はじめに

自然との触れ合いは、子どもたちの健やかな成長と豊かな感性の醸成に欠かせない要素です。しかしデジタル化が進む現代社会では、子どもたちが自然の持つ力や魅力を感じる機会が失われつつあります。
より多くの人たちに自然体験を広めたい…そんな想いのもと活動しているのが、本コラムで紹介するNPO法人自然体験活動推進協議会です。

概要

NPO法人自然体験活動推進協議会（CONE）は、自然体験や環境教育に取り組む団体で構成されたネットワーク組織です。子どもや青少年をはじめとした多くの人々が自然体験活動の恩恵を受けられるよう、安全かつ質の高い自然体験活動の普及に努めています。
同団体の活動は、1999年に文部省などの支援を受けて始まった「自然体験活動指導者研究会」に端を発します。2000年に「自然体験活動推進協議会」を設立し、2002年にはNPO法人化しました。『自然体験活動憲章』に基づき、自然体験活動の普及および振興に寄与している団体です。

活動内容

自然体験活動における安全管理者の養成

かつては身近だった刃物や火などの取り扱いも、現代では「危険」として排除される傾向にあり、結果として子どもたちの自然体験活動にも影響を及ぼしています。しかし、大規模な自然災害が発生した際など、冷静な判断と適切な行動が求められる状況下では、幼少期からの自然体験を通して培われた「知識・技能・心構え」が大きな助けとなります。

そこで同団体は安全な自然体験活動の実現のため、リスクマネジメントを体系化した安全管理者制度を用意。この制度を通して、指導者たちはリスクの洗い出しや危機管理、安全教育といった専門知識を習得し、より安全な活動運営に役立てています。参加者にとっての安全確保だけでなく、自然体験活動を提供する団体の信頼性向上にもつながっている活動です。

自然体験活動指導者の養成（CONEトレーナー、NEAL指導者）

同団体は、自然体験活動の推進・普及を率先して行う指導者「CONEトレーナー」の養成を行っています。「養成会」に参加し、その後OJTにて必要なカリキュラムを履修して「認定会」に合格すると、CONEトレーナーとして認定されます。

自然体験活動指導者「NEAL」は、キャンプや登山など多様な自然体験活動において、専門知識と技術を用いて活動の普及・振興に貢献する指導者の資格です。資格を取得するには、全国各地の養成団体が実施する共通カリキュラムの養成講習を受講・修了する必要があります。指導者への入口であるリーダー資格取得後も、更に続く資格（インストラクター、コーディネーター）取得のための講習を受講する中で情報交換の場に参加し、全国規模のネットワーク構築の一員に加わることが期待されています。官民一体となって設立された制度で、同団体はその事務局を担っています。

専門研修会

自然体験活動に関して、特定のテーマに基づいた専門性の高い研修会を開催しています。これまでに、「子どものセーフガーディング」や「判例から学ぶリスクマネジメント」などをテーマにした研修が実施されました。現場で直面する課題や実務に直結する内容を深く学べるとして、好評を博しています。

詳細情報

NPO法人自然体験活動推進協議会