みなし残業の上限は何時間?年俸制の場合は?違法残業の見分け方や対処法も

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この記事のまとめ

  • みなし残業は、あらかじめ想定される時間分の残業代が給与に含まれていることを指す
  • みなし残業には上限が決められていて、それ以上の時間を設定することは違法
  • 繁忙期など必要な場合に限り、みなし残業の上限時間を延長できる
  • 年俸制であっても、みなし残業の上限や追加賃金が発生する条件は月給制と同様
  • 違法なみなし残業を見分けるには「時間」「給与」「業務内容」をチェックする

みなし残業という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのような制度なのか知らない人も多いでしょう。みなし残業は、想定される残業時間分の賃金をあらかじめ給与に組み込んでいることを指します。上限時間など知らずにいると、気づかないうちに違法な残業をさせられていることも。損のない働き方をするために、みなし残業について詳しく知っておきましょう。

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みなし残業制度とは

みなし残業制度とは、あらかじめ残業の時間を想定し、その分の賃金を給与に含められる制度のこと。「みなし残業」と呼ばれることが多いですが、厚生労働省の定める「固定残業代制」も同じものです。
みなし残業制を採用している場合、給与には一定の残業代が含まれているので、決められた時間内であれば残業に対して新たに賃金が発生することはありません。たとえば、就業規則等の給与欄に「月30時間の残業を含む」と記載がある場合、給与には30時間分の残業代がはじめから含まれていることになります。
みなし残業制を導入する際、会社側は労働者と「36(サブロク)協定」を結び、労働基準監督署に届け出なければいけません。

労働基準法で定められている「36協定」って?

正式には「時間外・休日労働に関する協定」といい、労働基準法第36条で定められている協定であることから一般的に「36協定」と呼ばれます。
「みなし残業=残業をする前提」ということですが、会社側は社員へ一方的に残業を命じることはできません。前述のとおり、時間外労働もしくは休日出勤が必要な場合には、かならず社員と36協定を結んだうえで労働基準監督署に届け出る必要があります。届け出をせず、会社だけの判断で社員に時間外労働をさせることは労働基準法違反です。

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みなし残業時間の上限は?

36協定には、時間外労働の上限時間が定められています。みなし残業の上限は、原則1ヶ月間で45時間、年間で360時間です。「みなし残業が45時間は多い!違法なのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、36協定に定められている範囲内である限り、基本的に違法ではありません。

みなし残業は上限の延長が可能

「特別条項付き36協定」を導入している場合、みなし残業の上限時間を延長できます。「特別条項付き36協定」とは、時間外労働の上限を超える労働が年6回まで認められている制度。決算時期や納期が迫っている時など、普段より業務量が増える場合に適用されます。
従来は、特別条項付き36協定を結んでいる場合、残業時間に上限はないとされていました。しかし、働き方改革の施行により、2020年現在では上限が「1ヶ月間100時間未満、年間720時間以内」と定められています。
ただし、特別条項付き36協定を結んでいるからといって、会社は毎回100時間近い残業をさせることはできません。1年間に複数回適用する場合「2~6回の平均は80時間以内」に収める必要があります。

みなし残業の延長しすぎは要注意

みなし残業の上限は延長が可能ですが、あくまでも繁忙期に対する臨時措置であり、基本的に残業時間は月45時間以内に収めなくてはいけません。
就業規定や賃金規定に「残業60時間を含む」などの記載がある場合は、違法な労働環境である可能性も。「残業時間がやたらと多い」と感じる方は、残業した時間や上限を超えている月の数を改めて確認してみましょう。

参照元
厚生労働省
「時間外労働の限度に関する基準」

みなし残業のメリット・デメリット

みなし残業のメリットとデメリットについて詳しく解説します。みなし残業と聞くと「有無を言わさず残業させられるのかもしれない…」とマイナスなイメージを持つ方も多いでしょう。しかし、みなし残業にはメリットもあります。

メリット:みなし残業制は安定して残業代がもらえる

みなし残業制を導入している場合、残業時間が少なくても一定の残業代がもらえます。みなし残業として給与に含まれている残業代はあくまでも"予想時間”です。
実際の残業時間が、みなし残業時間よりも短かった場合でも給与は変わりません。毎月の給与が安定していることは、大きなメリットといえるでしょう。

デメリット:労働基準法に違反している場合がある

みなし残業のデメリットは、違法な労働環境となりやすい点です。労働基準法は会社を経営する際にかならず守らなくてはいけない法律ですが、なかには従っていない会社もあります。
36協定は働き方によって上限時間が変化したり、業種によっては一部適用されない項目があったりするなど、内容がやや複雑です。
本来であれば法律に従っていない会社は罰せられるべきですが、労働者側が特に気づかない場合は見過ごされてしまうことも。
適用される労働基準法についてしっかり把握し、違法な働き方にいち早く気づくことが大切です。

違法なみなし残業を見極める5つのポイント

損のない働き方をするために、法律が守れているかどうかを判断するポイントについて解説します。前述のとおり、労働基準法にはやや複雑な部分があり、内容が把握できていないと違法性にも気づくことができません。そのような事態を避けるため、チェックすべきポイントをしっかり把握しておきましょう。

1.みなし残業を超えた分の残業代が支払われているか

みなし残業として定められている時間の範囲を超えた際には、残業代が支払われます。たとえば、「月40時間分の残業を含む」と給与規定に記載されている場合、40時間を超えて働いた分の賃金は通常の給与に追加で支給される決まりです。
会社が決めているみなし残業時間よりも多く働いているのにも関わらず、追加の賃金が支払われない場合は違法な労働環境である可能性が高いでしょう。

