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フリーターも年金の知識は必要!制度や受給要件を解説
更新日
この記事のまとめ
- フリーターとは若年者のうち、アルバイトまたはパートとして働いている人のこと
- 年金制度は働いている現役世代が納める保険料によって高齢者の生活を支える仕組み
- 公的年金制度は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっている
- 会社員や公務員は国民年金と厚生年金に加入することになる
- フリーターも条件を満たすことで厚生年金に加入できる
- 保険料の納付が難しいときは、免除や猶予制度を活用しよう
- 経済的な安定を望むなら、年齢が若いうちに正社員を目指すのがおすすめ
「フリーターも年金を払う必要があるの?」「収入が低く保険料の支払いがきついときはどうすれば良い?」といった疑問をもつこともあるでしょう。当コラムでは、フリーターが加入する年金の種類や、支払いを免除・猶予する方法、保険料の月々の金額などについて説明しています。また、フリーランスのリスクや正社員のメリットについても解説していますので、将来を見据え、働き方を検討中の方はぜひ参考にしてください。
フリーターとは
厚生労働省は「主な用語の定義」のなかで、 「フリーターとは、15~34歳の若年者(学生及び主婦を除く)のうち、勤め先における呼称がアルバイト又はパートである者(これまでアルバイト・パートを続けてきた者で無業の者を含む。)をいう。」と定めています。アルバイトやパートで生計を立てている、もしくは働く意志がある人のことを指すと考えると分かりやすいでしょう。
ニートと混合されがちなフリーターですが、働いている、もしくは働く意志があるという点で大きく異なります。両者の違いを詳しく知りたい方は、「ニートとフリーターの違いとは?就職に向けてできることと行動を起こすコツ」をご確認ください。
参照元
厚生労働省
―平成16年雇用管理調査結果の概況―主な用語の定義
年金の仕組み
日本では、安心して老後を暮らせるように年金制度が確立されています。働き盛りの現役世代が納める保険料によって現在の高齢者の生活を支える、そして将来は子ども世代に支えてもらうという、世代間扶養の仕組み(賦課方式)によって成り立っているのが特徴。原則として、保険料を納めなければ年金を受け取ることはできません。また、老後に受け取れる年金の額は、加入期間やそれまでに支払った保険料の額によって異なります。なお、国で加入が義務付けられている年金は「公的年金」と呼ばれ、「国民年金」と「厚生年金」の2種類が存在します。
国民年金
日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人に加入義務がある年金。「老後に支給されるもの」というイメージが強い国民年金ですが、老後に支給されるのは「老齢基礎年金」と呼ばれる給付金です。国民年金にはほかにも、病気や怪我で障がい者となった時に受け取れる「障がい基礎年金」、配偶者が亡くなった時に受け取れる「遺族基礎年金」があります。
国民年金は、被保険者の状況によって以下のように3つに種類が分かれています。
第1号被保険者
自営業者、学生、フリーター、無職の人などが対象です。保険料の納付は個人で行うことになります。納付方法には、日本年金機構(年金事務所)から郵送される納付書(国民年金保険料納付案内書)に記載された金額を確認し、銀行やコンビニで支払う方法があります。また、口座から毎月自動的に保険料が支払われる口座振替や、クレジットカードによる納付も可能です。
第2号被保険者
会社員など、厚生年金保険の適用を受けている事業所に勤務する人が対象。保険料は給与から天引きされるのが一般的です。
第3号被保険者
第2号被保険者の配偶者のうち、20歳以上60歳未満の人。ただし、年間収入が一定額以上あり、健康保険の扶養となれない人は第3号被保険者とはならず、第1号被保険者に該当します。
日本は「国民皆年金制」を採用している
「国民皆年金制」という制度により、原則として20歳以上60歳未満のすべての国民は公的年金に加入する必要があります。フリーターも国民年金の支払いをする義務があることを覚えておきましょう。
厚生年金
会社勤めのサラリーマンや公務員が加入する厚生年金。企業に属さない無職の人や自営業者は加入対象外です。厚生年金の加入者は自動的に国民年金にも加入することになります。その仕組みは、国民年金を「1階」部分、厚生年金を「2階」部分として、「2階建て」と呼ばれることも。厚生年金加入者は、現役時代に厚生年金と国民年金の両方の保険料を支払う必要がありますが、受給時に国民年金と厚生年金の両方を受け取れるのがメリットです。
厚生年金の保険料は月給に対して定率となっており、個人によって納付額が異なります。また、厚生年金の保険料は会社がその半分を負担するのが特徴です。
厚生年金の支給開始年齢は、原則として国民年金と同じ65歳からとされています。ただし、希望があれば60歳から65歳までのあいだに繰り上げて受給することも可能です。厚生年金の加入を検討中の方は「厚生年金の加入条件とは?手続きの方法やメリットを詳しく解説!」のコラムが参考になりますので、ご覧ください。
厚生年金はフリーターも加入できる?
