所定労働時間とは?8時間以上はアリ?賃金や残業代の計算方法も解説

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この記事のまとめ

  • 所定労働時間とは、労働者と就業先との契約で定められた労働時間のこと
  • 所定労働時間は法定労働時間内で設定するため、基本的に8時間以上にはならない
  • 所定労働時間を超えた勤務は「残業(時間外勤務)」にあたり、2種類に分かれる
  • 休日は「法定休日」と「所定休日」の2種類で、出勤した場合の賃金の割増率が異なる
  • 賃金や残業代を計算する際は、所定労働時間と法定労働時間の違いや割増率に注意する

社会人として働いている人のなかには、所定労働時間について気になる方もいるでしょう。特に、残業代の計算が合わず「所定労働時間と残業時間の境目はどこなのか」と迷ったり、「所定労働時間が人によって違うことはあるのか」と悩んだりする人は多いようです。
このコラムでは、所定労働時間について詳しく説明。所定労働時間における休憩時間や残業、賃金の計算方法も解説しています。疑問を解決して働けるよう参考にしてください。

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所定労働時間とは

所定労働時間とは、労働者と就業先との契約で定められた労働時間のことです。就業規則や雇用契約書に記載された、始業から終業までの時間から休憩時間を引いたのが所定労働時間にあたります。所定労働時間は、次項で解説する「法定労働時間」の範囲内であれば就業先が自由に設定することが可能です。

所定労働時間と法定労働時間は別物

所定労働時間と法定労働時間を混同してしまう人もいるようですが、これらは全くの別物です。
法定労働時間とは、法律で定められた労働時間のことを指します。労働基準法第32条に記載されているとおり、原則「1日8時間、週40時間」が法定労働時間の上限です。

基本的に所定労働時間は8時間以上にならない
先述のとおり、所定労働時間は法定労働時間の範囲内で設定します。そのため、一部例外を除いて所定労働時間が1日8時間以上になることはありません。多くの企業は、所定労働時間を法定労働時間の上限と同じ8時間、または6~7時間に設定しているようです。
仮に所定労働時間を9時間としている企業があったとしても、法定労働時間の8時間が優先され、残りの1時間は「時間外労働」として見なされます。

法定労働時間を超えて働くなら「36協定」が必須

労働者が法定労働時間より長く働く場合は、事業所が「36協定」を結んでいる必要があります。「36協定」とは、時間外労働や休日出勤に関する協定です。労働基準法第36条に記載されていることから、一般的に36協定(サブロク協定)と呼ばれています。
36協定を締結するには、労働組合・労働者の代表者と事業所の合意、所轄の労働基準監督署への届出が必要です。36協定の締結がないまま法定労働時間以上の労働をさせた事業所には、厳しい罰則が科せられます。また、36協定を結んだからといって、無限に時間外労働が可能になるわけではありません。厚生労働省の指針によると、1週間で15時間、1ヵ月で45時間、年間360時間と限度が定められています。
所定労働時間が8時間以内に設定されていたとしても、残業や休日出勤により就業時間が法定労働時間を超える方は、事業所が36協定を結んでいるか確認しましょう。
36協定については「36協定って何?違反した場合の罰則は?」でも詳しく解説しているので参考にしてください。

参照元
e-GOV
昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法
厚生労働省
36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針

所定労働時間が人によって違うのはアリ?

企業によっては、従業員の所属部署や業務内容ごとに異なる所定労働時間を設定している場合があります。「所定労働時間が人によって違うのは法的にアリなのか?」と気になる方もいるようですが、これは法律違反にはあたりません。ただし、人によって異なる所定労働時間を設定する場合、企業側は就業規則や労働契約書にその旨を明記すべきとされています。
所定労働時間が人によって違うことに違和感や不公平感がある方は、就業規則や契約書を確認したり、人事部に説明を求めたりして解決しましょう。

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所定労働時間における休憩時間

休憩時間の長さは法律で決められています。労働基準法第34条によると、労働者は職種や業務内容に関係なく、労働時間によって以下の休憩時間が与えられるのです。

・労働時間が6時間以下の場合:休憩時間なしでも可
・労働時間が6時間以上の場合:最低45分の休憩が必要
・労働時間が8時間以上の場合:最低1時間の休憩が必要

そのため、所定労働時間が6時間で、残業が一切ない人の場合は休憩時間がなくても違法にはあたりません。
なお、先述のとおり、休憩時間は所定労働時間に含まれないことも押さえておきましょう。たとえば、始業時間が午前9時、終業時間が午後6時、休憩時間が1時間に定められている企業の場合、所定労働時間は8時間です。一般的に休憩時間中は賃金も発生しません。

