はじめに

NPO法人あしおとでつながろうプロジェクトは、閉ざされがちな福祉の世界をアートの視点で広げていく活動（主にタップダンス・非言語演劇）を通じて、社会課題解決に取り組んでいます。多様な在り方を尊重し、笑顔で過ごせる未来をつくるための体験型アートプログラムを障がいのある方とともに開発、公開している団体です。

本コラムでは、同団体の活動内容についてご紹介します。

概要

NPO法人あしおとでつながろうプロジェクト（通称：あしプロ）は、主に知的・発達障がいなどの特性のある出演者とともに、タップダンスと即興演劇による公演を行ってきました。
月2回の「あしプロアートパーク（練習会）」で、障がい特性を強みに変える身体表現のプログラムをともに開発し、その手法で組み立てた舞台作品を年間2回ペースで上演しています。
同団体では、練習会を通じて成長した若者を「あしプロメッセンジャー」と呼んでいます。

開発されているプログラムは「楽しく多様性尊重を体験する」アートプログラムとして、小学校ワークショップや企業イベントにも展開中です。
また、2021年のNPO法人発足以降、全イベントでアンケートも実施。数値化の難しいアート体験がもたらす変化の効果測定を行い、評価報告を毎年行っています。

支援内容／活動内容

「TO KNOW 〜あなたが何かを知るために〜」の上演

この舞台作品の特徴は、「見る人のまなざしが変わる」こと。同舞台は、多くの人が当たり前だと思っている言葉によるコミュニケーションの不確かさや、非言語コミュニケーションから生まれる豊かなドラマを目の当たりにでき、見る人が自らの認識を問い直す体験の場にもなっています。
作中では、助ける、助けられるという立場が逆転して、ともに同じ場をつくり合うラストシーンを迎えます。この体験を多くの人に広げることで、次世代が生きやすい未来につなげたいと考えてます。

同舞台は2022年に初演を果たし、2025年に第9回目を迎えます。2025年は山形公演も実施し、徐々に協働者や観客層が広がっています。2030年に全国の仲間が集結する神奈川公演の実施を目指して、協働者を募っています。

「あしプロデジタルギフト」

NPO法人あしおとでつながろうプロジェクトは、障害のある若者との活動を通じて開発してきた非言語コミュニケーションプログラムを社会共有することで、平均的な人々の生きやすさも増していくと考えています。特別な障害や多国籍なルーツを持たず、「一般的」だとみなされる人の中に生まれている「生きづらさ」を解放してくれるプログラムでもあるのです。

同プログラムは、学校内ワークショップだけでなく、企業研修や顧客向けのイベントなど幅広い場面で「あしプロメッセンジャー」と連携して活用できます。そうすることによって、参加者間のコミュニケーションの再発見と相互理解の促進が可能です。

アートと福祉と社会が交わる場を設定し、そこに集うさまざまな人がともに世界を創り上げる体験は、全世界のさまざまな人たちと交流していける感覚を養います。

「あしプロアートパーク」

この活動の根幹にあるタップダンスは、言葉の通じない国に奴隷として連れてこられたアフリカンアメリカンの方々が発祥。足音で生み出すリズムにより、その時の心情などを伝え合うコミュニケーションです。
障がい特性や年齢、背景となる国籍の違いなどのさまざまな理由で言葉が通じなくても、一人ひとり異なる考えや思いがあることがはっきりと感じられる表現手段です。そして、互いにその表現を受け止め合う方法も確立しています。

同団体は、言語表現が難しいなどの方々と活動するなかで、彼らが楽しめ、周りの人々に何かを伝える方法として、セリフのない演劇にフォーカスし、そのためのプログラムを開発しました。
これらのプログラムを使いながら、個々のやりたいことを探せる体験会があしプロアートパークです。

2024年度までは「あしプロ練習会」として障害のあるメンバーのみでプログラム開発をしてきましたが、2025年度から「あしプロアートパーク」として外部からの参加者を募り、双方向に楽しく学び合える場として公開しています。

詳細情報

ＮＰＯ法人　あしおとでつながろうプロジェクト

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