見込み残業とは?違法であることも!メリットや残業代の計算方法を解説

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【このページのまとめ】

  • ・見込み残業制とは、想定される残業時間分の残業代をあらかじめ給与に含められる制度
  • ・見込み残業代の分の賃金は、実際の残業時間に左右されないので毎月の給与が安定する
  • ・見込み残業時間を超えた分の残業代が支給されていない場合は、会社に請求可能

見込み残業という言葉は聞いたことがあっても、制度の具体的な内容までは把握できていない人も多いはず。見込み残業制とは、給与に一定時間分の残業代を含められる制度。給与が安定するメリットもありますが、違法な労働環境になりやすいという特徴もあります。このコラムでは、見込み残業制度の内容のほか、違法性が疑われる場合についても解説しているので、現在の労働環境が適切なものなのかどうか改めて確認してみてください。

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見込み残業制とは?

「見込み残業制」とは、企業側が一定の残業時間を想定し、元々の固定給の中にあらかじめ見込み残業代を含められる制度のこと。「定額残業制度」や「固定残業代」、「みなし残業」とも呼ばれます。たとえば、給与規定の部分に「月40時間分の残業代を含む」と記載されている場合、実際の残業時間が30時間であっても支給される給与額は変わりません。

見込み残業制の種類

見込み残業制には3つの種類があり、それぞれ対象の就業環境が異なります。以下の3つのどれかに当てはまる場合に見込み残業制の適用が認められているので、自身の就業環境はどれに当たるのか確認してみてください。

事業場外労働

事業場外労働とは、営業職など社内以外で仕事をする必要のある労働環境のこと。外回りなどにより正確な就労時間の計算が困難な場合、見込み残業制の適用を認めると、「労働基準法 第38の2」に記されています。

専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制とは、業務の時間配分を労働者に委ねる必要があるとされている場合に適用される制度です。業務の特性上、使用者側が具体的な時間配分などを指示できない職業では、見込み残業時間分も働いたこととみなすと「労働基準法 第28条の3」に記されています。

厚生労働省の「専門業務型裁量労働制」によると、適用される具体的な職業は、コピーライターや弁護士、建築士など。厚生労働省が定めた19業務に当てはまる業務であれば、見込み残業制の導入が認められます。裁量労働制についてより詳しく知りたい場合は、裁量労働制の概念について紹介している記事「裁量労働制が適用される職種は?残業代はどうなる?」をチェックしてみてください。

参照元
厚生労働省
専門業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制とは、事業運営に関わる重要な企画や立案を行う事業場に適用される制度。企業の本社や、本社の指示を受けていない支店など、運営に大きな影響を与える決定をする必要がある事業場は、企画業務裁量労働制の導入が認められており、このことは「労働基準法 第38条の4」にも記されています。専門業務型裁量労働制と似ていますが、企画業務型裁量労働制は、労働者の創造的なスキルがより発揮できるよう制定されたものです。

参照元
e-Govポータル
労働基準法

見込み残業制は給与が安定するのがメリット

前述のとおり、見込み残業制が導入されている企業では、実際の残業時間が想定されている時間より少ない場合も一定の給与が支給されます。残業時間に関わらず、毎月一定の給与が受け取れるので安定性が高い点は、見込み残業制のメリットでしょう。
なかには「見込み残業制は損!」と思っている方もいるようですが、法律に則って運営されている企業であれば損になることはありません。

違法性に気づきにくいのが見込み残業制のデメリット

毎月の給与が安定するメリットがある一方、見込み残業制は労働者が違法性に気付きにくいというデメリットがあります。企業は労働基準法に則って運営するのが大前提ではありますが、なかには見込み残業制に関する法の複雑さを利用して、労働者を違法な環境で働かせている会社があることも事実。企業の違法性を見抜くためには、見込み残業制について詳しく理解しておくことが重要です。

見込み残業分以上に残業したときの残業代は?

