はじめに
貧困や教育格差など、アフリカの社会的課題は多くの子どもや若者の成長に影響を与えています。子どもたち自身に非はなく、社会環境の歪みがその背景にあります。「A-GOAL(Africa-Global Assist with Local Sport Clubs)」では、アフリカの地域スポーツクラブをハブに、「心の豊かさと未来への選択肢が持てる環境をつくる」ことで、持続可能な社会の実現を目指しています。
本コラムでは、同団体の活動内容について詳しくご紹介します。
概要
「一般社団法人A-GOAL」は、2020年5月にケニアで活動を開始しました。コロナ禍でスラム地域の住民の70%以上が仕事を失い、低所得者や孤児、高齢者、障がい者などへの支援が急務となったことがきっかけです。
同団体は、各地のスポーツクラブを通じて現地の困窮者を見つけ出し、迅速に支援物資を届ける仕組みを構築しました。アフリカの地域スポーツクラブは、子どもへの指導だけでなく、清掃活動やスポーツ大会、HIV/AIDS予防セミナーなども行い、住民やNGO、コミュニティリーダーとの強いつながりを持っています。このネットワークを活用することで、必要な支援を迅速に届けることを可能にしました。
代表の岸卓巨氏(元JICA海外協力隊)を中心に、協力隊OB・OGやサッカー関係者、アフリカ経験者など約70名がプロジェクトに参加し、ケニア・ナイジェリア・マラウイ・ウガンダなどで1万人以上に食料支援を実施しました。現在では、ケニア・マラウイ・日本を拠点に活動を広げています。
支援内容/活動内容
ケニア・キベラスラム発!A-GOALリーグ3年目の成果 ― CBO設立とナイロビカップ優勝

同団体は、2022年より、ケニアのキベラスラムでユースサッカーリーグを開催しています。2025年3月から6月には「KIKKOMAN presents キベラA-GOALリーグ2025 1stレグ」を実施。1,772名の子どもたちが1,300試合を戦いました。また、リーグでは試合運営に加え、試合日には食事提供も行っており、今回の1stレグでは計26,500食を提供しました。
さらに2025年6月には、現地コミュニティが主体となる組織 「A-GOAL Kenya」 をCommunity Based Organization(CBO)として設立。役員は全員ケニア人で構成されていますが、運営には日本人メンバーも加わっており、定款には「日本とケニアの橋渡し」という役割が明記されています。今後のリーグ運営は「A-GOAL Kenya」が主体となり、地域に根ざした活動を展開していきます。
そして、リーグ参加チームから選抜された子どもたちは、8月12日から16日にかけてナイロビで開催された「ナイロビカップ」に出場。64チームが競う大会の中で全試合無失点を記録し、見事優勝を果たしました。この成果は、選手やコーチにとって大きな自信となっただけでなく、キベラスラムの子どもたちの可能性を示す機会にも繋がりました。
この成功を弾みとして、「キベラA-GOALリーグ2025 2ndレグ」など、次のステージに向け、より多くの子どもたちが夢を育み、成長できる環境づくりを進めています。
マラウイのローカル食堂「ZATHU Cape Community Kitchen & Bar」
2022年8月、マラウイの世界遺産「マラウイ湖国立公園」内にある人気観光地ケープマクレアに、現地のサッカークラブなどと連携し、ローカル食堂「ZATHU Cape Community Kitchen & Bar」をオープンしました。食堂では、A-GOAL共同農園や地元で生産された農作物、マラウイ湖の新鮮な魚などを使用し、栄養バランスの良い美味しい地元料理を提供。地元の食材を活かすことで、来店客に現地の味を楽しんでもらうと同時に、生産者へ利益を還元する「地産地消」を実現しています。
また、ZATHUは若者の職業訓練の場という重要な役割も担っています。訓練生は食堂で働きながら調理・配膳・経営を実践的に学ぶことができ、これまでに36名が勤務や訓練を経験。そのうち5名は飲食・観光分野の学校へ進学しました。現地インターンやボランティアも積極的に受け入れています。
ZATHUは単なる食堂にとどまらず、サッカークラブメンバーの雇用創出、クラブによる学び・議論する場としても機能しており、地域スポーツクラブをハブとした社会課題解決にも貢献しています。
スポーツで日本とアフリカをつなぐ ― A-GOALの挑戦と活動の広がり

同団体では、ビジョンである「スポーツでアフリカと日本をつなぎ、持続可能な社会を築く」の実現に向け、スポーツ交流会や文化紹介イベントの開催、国内の各種イベントへの出展など、幅広い活動を行っています。
その一環として、2025年8月2日・3日の2日間、JICA横浜およびYC&ACにて「Sport for Tomorrow × Africa Action Day 2025」を開催しました。このイベントは、第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の公式パートナー事業として実施したものです。JICA横浜会場では、ダンス教室やアフリカ音楽ワークショップ、ファッションショー、4種類のトークセッションといった多彩なプログラムを実施。YC&AC会場では、ユースオリンピックの種目体験やインクルーシブスポーツフェスタを行いました。
本イベントには2日間で延べ800名を超える人々が来場し、国籍や年齢を問わず多様な参加者が交流を楽しみました。
詳細情報
一般社団法人A-GOAL