はじめに
特定非営利活動法人Alopecia Style Project Japan(ASPJ)は、さまざまな原因により髪の毛がない・少ない状態を指すヘアロスの当事者および家族が、外見によって可能性を制限されることなく、自分らしく生きられる社会の実現を目指す団体です。
当事者同士がつながれる居場所の提供、社会への啓発活動、教育機関・行政への働きかけを通じて、インクルーシブな社会づくりに貢献しています。
本コラムでは、同団体の活動内容についてご紹介していきます。
概要

特定非営利活動法人Alopecia Style Project Japan(ASPJ)が目指しているのは、「ヘアロスがハンデにならない社会」の実現です。毛髪疾患の子どもや当事者の生きづらさは、毛髪疾患への理解・支援不足という社会側の課題と、当事者自身が毛髪疾患を抱えることでの選択肢の減少に起因すると考えています。
同団体では、設立当初から、毛髪疾患当事者の安心安全な場所でのつながりをメインとした交流会を定期的に開催してきました。髪がないそのままの姿でも生きやすく、自分たち自身が選ぶことができる社会にしていくためには、当事者が思うハンデを和らげていくと同時に、社会側にあるハンデを取り除くための取り組みも行う必要があります。
支援内容/活動内容
ヘアロス当事者とご家族のコミュニティサイトの運営事業
交流会は、当事者やヘアロスキッズとそのご家族同士が直接顔を合わせ、経験や気持ちを共有できる場です。水泳などのアクティビティに参加しづらい現状や、ウィッグ使用に関する悩みについて語り合うことで、「同じ経験を持つ仲間と出会う機会」を創出しています。
ヘアロスキッズの多くは、ウィッグ着用が必要な学校生活により、水泳などのアクティビティを十分に経験できていません。そこで、毎年9月のヘアロスキッズ合宿という安心できる環境での体験活動を通じて、子どもたちの体験格差の解消を目指します。
また、同じ悩みを持つ仲間との出会いによって「ひとりじゃない」という実感を深め、自己受容や家族関係の改善につなげ、当事者が自身のヘアロスと前向きに向き合えるよう支援するとともに、社会全体でヘアロスへの理解を深め、外見による差別のない環境づくりを目指しています。
サポートハンドブックによる毛髪疾患への理解・支援不足の解消
ヘアロスは、見た目に分かりづらく伝えづらい症状のため、社会認知が進んでいません。教育現場では毛髪疾患への理解や対応経験が十分ではなく、自信をもってサポートできる教育関係者はわずか2%程度に留まっています。そのため、当事者や家族が適切な理解や支援を受けられず、不安や孤立を抱えやすい状況があります。
この現状を変えるべく、同団体では毛髪疾患のある子どもたちへの包括的サポートとして、「『ヘアロス』の子どもたちを 知っていますか?」という内容の毛髪疾患サポートハンドブックを制作。同事業では、毛髪疾患の正しい理解を促すとともに、コミュニティづくりやメンタルサポート、企業・行政との連携を通じて、髪の症状をハンディキャップとしない社会を目指しています。
当事者や保護者の声を反映して制作したサポートハンドブックおよび絵本は、子ども自身が自分の状況を理解し、周囲に説明する際の助けになると同時に、保護者や教育関係者が正しい知識を得るための啓発ツールとしての役割も果たしています。
これらの活動を通じて、当事者のQOL向上を実現し、外見の違いを互いに認め合える共生社会の実現に貢献しています。
https://aspj.site/shb/
DEI × ヘアロス認知向上プログラムとして企業や学校での研修事業
特定非営利活動法人Alopecia Style Project Japan(ASPJ)が開催している、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンとヘアロス認知向上のための研修プログラムです。
企業や学校におけるウェルビーイングは、「健康経営」とも深く結びついており、従業員の心身の健康や働き甲斐(幸福感)を高めることで生産性や定着率の向上を目指すというものです。
産後や更年期、ストレス、治療など、ライフステージで変化する髪と見た目。そこから生じる「これでいいのか」という小さな違和感は、一見、個人の問題と捉えられることも少なくありません。しかし、実際には職場の心理的安全性やコミュニケーションに影響を及ぼす「見えにくい社会課題」なのです。
ヘアロス当事者の声に真摯に耳を傾け、社会における理解促進に努めてきた同団体による、「髪と見た目の多様性」をテーマとした実践的なセッションです。
同研修を受けた企業の若手リーダーからは、「当たり前などないという認識を持ち、同僚や顧客との接し方が変わった」「良かれと思った配慮が、実は環境を変えるべき課題だったという視点の転換があった」などの声が寄せられています。
当事者との対話を通じて無意識の偏見を自覚し、問いを立てる力と協働力を磨く実践的教育として高く評価されています。
https://drive.google.com/file/d/1juetSgCihoGaIjhpQpftVQ0P52P7RFWA/view?usp=sharing
詳細情報
特定非営利活動法人Alopecia Style Project Japan(ASPJ)