はじめに

近年、子どもが地域の中でお友達や社会と触れ合う機会が少なくなり、親も地域でつながりが少ないまま孤独感を抱えて子育てに悩む状況が増えています。そのような課題に向き合い、子どもと親の双方に対して、親子が暮らしの中で地域とつながり安心できる場を作っているのが特定非営利活動法人 まちのおやこテーブルです。
同団体が大切にしているのは、暮らしの中で自然な出会いや助け合いの輪を広げることです。

本コラムでは、同団体の活動内容についてご紹介していきます。

概要

特定非営利活動法人 まちのおやこテーブルは、子どもと親が地域社会とつながり、地域の大人と「まちのおや」「まちのこ」として共に育つ社会を目指す団体です。
親同士のコミュニティ活動から始まり、現在は各分野で活躍する社会人がプロボノとして参加し、仕事や子育ての経験・スキルを活かして活動しています。
無理なく関わりやすい活動規模であり、思いを重ね合いながら活動している点が特徴です。モンテッソーリ教育を参考に子どもの自ら育つ力を信じ、地域の多様な世代とともに子どもの「やってみたい！」を大切に、体験や遊び、対話を通じて親子にとっての「出番」と「出会い」の場を作っています。

支援内容／活動内容

お父さんと子どものための炊飯器料理講座

「お父さんと子どものための炊飯器料理講座」は、東京都杉並区の男女平等推進センター啓発講座として毎年行っている人気プログラムです。
包丁も火も使わず、炊飯器ひとつで主菜からスイーツまで作れるオリジナルレシピは、家庭科の楽しさを伝える同団体のメンバー・Hitoshi氏が考案しました。時短かつ簡単で失敗しにくい炊飯器料理を題材に、モンテッソーリ教育を参考にした調理の段取りや役割分担を取り入れることで、親子が楽しく過ごしながら「できた！」という達成感を得られるのが特徴です。

参加したお父さん同士が自然に育児について語り合えることも魅力で、お父さんの当事者意識が高まるとともに、お母さんの負担軽減や自分のための時間の確保になっています。「びっくりするくらい簡単」「家で子どもと過ごす時間が増えた」といった感想も寄せられており、お父さんの家事力・育児力の向上、お母さんのリフレッシュ、さらに子どもへの教育的効果につながる「一石三鳥」のプログラムです。

イベント会場で子どもスペース

特定非営利活動法人 まちのおやこテーブルでは、イベント会場に子どものためのスペースを出展しています。
たとえば、東京都国分寺市で開催されている「こくフェス」は、地域のさまざまな場所で多彩な音楽を楽しむ企画で、会場の一つである柿ばたけに子どもスペースを設けました。大人が主体となりがちな音楽イベントの会場に、子どもが安心して過ごせる場所を用意することで、親子ともに心地よく参加できる環境を整えています。
子どもスペースにはお絵描きや絵本、手作りワークショップなどのコーナーを設けて、ライブ音楽が流れる中で子どもが自由に過ごせる工夫をしています。その間、親は音楽を楽しんだり、親同士で会話を深めたり、新しいつながりを持つこともできます。
「子どもと一緒に参加できるイベントがもっとあったらいい」という声に応えるこの取り組みは、地域に親子が安心して出かけられる場を広げています。

まちの持ち寄りカレッジ（まちカレ）

主に東京都杉並区で開催している「まちの持ち寄りカレッジ（通称まちカレ）」は、地域の人がそれぞれの得意や関心を持ち寄り、学び合う場です。プロの知識や大人の趣味、子どもの興味を活かした多彩なテーマにより、世代を超えて一緒に学び、楽しむことができます。

講師も参加者も特別な立場ではなく、地域の仲間として関わるのがまちカレの魅力です。子どもは「やってみたい」と思える体験ができ、大人にとっては自分のスキルや経験を活かす機会になっています。
これまでに、地域のマップづくり、パパビギナー交流、大きなしゃぼん玉づくり、フィンガーペインティング、アルパ（パラグアイのハープ）演奏会、建築家とのすみかづくりなど、さまざまなクラスを開催しました。参加する方々の「できること」「やりたいこと」を重ねることで、地域全体にポジティブな循環が広がっています。

詳細情報

特定非営利活動法人　まちのおやこテーブル

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