フリーターの150万の壁とは、19歳〜22歳の方が親の「社会保険上の扶養」に入れる年収の上限のこと
扶養内で働いている方や年収150万円以下のフリーターの方の中には、「150万の壁」が気になっている方もいるでしょう。「150万円の壁」は、かつては「結婚している人が配偶者特別控除をフルで受けられる上限」を指す言葉でした。しかし、2026年度税制改正により、この配偶者の枠は「178万円」へと引き上げられています。
現在の「150万円の壁」は、19〜22歳の学生などを対象とした「親の扶養(社会保険・税制)に留まれる新しい基準」です。
このコラムでは、フリーターに関わる「150万円の壁」の正体と、最新の変更点を分かりやすくご紹介します。年収の壁を超えたら損なのか、仕組みを分かりやすくまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
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この記事にコメントしたアドバイザー
杉浦 詔子
国家資格キャリアコンサルタント / CFP®資格
栗城 恵
社会保険労務士
フリーターの150万の壁とは?
2026年4月現在におけるフリーターの150万の壁とは、19歳〜22歳の方が親の「社会保険上 税法上の扶養」に入れる年収の上限のことです。国税庁の「令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A(p.5)」にあるとおり、150万円の壁を下回っていれば、親は「特定親族特別控除」を満額受けられるため、親の税負担を軽くできます。19歳〜22歳以外の方が社会保険の扶養に入れる上限(130万円)とは金額が異なるため、混同しないよう注意しましょう。
なお、2025年に税制等が見直されるまでは、150万の壁といえば「配偶者特別控除(結婚している人向けの制度)」の満額基準を指していました。配偶者向けの基準は、2025年から「160万円」、2026年から「178万円」へと引き上げられています。
参照元: 国税庁「No.1180 扶養控除」
2025年に税制改正が行われる前の「150万の壁」はどんなものだったのですか?
2025年の税制改正以前の「150万の壁」は配偶者特別控除の”満額控除”が終わる基準でした
以前の「150万円の壁」とは、配偶者特別控除で満額(最高38万円)の控除を受けられる配偶者の年収上限のことでした。配偶者の年収が103万円を超えると「配偶者控除」の対象外となりますが、年収150万円までは「配偶者特別控除」が満額適用され、150万円を超えると控除額が段階的に減っていく仕組みです。
なお、2026年からは本人の非課税枠が178万円に拡大されたことに伴い、配偶者特別控除の満額ラインも引き上げられています。
19歳〜22歳向けの新しい「150万の壁」
新設された「特定親族特別控除」と社会保険の要件見直しにより、19歳〜22歳であれば、年収150万円未満までなら親の社会保険の扶養に入ったまま、親の税金の控除額も満額適用されるようになりました。親の税負担や社会保険料の負担を増やさずに働くことができるため、現在の「150万の壁」は、独身のフリーターや学生にとって非常に重要な基準となっています。
親が「特定親族特別控除」を満額受けるための主な条件は以下のとおりです。
・子ども(あなた)の年齢が、その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満であること
・親と生計を一つにしている(実家暮らし、または仕送りで生活しているなど)こと
・あなたが青色申告の専従者給与を受けていない(親の自営業の手伝いなどで給与をもらっていない)こと
・あなたの給与収入が150万円以下であること(※150万円を超えても188万円以下であれば段階的に控除を受けられますが、社会保険の扶養からは外れてしまいます)
なお、結婚している方向けの「配偶者控除」や、その他の年齢層における「扶養控除」を受けられる年収枠は、現在「年収123万円以下(旧103万円の壁)」へと変更されています。「配偶者特別控除」の場合は、年収123万円を超えても年収178万円までは満額の控除が受けられます。ご自身の年齢や結婚の有無に合わせて、どの「壁」を意識すべきか確認しておきましょう。
参照元:日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」
参照元:財務省「令和8年度税制改正の大綱(1/9)」
150万の壁で注意すること
150万円の壁(税金の壁)を目指して働く際に注意すべき点は、その手前にある「106万円の壁」です。2025年10月より、19歳〜22歳の学生等に限り、親の社会保険の扶養に留まれる年収基準が「130万円未満」から「150万円未満」へと引き上げられます。しかし、これはあくまで「親の扶養」の話です。
注意が必要なのは、自分自身の勤務先での条件です。従業員数51人以上の企業で、週20時間以上、月額賃金8.8万円(年収換算約106万円)以上の条件を満たす場合、「106万円の壁」が優先されます。この場合、150万円に達する手前で自分自身が社会保険に加入することになり、年間約15〜20万円の保険料負担が発生して手取りが大きく減る、いわゆる「働き損」の状態になる可能性があります。
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150万円稼いだフリーターの手取りと支払う税金とは?