参照元
e-GOV
昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法

仕事における休憩については「仕事中に休憩なし!どこからが法律違反になる?」で詳しく解説しています。休憩時間について気になることがある方はご覧ください。

所定労働時間における残業

一般的に残業(時間外労働)とは、所定労働時間を超えて働く時間のことを指します。つまり、所定労働時間が7時間の企業で働いている場合、労働時間が7時間1分になった時点から残業が開始するのです。
ただし、残業には「法定内残業」と「法定外残業」の2種類があります。法定内残業と法定外残業とでは支給される残業代が異なるので、以下で違いを詳しく確認しましょう。

法定内残業と法定外残業

法定内残業は、所定労働時間は超えているものの、法定労働時間内には収まっている残業時間を指します。たとえば、就業時間が午前9時から午後5時まで、休憩時間が1時間の企業で働いている場合、所定労働時間は7時間です。この企業で午後6時まで残業した場合、労働時間は8時間。法定労働時間内に収まるため「1時間の法定内残業をした」ということになります。

一方、法定外残業は法定労働時間を超えた分の残業時間です。先ほど例に挙げた企業で午後7時まで残業した場合、労働時間は9時間。つまり、「午後6時まで1時間の法定内残業をし、午後7時まで1時間の法定外残業をした」ということになります。

法定外残業の残業代は賃金の25%割増
法定内労働時間の残業代は、割増がありません。つまり、所定労働時間内の1時間あたりの賃金と同額の残業代が支給されます。一方、法定外残業時間の残業代は25%割増です。また、残業している時刻が午後10時以降になった場合は深夜手当によりさらに25%の割増があります。

法定外残業の残業代は賃金の25%割増の表

引用元
厚生労働省 東京労働局
しっかりマスター労働基準法 割増賃金編

さらに1ヵ月の残業時間が60時間を超えると、残業代の割増率は50%になります。(※中小企業は2023年4月1日から適用)

残業代の計算に悩む方は、自分の残業が法定内と法定外のどちらにあたるのか、何時に残業していたのかといった点を考慮して計算方法を見直してみましょう。

参照元
厚生労働省 東京労働局
しっかりマスター労働基準法 割増賃金編

残業の種類や残業代の計算方法が気になる方は「見込み残業とは?違法であることも!メリットや残業代の計算方法を解説」「知っておきたい!残業手当の正しい計算方法とは」のコラムもおすすめです。あわせて参考にしてください。

休日出勤した場合の所定労働時間

所定の出勤日にすでに週40時間(法定労働時間の上限)以上働いている場合、休日出勤した日の労働時間は、「所定労働時間」ではなく「時間外労働」です。また、休日には「法定休日」と「所定休日(法定外休日)」の2種類があり、どちらに出勤したかにより支給される賃金が異なります。以下で違いを確認しましょう。

法定休日と所定休日(法定外休日)

法定休日は、労働基準法第35条で定められている休日で、事業者は労働者に「毎週少なくとも1回(もしくは4週を通じて4回以上)」与える必要があります。たとえば、毎週月曜日から土曜日まで働いている労働者は、日曜日が法定休日です。法定休日に出勤した際の賃金は、所定労働時間に支給される賃金の35%割増になります。
一方、所定休日(法定外休日)は、法定休日以外に設定された休日のことです。たとえば、日曜日を法定休日に設定している週休2日制の企業の場合、月曜日から土曜日の間に1日の所定休日があります。所定休日に出勤した際の賃金は、所定労働時間に支給される賃金の25%割増です。

法定休日と所定休日(法定外休日)の表

 

引用元
厚生労働省 東京労働局
しっかりマスター労働基準法 割増賃金編

なお、休日出勤の場合も深夜手当はつきます。休日出勤日の賃金を計算するのであれば、法定休日と所定休日のどちらに出勤したのか、何時まで働いたのかといった点を考慮して算出すると良いでしょう。

参照元
e-GOV
昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法
厚生労働省 東京労働局
しっかりマスター労働基準法 割増賃金編

