はじめに

千葉県房総半島嶺岡の山並みのふもと、面積約3.2haの急傾斜地に階段のように連なる大小375枚の天水が頼りの田んぼ。この「大山千枚田」は千葉県指定名勝の一つであり、周囲の里山・集落も含めて、後世に引き継がれるべき貴重な文化的景観です。
この景観を棚田オーナー制度の運営によって保全しているのが、NPO法人 大山千枚田保存会です。

コラムでは、同団体の活動内容についてご紹介していきます。

概要

農業従事者の高齢化により、一時荒廃が進んでいた大山千枚田。しかし、棚田オーナー制度を導入したことで、耕作放棄地は近年減少しています。
さらに、都市住民と地域の交流を積極的に進めた結果、農地の維持管理にも成功。現在は棚田オーナー制度や棚田トラスト制度をはじめ、数々の体験活動も展開しています。

支援内容／活動内容

オーナー、トラスト制度の運営

酒づくりオーナー制度

自ら田植え、草刈り、稲刈りを行い収穫したお米を使用して、オリジナル純米酒を作る制度です。酒づくりの工程は酒造会社が行います。酒蔵見学会等の体験もあります

棚田オーナー制度

一区画の棚田を借りて、オーナー自らが田植えから草刈り脱穀などの一連の稲作を行う作業参加・交流型の制度です。
収穫したお米は、オーナーが持ち帰り可能。
日本の伝統である稲作文化を学べる同制度は、子どもたちの食育にも適しています。
すべての工程は、地元農家の方たちの丁寧な指導のもと手作業で行います。

大豆畑トラスト制度

味噌や醤油など、食生活に欠かせない大豆の国内自給率はわずか7%に留まっています。
大山千枚田では、2001年から耕作放棄地を活用して大豆畑トラストを実施。種まきから収穫までのすべての工程を自ら行い、収穫した安心安全な大豆を使用した味噌や納豆、豆腐などを作る制度です。

綿藍トラスト

大山千枚田の耕作放棄された水田を活用し、オーガニックコットンと藍の葉を無農薬で作ります。
自ら育てた藍で染色し、綿から糸を紡ぎ、織り上げる作業を通じて、技術を伝え合いコミュニケーションを深めていける制度です。

家づくり体験塾

空き家となった古民家を活用し、家づくりの基礎と改修技術を学ぶ体験塾です。
建築に興味がある方を対象に、日本の気候風土に合った伝統的な建築技術を学び、地場産木材を活用した森の再生や環境保全への貢献など、作業体験だけに留まらない幅広い体験機会を提供しています。

体験プログラム

基本的に10名以上の団体に向けて、田植え体験や農作業体験等、さまざまな体験プログラムを用意しています。
学校体験の申し込みにも対応しています。

古民家レストラン・棚田カフェ「ごんべい」

NPO法人 大山千枚田保存会が運営する、築100年の古民家を改装したカフェです。
提供しているご飯は、もみ殻釜戸を使用して大山千枚田のお米を羽釜で炊いたものです。このほか、棚田米100%の米麺、自家製の梅干しや味噌などを使い、地元の食材にこだわったメニューを提供しています。

詳細情報

特定非営利活動法人 大山千枚田保存会