みなし残業制度のメリットは?デメリットも把握して損のない働きを目指そう

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この記事のまとめ

  • みなし残業とは、実際の残業時間に関わらず毎月一定額の残業代を支払う給与体系
  • 規定のみなし残業時間を超えた分は、追加の残業代が支給される
  • みなし残業のメリットは、残業が少なくても一定の収入を得られるところ
  • 企業側や従業員の理解が不十分だと、みなし残業はメリットではなくデメリットになる
  • ​​みなし残業を導入している企業の給与額や時間が適正かどうかをチェックしよう

転職・就職活動のなかで、「みなし残業」という求人を目にすることも増えてきました。みなし残業は働く人にとってメリットの多い制度ですが、なかには制度を理解できずに企業とトラブルになるケースもあります。このコラムでは、みなし残業の仕組みやメリット・デメリットを紹介します。みなし残業を正しく理解して自分が納得した条件で就職・転職先を選ぶために、ぜひ参考にしてください。

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みなし残業とは

みなし残業とは、毎月一定時間の残業が発生するとみなして、あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含ませておく給与体系のこと。「固定残業制度」とも呼ばれています。
通常の残業制度では、10時間残業すれば10時間分の残業代が支給されますが、みなし残業の場合は、規定の時間以内の残業であれば常に一定の額の残業代が支給される仕組みです。
みなし残業を導入している企業の求人には、以下のように記載されています。

例:月給25万円以上(※固定残業代3万8,000円、20時間相当分含む)

みなし残業が誤解されがちなポイント

みなし残業が設定されている場合でも、規定の時間まで残業をする必要はありません。労働時間の拘束が目的ではなく、あくまで給与体系の一つのためです。また、「みなし残業代が支払われているからいくらでも残業して・させていい」と考える方もいるようですが、前述したようにあらかじめ残業時間が想定されています。みなし残業代を超えた時間に対しては、追加で残業代が発生します。

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みなし残業の種類

みなし残業には「固定残業代制」と「みなし労働時間制」の2種類があります。

固定残業代制

固定残業代制とは、実際の労働時間に関わらず、あらかじめ決まった時間分の残業代を決めておく一般的なみなし残業制度です。
固定残業制を導入する場合、以下の内容を求人票に記載する必要があります。

・固定残業代を除いた基本給の金額
・固定残業代に関する労働時間数と金額などの計算方法
・固定残業代に相当する時間を超えた時間外労働、休日労働および深夜労働に対しては割増賃金(残業代)を別途払う旨

求人に固定残業制と書かれている場合は、上記の内容も記載されているか確認しましょう。

参照元
厚生労働省
固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。

みなし労働時間制

みなし労働時間制とは、実際に働いた時間に関係なく、決められた労働時間働いたとみなす制度です。事業場外で労働したり、正確な労働時間を把握するのが難しい一部の職種や業務内容に適応されます。
みなし労働時間制は、3つに分類されます。それぞれの制度名や特徴は以下の通りです。

制度名特徴
事業場外みなし労働時間制労働者が労働時間の一部または全部を事業場外で事業した場合、所定の労働時間働いたとみなす
専門業務型裁量労働制デザイナーや弁護士、研究者など、一部の専門的な職業を対象に、働いた時間が一定でなくても、所定の時間働いたとみなす
企画業務型裁量労働制企画や立案、調査など、働く時間を一定にするのが難しい業務内容の場合、所定の時間働いたとみなす

みなし残業制度を導入するメリット

みなし残業制度の導入は、労働者側だけではなく企業側にも多くのメリットがあります。
ここでは、労働者と企業それぞれのメリットについて解説します。

労働者側のメリット

みなし残業の制度導入で、労働者にもたらされる大きなメリットは残業をしてもしなくても一定の金額の残業代を得られること。毎日定時に退勤すれば、残業しなくても残業代を手に入れることが可能です。仕事を効率的に終わらせる能力の向上も期待できるでしょう。
さらに、みなし残業では、残業の有無に関わらず一定の残業代を得ることができるため、収入が安定しやすいのもメリットです。
通常の残業制度では残業が減れば収入も落ち込むのが一般的ですが、みなし残業制度では一定の月収が保障されているため収入が安定しやすくなります。毎月の収入を想定できるので、家計や将来に向けた貯金、ローン返済といった予定が立てやすくなるでしょう。