2024年10月から、以下の要件を満たしていれば厚生年金の加入対象となります。
- ・被保険者数が51人以上の事業所
- ・週の所定労働時間が20時間以上
- ・月給88,000円以上(年約106万円以上)
- ・2ヶ月を超える雇用見込みがある
- ・学生でない
これまでは被保険者数が101人以上の企業等を対象としていましたが、適用範囲が広がることで厚生年金に加入できるフリーターの数も増えていくと考えられます。
フリーターが年金を払えないときはどうすれば良い?
すべての国民が納める義務のある年金保険料ですが、フリーターは経済的な事情から支払いが難しい場合もあるでしょう。以下に、年金の支払いが難しいときに利用したい制度を紹介しています。
国民年金保険料免除制度
本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月~6月までに申請する場合は前々年所得)が基準を下回り、経済的に国民年金保険料を納めることが難しいときに適用される制度。免除額は「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4段階で、前年の所得額によって適用される種類が決まります。保険料が免除された期間は受給資格を得るのに必要な期間(受給資格期間)としてカウントされますが、追納しない場合は将来受け取れる年金額は少なくなります。
納付猶予制度
20歳から50歳の人を対象として、本人もしくは配偶者の前年の所得(1月~6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額を下回っている場合に保険料が猶予される制度です。免除制度と同様、猶予された期間は年金を受け取るのに必要な受給資格期間にカウントされますが、こちらも追納しない場合は将来の年金額が少なくなります。
国民年金保険料免除・納付猶予制度の手続きについて
日本年金機構のWebサイトからダウンロードできる申請用紙に必要事項を記入し、住民登録をしている市(区)役所・町役場に提出します。添付書類として、年金手帳もしくは基礎年金番号通知書が必要です。
保険料は追納(後払い)できる
免除・猶予から10年以内であれば、保険料を追納できます。追納すると年金の受給額が増えるため、余裕ができたら年金事務所で手続きすると良いでしょう。免除・猶予を受けた期間から3年目以降に追納する場合は、年数に応じた加算額が追加されるのでご注意ください。
毎月払いという方法もある
保険料の支払い方法には、1~2年分や6ヶ月分を前納(前払い)するやり方もありますが、一度に多額の出費を避けたい場合は、ひと月ごとに納めることも可能です。ただし、まとめて前納すると割引が適用されるので、その点も考慮した上で支払い方を決めましょう。
日本年金機構の「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」によると、国民年金に加入する第1号被保険者のひと月の保険料は、16,980円です(2024年4月現在)。口座振替で前納した場合の割引額は以下のようになります。
- ・2年前納の納付額:397,290円 (割引額は16,590円)
- ・1年前納の納付額:199,490円(割引額は4,270円)
- ・6ヶ月前納の納付額:100,720円(割引額は1,160円)
年金保険料免除・猶予の手続きをせずに未払いとなった場合、受給資格期間を満たせず、将来年金を受け取れない可能性が出てきます。現時点での支払いが難しい場合は、住所地の市町村窓口に相談し、必要な手続きを行ってください。
参照元
日本年金機構
国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり
年金を支払わないとどうなる?
年金を支払わなかった場合のリスクとしては、以下のことが考えられます。
督促がくる
納付期限までに保険料の支払いがない場合、督促状が郵送されてきます。督促状に記載された期限までに納付がなければ財産を差し押えられたり、延滞金が発生したりすることもあるので注意が必要です。
支払った保険料が無駄になる
老齢基礎年金を受け取るには10年以上の納付期間が必要です。そのため、たとえ9年納付していたとしても、納付の対象外となってしまいます。「保険料を支払っていたが途中でやめた」という人は、現段階で受給資格があるか確認した方が良いでしょう。
納付期限から2年以内であれば保険料を納付できる
保険料の免除・猶予の申請をせずに支払いをしていない場合でも、過去2年以内の保険料は後納が可能です。追納することで納付期間が10年を超える場合は特に納付を検討しましょう。
障害年金が受け取れない
障害年金とは、怪我や病気で生活や仕事に制限が出るようになった場合に受け取れる年金のこと。「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、国民年金の加入者には障害基礎年金が適用されます。
年金というと高齢になってから受給するイメージが強いですが、障害年金は現役世代であっても受け取れます。ただ、一定の納付条件を満たしていないと受給できないため、保険料が未払いの人は注意が必要です。
障害基礎年金の受給条件
日本年金機構の「障害年金」によれば、障害基礎年金の受給要件は以下のように定められています。
- (1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- (2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
参照元
日本年金機構
障害年金
フリーターの将来のリスクと正社員のメリット
フリーターの中には、年金の支払い額を負担に感じるケースもあるでしょう。このままフリーターを続けることに不安を感じたときこそ、一歩踏み出すチャンスです。フリーターとして働き続けることのリスクと正社員のメリットを確認してみましょう。
