助ける側の人を増やし、困っている人を支援。貧困の一次予防に取り組む団体【NPO法人あいだ】

はじめに

NPO法人あいだは、社会の貧困問題や若者の自立に焦点を当て、「心は人と人のあいだにある」をモットーに活動を行っている団体です。
本記事では、同団体の活動内容について詳しくご紹介していきます。

概要

NPO法人あいだは、自立援助ホームやこども食堂の運営など、幅広い角度から子どもや若者の貧困解消や自立に向けた活動を行っています。
同団体が活動を行うにあたって大切にしているのは、次の4つです。

1.こころが、人と人の間にあること
愛も貧困も人と人との間に起こることだからこそ、人は愛も貧困も生み出すことができ、消し去ることもできると考えています。

2.貧富の差と問題解決能力を分けること
貧富の差から貧困問題を解決しようとしても、経済力が関係し始めると解決が難しくなります。そのため、同団体では「貧富の差」と「困りごとを解決できるか」は別々のレイヤーとして捉えています。

3.人との関わりのハードルを下げること
人との関わりの欠如が貧困問題の本質であり、人と会うことのハードルを下げることによって貧困対策が可能になると認識しています。

4.困る人が増えるより速く、助ける人を増やしたい
貧困対策は、困っている人を減らすよりも、困っていない人が助ける側に回る方が効率的だと考えています。貧困の一次予防を行い、無理なく助ける側に回れる取り組みを行っています。

活動内容

自立援助ホーム シェルター「すだちの木」

「すだちの木」の支援対象は、原則15歳から20歳までの若者です。何らかの理由で家庭での生活が困難な若者を児童相談所経由で受け入れ、仕事に就き自立するまでの基礎を育めるように支援しています。
「すだちの木」は、単なる寝食を提供する場ではなく、「失敗できるチャンス」を提供する場です。自立したあとも、大人がフォローできる間にたくさん失敗をしていいという考えを大切にしています。

中高生への学習支援フリースクール「てらこ」

高校受験に向けて勉強したい、学校の授業についていきたい。そんな思いを持つ中高生のための学習支援フリースクールです。NPO法人あいだのスタッフや大学生ボランティアなどが中心となり、学習支援を行います。
参加費無料で、毎週水曜日に質疑応答型にて開催されています。

移動式子ども食堂「あい♡だいな〜」

埼玉県熊谷市で始まった、商業キッチンカースタイルのこども食堂です。NPO法人あいだの副代表を務める奥野大地氏が、より多くの子どもたちへ物理的に支援を届けるために始めた取り組みです。
子どもは中学生まで無料、妊婦さんも無料で利用可能。大人は自分の分を購入することによって、未来の子どものための支援ができるという仕組みです。
こども食堂の運営に必要な地域の旗振り役・調理および食事提供役・場所提供役・資金調達役の4つすべての役割を主催者が一手に引き受けようとすると、運営が不安定になるとのこと。そこで、「あい♡だいな～」ではこれらの役割をそれぞれのプロで分業し、運営の継続を可能にしています。

食事の問題だけではない、現代の困りごと。100円均一などでモノは安く手に入り、義務教育も受けられるなかで、貧困の形が「モノがないこと」から「機会がないこと」へと変わってきているそうです。そして、さまざまな機会に触れる経験がないまま大人になると、職業の選択肢が持てず、貧困を繰り返してしまいます。
だからこそ、同団体では、ただ食事を提供するだけでなくプロが作った料理としっかりとしたサービスを子どもたちに提供する機会を整えたいと考えて、各工程を分業化した移動式こども食堂「あい♡だいな～」の運営を実現しました。

家では食べられないメニューを提供することで、子どもたちは外食という機会を通じてお客様体験を得られます。そのためには、料理のことは提携する飲食店に任せ、同団体は地域の利用者と向き合い課題を拾い上げる。この分業によって、待っているだけでは拾えなかった声をキャッチすることに集中できるのだといいます。

この活動は全国8ヶ所にて行われています。今後も全国にさらに広がっていくことを願い、活動を続けています。

詳細情報

NPO法人あいだ