見込み残業制の場合であっても、想定時間を超えた残業代は支給されます。使用者は、時間外労働分の賃金を労働者に支払わなくてはいけないことが、「労働基準法 第37条」にも記載されています。

しかし、デメリットに関する項で解説したように、この見込み残業制度を悪用して、残業代を支給しないといったブラック企業が存在するのも事実です。実際に、残業時間の問題で裁判になったケースも多く見られ、労働者側が勝訴し、未払いだった残業代を支払わせたという事例もあります。

もしも見込み残業を超えた分の残業代が支給されていないことが発覚し、訴えを起こすという場合には、タイムカードや勤務時間表など残業時間が分かる資料と、残業代が支払われていないことが証明できる給与明細などが必要です。なお、働いた分の残業代が支払われている場合でも、自分で状況を把握するため、出勤日数・勤務時間をきちんと記録しておきましょう。

参照元
e-Govポータル
労働基準法

見込み残業代を除く残業代の計算方法

残業代は、厚生労働省「割増賃金の基礎となる賃金とは?」に記載のあるとおり、「1時間あたりの賃金額×残業時間×割増率」で算出可能です。残業代は基本的に割増賃金となるため、計算をする際は気をつけましょう。割増賃金には、時間外(残業)手当・休日手当・深夜(22時~5時)手当の3種類あり、条件によって1.25~1.5%の割増率が適用されます。法定労働時間(40時間)を超えた場合の通常の割増率は1.25%であるため、残業時間が週40時間を超えた場合は残業時間×基礎時給で出た値にさらに1.25をかけて算出しましょう。

なお、時間あたりの賃金額は、「月の所定賃金額÷1ヶ月の平均所定労働時間」で計算できます。

参照元
厚生労働省
割増賃金の基礎となる賃金とは?

1ヶ月の所定労働時間を170時間と想定した計算例

月給25万円(見込み残業代3万円含む)で、月に25時間残業した場合の残業代の計算方法は以下のとおりです。

250,000円(月給)-30,000円(見込み残業代)=220,000円
220,000円÷170時間(所定労働時間)=1,294.11円

上記の計算をすると、1時間あたりの賃金額が約1,294円であることが分かります。
さらに、残業代の計算式に則って、1,294円×25時間(残業時間)×1.25(割増率)を計算すると、約40,437円となり、見込み残業代として支給されている3万円を上回った金額に。

この場合、見込み残業代が支給されていても、差額の10,437円を残業代として受け取れます。

違法性が疑われる見込み残業制とは?

一定額の給与が保証される見込み残業制ですが、違法性を見抜く知識も必要です。ここでは違法性が疑われる場合について解説するので、見込み残業制を採用している会社に勤めている方はもちろん、転職を考えている方も参考にしてみてください。

見込み残業制であることが周知されていない

見込み残業制を採用している(今後する)場合、社員や応募者に周知することが義務付けられており、知らされていない場合は違法性が疑われます。見込み残業代を除いた「基本給の額」「見込み残業代に関する労働時間数と金額の計算方法」「見込み残業時間を超えた分の労働に対して割増賃金を追加で支給する旨」がすべて求人表や募集要項に示されているか確認してみてください。すでに見込み残業代を採用している会社で働いている人は給与規定を確認してみましょう。

見込み残業時間を超過した分の給与が未払い

前述のとおり、見込み残業制であっても、想定時間を超えて働いた分の残業代は労働者に支給する必要があります。想定時間を超えた労働をしているにも関わらず「うちは見込み残業制だから追加の残業代は発生しない」と言われた場合は、違法性が疑われるでしょう。

月45時間以上の見込み残業が設定されている

残業時間(時間外労働)は、1ヶ月につき45時間、1年で360時間までと「労働基準法36条」で定められています。はじめから45時間以上の残業が想定されている場合は、法律に反した運営をしている可能性が高いので要注意。
なお、45時間以上の見込み残業を設定することは法律違反となりますが、残業時間が45時間を超えているからといって必ずしも違法とは言えません。特別条項付き36協定を締結している場合は、この限りではないので注意しましょう。