企業側のメリット

みなし残業制度の導入で企業側にもたらされるメリットは、人件費の変動が小さくなること。
みなし残業制度では、決まった時間までの残業代が一律になることで人件費の変動が小さくなり、長期的な経営の見通しが可能になります。また、一人ひとり残業代を計算せずに一律で支給できるため、給与計算を効率化できるのもメリットです。
また、みなし残業制度によって従業員の業務効率化が図れ、企業全体の生産性をあげることができます。みなし残業の場合は、残業をせず定時で帰っても支給される給与が同じです。そのため、従業員が「無駄な残業をしないようにしよう」という意識が高まることで仕事の質が上がります。その結果、企業全体の生産性の向上にもつながるでしょう。

みなし残業制度を導入するデメリット

みなし残業は、適切に運用すれば労働者にメリットの大きい仕組みです。しかし、企業や従業員の誤った理解によって、労働者にデメリットが生じる場合もあります。ここでは、みなし残業制度を導入することで生じるデメリットを3つ紹介します。

超過分の残業代が貰えないことがある

みなし残業では、みなされた時間を超過した分の残業代が貰えないケースがあります。
しかし、前述したとおり超過分の残業代が支払われないのは違法行為。きちんと証拠を集めて請求すれば残業代を取り戻すことも可能です。とはいえ、スムーズに賃金が受け取れないというのは労働者にとって多大なストレスになるでしょう。

残業代の未払いが発生する原因として、以下の3つが挙げられます。

・従業員の労働時間の管理を怠っている
・みなし残業代が残業代の全てだと認識している
・従業員に故意にサービス残業をさせている

企業側が従業員の実労働時間を管理していない場合や、そもそも「みなし残業代だけで全ての残業代を賄える」と誤認しているケースがあります。
なかには超過分の支払い義務を知りつつ、支払わないといったケースもあります。当然そのような行為も違法であるため、労働基準監督署などに通告し、運営の改善を図りましょう。

定時で帰りづらくなる

みなされた時間ギリギリまで残業するのが当たり前になり、定時で帰りづらくなっているケースがあります。「残業代を支払っているのだから」と残業を強要されるケースもあり、暗黙の了解という雰囲気に呑まれて残業をしてしまう人も多いようです。
この問題を解消するためには、企業側が従業員の意識改革を行い、残業を押し付けない社風をつくることが大切です。

基本給が低く設定されていることがある

みなし残業制度を導入している企業の給与は、基本給と固定残業代が合計されています。そのため、通常の残業制度を採用している企業に比べて給与が高いと感じることもあるでしょう。しかし、基本給が低めに設定されていると、ボーナス額に影響する可能性があります。
時給に換算した際に各都道府県で定められている最低賃金を下回るのは、最低賃金法違反となります。違法な企業に就職してしまわないためにも、求人の段階で入念に確認しておきましょう。

みなし残業によるトラブルの対処法や、違法求人を回避する方法については、「みなし残業は違法?本来の目的と残業代不払いの際の対処法を解説」をチェックしてみてください。

参照元
e-Gov法令検索
最低賃金法第4条・第40条

求人でみなし残業制度を確認するときのポイント

みなし残業制度を導入している企業の求人を見る際は、以下の3つのポイントを確認しましょう。

基本給と固定残業代を区別できるよう記載している

みなし残業制度を導入している場合、求人には基本給と固定残業代(みなし残業代)を区別できるよう正確に表示することが定められています。
給与として基本給と固定残業代の合計金額を記載するのは問題ありませんが、求職者が基本給を算出できるよう表記しなければなりません。

例:給与/25万円(固定残業代3万8,000円を含む)

上記の例では、「25万円の中に3万8,000円が含まれている」というのが正しい認識です。「基本給が25万円で、固定残業代3万8,000円が上乗せされる」と勘違いしないようにしましょう。

みなし残業時間や労働時間が明記されている

みなし残業時間(固定残業代)や労働時間が明記されているか確認しましょう。
求人には、固定残業代の額だけではなく、固定残業代(みなし残業代)に相当する労働時間の記載が必要です。

例:給与/25万円(固定残業代3万8,000円、20時間分を含む)
1日の所定労働時間/8時間

一定期間における残業時間の上限は、通常の労働では月45時間、変形労働時間制では月42時間。上限を大幅に超えた時間をみなし残業として規定している企業は、過酷な長時間労働や不適切な運営が行われている可能性がありますので、注意しましょう。

違法な残業を強いられていないか調べる方法は「みなし残業の上限は何時間?年俸制の場合は?違法残業の見分け方や対処法も」でも紹介していますので、あわせて参考にしてください。

