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社会保険の加入義務はパート・アルバイトにもある?条件を解説
更新日
この記事のまとめ
- 社会保険とは公的な保険制度で、条件を満たした労働者には加入義務がある
- パート・アルバイトや派遣社員も、労働条件によって社会保険の加入義務が生じる
- 年収が130万円を超えると配偶者の扶養を外れ、社会保険の加入義務が生じる
- 社会保険に加入すれば保険料が企業側と折半になり、手厚い保障が受けられる
- 手取りが減るからといって、社会保険の加入義務を拒否することはできない
社会保険の加入義務について、どれくらい働くと適用されるのかが気になる、というパートやアルバイトの方も多いでしょう。また、社会保険に加入すると、給与から保険料を天引きされる分、手取りが減るのが嫌だという方もいるかもしれません。このコラムでは、社会保険の加入条件や各保険の役割を解説。パート・アルバイトの方が社会保険に加入するメリットも紹介するので、働き方を見直す参考にしてください。
社会保険とは
社会保険とは、疾病や失業など、加入する労働者の万が一の事態に備えるための公的な保険です。雇用保険、労災保険、年金保険、医療保険、介護保険の5つを総じて社会保険と呼びます。加入条件に当てはまる労働者には加入が義務付けられ、個人の意思で拒否することはできません。また、保険料は労働者と雇用主の双方で負担します。
「強制適用事業所」は加入が義務付けられている
「強制適用事業所」に当てはまる事業所は、社会保険に加入する義務があります。社会保険の加入義務が生じる事業所の条件は、以下のとおりです。
・事業主を含めて従業員が1人以上いる会社や、国、地方公共団体などの法人
・常時使用している従業員が5人以上いる個人事業所(一部の業種を除く)
上記から、多くの事業所に社会保険の加入義務があることが分かるでしょう。また、強制適用事業所に当てはまらない場合も、一定の条件を満たせば「任意適用事業所」として社会保険に加入できます。そのため、社会保険に加入していない事業所はほとんどないといえます。ただ、ごく稀に「保険料を払いたくない」などの理由で、社会保険に加入させない会社もあるようです。これは明らかに違法なので、会社の担当者と話し合う必要があります。それでも取り合ってもくれない場合は、会社の所在地を管轄する年金事務所に連絡してください。
パート・アルバイトも社会保険の加入義務がある
強制適用事業所や任意適用事業所の従業員は、条件を満たした時点で社会保険に加入しなければなりません。「社会保険は正社員が加入するもの」と思っている人もいるようですが、パート・アルバイトにも社会保険の加入義務があります。社会保険への加入は雇用形態ではなく、加入条件を満たすか満たさないかで決まることを覚えておきましょう。なお、社会保険制度については「社会保険料の計算はどのようにして行うの?正社員とパートとの違いも解説」のコラムでも解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
社会保険でパート・アルバイトも加入義務が生じるもの5つ
先述のとおり、パート・アルバイトであっても条件を満たした時点で社会保険への加入義務が生じます。ここでは、パート・アルバイトが加入しうる社会保険の種類について詳しく解説。5つの保険にはそれぞれどのような役割があるのか理解しておきましょう。
雇用保険
雇用保険とは、失業した際に再就職を促進する手当を給付する保険です。また、育児や介護により働けない場合の手当や職業訓練の受講を支援する手当なども雇用保険の保障にあたります。
パート・アルバイトの方のなかには「家族の扶養に入っているから、自分は社会保険に加入しなくても良い」と考える方もいるでしょう。しかし、雇用保険に関しては、扶養内で働く人であっても加入義務が生じます。なお、31日以上雇用される見込みがあり、1週間当たりの所定労働時間が20時間以上であることが雇用保険の加入条件です。
学生は雇用保険の加入義務がない場合もある
学生のパート・アルバイトの場合は雇用保険の加入義務がありません。ただし、通信制・定時制課程の学生、夜間学生、休学中の学生などは先述の条件を満たした時点で雇用保険に加入します。
労災保険
労災保険とは、労働者が就業中、もしくは通勤中に病気やけがなどに見舞われた際、必要な給付を行う保険です。雇用形態や労働時間に関わらず、すべての労働者に加入義務があります。
厚生年金
厚生年金は、老後の年金として給付されるものです。また、障害年金や遺族年金など年齢に関わらずに受け取れる年金もあります。なお、厚生年金は、20歳から60歳までのすべての国民に加入義務がある「国民年金」とは別物です。国民年金に加えて加入することになるため、将来受け取れる年金額が増えるメリットがあります。
健康保険
健康保険とは、病気やけが、出産などに必要な給付を行う保険です。医療費の自己負担額が原則3割なのは健康保険によるものと考えれば、その重要性がイメージしやすいでしょう。なお、健康保険を「国民健康保険」と混同する人も多いようですが、両者は別物です。国民健康保険は、住んでいる市区町村が保険者ですが、健康保険は企業が加入する健康保険団体が保険者になります。
介護保険
介護保険は、介護が必要な65歳以上の加入者や、特定の病気により介護が必要になった40歳以上の加入者に給付を行う保険です。40歳以上の労働者が加入対象で、保険料は健康保険とあわせて徴収されます。
自身で加入しなくても良い社会保険
パート・アルバイトとして働く人のなかには、家族の扶養に入っている方もいるでしょう。その場合、厚生年金、健康保険、介護保険には自身で加入する必要はありません。しかし、扶養を外れて働く場合は加入義務が生じます。次項で詳しく社会保険の加入条件を解説するので、働き方を調節する参考にしてください。
パート・アルバイトも社会保険の加入義務が生じる条件とは
パート・アルバイトの方で以下の条件にすべて該当する場合、社会保険の加入対象となります。
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・1ヶ月の所定賃金が8万8000円以上
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある
・学生でない(休学中や夜間学生は加入対象)
・従業員数が、51~500人の企業で働いている(※51人以上の勤め先は2024年10月から対象)
2016年からパート・アルバイトの社会保険の加入条件は改定が進んでいます。「厚生労働省の資料」を参考にしながら、自分が社会保険の加入対象者かどうかを確認してみましょう。特に従業員の数は会社によって違うため、条件に適するか否かを確認するのが大切です。支店に勤務するパート・アルバイトの方も、会社自体の従業員数で考える必要があります。
扶養の範囲内で働きたい場合は?
