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元リクルート トップ営業「太田彩子さん」登場。 女性のキャリアアップセミナー結婚・出産、その時仕事にどう向き合う?
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結婚・出産などで、大きく変わる可能性がある女性の働き方。そんな女性のキャリアに関するイベント「これからも働き続けるあなたへ」が、2016年12月2日(金)、ハタラクティブ(渋谷ヒカリエ17階)で開催されました。
女性の正社員就職支援プログラム第2弾として開催された今回は、女性営業職を中心に人材育成や活躍支援を行い、45,000人以上を支援してきた、一般社団法人 営業部女子課の会 代表理事 太田彩子さんの講演を実施。自らも働くママとしてキャリアを切り拓いてきた太田さんが語る、『20~30代の女性が先の見えない不安のなか、働くことにどう向き合っていけばいいのか』について、参加者の皆さんは真剣に耳を傾けていました。
太田彩子(おおた あやこ)氏 Profile
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スキルも資格もない、専業主婦から始まったキャリア
将来の働き方への心配からか、どこか緊張した面持ちの参加者の方たちを前に、第1部は幕を明けました。太田さんはまず、現在の活動内容に触れた後、独立のきっかけとなった前職、リクルート「ホットペッパー」編集部での広告営業職時代について説明。そこまでの道のりは決して順調ではなかったと、振り返りました。
「よく太田さんだからできたんじゃないのか、と聞かれるんですけど、全然そんなことないんですね。実は私の最初のキャリアは、何の取り柄もない専業主婦でした。私は大学在学中に、結婚と出産を経験しました。
かろうじて学校は卒業しましたが、当時はスキルも資格もない。とにかく働かなくちゃと思って就職活動をしたら、子どもがいるからという理由で全滅でした。だから最初から大きな目標なんかなくても、コツコツやっていけば夢は叶うんだよ、ということを皆さんにお伝えしたいですね」(太田さん)
女性も、働き続けることを求められる時代になってきた
続いて太田さんが、働くことについてどんな悩みや不安があるのか、参加者の方たちに質問を投げかけたところ、会場からは『職場での人間関係』や『家事・育児などとの両立』という声が。すると太田さんは、それらは働く女性の多くが抱える共通の悩みで、中でも先の見えない不安が仕事へのモチベーションダウンにつながっていると指摘しました。
そして女性には、専業主婦、DINKs(※)、子育てをしながら家庭と仕事を両立させる、などと働き方の選択肢がいくつもあり、時々のライフイベントに合わせてふさわしいチョイスを求められること。さらに日本では、共働き夫婦でも家事と育児を担うのは女性が8割以上だという現状があり、働く女性は職場と家庭で果たすべき役割が多く、さまざまな悩みを抱えやすい傾向にあると話しました。
※Double Income No Kidsの略。共働きで子供を持たない夫婦、またはそのライフスタイルのこと。
また、日本では近年、『子供を持っても働き続けたほうが良い』と考える人が男女ともに増えていること。そして現実問題として、都内に住む25~35歳までの結婚適齢期の未婚男性のうち、子供2人を育てるために必要とされる年収600万円を稼げる人の割合が、わずか3.5%であるというデータを取り上げました。
「女性はやはり、自分で働く道を作って、自立すると決めることが大事です。女性は、何があっても働き続けることを求められる時代になってきたということでしょう。最初のうちは、働く理由がお金のためでも良いと思うんです。働くことやそれによって成長することの意味なんて、すぐにはよく分からないですからね」(太田さん)
与えられたチャンスを活かしていくと、夢や目標が見つかる
さらに太田さんは、『なぜ成長が必要なのか?』について、花の写真を見せながら次のように語りました。
「この花は皆さん自身です。花をきれいに咲かせ続けるためには、良い土を与えたり、日光に当てたりしますよね。皆さんという花を咲かせ続けるためには、つねに成長という栄養を与え続けていく必要があるんですね。
─略─ 私はかつて、子供のため、お金のために働き始めました。最初は夢も目標も無かったですし、なりたい自分の姿もまったく思い描けませんでした。だから毎日仕事が本当に苦痛で、日曜の夜になる度、また明日から仕事だ…と嫌で嫌で仕方がなかったんですよ。
でもある時、ハッと気付いたんですよね。1週間のうち5日も働いているのに、仕事をハッピーにしないと、私は一生不幸になってしまうと。そこからマインドを変えました」(太田さん)