超過分の残業代について明記されている

みなし残業時間を超えた分の残業代について、明確に記載されているか確認しましょう。

例:給与/25万円(固定残業代3万8,000円、20時間分を含む)
※20時間を超える労働については別途残業代を支給

みなし残業時間を超過した場合「別途支給」「追加支給」などを明らかにする必要があります。

未払いの残業代の請求手順

みなし残業で損をしないためには、まず自分が受け取るべき残業代をしっかりと把握することが大切です。それでもなお残業代が未払いになるのであれば、以下を参考に受け取るべき金額を算出し、証拠とともに企業に提出して支払い請求を行いましょう。

1.受け取るべき残業代を把握する

まずは、自分の残業代を計算し、受け取るべき金額を把握します。計算をするにあたって、まずは以下の6つの情報を確認しましょう。

・基本給
・年間労働日数
・所定労働時間
・月の実残業時間
・残業時間に対応する割増率
・固定残業代(みなし残業代)

月給25万円 (固定残業代3万8,000円を含む)、1日の所定労働時間8時間、年間休日120日の場合を想定して計算すると、受け取るべき残業代の計算方法は以下のとおりです。

1.基本給と年間労働日数、所定労働時間を用いて自分の基礎

時給額を算出

21万2,000円(基本給)÷{(365日-120日(年間休日))×8時間(所定労働時間)÷12ヶ月}
=1298円/時間(基礎時給額)

2.1で求めた基礎時給額と実残業時間、対応する割増率を用いて、支払われるべき残業代を算出

割増率は法内労働(1日8時間、週40時間以内)の深夜帯(午後10時~翌午前5時)で1.25倍、法外労働(1日8時間、週40時間超)の午前5時~午後10時で1.25倍というように、労働条件によって変わりますので、自分の条件に合わせて計算してください。

基礎時給額:1298円、実残業時間:50時間、割増率:1.25倍
1298円(基礎時給額)×1.25(時間外労働割増率)×50時間=8万1,125円

3.現在受け取り済みの残業代と比較する

みなし残業では、実際の残業時間に従って支払われるべき金額が、みなし残業代でカバーできているかどうかを確認することが大切です。給与明細には基本給やみなし残業代、超過分の残業時間などが分けて記載されているため、確認してみましょう。

支払われるべき残業代:8万1,125円、みなし残業代:3万8,000円
→4万3,125円の残業代が企業側から支払われていない

よって今回の例の場合、本来は4万3,125円受け取れるはずだったことがわかります。

2.未払いの残業代を請求する

受け取れるはずだった残業代がわかったら、タイムカードや勤怠記録、残業指示書などを証拠として用意し、企業に支払い請求をしましょう。
請求しても企業側が支給を行わない場合は、労働基準監督署や弁護士に相談します。それでも支払わない場合は、最終手段として「労働審判」にかけましょう。
ただし、労働基準法では、残業代の請求権は2年で消滅するとされているため、未払いが発覚した場合は早めの行動が必要です。

参照元
e-Gov法令検索
労働基準法第115条

就職や転職をする際は、労働条件の確認が重要となるため転職エージェントに相談して気になる点を事前に企業に確認してもらいましょう。

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みなし残業に関するFAQ

みなし残業に関するお悩みや質問をQ&A方式でお答えします。

残業をしなくてもみなし残業代をもらえるって本当?

みなし残業制度を導入している場合、残業の有無にかかわらずみなし残業代が支払われます。
そのため、残業をせずに帰れるよう業務を効率的にすすめれば、早く帰れるうえに残業代ももらえるでしょう。

みなし残業で基本給が低くなる?

みなし残業制度を導入している場合、企業によってはあらかじめ基本給を低めに設定しているケースがあるようです。基本給が低いと残業代やボーナス、退職金も低くなってしまうので要注意。「基本給とは?低いと損する基本給と給与内訳の仕組み」のコラムで詳しく解説しています。基本給とみなし残業代を合わせた額を求人に載せているケースがありますので、事前にしっかり確認しましょう。

みなし残業時間を超過した分の残業代が払われなかった…

みなし残業時間をした場合、追加で残業代を支払うよう労働基準法で定められています。みなし残業時間を超過したにも関わらず支払いをしなければ労働基準法違反となりますので、証拠を集めて企業側に残業代を請求しましょう。「残業代が出ない時、どうしたらいい?」のコラムもご確認ください。

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