フリーターが年収150万円稼ぐ場合、現在の税制では所得税はかかりません。税制改正により基礎控除等が見直され、給与収入のみであれば「年収178万円まで所得税が発生しなくなったためです。
一方で、社会保険には「年収の壁」が存在します。19〜22歳の学生であれば、親の社会保険の扶養に入れる基準が「150万円未満」に緩和されていますが、年収150万円ちょうどを稼ぐと、この基準を満たさず扶養から外れることになります。また、勤務先の規模が従業員51人以上で、週20時間以上働くなどの条件を満たせば、手前の「106万円の壁」を超えた時点で勤務先の社会保険への加入義務が生じます。
親の社会保険の扶養から外れた場合は、勤務先の健康保険や厚生年金、あるいは国民健康保険や国民年金などの保険料を自分自身で支払わなければなりません。年収150万円の場合、所得税は0円ですが、社会保険料(および住民税)の負担で年間約23〜26万円ほど引かれるため、実際の手取り額は「125万円前後」になるのが一般的です。詳しい手取りの金額や、税金・保険料として具体的にいくら引かれるのかについては、以下のコラムで詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
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フリーターが扶養を外れるメリットとデメリット
フリーターが扶養を外れることのメリットとデメリットを紹介します。状況は人によって異なるため、メリットとデメリットも人それぞれです。ここで紹介する内容は参考までにご覧ください。
フリーターが扶養を外れるメリットとデメリットについて教えてください
扶養を外れると収入と保障は増えますが、税や保険の負担が増えます
親や配偶者などの扶養家族として働いているフリーターの方も、収入が一定の額より増えると扶養から外れることになります。
扶養を外れると、収入の上限を気にせずに働けるようになり、収入が増える点がメリットです。収入が増えると信用力が上がり、クレジットカードを作るときやローンを組むとき、スマートフォンなどの物品を分割で購入するときなどに、審査が通りやすくなります。また、社会保険に加入することで、医療や年金の保障が厚くなるので、将来的な安心にもつながるでしょう。
その一方で、扶養から外れると所得税や住民税に加え、健康保険料や年金保険料など自己負担が発生し、給与から天引きされます。収入が増えても、天引きされる額が増えるので思ったように手取りが増えないことはデメリットです。
また、それまで扶養してくれていた親や配偶者の家族の扶養控除がなくなりますので、家族の税負担が増える点もデメリットといえるでしょう。
フリーターが扶養を外れるメリット
フリーターが扶養を外れることのメリットは、以下が考えられるでしょう。
- ・上限額を気にせず稼げる
- ・社会的信用を得られる
- ・使えるお金が増える
扶養内では年収が一定額を超えないように働く必要がありますが、扶養から外れればより稼ぐことができます。また、自分で税金を支払い社会保険に加入することになるため、社会的信用を得られる可能性も。たとえば、扶養に入っているとローンの審査に通りづらくなる場合があるようです。
そして、扶養から外れることで、自分で収入を得ることができ、その分自由に使えるお金が増えます。貯蓄にも回しやすくなるため、人生の計画を立てるうえで選択肢が広がる可能性があるでしょう。
フリーターが扶養を外れるデメリット
社会保険の扶養から外れることで、自分自身で健康保険や年金などの社会保険料を支払うことになります。社会保険の扶養の壁(19〜22歳は「150万円未満」、それ以外の年齢は「130万円未満」)を超えて社会保険料の負担が始まると、収入が少し増えたにもかかわらず手取りが減る「逆転現象」が起きやすくなるので注意が必要です。
また、税法上の扶養から外れると、親や配偶者の税金が高くなってしまいます。家族の税金を安くする「控除」のルールは、あなたの年齢によって以下のように変わります。
【自分が19〜22歳の場合】
親は最も割引額の大きい「特定親族特別控除(63万円)」を使っています。自分の年収が「150万円」を超えると控除額が段階的に減り始め、親の税金が高くなります。
【自分が16〜18歳または23歳以上の場合】
親が受けられる控除額は38万円です。自分の年収が「123万円」を超えると、親の税金が高くなります。
自分がどの基準に当てはまるのか、扶養から思い切って外れるのかどうか、事前に家族とよく相談しておくことをおすすめします。
150万の壁を超えるフリーターに向いている人
150万の壁を超えるフリーターに向いている人は、「収入を増やしたい人」「手取り額で損をしたくない人」が挙げられます。生活環境は人それぞれのため、一概に「150万の壁を超えるフリーターに向いている人」とまとめることはできません。 ここで紹介するのはあくまで一例ですので、参考までにご覧ください。
