はじめに

少子高齢化や人口減少により、日本各地で棚田をはじめとする地域資源の維持が難しくなっています。一方で、地域に関わる体験を通じて、人が学び、成長し、社会とのつながりを実感できる場の重要性も高まっています。

本コラムでは、棚田を舞台に、子どもや若者が役割や自信を見つけ、未来への希望を育むNPO法人棚田LOVERSの取り組みをご紹介します。

概要

NPO法人棚田LOVERSは、2007年から「農・食・自然の大切さを実践を通じて伝え、美しい棚田を未来の子どもたちにつなぐ」ことを理念に掲げて活動を続けています。
活動の拠点は、兵庫県の市川町、香美町、姫路市。地域住民・若者・企業・大学・行政と協働しながら、過疎化や高齢化により維持が困難になった棚田の再生および保全に取り組んでいます。
農作業体験や環境学習、子ども向けプログラムを通じて、自然と共に生きる価値観や自己肯定感を育む場づくりを行っている団体です。

支援内容／活動内容

棚田から広がる、未来に希望を持てる人づくり

棚田LOVERSの活動の特徴は、「守る」だけでなく「人を育て、社会とつなぐ」棚田保全にあります。田植え、草刈り、稲刈りといった農作業体験を軸に、子どもから若者、社会人までが世代を超えて関わる機会を創出。自然の中で役割を持ち、感謝される体験を通じて、参加者が自分の存在価値や社会とのつながりを実感できる場となっています。

自然の中で育む、希望を持って働く力

大学や高校と連携した探究学習を行っているほか、行政とも協力して生物多様性の普及活動にも取り組んでいます。近年は、学校外での学びや居場所づくりにも力を入れ、将来に不安を抱える若者が「自然の現場」で一歩踏み出すきっかけを提供しています。
棚田という地域資源を通じて、希望を持って働き、生きる力を育むことが、同団体が目指す社会です。

数々の受賞、そして仲間への感謝

同団体の数々の取り組みが評価され、2025年には農林水産大臣賞（第9回食育活動表彰）、環境大臣賞優秀賞（第13回グッドライフアワード）、地域づくり活動賞(公益社団法人環境生活文化機構)を受賞。地域の方々、大学や行政、そしてともに汗を流した仲間の協力が受賞に結びついたのだと、同団体では考えています。

2026年には、5月30〜31日に春の棚田企画を、10月24〜25日には10周年を迎える「棚田子育てフェス」を開催予定。棚田で出会える「いのちの多様さ」（いのちの宝庫）を体感できる機会です。

詳細情報

NPO法人棚田LOVERS

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