参照元
e-Govポータル
労働基準法

特別条項付き36協定とは

特別条項付き36協定とは、一定期間のみ時間外労働の上限時間を延長できるようにする協定です。
繁忙期や決算期など、時間外労働の上限時間を超えて働く必要のある期間が予想される場合、労働者と特別条項付き36協定を結ぶことで、通常より長い残業を課せられます。

とはいえ、特別条項付き36協定を結んでも上限時間を延長できるだけであり、無制限に残業をさせられるわけではありません。特別条項付き36協定の適用条件や上限時間については、みなし残業の上限時間について詳しく紹介している記事「みなし残業の上限は何時間?年俸制の場合は?違法残業の見分け方や対処法も」をチェックしてみてください。

基本給が最低賃金を下回っている

見込み残業代を除く基本給が最低賃金を下回っている場合も、違法性が疑われます。使用者は、労働者に最低賃金以上の金額を支払わなくてはならないと「最低賃金法 第4条」に記載されており、最低賃金を下回る給与を設定することは法律違反です。
給与に見込み残業代を含む代わりに、基本給を下げて対応する企業もあるそう。一見、違法性のない金額に見えても実は法律に則っていない場合もあるので、しっかり確認しましょう。

参照元
e-Govポータル
最低賃金法

肩書きだけの管理監督者にされている

業務内容が、ほかの社員と同じであるにも関わらず管理監督者として設定されている場合、違法性が高いといえるでしょう。管理監督者とは、労働時間などに関する規定が適用されない立場であり、その旨は「労働基準法 41条」にも記されています。
管理監督者に関する規定を適用するため、名ばかりの管理者として設定されていることも。管理監督者の妥当性については、管理監督者の要件について詳しく紹介している記事『「名ばかり管理職」とは?』をチェックしてみてください。

参照元
Govポータル
労働基準法

見込み残業の違法性に気づいたときの対処法

見込み残業制の運営の仕方に違法性が疑われる場合は、泣き寝入りせずにきちんと対処することが大切です。違法性に気づいたときの対処法について、以下で解説します。

残業代が未払いの場合は証拠を会社に提出する

本来であれば支給されるべき残業代が支給されていないことに気づいた場合は、証拠を集めて会社に請求をしましょう。「見込み残業時間を超えた分の残業代をもらえていないようなのですが…」と口頭で伝えるだけでは、会社側にあしらわれてしまう恐れも。
タイムカードや勤務時間表など、見込み残業時間以上の労働をしていることが証明できるものを用意してから請求をしましょう。

労働基準監督署に相談する

違法な労働環境を社内の人に相談しても改善が見られない場合、会社が位置する地区を管轄する労働基準監督署に相談をしてみるのも一つの方法です。その際は、未払いの残業代を請求する際と同様、証拠を持っていきましょう。注意点については、労働基準監督署への相談について詳しく解説している記事「労働基準監督署に相談する方法」をチェックしてみてください。

裁判所に申し立てをする

法律に則って見込み残業制の運営がされていないことを会社に言っても改善されない場合や、言いづらさを感じる場合は、裁判所に申し立てをするという方法もあります。ただし、裁判を起こしてもすぐに解決されるわけではありません。判決が出るまでに半年以上かかる場合も。また、弁護士に依頼する場合は、費用が発生することも頭に入れておきましょう。

転職を検討する

違法性のある就業環境かつ改善が見込めないときは、転職を検討したほうが良いでしょう。つらい環境で働き続けることで、心身に不調をきたしてしまう可能性もあります。転職をする際は、求人表に記載されている条件をよく確認することが大切です。

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見込み残業に関するお悩みQ&A

法律が複雑なこともあり、自身の就業環境が適切なものか分からない場合もあるでしょう。ここでは、想定される見込み残業に関するお悩みをQ&A方式で解決していきます。

見込み残業時間を超える残業をしたら損?

想定時間を超えた分の残業代が支給されるため、損をすることはありません。万が一、支給されるべき残業代が未払いの場合は、証拠を揃えて会社に請求をしましょう。証拠がない場合は、会社に労働時間の記録を開示してもらうことで解決できます。残業申請の注意点については「記