はじめに
予測不能な変化が起きる時代を100歳まで生きるかもしれない、今の子どもたち。自ら人生を切り拓き、豊かに生きていくためには、生涯学び続ける「意欲」と変化の激しい時代を楽しみチャンスに変える「創造性」が必要です。しかし、教育機会が平等に行き届いているはずの日本で、目には見えない「きっかけ格差」が広がっている現状があります。自己責任論で片付けず、親と学校に丸投げしない。「NPOカタリバ」は、子どもたちを社会全体で育む「新しい当たり前」をつくるために、幅広い活動に挑戦しています。
概要

「どんな環境に生まれ育っても未来をつくり出す力を育める社会」をビジョンに掲げ、「意欲と創造性をすべての10代へ」をミッションとして活動する同団体。2001年の設立以来、時代や社会の変化に合わせた多様な教育支援を展開し、現在は不登校や貧困など困難を抱える子どもの支援、将来の可能性を広げる探究学習など日本の10代を取り巻く幅広い課題に対してさまざまな手法でアプローチしています。育った環境によって子どもの将来が閉ざされることのないよう、学校・自治体・企業と連携しながら、すべての10代が可能性を広げ、自ら未来をつくり出せる社会の実現を目指しています。
支援内容/活動内容
探究学習を通して、各地で高校生の未来をひろげる「マイプロジェクト」
マイプロジェクトとは、「主体性」をもって、つくりたい未来に向けて「アクション」を行っていく学びのプロセスです。同プロジェクトでは、高校生が自分自身の実現したいことや変えたいことをテーマにプロジェクトを立ち上げ、正解のない問題に向き合い、実際にアクションをすることを通じて学んでいきます。そのプロセスを通して自分自身の興味関心の発見や、他者との協働、社会の価値発見・創造に向かう姿勢が育まれる点が特徴です。
この活動のきっかけになったのは、2013年、東日本大震災の被災地で、高校生たちが「支援されるだけでなく、自分たちも支援したい」と始めた、地域の復興のためのさまざまなプロジェクトでした。そこから、地域や身の回りの課題を解決する高校生のプロジェクトを「高校生マイプロジェクト」と名付け、全国に展開しています。同事業では、マイプロジェクトに取り組む全国の高校生たちが年1回「集い」、「学び合い」、ともに「次の一歩を考える」日本最大級の学びの祭典「全国高校生マイプロジェクトアワード」の開催や、全国各地の地域団体と協働した学びの環境づくり、全国の学校・教員のサポートまで行っています。
現在進行系で進む教育改革の中でも探究学習は重視されており、学校や行政の関心は年々高まっています。2024年には、過去最大となる107,057人の高校生がマイプロジェクトを実践。今後、事業をさらに拡大し、2026年までに120,000人の高校生にマイプロジェクトを届けることを目指しています。
貧困の連鎖を断つ。生活困窮世帯の子どもたちが安心できる居場所「アダチベース」
自身ではどうすることもできない家庭環境の課題を抱える子どもたちが、そのままの自分を受け入れ安心できる「心の安全基地」を届ける。そんなコンセプトで生まれたアダチベースでは、居場所・学習・体験・食事の4つを主軸に、中高生が自主性を育み、貧困の連鎖を断ち切るための生き抜く力を養う多様なプログラムを提供しています。
ナナメの関係と対話をベースとしたコミュニケーションを大切に、まずは子どもたちの心の安全基地を構築。その上で、一人ひとりに合った学習支援、健康な生活を育む食事支援を実施しています。
また、居場所の運営に加え、地域住民や他団体、企業などと協働した多様な体験機会をの提供したり、学校・行政との情報共有を通じた適切な支援への接続を行ったり、子どもたちを支える環境や仕組みの改善にも取り組んでいます。
アダチベースは、足立区において目の前の子どもたち一人ひとりと向き合う事業であると同時に、日本全国でまだ支援が届かず孤立している何万人もの子どもたちのための事業でもあります。さまざまな挑戦と実践を日々繰り返し、子ども支援の知見や価値を培いながら、困難を抱える子どもたちが通う居場所としての「モデルケース」となることを目指しています。
町唯一の高校から、“学び”で地域を活気づける「大槌高校教育魅力化プロジェクト」
東日本大震災により被害を受けた岩手県大槌町。同団体は、この地で10年以上にわたり教育支援に携わってきました。2011年12月に、被災した子どもたちが集える居場所・学習場所の運営をスタート。2019年度からは、学校と地域が協働することで、生徒にとっても、保護者・地域にとっても魅力ある学びの場づくりを目指す「大槌町教育魅力化事業」に着手し、地域探究カリキュラムづくりや全国からの入学者受け入れなどに取り組んでいます。
大槌高校は、2022年度に文部科学省「普通科改革支援事業」に採択されました。生徒の多様な能力・適性、興味・関心などに応じた学びを実現するために、2024年度には新学科「地域探究科」を設置。生徒・教師・保護者・地域の意見を取り入れながら、多様な挑戦を続けてきました。この大槌町と同団体の取り組みは、人口減少や高校の統廃合といった課題に直面する地域における教育魅力化の事例として注目されています。
大槌町と同団体が描くのは、大槌高校の卒業生たちが、次なる町の担い手として活躍する未来です。大槌の地で大切に育まれてきた風土や文化の中で、大槌町の未来を共に作っていく。そんな5年先、10年先の町の未来を見据えながら活動を行っています。
詳細情報
認定特定非営利活動法人 カタリバ