太田さんはそれから、『もっと成長しよう』と思うようになり、例えば勉強をしたり、積極的に新しい業務に挑戦したり、さまざまな人にアドバイスを求めるようになったと言います。それでもしばらく夢や目標は見つかりませんでしたが、1つ分かったことがあったそう。
「目の前にある小さな階段を、一歩ずつ着実に上っていくことが経験になり、そこから夢や目標が見つかるんだと気づきました。とにかく与えられたチャンスを活かしたいと真剣に取り組んでいたら、いつの間にか仕事が楽しくなりました。そして、どうせならトップ営業になりたいという目標も見つかって、実際に社内で表彰をされるようになりました」(太田さん)
先入観を捨て、正しい職業認識を持つ
そして太田さんは、仕事の正しい内容を知らずに、先入観だけで就職先を選んでしまうのはもったいないことだと言い、それを裏付ける自らの体験を語り始めました。
「ホットペッパーの営業時代、今ではガトーショコラの名店として知られるお店を担当していました。当時はまだ普通の喫茶店で、オーナーと打ち合わせをしていた時、一切れのガトーショコラをご馳走いただきました。それがものすごく美味しかったので、オーナーにすぐ『これを掲載して、お店を人気店にしましょう!』と提案したんですが、お金が無いからと断られました。
それでも諦めずに提案を続けたところ、とうとうオーナーがこちらの熱意に負けて、『分かった、あなたに賭けるよ』と言って、広告を打ってくれたんです。するとそれがきっかけとなって、ガトーショコラは大ブレイク。今では人気歌手や有名俳優が常連客となり、数々のメディアで取り上げられるガトーショコラの超有名店になりました。
そうしてお店が変貌を遂げたある日、オーナーからこんな言葉をいただいたんです。『太田さんのおかげで、うちは生まれ変わることができました。ありがとう!』と。それで私は気付きました。営業は物を売る仕事じゃなくて、『ありがとう』を集める仕事なんだと。
私はそれまで、営業なんて大嫌いだったんです。でも一生懸命相手のことを考えて提案したら、こんなにも喜ばれて、お店も生まれ変わりました。営業は、がんばれば感謝される、人に貢献できる仕事なんだと分かりました。
その感謝の気持ちがうれしくて忘れられなくて、今、営業職の女性を応援する活動の原点になっています。だから、やってみないと分からないんです。『あの仕事が良い、この仕事はきつそうで嫌だ』なんていう先入観は捨てて、一度挑戦してみてください」(太田さん)
さらに太田さんは、営業とは頭を下げて何かを売ることではなく、『誰かに認められること』だと説明。そして営業職で培われるプレゼン力やコミュニケーション力などのスキルは、仕事や生活のさまざまな場面で役立ち、社会人としての基礎力にもつながると話しました。
なりたいイメージを持つ、そして自分を信じる
太田さんは続けて、一歩踏み出せば人生が変わる。そのためには『なりたい自分のイメージを持つこと』と、『自分を信じること』だと説きました。
「お伝えした通り、最初から大きくて明確な夢や目標なんていりません。ただし小さくてもいい、自分がなりたいイメージを持ってください。今すぐじゃなくても3年後とか5年後、例えば『私は渋谷のヒカリエでおしゃれなスーツを着て、商談をしている』という姿を想像するだけでいいんです。
私は何のとりえもない主婦だった頃、同級生がバリバリ働いていて、非常にコンプレックスを感じていました。でも、自分もスーツを着て大都会を颯爽と歩く、そんな女性になってみたいという希望がありました。イメージを描くことは本当に大切です。それによって行動も伴ってきますからね。そして、自分を信じてください」(太田さん)
太田さんは、その具体的な方法をいくつか挙げてくれました。
「まずは、過去に上手くいった経験を思い出して、自分を奮い立たせてください。学生時代のアルバイトでお客さんから感謝された経験とか、何でもいいんです。あるいは自分じゃなくてもいい。他の人が上手くいっている様子を見て、『あ!私もできるかもしれない!』と思ってください。例えば、お友だちだけが就職活動を上手く進めていたとしても、落ち込んだり妬んだりせず、『友だちが上手くいったのなら、私も上手くいくかもしれない』と考えてください。
さらに過去、『あなたならできる』と言われた経験を思い出すことも、方法の1つです。自分のお母さんや友だち、知り合いからでいいんです。それだけで、自信につながります。そして健康に気をつけることも、とても大事です。例えば、天気がいい日には散歩をしよう、といったことでいいんです。健康は、自信につながります」(太田さん)
想像で自分の可能性にフタをしない
次に太田さんは、無人の荒野にまっすぐ伸びる一本道の写真を見せて、「皆さんはこの道をどんな風に運転しますか?」と尋ねました。そして、その答えは人間の心理を表している、と続けました。
