泰阜村の大自然を活かし、子どもたちの心の豊かさや生きる力を育む活動を行う団体【特定非営利活動法人グリーンウッド自然体験教育センター】

泰阜村の大自然を活かし、子どもたちの心の豊かさや生きる力を育む活動を行う団体の画像

はじめに

「違いを豊かさへ」を基本理念に掲げる特定非営利活動法人グリーンウッド自然体験教育センター。自然体験教育活動の普及と発展を目指して、2001年4月に設立された団体です(任意団体として1986年に活動をスタート)。
ビジョンに掲げるのは、「あんじゃねぇな社会の実現」。「あんじゃねぇ」とは下伊那の方言で、「安心だ、大丈夫だ」を意味する言葉です。その言葉を同団体では「誰もが安心できる」と解釈し、ビジョンに使用しています。

本コラムでは、同団体の活動内容について詳しくご紹介していきます。

概要

特定非営利活動法人グリーンウッド自然体験教育センターは、青少年の健全育成および国民の豊かな余暇生活の構築に貢献することを目的とし、日本の豊かな自然環境を活用した自然体験教育活動を推進。次代の担い手である青少年が「心の豊かさ」や「生きる力」を育んでいけるようにとの思いを込めて、森・川をフィールドにしたさまざまな自然体験教育プログラムを展開しています。

同団体が拠点を置く長野県の南端にある泰阜村は、人口1434人の小さな山村です。その村において営まれた暮らしの文化を学びの土台とし、自然体験や生活体験といった多彩な体験活動を行い、持続可能な社会づくりを目指しています。

事業内容

特定非営利活動法人グリーンウッド自然体験教育センターが目指す、「誰もが安心できる社会を教育活動で創り上げる」こと。そこに、60代の創設メンバーから20代の若者まで、さまざまな経歴を持つスタッフが全国から集まりました。

同団体が行っている大枠となる事業は、次のとおりです。

小中学生対象事業

夏の信州こども山賊キャンプ

夏休み期間中に、小中学生の子どもたちが集い、泰阜村で自然体験キャンプを行います。
子どもたちが主役のためあえてプログラムを設けず、遊びはもちろんのこと食事のメニューなどすべて子どもたちが決定。川遊びや沢登りなど、夏季ならではの遊びも楽しんでいます。
自然の中で過ごすことは楽ではなくても、子どもたちが自ら作るからこそ最高に楽しいキャンプになるのです。

冬の信州こども山賊キャンプ

冬休み期間中に行う自然体験キャンプです。「こどもが主役」は夏のキャンプと同様に、冬の信州やすおかの大自然を舞台に落ち葉でそりすべりや雪が降れば雪遊び、もちつき・きなこづくり、お正月あそびなど、冬季ならではの里山体験をします。

いずれのキャンプも、同団体のスタッフをはじめ、指導者研修を修了した高校生・大学生・社会人のキャンプリーダーがサポートするため、子どもたちは安心して自然体験を楽しめます。

暮らしの学校だいだらぼっち

同事業は、特定非営利活動法人グリーンウッド自然体験教育センターが実践している「暮らしから学ぶねっこ教育」を最も体現させた教育活動です。
仲間の多様性を認め、支え合い、正解のない困難に対して多数決ではなく対話で決めていく。年上も年下も、子どもも大人も関係なく一票の権利を持ち、結果ではなく過程を重視する。これらの考え方のもと、結果ではなく過程を重視して子どもたちのだいだらぼっちでの一年間を支えています。

大きな家のなかには、薪ストーブのある台所、大広間、子供部屋などが配置されています。屋内のどこにいても、仲間の存在を感じられる作りです。
平日の日中は学校に通い、帰宅後は子どもたちがみんなでお風呂を焚いたり夕飯を作ったり宿題をしたりと、いろいろな過ごし方をします。休日はまき作業や畑仕事をする、登山や沢登りなど自然の遊びを満喫するなど、過ごし方は子どもたちで話し合って決めます。
学年は、小学4年生から中学3年生まで。東京や愛知方面を中心に、九州地方や海外から参加する子どももいるとのことです。

青年対象事業

キャンプボランティア(相談員)

同団体が主催している山賊キャンプにおいて、裏方をはじめとするキャンプの運営に携わるボランティアスタッフを募っています。子どもたちにとってキャンプでの体験が悲しいものにならないように、キャンプボランティア一同「今の自分の行動はこどもの安全を守れるのか」を考えながら行動しています。
子どもたちと同じ目線で過ごし、仲間として良き相談相手となることも、ボランティアの役割の一部。ボランティアが自ら何事も全力で取り組み、チャレンジする後ろ姿を子どもたちに見せることによって、子どもたちとの信頼関係が生まれるのです。
同事業は、子どもたちを支えるボランティア自身の学びにもつながっています。

長期・短期インターンシップ

長期インターンシップは、18歳から29歳までの方が対象です。インターン生として一年間を通して同団体の「暮らしから学ぶねっこ教育」「教育を通した地域づくり」の学びの場づくりに参画します。

インターン生も、同団体のスタッフと同じく「相談員」として暮らします。教育を仕事にしたい方や、地域づくりや田舎暮らしに取り組みたい方などに適した取り組みです。

NPO短期インターンシップは、原則として大学生・大学院生・専門学校生、短期大学生が対象です。10日から1ヶ月の間、同団体の事業に直接携わります。

一般・社会人・団体企業対象事業

子どもたちをのびのびと遊ばせるためには、自然のなかや野外活動で遭遇し得るたくさんの危険を知り、リスクマネジメントを考える必要があります。
そこで、同団体では、「すべての危険を取り除くのではなく望ましい状態を実現していくこと」「参加者自身が自分の身は自分で守れる仕組みを作ること」「川のリスクマネジメントを土台にした、迷わないリスクマネジメント」を徹底。野外指導者向けに、野外活動リスクマネジメント講座やマネージャー向けリスクマネジメント講座など、さまざまな講座を行い、子どもたちの可能性を最大限に引き出すための土台となる安全を守っています。

村内対象事業

特定非営利活動法人グリーンウッド自然体験教育センターの拠点である泰阜村は、村丸ごとが子どもを育てるフィールドです。
泰阜保育園の年長児を対象とした「やすおか探検隊あんじゃねっこ」は、保育園職員の方と協働で企画・運営しています。
年に5回ほどの森遊びや川遊び、登山、染め物など、さまざまな活動を実施。子どもたちの原体験を育む、村内自然体験活動です。

このほか、泰阜小学校の児童を対象とした「あんじゃね学校」や放課後児童クラブ「いってきました」など、多彩な活動を行っています。
放課後児童クラブ「いってきました」は、だいだらぼっち・山賊キャンプとならぶ同団体の重要な事業の一つです。泰阜村からの委託事業として2015年にスタートし、2024年10月時点で泰阜村小学校児童の8割が通っています。
決められたプログラムはなく、子どもたちがやりたいことを決定して自主的に活動を行っていることが特徴。火や刃物も日常的に使用しており、週末には子どもたち自身が企画したキャンプを実施することもあります。

詳細情報

特定非営利活動法人グリーンウッド自然体験教育センター

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