
固定残業代 を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。

残業がなかった場合どうなる？

みなし残業代を用いている場合、残業がない月があったとしてもみなし残業代を含んだ給与が支払われます。たとえば、月20時間のみなし残業が導入されている場合、残業時間が0、または、19時間でもみなし残業代を含む給与の受け取りが可能です。
また、みなし残業時間を超えた場合も、超過分の残業代を受け取れます。詳しくは「みなし残業制度のメリットは？デメリットも把握して損のない働きを目指そう」のコラムを参考にしてみてください。

みなし残業代で気をつけたいポイントとは？

みなし残業代で気をつけたいポイントには、以下のような点があります。

• ・みなし残業代を超過した分の残業代が支払われない
  ・月給の中にみなし残業代が含まれていることを明記していない
  ・みなし残業代および「毎月支払われる基本的な賃金」が最低賃金を下回っている

以下では、みなし残業代および「毎月支払われる基本的な賃金」が最低賃金を下回っていないか確認する方法について解説します。

「毎月支払われる基本的な賃金」が最低賃金を下回っていないか

厚生労働省の「最低賃金制度の概要　最低賃金制度とは」によると、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法により50万円以下の罰金が科せられます。また、特定（産業別）最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法により30万円以下の罰金が科せられると定められています。そのため、月給制の企業の場合、「月給（家族手当や通勤手当などは除く）を1ヶ月の平均所定労働時間で割った金額」が最低賃金を下回らない金額である必要があります。みなし残業代も同様です。

では、「年間所定休日数110日」「1日の所定労働時間8時間」と仮定して、「毎月支払われる基本的な賃金」が最低賃金を下回っていないか計算してみましょう。最低賃金は、厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」より、2023年度における東京都の1113円を参考にします。

まずは、1ヶ月の平均所定労働時間を割り出して基本給の最低賃金を算出していきましょう。

（365日－年間所定休日数）×1日の所定労働時間数÷12ヶ月
＝（365日－110日）×8時間÷12ヶ月
＝170時間

企業の1ヶ月の平均所定労働時間が170時間であることが分かりました。最低賃金に1ヶ月の平均所定労働時間数をかけることで、基本給の最低金額を求められます。

1113円×170時間＝189,210円

つまり、最低賃金から算出された「毎月支払われる基本的な賃金」は189,210円ということです。

みなし残業代が最低賃金を下回っていないか

次に、「みなし残業月20時間」と仮定して20時間分の計算を行います。ここでは計算を単純にするため、休日出勤や深夜出勤である場合は考えず、時間外労働である1.25倍の割増賃金として計算します。

1113円×1.25（割増賃金）×20時間＝27,825円

上記の計算より、みなし残業代は最低でも27,825円以上支払う必要があるということが分かります。

つまり、基本給が189,210円未満、みなし残業代が27,825円未満の場合、違法である可能性が考えられます。
最低賃金を割り出す方法について詳しく知りたいという方は、「手取りが少なすぎる？最低賃金よりも給料が下回っている場合の対処法」のコラムも参考にしてみてください。

参照元
厚生労働省
最低賃金制度の概要
地域別最低賃金の全国一覧　令和5年度地域別最低賃金改定状況

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