家族の扶養に入っているパート・アルバイトのなかには、扶養から外れたくない人もいるでしょう。扶養の範囲内で働くには「130万の壁」を意識する必要があります。「130万の壁」の「130万」とは、年収のこと。扶養内で働いている方でも、年収が130万円を超えると配偶者の扶養から外れ、自ら社会保険に加入する義務が生じるのです。そのため、どうしても扶養内で働きたいパート・アルバイトの方は、年収を130万円未満に抑えられるようシフトを調節しましょう。
パート・アルバイトが社会保険に加入する条件は「アルバイト先で保険証はいつもらえる?社会保険の加入条件も解説」でも紹介しています。参考にしてみてください。
参照元
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト
パート・アルバイトのみなさま
派遣社員も社会保険への加入義務が生じる
短時間勤務をしている人のなかには、雇用形態が派遣社員の方もいるでしょう。社会保険への加入義務は派遣社員にも適用されます。加入義務が発生する条件は、パート・アルバイトと同様です。なお、加入する社会保険は、派遣先企業ではなく派遣元企業のものになります。そのため、社会保険に入れるかどうかは、登録した派遣会社の福利厚生を確認しましょう。
パート・アルバイトが社会保険に加入するメリット
社会保険は、雇用や収入が不安定になりがちなパート・アルバイトこそ加入すべきといえます。ここでは、パートアルバイトの方が社会保険に加入するメリットを紹介するので、加入義務が生じた方は確認してみてください。
保険料が企業側と折半になる
社会保険に加入すれば、厚生年金と健康保険の保険料が企業側と折半になります。企業の社会保険に加入しない場合は、国民年金・国民健康保険に加入しなければなりません。国民年金・国民健康保険の保険料は全額自己負担になります。そのため、勤めている企業で社会保険に加入できるのであれば、そちらの方が自身で負担する保険料を抑えられる可能性があるのです。
万が一の保障が手厚い
万が一の事態が発生した際、より手厚い保障が受けられるのも社会保険に加入するメリットの一つです。たとえば、雇用保険に加入していれば、職を失った際に一定の失業給付金を受け取ることができます。また、健康保険は、国民健康保険よりも受け取れる手当の種類が多いのが特徴です。健康保険では給付される傷病手当金や出産手当金などは、国民健康保険では支給されない場合も。より安心して働きたい方は、社会保険に加入するのが賢明といえるでしょう。
将来もらえる年金額がアップする
先述のとおり、社会保険の一つである厚生年金に加入すると、将来受け取れる年金額がアップします。厚生年金は、全国民に加入義務がある国民年金に上乗せする形で加入する保険。そのため、将来もらえる年金は国民年金と厚生年金を足した額になるのです。また、厚生年金の加入期間が長ければ長いほど、将来受け取れる年金額も増えます。安定した老後を送りたい方は、早めに社会保険に加入する働き方を検討するのも良いでしょう。
社会保険に加入するメリットは「フリーターの保険料はいくら?加入すべき保険と支払い方法を徹底解説」でも紹介しています。社会保険に入った方が良いと感じた場合は、加入条件を満たしたうえで、企業側に手続きを進めてもらいましょう。
パート・アルバイトが社会保険に加入するデメリット
パート・アルバイトが社会保険に加入するデメリットは、あまり多くありません。社会保険料は給与から天引きされるため、手取りが減ることはデメリットの一つとして挙げられますが、保障の手厚さを考慮すればさほど大きな問題とはいえないでしょう。
加入義務を拒否することはできない
たとえ「どうしても給与の手取り額を減らしたくない」「万が一の保障は不要」といった理由があったとしても、社会保険の加入義務を拒否することはできません。従業員を社会保険に加入させなかった事業主は、法律違反として罰則が科せられます。また、従業員側は、保険料をさかのぼって請求される可能性もあるでしょう。トラブルを防ぐためにも、義務が生じた時点で社会保険の加入に同意するのが賢明です。
「社会保険には加入したいけど、手取りは減らしたくない」「今の職場の収入では、保険料を払うと働き損になってしまう」といった悩みを持つパート・アルバイトの方もいるでしょう。その場合は、より安定した高収入を得られる正社員にキャリアアップするのも一つの手です。
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。