「この質問をすると、女性からはよく『道から外れないように』とか『動物が飛び出してくるかもしれないから、安全運転で』などという答えが聞かれます。一方、男性に同じ質問をすると、『どうせ誰もいないから、アクセル全開で走ります』といった威勢の良い答えが帰ってくることが多いんです。
つまり女性は、まだ起こってもいない悪いことを勝手に想像して、ブレーキをかけてしまう傾向があるということ。これは、かのFacebook最高執行責任者(COO) シェリル・サンドバーグさんが言った言葉です。もったいないですよね。成功できるかもしれないのに、わざわざ回避してしまっている。心理学ではそれを、成功回避と呼ぶそうです。
皆さんには、そんなふうに自分の可能性にフタをせず、どんどん限界を突破していってほしいんです。自分を信じて、目の前に与えられたチャンスをちゃんと受け止めて、階段を上り続けてみてください。そうすれば人生は必ず開けるはずです」(太田さん)
講演中、たびたび行われたグループディスカッション。続々と意見が飛び出す参加者のテーブルを太田さんが回り、話しかけるシーンも
さらに第2部では、就職相談、面接対策、求人紹介と3つのブースを設け、就活アドバイザーが対応。例えば就職相談ブースでは、就活の進め方や求人の選び方について、また面接対策ブースでは、志望動機の作り方や面接でよく聞かれるポイントについてアドバイスを行うなど、各ブースでは熱心に聞き入ったり、相談をしたりする参加者の姿が見られました。
求人紹介ブースでは、参加者一人ひとりに就活アドバイザーがつき、それぞれの特性や希望に合わせた求人を紹介
面接対策ブースでは、1人で就職活動をしているとなかなか直接教わることができない面接合格のコツを伝授
ターニングポイントは、“まずはやってみた”時に訪れる
登壇後、太田さんは次のように取材に応えてくれました。
─20代、30代で結婚・出産を経験する女性がたくさんいます。その中で「どう働いていけばいいのか?」迷うこともあるでしょう。そんな時、どうやってキャリアを選べばいいのですか?
太田氏:漠然とでいいから、軸を持つことです。例えば「仕事と家庭を両立したい」と思うのなら、それを実現するための働き方を、自分で組み立てていけばいいんです。すると、どういう企業で働きたいのか、どんな風に働いていきたいのかなど、具体的なビジョンが見えてくるはずです。
もちろんお伝えしたように、まずは働き続けることが前提です。特に女性の場合、結婚や出産、育児など、予測不可能なことが起こりやすいですよね。例えば20代で子どもを産みたかったけれど、それが体調や仕事の事情で30代になったりすることもあるでしょう。
また、突然病気になったり、親御さんに介護が必要になる可能性だってあります。そんな中、働き続けるという軸をちゃんと持っておくことが、経済的にも精神的にも一番リスクが少ないんです。
─今回イベントに参加できなかった、働き方について迷っている20代、30代の女性たちに向けて、ひと言お願いできますか?
太田氏:何か機会があったら、「とりあえずやってみる」ことですね。例えば今日のようなセミナーがあったら、よく分からなくてもとりあえず参加してみる。お誘いを受けたら、気乗りしなかったとしてもとりあえず行ってみる。後で「意外と来て良かったな」と思うことってあるじゃないですか。実はそれが人生を変えるんです。
人生のターニングポイントって、ドラマチックなタイミングより、期待していないけど何気なく行ってみた、やってみた…という時に訪れることの方が、ずっと多いんですよね。
参加者の皆さんの声
イベント後、参加者の方からは次のような感想が寄せられました。
“行動と気持ち次第で変わることを実感しました。”
“先入観を持たず興味を持つこと、自分に自信を持つこと、そしてなりたい自分をイメージして動くことの大切さを学びました。”
“成長は大事。あと職種のメリット、デメリットをきちんと知ろうと思いました。”
“自分の知らないことをやってみる、そして当たり前のことをきちんとやろうと感じました。”
こうして得られたさまざまな気づきやヒントは、参加者の皆さんが就職活動を行う時や人生の岐路に立った時、きっとプラスの影響を及ぼすことでしょう。
ハタラクティブではこれからも、1人でも多くのキャリアに悩む女性のお役に立つため、イベントを開催予定です。もちろんそれ以外にも普段から、プロの就活アドバイザーがあなたの就職活動を強力サポートする就職支援サービスを提供しています。『家庭と両立できる正社員の仕事なんてあるの?』という女性の皆さん、お気軽にご相談ください。
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京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。
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