ヤングケアラーおよび若者ケアラーが自分らしく生活できる社会づくりに尽力【特定非営利活動法人ふうせんの会】

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はじめに

特定非営利活動法人ふうせんの会は、ヤングケアラー・若者ケアラーが安心して交流できる場の運営・相談支援などを行っている団体です。2019年12月に任意団体とて活動をスタート。2022年2月にNPO法人の設立に至りました。

2016年に高校生を対象に実施したヤングケアラーの実態調査によると、約20人に1人が家族のケアをしていると回答。この調査は日本初でしたが、当時は一部のマスコミが取り上げてくれたもののほぼ反応がなく、周知・支援がなかなか進みませんでした。そのようななか、2019年に元ヤングケアラー・若者ケアラー3名と研究者1名で「集まれる居場所を作り、集まることによって存在をアピールしよう」という思いでふうせんの会を発足しました。

本記事では、同団体の活動内容について詳しくご紹介していきます。

団体概要

ふうせんの会では、ヤングケアラー・若者ケアラーが夢を持ち、自分らしく生活できる社会づくりを目指しています。

自分の時間をもつことが難しく、常に家族のことが頭から離れない状況にあるヤングケアラー・若者ケアラー。家庭の事情があっても周囲に理解されないことがあり、誰にも話せず悩んでいる方たちも少なくありません。

同団体では、さまざまな事業を通じてヤングケアラー・若者ケアラーが安心できる居場所をつくり、一人にしないための活動を行っています。同団体が掲げるビジョンとミッションは以下のとおりです。

ビジョン

ヤングケアラー・若者ケアラーが「いきる」社会をつくる

ミッション

ヤングケアラー・若者ケアラーに安心・つながり・子ども(若者)らしい時間を提供する。

ヤングケアラー・若者ケアラーが自分を知り、未来を語り、夢を持ち、自分らしく生きるための選択肢を提案する。

社会の周知・啓発を図り、ヤングケアラー・若者ケアラーとその家族のための支援体制を提起する。

ヤングケアラー・若者ケアラー

ヤングケアラーとは、家事や介護、子どもの世話、通訳、感情的サポートなどの家族のケアを担っている子どもたちのことをいいます。ケアが必要な家族の状況は、「病気や障がいがある」、「高齢である」、「第一言語が日本語ではない」など。子どもがケアしている内容も、家族の身体的な介護だけでなく、家事やきょうだいの世話、見守り、精神的ケアなど幅広い内容です。ヤングケアラーは一般的に18歳未満とされており、若者ケアラーは家族のケアを担う18歳以上(20代・30代)の方たちを指す言葉です。

若者であれば家族のケアを担っていても平気というわけではなく、進学や就職、結婚などのライフスタイルに大きな変化が起こる時期にケアが重なることもあります。そうなると、人生に大きな影響を及ぼしてしまいます。

具体的な家族のケアには、次のような例があります。

・高齢の家族の話し相手になっている

・日常生活の介護や手伝いをしている

・外出の手伝いをしている

・精神的に不安定な親を支え、愚痴を聞いている

・病院に付き添っている

・家事をしている

・年下のきょうだいの面倒を見ている

・障がいや病気のあるきょうだいの見守りやお世話をしている

・家族の通訳をしている など

活動内容

活動内容の画像

ヤングケアラー同士で交流する・つながる

つどい

現役および元ヤングケアラー・若者ケアラーが集まる場であり、前半と後半で異なる活動を行っています。前半は、一人のヤングケアラーが自身の経験や思いを話すリレートークを、後半は小グループでおしゃべりを楽しみます。

開催日時は、原則として奇数月の第二日曜日の午後。場所は、枚方市にある大阪歯科大学・大阪市内のいずれかで開催しています。オンライン参加も可能です。

ふうせんカフェ

Zoomを活用し、オンラインで行うおしゃべり会です。少人数の現役または元ヤングケアラー・若者ケアラーが集い、2名ほどの同団体運営メンバーとともにおしゃべりを行います。

「学生ヤングケアラー」「元ヤングケアラーで現在は支援職の人」など、回ごとにテーマを決めて実施。自分に似た立場の方と気軽に話せる場を提供しています。

大阪市中高生オンラインサロン

「家事の手伝いや幼いきょうだい、病気の家族の世話をしている」「祖母を見守っている」など、家族の世話をしている中高生のヤングケアラーに向けたオンラインサロンです。「ひとりじゃない」と感じられる居場所であり、交流の場にもなっています。

同サロンは、原則として毎月一回、Zoomによるオンラインで開催しています。参加費は無料。本名を伏せてニックネームでの参加、画面オフの参加も可能です。途中の入退室もできるため、気軽に参加できます。

悩み、話を聞く

大阪市ヤングケアラー相談支援事業

大阪市内の、ヤングケアラーやその可能性がある方を対象に、元ヤングケアラーや社会福祉士の専門職などの専門職が、秘密厳守で相談を受け付けています。

たとえば、「学校から帰宅後に落ち込んでいる親の話を夜中まで聞くことがある」「家族の薬の飲み忘れがないように確認しているけど、飲みわすれたときの不安が重なり辛くなっている」など、自身がヤングケアラーなのかは分からないけどモヤモヤした気持ちがある方も頼ることができる相談支援事業です。

相談を受け、気持ちを受け止め、必要に応じて介護保険制度や障がい福祉、学習支援といった制度やサービス、手続き方法などをご紹介。書類の取り寄せや記入、窓口への同行など、一人での対応が難しい場合もサポートしています。
教員や専門職の方からの相談にも対応しています。

その他の事業

研修動画貸与事業

ヤングケアラーの当事者の会である同団体と、フクシのみらいデザイン研究所が協働し、ヤングケアラーに関する研修動画を作成しています。2023年3月時点で37団体の研修で利用され、受講者数は推計3万人以上。動画の概要は以下のとおりです。

基礎編:動画の長さ約20分

ヤングケアラーの国内外の最新のデータに基づき、概要解説や現状、課題点などをまとめた動画です。ヤングケアラー研究の第一人者でもある大阪公立大学の濱島教授が講師を務めています。

体験談編:動画の長さ約25分

ヤングケアラーの当事者による、体験談のスピーチ動画です。スライド等を使用し、ヤングケアラー当事者の体験談や体験から得たこと、周囲の支援者や社会に対して伝えたいこと、当事者と同じヤングケアラーに対するメッセージなどをまとめています。

体験談は、研修受講対象者別に6パターンを用意。体験談編のまとめとして、大阪公立大学の濱島教授による個別ケースに対する解説が付属されています。

まとめ編:大阪公立大学の濱島教授により、直近の支援者としての具体的なアプローチ方法や未来への展望などを解説している研修全体のまとめです。

講師派遣事業

ヤングケアラーについての啓発を目的とした事業です。専門職やケア経験のある同団体の運営メンバーを、学校や各種研修などに講師として派遣。これまでに、教員や福祉関係者、民生委員などさまざまな方を対象に行った研修への派遣実績があります。

アドバイザー事業

ヤングケアラー支援を考える企業の事業や行政施策について、専門家や当事者がアドバイザーとして協力しています。

詳細情報

特定非営利活動法人ふうせんの会

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