はじめに

NPO法人あらかわ学会は、荒川の歴史的・現代的意義と役割を見つめ直し、流域住民とより良い荒川を目指すNPO法人です。

本コラムでは、同団体の活動内容についてご紹介していきます。

概要

埼玉県大滝村を源流とする一級河川である荒川は、歴史的に江戸や東京といった首都圏と深く関わってきました。新田開発や舟運、都市用水供給など、荒川が果たす役割は多岐に渡ります。

しかし、荒川は「暴れ川」の異名を持つほど氾濫を繰り返していました。特に甚大な被害をもたらした明治43年の大水害を契機に、北区岩淵から江東区砂町地先までの22kmの放水路が開削されたことが、その後の首都圏の治水へとつながっているのです。
現代において、荒川はこうした歴史的役割に加え、首都圏に広大な水面と緑地を提供する貴重な自然空間としての価値が見直されています。

荒川のこのような歴史的・現代的意義と役割を再認識し、「多くの人々に愛される荒川」を目指し、そのための英知を結集する場として設立されたのが特定非営利活動法人「あらかわ学会」です。荒川将来像計画や荒川整備計画などに対し、行政に対して市民の科学で意見を述べ、より良い荒川づくりを目指してきました。

支援内容／活動内容

活動や成果を発表する情報交流の場を提供：年次大会

NPO法人あらかわ学会では、1996年の活動開始以来、荒川に関わる年次大会を開催しています。
これまでに実施されたのは、誰でもが公平に発表できる場づくりを行っており、荒川の研究・調査・体験・提案の発表の場づくり、論文発表やポスターセッション等さまざまです。

論文は、これまで「都民の水を運ぶ川」や「荒川に生育するウラギクの保全について」、「水を育む上流部や水を運ぶ中流部に感謝し応援しよう！ 」といった多彩なテーマで発表されました。
ポスター・展示部門では、「荒川流域の四季 」や「扇大橋お散歩マップ」「五反野ワンドのかいぼり」等、多様な展示があり荒川の魅力が伝わってきます。

アーバンリバースイミング　荒川遠泳大会

NPO法人あらかわ学会の活動の一部として、荒川遠泳大会が約90年ぶりに開催されました。荒川遠泳大会の歴史は、1930年にさかのぼります。泳げる川として賑わっていた荒川の復活をして、ウェルビーイングな川づくりを目指すことを目的に実施しています。

2024年7月に発表された国際憲章「泳げる都市（Swimmable Cities）」には、すでに21ヶ国の49都市が署名。都市の河川を水泳可能にする動きは世界中で広がっており、2030年までに300都市の参加を目標としています。同じ目的を持った活動なので、あらかわ学会も加盟を決めています。

国際交流

国際交流の一環として、日米桜交流が行われています。
1886年に、現在の足立区江北に植えられていた多種の桜は、「荒川五色桜」とも呼ばれていました。
この荒川堤の桜を東京市が1912年に日本からアメリカ合衆国のワシントンD.C.へ寄贈した出来事を起源としており、平和外交と文化交流を象徴する活動として展開しています。

足立区江北にあった桜は、放水路建設や戦争で失われてしまったものの、ワシントンからの里帰り桜事業を通じて復活しつつあります。

詳細情報

NPO法人あらかわ学会

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