試用期間での本採用見送りとは？解雇理由などを解説

「試用期間中に本採用が見送りになることもあるの？」と気になる方もいるでしょう。試用期間とはいえ労働契約を結んでいる以上、本採用が見送りになるケースは少ないです。当コラムでは試用期間の意味合いや、本採用が見送りになるときのケースなどについて解説。また、試用期間中に退職することになったときの流れなどについてもお伝えしています。試用期間中の過ごし方が気になる方は、参考にしてください。

試用期間とは？

試用期間とは、採用者が社員としての適性を有しているかどうか、企業が見極めるために設けられた期間のこと。試用期間中に労働者の勤務態度や能力、人柄などを総合的に評価します。企業によっては採用までにかける時間を短くする代わりに、試用期間を設けている場合もあるようです。試用期間は長期雇用を前提とする制度なので、決まった期間を終えれば原則正社員として採用されることになります。

試用期間の長さはどれくらい？

試用期間は、短くて1ヶ月、長くて6ヶ月ほどが一般的。試用期間について、法律上の明確な定めはないものの、あまりにも試用期間が長いと、社会通念に反すると判断されることが多いようです。そのため、「試用期間が1年以上続いている」という場合には注意が必要。試用期間の詳細については就業規則に明記しなければならないことになっているため、入職後に一度確認しておくと良いでしょう。

新卒の場合の試用期間については、「新卒の試用期間とは？クビになる理由や退職したいときの対処法」のコラムで解説しているので、ご参考ください。

試用期間中に本採用が見送りになることはある？

試用期間中とはいえ、長期雇用を前提とした労働契約は結ばれている状態です。そのため、本採用が見送りになる可能性は低いと考えて良いでしょう。本採用を見送ることは解雇とほぼ同様の扱いになります。もし、企業が本採用を見送る場合、労働基準法に則って「解雇予告」を行うなど、適切な対応をする必要があります。

解雇予告とは？

「労働基準法第20条」では、解雇の予告について「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。」と定めています。

解雇予告をせずに即時解雇をする場合、雇用者は労働者に対して解雇予告手当（30日分以上の平均賃金）を支払うことになります。解雇にまつわる手当は以下のように定められています。

即時解雇の場合は30日分以上の解雇予告手当を支払う

例：3/31に解雇予告手当て0日分を払い、3/31付けで解雇する

30日以上の猶予がない場合は不足日数分の手当を支払う

例：3/16に15日分の解雇予告手当を払い、3/31付けで解雇する

ただし、「従業員の責に帰すべき理由」や「天災地変により事業継続が不可能」などのトラブルがあった場合は、解雇予告や手当の支払いをせずに即時解雇できるようになっています。

参照元
e-Gov法令検索
労働基準法（昭和二十二年法律第四十九号）

本採用の見送りが認められる条件は？

企業は法的な定めに従って本採用の見送りや解雇を行います。本採用の見送りや解雇が認められるケースとしては、以下のようなものがあります。

• ・経歴詐称や隠蔽
  ・人間関係のトラブル
  ・著しく業務に支障をきたしている（遅刻や無断欠勤、勤務中に私用を行う、極端な能力不足など）
  ・職場のルールを守らないなど、従業員として不適格であった

社会人としての秩序を守って仕事に取り組むことができていれば、試用期間中に解雇されることはないと考えて良いでしょう。

企業から試用期間の延長を希望されたら？

ケースとしては少ないものの、企業側から試用期間の延長を希望されることがあります。試用期間の延長を言い渡されたときは、以下のような条件を満たしているか確認することをおすすめします。

• ・就業規則に延長の可能性がある旨が明記されている
  ・延長をする明確な理由の提示
  ・労働者側の同意

上記の条件を満たさない状態で試用期間を延長した場合、ルール違反とみなされることも。不当な扱いを受けないためにも、試用期間の延長を求められた際は条件面をきちんと確認することが大切です。

試用期間中でも残業代は貰える？

試用期間中であっても、残業代は原則発生します。正社員同様、契約内容に明示された条件や待遇で働くことが可能です。

給与に関しては、試用期間中の賃金が本採用後の賃金より低く設定されていることがありますが、求人広告に明示があればそれ自体は違法ではありません。ただし、提示された賃金が各都道府県の最低賃金を下回っていないかどうかは、きちんと確認する必要があるでしょう。

試用期間中の給与については、「試用期間の給与は本採用より低い？変わらない？制度の内容を詳しく解説」のコラムで解説しているので、ぜひご覧ください。

試用期間中に退職したいときは？

試用期間中に「自分には合わない」「入社前のイメージと違う」と感じ、退職を決意することもあるでしょう。試用期間中の退職であっても、社会人としてのマナーを守り、なるべく職場に迷惑のかからない形で去るのが理想的です。

退職日の2週間前までに退職の意思を伝える

試用期間中も、退職意思は少なくとも2週間前までに表明する必要があります。ただし、退職の申し出期間は職場によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。職場に迷惑をかけないためにも退職の意思を決めたらなるべく早く上司に相談するようにしましょう。

退職意思は直属の上司に伝える

退職意思は、まず直属の上司に伝えるのがマナー。円満退社をするためにも、あらかじめ直属の上司にアポイントメントをとり、会議室など人に聞かれない場所で退職についての話を切り出すようにします。

会社の批判につながるような退職理由は避けよう

上司や同僚が不快に思うような退職理由を告げるのは控えたほうが無難。社風や職場の価値観に馴染めなかったことが実際の理由だったとしても、不満を漏らすのではなく「自分の力不足で…」などと謙虚に退職の動機を伝えるのがポイントです。今までお世話になったことへの感謝の気持ちも併せて伝えると良いでしょう。

退職することを言い出しにくいからといって、メールや電話で告げるのはマナー違反です。誠意ある姿勢を示すためにも、退職の意志は対面で伝えるようにしましょう。「会社の辞め方や手順を解説！退職理由の伝え方で注意したいことも紹介」でも退職時のポイントを解説しているので併せてご確認ください。

試用期間中は本採用を見据えて仕事と向き合う

試用期間とはいえ労働契約を結んでいる以上、基本的には正社員と同様の立場で仕事に向き合うことになります。「本採用が見送りになったらどうしよう」と不安になることもあるかもしれませんが、可能性としては低いので安心してください。本採用後も仕事を任せてもらえるよう、責任のある行動を心掛けましょう。

仕事が合わないなどの理由から、試用期間中に自己都合で退職するケースは少なからずあるでしょう。「今度こそ、自分に合う転職先を見つけたい」という方は、就職・転職のプロに相談するのがおすすめです。

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