はじめに

現在、親の多くは共働きで仕事と家事・育児をこなしている状況です。核家族化や地域コミュニティの希薄化が進み、昔のように近所同士で子育てをサポートし合う環境が少なくなっている中で、気持ちの余裕が無くなってしまうケースが増えています。ある調査によると、1割以上の母親・父親が、産後うつを発症しているとのことです。
社会がゆとりを失う中、孤立した子育て「孤育て」を防ぎ、地域での人のつながりを作る活動を全国に広げているのが、本コラムで紹介する認定NPO法人ホームスタート・ジャパンです。

概要

2009年に設立された認定NPO法人ホームスタート・ジャパン。家庭訪問型子育て支援サービス「ホームスタート」の普及を目指しています。
「ホームスタート」は、子育てひろばなどの利用が難しい家庭にも支援の手を差し伸べる、アウトリーチ型の活動です。13地域からスタートした活動は、NPO法人や保育園・幼稚園、児童養護施設、社会福祉協議会などへと広がり、2025年8月には33都道府県120地域に拡大しました。

「近所の世話焼きおばちゃん」のような存在となるべく、活動の質の担保はもちろん、広報活動や寄付募集、国への政策提言などにも取り組んでいる団体です。

支援内容／活動内容

「孤育て」を防ぐ訪問型子育て支援

家庭訪問型子育て支援サービス「ホームスタート」は、妊婦や乳幼児がいる家庭に、20時間以上の研修を受けた地域の子育て経験者が週1回2時間、継続的にボランティアとして訪問するサービスです。ママ・パパの話をじっくりと聴きながら、家事や育児をサポートしています。
特徴は、指導やチェックを行うのではなく、何気ない会話の中でママ・パパの気持ちに共感し、孤立感の解消に努めていること。ともに家事や育児をすることで、多くのパパ・ママが育児の自信と意欲を取り戻しています。また、ひきこもりがちな親子が地域に一歩踏み出すキッカケをつくるべく、外出同行も行っています。利用は無料のため、経済的に余裕がない家庭も頼りやすいのが大きな魅力です。
「支援の入り口」として、自立した子育てを応援しています。

ホームスタートの全国普及

同団体は、各地で「ホームスタート」に取り組む団体を、研修の実施などでサポートしています。
さらに、まだ活動が無い地域の「ホームスタート」新規立ち上げ支援にも注力しています。「ホームスタート」の支援の質を担保する仕組みを全国各地に広めるべく、毎月オンライン相談会を開いているほか、説明会やイベントも随時開催しています。

2025年8月時点、33都道府県の約120地域で活動しているものの、全国の市町村の数で考えればまだまだ限定的です。親子に寄り添い、産後うつや虐待などの予防にもつながる活動を全国に広げるべく、同団体は支援を続けています。

詳細情報

認定NPO法人ホームスタート・ジャパン