はじめに

北海道小樽市には、趣ある古民家が多数現存しています。しかし持ち主や改装業者の手に余り、空き家となってしまっている民家も増えているのが現状です。
古き良き古民家や小樽の街並みを、大事にしてくれる方々の手で残していってほしい…
そんな思いのもと誕生したのが、本コラムで紹介するNPO法人小樽民家再生プロジェクトです。

概要

小樽民家再生プロジェクトは、小樽で空き家となった古民家を活かす活動をしているNPO法人です。
小樽の空き家となった古民家の多くは規模が小さいため改装による利益が少なく、不動産業者や改築業者に敬遠されがちです。このように一般業者に敬遠され、所有者個人の手にも余る古民家が、同団体の活動フィールドです。
小樽の空き家となった古民家は、磨けば光る宝物です。この古民家を何とか残し、小樽の街並みを大切にしてくれる方々に再利用してもらうべく活動しています。
同団体の理想は、「良質な建物に、良質な人を、良質な起業にて支援し、ネットワークをつくる」こと。行政でできないことを民間でカバーする、官民協働モデルの構築に努めています。

活動内容

小樽民家再生プロジェクト

古民家の所有者と活用希望者を繋ぐ、「運動マッチング」を軸に活動しています。不動産業や宿泊業、改修業などの専門家である理事が、小樽の発展に繋がるか、活用希望者の熱意、物件の履歴などを考慮し、マッチングを成立させています。

相談会

小樽市広報やホームページ、SNSなどの媒体を通して「古民家を売りたい・貸したい供給者」や「古民家を買いたい・借りたい需要者」に呼びかけ、無料相談会を開催しています。

交流会

相談会に訪れた方々や関係者に声をかけ、毎年交流会を開催しています。古民家活用者の孤立防止や小樽での生活・業務相談、各界各層との交流などが目的です。

催事

公的機関や協賛各社の協力を得て、「小樽歴史的建造物再生パネル展」や「小樽移住・起業促進ハンドブック」「小樽石蔵シンポジウム」などの公益事業も展開しています。この社会的事業が、歴史的建造物や古民家の価値を見直すきっかけづくりになっています。

移住者の声

ここでは、古民家を再利用するべく移住した方の声を抜粋して紹介します。

金継工房店主　Mさん

私が小樽で出会った物件は、昭和8年築の小さな木造2階建ての古民家です。小樽民家再生プロジェクトのWebサイトでその存在を知り、神奈川から小樽への移住を決意しました。私は古物の販売と陶磁器の修繕を生業としており、古民家は店舗兼アトリエとして活用予定です。
小樽に移住して一番嬉しかったことは、古民家の活用によって、地元の方々に良い関心を持ってもらえたこと。そしてその出会いがきっかけで、金継教室のお話をいただいたことです。民家の修復中も、たくさんの方に声をかけていただきました。

雑貨店店主　Oさん

昭和38年築の建物で、2007年から雑貨店を経営しています。元々は茶や紙、文房具などを扱う大きな問屋さんだった場所で、屋根の両端には鍋や魚の彫刻が施された立派なうだつが上がっています。
店を始める際は、内部を1ヶ月程ひたすら掃除しました。床の木目や色の壁、ガラスはレトロで趣があり、改装はせずにそのまま使っています。
観光客の多い賑やかな通りとは離れているものの、近所の子どもたちが学校帰りにお店を覗いて挨拶をしてくれたり…そんなほっこりする空気が小樽には流れています。

詳細情報

NPO法人小樽民家再生プロジェクト

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