有給休暇の所定労働時間は?
有給休暇とは、入職から6か月間勤続し、なおかつ全労働日の8割以上出勤した人に一定の日数付与される休日を指します。「休暇」であるため実働時間はゼロですが、所定労働時間分働いたのと同じ給与が支払われるのが特徴です。
有給休暇は、基本的に1日単位で取得しますが、近年は時間単位での取得を許可している企業も増えています。そこで気を付けたいのが残業時間の相殺です。たとえば、就業時間が午前10時から午後6時、所定労働時間が7時間の企業で午前中に有給休暇を取ったとします。その後、午後1時に出社し午後7時まで働いた場合、通常であれば残業は1時間。しかし、有給休暇を取った分、この日の労働時間は6時間になります。よって、所定労働時間内に収まるため、残業(時間外労働)をしたことにならないのです。
時間単位で有給休暇を取った日の残業代を計算する場合は、残業時間が相殺されていないか確認したうえで算出してください。

休日出勤については「休日出勤手当の計算方法とは?手当なしの場合はどんなとき?基本給も解説」、有給休暇については「有給とは?働いている人は皆もらえる?」でも解説しているので、参考にしてください。

所定労働時間別!賃金や残業代の計算の仕方

最後に、所定労働時間別に賃金や残業代の計算の仕方をご紹介します。いくつか例を挙げるので、「所定労働時間と時間外労働の境目が分からない」「残業代の計算が合わない」といった悩みがある方は、参考にしてみてください。

所定労働時間7時間/残業3時間の場合

所定労働時間が7時間の企業で、3時間残業した場合の賃金の計算方法は以下のとおりです。ここでは、就業時間が午前10時から午後6時(休憩1時間)の企業を例にとります。

・午前10時から午後6時:1時間あたりの賃金×7時間(所定労働時間)
・午後6時から午後7時:1時間あたりの賃金×1時間(法定内残業のため割増なし)
・午後7時から午後9時:1時間あたりの賃金×2時間×1.25(法定外残業のため25%割増)

午後6時から午後7時まで働いた時点でこの日の労働時間は8時間であるため、この1時間分の残業は「法定内残業」です。しかし、午後7時から午後9時までの2時間の残業は「法定外残業」にカウントされます。

所定労働時間8時間/残業1時間の場合

所定労働時間が8時間の企業で、1時間残業した場合の賃金の計算方法は以下のとおりです。ここでは、終業時間が午前9時から午後6時(休憩1時間)の企業を例にとります。

・午前9時から午後6時:1時間あたりの賃金×8時間(所定労働時間かつ法定労働時間)
・午後6時から午後7時:1時間あたりの賃金×1時間×1.25(法定外残業のため25%割増)

所定労働時間を法定労働時間と同じ8時間に設定している企業は少なくありません。所定労働時間が8時間の企業では、終業時間後に残業を開始した時点で「法定外残業」にカウントされます。

所定労働時間8時間/深夜を含む残業4時間の場合

深夜勤務を含む残業をした場合の賃金の計算方法は以下のとおりです。ここでは、就業時間が午前10時から午後7時(休憩1時間)、措定労働時間が8時間の企業で4時間残業の場合を例にとります。

・午前10時から午後7時:1時間あたりの賃金×8時間(所定労働時間かつ法定労働時間)
・午後7時から午後10時:1時間あたりの賃金×3時間×1.25(法定外残業のため25%割増)
・午後10時から午後11時:1時間当たりの賃金×1時間×1.5(法定外残業と深夜手当による50%割増)

午後10時以降の勤務には深夜手当がつくので、計算する際は注意しましょう。

週40時間働いたうえで休日出勤した場合

週40時間働いたうえで、休日出勤した場合の計算方法は以下のとおりです。ここでは、平日に40時間勤務し、なおかつ土曜日を所定休日、日曜日を法定休日としている企業を例にとります。

・土曜日の午前9時から午後7時(休憩1時間):1時間当たりの賃金×9時間×1.25(25%割増)
・日曜日の午前9時から午後7時(休憩1時間):1時間当たりの賃金×8時間×1.35(法定休日の35%割増)

法定労働時間は「1日8時間、週40時間」です。そのため、所定労働時間が8時間の企業で月曜日から金曜日の5日間働いた場合、土曜・日曜の勤務は「時間外労働」として扱われます。つまり、法定外残業と同じく賃金は25%割増です。なお、法定休日に出勤した場合の賃金は35%割増になります。
また、休日であっても深夜手当は加算されるので、計算の際は注意しましょう。

・土曜日の午後1時から午後10時(休憩1時間):1時間当たりの賃金×8時間×1.25(25%割増)
・土曜日の午後10時から午後11時:1時間当たりの賃金×1時間×1.5(時間外勤務と深夜手当による50%割増)

上記のように、休日に午後10時以降の勤務を行った場合は、時間外勤務と深夜手当の割増を合わせて計算します。

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