年俸制でもみなし時間超過分の賃金はもらえる

年俸制では残業代が発生しないと思っている方も多いようですが、給与形態に関わらず残業代は支給対象です。36協定は給与形態によっての変化はありません。
年俸制であっても、みなし残業時間を超えた分の残業代はしっかりもらえます。また、みなし残業の上限時間も月給制の場合と同様なので、働き方や給与に違和感があるときは改めて就業規定を確認してみましょう。

2.みなし残業についての説明はされているか

みなし残業を導入する際は、かならず労働者の同意が必要であり、会社側が一方的に時間外労働をさせることはできません。給与の内訳について説明がない、もしくは聞いても教えてもらえない場合は、会社側にとって何かしら不都合がある可能性も。
また、就業規則を確認させてもらえない場合も同様です。就業規則は社員がいつでも確認できるよううにすべきものであり、勝手な改定なども許されていません。「就業規定が見当たらない」という場合は、人事課や総務課に問い合わせてみましょう。

3.みなし残業時間が長過ぎないか

前述のとおり、みなし残業には上限が定められています。特別条項付き36協定を結んでいたとしても、適用されるのは1年で6回までです。
「月50時間分の残業を含む」など、上限を超えた残業時間が設定されている場合は、月数や平均時間をしっかり把握しておく必要があります。

4.基本給が最低賃金を下回っていないか

みなし残業代や追加残業代が支払われている場合でも、基本給が最低賃金を下回っている場合は注意が必要です。みなし残業の有無に関わらず、会社側は労働者に最低賃金もしくはそれ以上の給与を支払わなければいけません。
「残業している割に給与が低い」と感じたら、改めて計算をしてみたほうが良いでしょう。最低賃金の計算方法については「自分の給与を把握しよう!正社員の最低賃金について解説」を参考にしてください。

5.肩書きのみの管理者を設定していないか

通常の社員と仕事内容や給与が同じであるにも関わらず、肩書きのみを管理者とする悪質なケースもあります。労働基準法では「管理監督者」は経営者と同じ立場にあると判断され、労働時間の制限がなく、残業代の支給対象にもなりません。
特別な権限などを与えられていない状態で、管理監督者とされている場合は会社や窓口などに相談してみましょう。

違法なみなし残業の対処法

「違法な働き方をさせられているかもしれない」と感じたら、見過ごすことはせずにまずは窓口などに相談することをおすすめします。
違法なみなし残業について相談できる場所は以下のとおりです。

電話相談窓口

「違法かどうか確認したい」など、労働環境について聞きたいことがある場合は、厚生労働省の運営する「労働条件相談ホットライン」に電話をしてみましょう。
専門知識をもつ相談員が、疑問や悩みを解決するためのサポートをしてくれます。

参照元
厚生労働省
「労働条件相談ほっとライン」に相談してみよう!」

社内の相談窓口

社内に労働に関する相談窓口が設置されている場合は、そちらに相談しても良いでしょう。相談窓口がない場合は、人事課など労働条件について把握している部署に問い合わせます。

労働基準監督署

労働環境の違法性が明らかな場合は労働基準監督署に相談をしましょう。相談をする場合は、違法性が分かる証拠を揃えておくことが大切です。証拠となるものは、雇用に関する書類やタイムカード、給与明細など。
証拠を確認したうえで違法性が疑われる場合は、労働基準監督署が会社へ直接行き、調査や指導を行います。

転職時に確認すべきポイントは?

理想の働き方をするためには、待遇や給与以外にもチェックすべきポイントがあります。転職先を選ぶ際に確認すべきポイントは以下のとおりです。

・労働契約期間や更新に関する事項
・勤務地や業務内容
・就業時間や時間外労働について
・休日数や福利厚生について
・給与の内訳
・退職に関する内容

がない場合は、人事課など労働条件について把握している部署に問い合わせます。

求人票などを見て、少しでも疑問に思う部分があれば採用担当者に聞いてみましょう。採用担当者がしっかり把握していない場合や、回答を濁される場合は慎重に判断をする必要があります。

みなし残業に関するFAQ  

ここでは、想定される「みなし残業」に関するお悩みをQ&A方式で解決していきます。

みなし残業の拒否はできる?

みなし残業があらかじめ設定されていて、賃金が支払われている場合は「業務命令」であるため、基本的に従う必要があります。ただし、「体調が優れない」などの理由で残業を断ることは可能です。やむを得ず残業を断ったからといって解雇になる可能性は極めて低いと考えられるので、無理のない範囲で働きましょう。残業を拒否できるケースについては「残業を強制されたら断れる?法律の仕組みとは」でも紹介しています。

残業時間が短いと給与は減額される?

実際の残業時間がみなし残業時間よりも短かったからといって、給与が減額されることはありません。みなし残業はあくまでも会社側が残業時間を予測して、給与に組み込んでいるもの。給与が変わるのは、みなし残業時間を超えて労働をしたときのみです。残業時間が想定よりも短い場合については、このコラムの「みなし残業のメリット・デメリット」の見出しでも紹介しています。

サービス残業の拒否はできる?

労働時間分の残業代が支払われていない場合は、残業を拒否することが可能です。もし、残業を続けるのであれば未払いの残業代を請求しましょう。残業代の請求方法については「残業代が出ない時、どうしたらいい?」をご覧ください。

違法なみなし残業の証拠がない…

証拠がない場合は、会社に証拠を提出してもらいます。会社は労働者の勤務時間などを管理する義務があり、その記録は3年間保管しなければいけません。何らかの事情で開示を拒否された場合は、「証拠保全手続き」を行い、裁判官を通じて証拠を提出してもらいましょう。

参照元
厚生労働省
「労働時間の適切な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」

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