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社会的養護のもとに育った若者に寄り添う伴走者に対する支援を実施【首都圏若者サポートネットワーク】
更新日
はじめに
首都圏若者サポートネットワークは、公益社団法人ユニバーサル志縁センターが事務局を務めて活動している民間のネットワークです。児童養護施設や里親といった、社会的養護を受けて育った若者の「ひとり立ち」を支える伴走者をサポートしています。
手掛けている事業は、「基金造成」「助成金給付」「就労・キャリア支援」「調査研究・政策提言」の4つ。本記事では、これらの事業をはじめとする同団体の活動内容について詳しくご紹介していきます。
概要
首都圏若者サポートネットワークの設立趣旨は、次のようなものです。
児童養護施設に在籍していた若者の進学率は、全高校生の進学率と比較した場合著しく低く、中退率も高いとのこと。また、就職した場合も半数近くが3年以内に離職しており、社会的自立が極めて難しい状況にあるようです。
このような若者たちが自立するためには、金銭的支援や就労支援だけでなく、信頼できる支援者とその支援者による伴走型支援が不可欠です。
自立するにあたってさまざまな困難を抱えた子ども・若者に寄り添い活動を行う「伴走者」を支援する仕組みを作るために、首都圏若者サポートネットワークは設立されました。
※事務局は公益社団法人ユニバーサル志縁センター
若者をとりまく現状
日本には、貧困や虐待、両親の不慮の事故・病気など、さまざまな理由から親もとで暮らすことができず、児童養護施設や里親家庭などで育つ子どもたちが約4万2千人います。
このように親などの保護者がいなかったり、適切な養育を受けられなかったりする子どもたちを、公的な責任で保護し、育てていくことを「社会的養護」と言います。
そうした子ども・若者たちは、多くの人のように親に頼ることができないにもかかわらず、原則として18歳までに自立を求められ、学び、働き、暮らすうえでのさまざまな困難に直面します。
児童養護施設や里親など、社会的養護のケアを巣立った人たちのことを、「ケアリーバー(ケアを離れた人)」と呼びます。ケアリーバーのなかには、病気などで体調を崩したり、仕事を失ったりすると、頼れる実家などがないために住む場所や食べるものにさえ困ってしまうギリギリの状況で頑張っている人たちが多くいます。
また、困難な環境にもかかわらず社会的養護を受けることができなくて、ケアリーバーにすらなれなかったという人たちもいるとのこと。
しかし、そうした支援活動の多くは、心ある支援者たちの持ち出しによって行われているのが現状ですが、それだけでは限界があるようです。
首都圏若者サポートネットワークは、若者に寄り添う伴走型の支援をおこなう伴走者たちの活動をサポートすることで、社会的養護のもとで育った子ども・若者たちを支援しています。
4つの事業
首都圏若者サポートネットワークが行っている4つの事業を詳しくご紹介します。
助成金給付
社会的養護のもとに育った子ども・若者たちの「ひとり立ち」を支える伴走者に対し、以下で紹介する「若者おうえん基金」より助成金の給付を行っています。
伴走型支援の経費補助のための「伴走支援枠」と、より広範にわたる支援事業の補助のために「先駆的実践枠」を用意しています。
基金造成(若者おうえん基金)
クラウドファンディング
首都圏若者サポートネットワークでは、社会的養護を受けて育った子ども・若者の支援の一環として基金を設立しています。
児童養護施設や里親のもとで育った若者が、進学や就職、一人暮らしなどで自立するにはたくさんの困難があるといわれています。さらに、コロナ禍や物価上昇などの社会変化も影響し、多くの困難を抱えた若者はより苦しさを増している状況です。このように支援が届きづらくひとり立ちが難しい子ども・若者の支援を行うべく、首都圏若者サポートネットワークでは「若者おうえん基金」を設立しました。
寄せられた支援は、若者たちを直接支援している伴走者に助成され、若者の食糧支援や進学・居住の初期費用、就業体験などに活用します。
調査研究・政策提言
助成先の支援者に対する調査などを通じて、若者たちの困難の実態と支援について研究しています。その研究成果を踏まえ、政策提言を行っています。
就労・キャリア支援
首都圏若者サポートネットワークが取り組んでいる支援の一つです。社会的養護のもとで育った若者の就労準備支援の一環で、働きたい若者と受け入れ先の事業所をマッチングする体験就労プログラムを行っています。
プログラムの概要および流れ
東京都・神奈川県・埼玉県内の自立援助ホーム職員(ジョブトレーナーや自立支援担当職員など)が関わるおおむね30歳までの若者が、体験就労プログラムの対象です。また、アフターケア相談所などの支援者が関わる若者も対象に含まれます。
体験就労プログラムの流れは、以下の流れです。
1.申し込み、アセスメントシートの記入
2.インテーク面談
3.受け入れ先への打診、交渉、決定 ※本人に合う仕事があるかを見極めるために受け入れ先の見学も可能
4.体験就労、日誌の記入
5.報告書の提出と生活費所費の受け取り
体験就労の受入先
社会的課題の解決を目的とする社会的企業や地域団体などが、体験就労の受け入れ先です。
体験就労プログラムの実施例
実施例の一部を抜粋してご紹介します。
Aさんのケース(19歳、自立援助ホーム入所者)
応募のきっかけ:
学校卒業後、正社員で働いていたが、発達障がいの傾向があり、職場の人とのコミュニケーションがうまくいかない、時間管理ができず職場に遅刻するなどの課題があり、仕事を続けるのが難しくなった。
マッチングについての希望:
仕事の経験が少ないため、次の仕事を見つける前にいろいろな仕事を経験し、自分に合った職種や業種を考えるきっかけにしたい。できれば施設に近い職場で、接客以外の仕事をしてみたい。
体験就労の内容:
施設から30分以内で通える生協のお店の品出しの仕事を体験。5日間遅刻もなく、お願いされた仕事をしっかりとこなせた。品出しとはいえ店内にいるとお客さんに声をかけられるので、できるだけ売り場を覚えるように頑張り、3日目くらいからはしっかり売り場の案内もできるように。
運営元
概要
首都圏若者サポートネットワーク運営委員会(委員長:宮本みち子氏、顧問:村木厚子氏)が運営。
事務局を務める「公益社団法人ユニバーサル志縁センター」は、NPOや企業、協同組合、労働組合などあらゆる人・組織と連携を図り、誰もが暮らしやすく参加できる社会を目指している団体です。
活動概要
公益社団法人ユニバーサル志縁センターでは、首都圏若者サポートネットワーク以外に、次のような活動も行っています。
ユニバーサルなはたらく場づくり支援
相談者が自分に合った就職先で勤続するための支援の一環で「就労支援×地域づくりに役立つ情報サイト」を運営し、就労支援を切り口にした地域づくりの参考情報を発信しています。
ユニバーサルな地域社会づくり
誰一人として孤立させない地域社会づくりのために、関係構築支援や機会創出、環境づくりなどに取り組んでいます。その活動の一部で、「困難を抱えた子どもたちへのコンピュータサイエンス教育機会の提供」を実施しています。
社会的経済セクターの協働
年に4回の開催を目標に、社会課題に取り組む特定非営利活動法人などで働く人材の育成を実施。このほか、子どもの貧困や地域共生などの社会課題に取り組む事業者と連携し、課題解決のための政策を検討する場も設けています。
大規模災害時における復興支援活動
東日本大震災などの復興活動に取り組む支援団体との意見交換や、企業等による被災地支援におけるコーディネートを行っています。
詳細情報
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。