収入を増やしたい人
150万円の壁を超えるフリーターには、収入を増やしたい人が向いている傾向にあるようです。しかし、「フリーターの平均年収は?」で紹介したとおり、フリーターは年齢が上がるとともに年収が200万円台に留まります。そのため、将来的に300万円以上を稼ぎたい場合は、早い段階で正社員になることが望ましいでしょう。
手取り額で損をしたくない人
手取りの逆転現象(働き損)を避けたい人も、思い切って壁を超える働き方が向いています。社会保険の扶養から外れて発生した保険料負担(年間約23〜25万円)をカバーし、手取り額が壁の手前を確実に上回る「働き損の回復ライン」は、年収がおおむね170万〜180万円以上とされています。
特に2026年からは「178万円の壁(所得税の非課税枠)」が適用されているため、このラインまでは自分の所得税を気にする必要がありません。130万円(または150万円)の境界線ギリギリを攻めてシフト調整に頭を悩ませるより、社会保険に加入して将来の厚生年金を増やしつつ、ガッツリ働いて目に見える手取りを増やしていく意欲がある人にとっては、壁を超えるメリットは非常に大きいといえます。
150万の壁を超えるフリーターに向いていない人
「社会保険の扶養に入ったままでいたい人」や「すでに十分な貯金があり、これ以上稼ぐ必要がない人」は、無理に150万円の壁を超える働き方には向いていません。ただし、すべての年収150万円以下の方に当てはまるわけではありませんので、自分の置かれている状況と照らし合わせながら検討しましょう。
社会保険の扶養に入っている人
「自分の給与から社会保険料を払いたくない」という人は、無理に壁を超える必要はありません。19〜22歳の学生なら「150万円未満」、それ以外の方なら「130万円(あるいは106万円)」の範囲内であれば、親や配偶者の扶養として保険料負担は「ゼロ」で済みます。
しかし、今後は社会保険の適用がさらに拡大され、多くの職場で「週20時間以上」働くと自動的に加入となる流れにあります。「手取りが減るのが絶対に嫌だ」という方は、収入額だけでなく、勤務時間も厳密にコントロールして働く必要があります。
貯蓄があり収入がなくても困らない人
貯蓄があり収入がなくても困らない人は、150万の壁を超える必要がないといえます。しかし、現状の収入で困らない場合でも将来に備えておくことがおすすめです。フリーターと正社員では、年収の伸び率が異なります。フリーターは40代以降も年収200万円台に留まる傾向にあるため、早い段階でキャリアプランを考えることが重要でしょう。 正社員として就職することによって、雇用や収入が安定するメリットがあります。詳しくは以下のコラムを参考にしてみてください。
20代~30代の自立を目指すフリーターの方は、思い切って「「年収170万〜180万円以上」を目標にして働くのがおすすめです
年収が130万円(社会保険の壁)を超えると、健康保険や厚生年金などの社会保険料が引かれて一時的に手取りが減ります。しかし、年収170万円を超えればそのマイナス分をカバーでき、以前よりも実際の手取り額がしっかり増え始めるからです。
「いずれは親元を離れて自立したい」「正社員を目指して収入を上げたい」と考えている方は、年収の壁を気にする働き方は向いていません。
これは一例ですが、親と同居するフリーターのAさん(20代後半)は「一人暮らし」を目標に、「年収の壁」を気にせずに多く働く決断をしました。
社会保険に入ることで将来の年金といった保障が厚くなるメリットはありますが、年収130万円を少し超えるくらいの収入では手取りが減ってしまいます。Aさんは「年収170万円以上稼げば手取りが増え始める」という事実を知り、より安定して稼げる正社員就職を視野に入れたキャリア形成を決断したのです。
150万の壁を気にせず稼ぐにはフリーターから正社員を目指そう
「150万円の壁」やシフト調整を気にせず安定して稼ぎたいなら、正社員への就職が一番の近道です。フリーターの年収は年齢を重ねても上がりにくい傾向にありますが、正社員になれば着実な収入アップが見込めます。
ただし、正社員への就職は年齢が上がるにつれて難しくなるため、20代のうちに早めに行動することが成功のカギです。フリーターから正社員を目指す具体的なステップについては、以下の記事を参考にしてみてください。
就職・転職エージェントのハタラクティブは、フリーターや既卒、第二新卒などの若年層に向けた就職支援サービスを行っています。 就職の経験がない場合も、経験豊富なキャリアアドバイザーが手厚くサポート。丁寧なヒアリングを行い、求職者一人ひとりに合った求人をご紹介するため、「思っていた仕事とは違う」と感じるリスクを減らせるメリットがあります。
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