フリーターのリスク
フリーターのリスクとしては、以下の点が挙げられます。
老後資金が足りなくなる
たとえ国民年金をしっかり納めていたとしても、老後の生活費を国民年金だけで補うのは厳しいものがあります。「日本年金機構」によれば、国民年金保険料を満額納めた場合の老年年金の月の受給額(月)は、68,000円(2024年度)。年金だけで生活するのは難しいことが容易に想像できます。また、保険料の納付額が少ない場合、その分の受給額が減ることも考慮する必要があるでしょう。
参照元
日本年金機構
令和6年4月分からの年金額等について
今と同じ生活が続けられるか分からない
時給で働くフリーターは、シフトを入れれば入れるだけ収入を増やすことができます。体力のある若いころは、労働時間を増やして収入を上げるという考え方でも良いでしょう。しかし、30代、40代と年齢を重ねるにつれ、時給での働き方で収入を維持するのは難しくなってきます。特に肉体労働系の仕事は、年齢が上がるごとにきつくなる可能性が高いです。若い人材を採用したいと考える職場は多いため、将来的にはアルバイト先の選択肢が減っていく恐れもあります。
また、プライベートにも変化はつきもの。現在親と同居している方は、生活費を抑えて貯蓄できているかもしれませんが、その生活がいつまでも続くとは限りません。親が体調不良で退職したり病気になったりすることも十分考えられます。将来、起こりうる可能性についても意識する必要があるでしょう。
フリーターを続けることのリスクについては、「フリーターにはデメリットが多い!社会保険や税金について正社員と比較」でも解説しているので、あわせてご覧ください。
正社員のメリット
正社員のメリットとしては、以下の点があります。
確実に厚生年金に加入できる
正社員は社会保障が適用される事業所に勤めた場合、確実に厚生年金に加入できます。厚生年金は保険料を会社が折半してくれるため、実質的な負担は半額で済むのもメリットです。国民年金に加えて、将来厚生年金が受給できる安心感は大きいでしょう。
フリーターと比べて高収入
正社員はフリーターと比べて給与水準が高く、年齢や実績による昇給も期待できます。各種手当や成果に応じたインセンティブが支払われることもあるでしょう。会社によっては賞与や退職金があり、経済面ではフリーターより安定しているといえます。
人生設計がしやすい
正社員は基本的に無期雇用契約のため、将来の収入が予測でき、結婚や住宅購入といった人生計画を立てやすいのもメリット。安定した収入があるためクレジットカードの審査に通りやすく、車や住宅のローンも組みやすい傾向にあります。
自己成長できる
正社員はアルバイトに比べて任される仕事が多く、仕事を通してより高度なスキルが身につきます。経験を積めば裁量の大きな仕事にチャレンジでき、「社会に貢献している」「成長している」というやりがいや実感を得られるでしょう。
転職に有利
正社員は経験とともにキャリアアップできるため、転職の際も前職で身につけたスキルや実績が武器になります。アルバイト経験は職歴として扱われない場合もありますが、正社員の職歴はそれだけで「責任のある仕事をこなしてきた人材」という評価につながりやすいです。
年金に限らず、フリーター生活による経済的な悩みを抱えている方は、今からでも正社員になることをおすすめします。正社員は厚生年金に加入できることはもちろん、毎月の収入が安定する、福利厚生が利用できるなど、社会保険以外の面も充実しています。フリーターをしていると「将来も仕事があるのか分からない」という不安を覚えてしまうときがあるかもしれませんが、正社員は終身雇用を前提とする会社が多く、精神的な安心感も得られるでしょう。
「アルバイトしか経験がないのに今さら…」と思うかもしれませんが、年齢が若いほどチャンスはあります。「未経験でも若手人材が欲しい」と考える企業は多いので、将来を変えたいなら1日も早く行動を起こしましょう。
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こんなときどうする?フリーターの年金に関するお悩みQ&A
フリーターも、20歳以上であれば国民年金の支払い義務が生じます。以下に、想定される年金に関する疑問と回答を示したので、解決の参考にしてください。
フリーターが年金以外に支払う税金や保険はありますか?
所得税と住民税、健康保険があります。所得税は年収103万円を超える人、住民税は年収100万円前後の人に支払いが生じるもの。また、日本は「国民皆保険制度」を導入しているため、家族の扶養に入っていない場合は、基本的に健康保険料を支払うことになります。詳しくは「フリーターの保険料はいくら?加入すべき保険と支払い方法を徹底解説」でご確認ください。
具体的な年金の支払額を知りたい
2024年度の国民年金の保険料は月額16,980円。厚生年金は給与額や扶養家族数によって異なります。「フリーターの年金受取額はいくら?国民年金と厚生年金について解説」によると、厚生年金のほうが労働者の負担額は大きいですが、その分リターンも大きいのが特徴。さらに、保険料は会社と折半するため、実質的には厚生年金のほうが低負担といえます。
フリーターが性に合っていれば、就職しなくてもいいですか?
将来を考えるなら正社員を目指したほうが良いといえます。詳しくは「フリーターのまま老後を迎える4つのリスクとは?安心できる対処法も解説」で触れていますが、年齢を重ねた「高齢フリーター」は雇用が不安定になり、十分な生活を送れなくなることも。安定した生活がしたい、結婚を考えているなど、将来を見据えるなら、早いうちに正社員になることをおすすめします。一人の就職活動に不安があるという方は「ハタラクティブ」にお気軽にご相談ください。
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。