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薬剤師の年収はどれくらい?男性・女性別の平均や他職種との比較を解説!
更新日
この記事のまとめ
- 薬剤師の平均年収は2022年で約583万円で、企業規模による差が少ない
- 女性の薬剤師は男性に比べて年収は低いものの、ほかの職種に比べると高い水準
- 薬剤師の年収は日本の平均よりも高く、医療関係者のなかでも高い傾向にある
- 年収アップを目指すなら、管理薬剤師や認定薬剤師になるのも方法の一つ
「薬剤師の年収はどのくらい?」と気になる方もいるでしょう。薬剤師は大学で6年間の養成課程を修了しなければ資格試験が受けられない仕事の1つ。そのため、「難関資格だから年収が高そう」というイメージがあるようです。このコラムでは、薬剤師の平均年収を男性・女性別、都道府県別に解説。また、そのほかの医療関係者との比較や、薬剤師が年収アップを目指すための方法もまとめています。
薬剤師の年収はどのくらい?
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」をもとに計算すると企業規模10人以上における薬剤師の平均年収は497万5,200円でした。さらに、「賞与その他特別給与」を加えると、583万3,900円になります。以下では、企業規模別・都道府県別・年齢別の平均年収について詳しく見ていきます。
企業規模別に見た男性・女性の平均年収
薬剤師の平均年収を企業規模別に、男性・女性それぞれに分けると以下のとおりです。以下の金額は、月収×12ヶ月+年間賞与で計算しています。
企業規模 | 10人以上 | 10~99人 | 100~999人 | 1,000人以上 |
---|---|---|---|---|
男性 | 637万700円 | 596万3,300円 | 658万4,400円 | 635万2,300円 |
女性 | 540万1,000円 | 568万6,000円 | 520万1,600円 | 542万2,600円 |
男女計 | 583万3,900円 | 579万3,600円 | 581万5,600円 | 585万7,200円 |
引用元:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 職種別」
上記の結果から、男性と女性で給与に差があることが分かります。また、企業規模によっても平均年収が変わりますが、そこまで大きな差はないことも見て取れます。
参照元
e-Stat
令和4年賃金構造基本統計調査「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
都道府県ごとの平均年収ランキング
都道府県によっても、薬剤師の平均年収は異なります。以下で、同調査の都道府県別のデータを月収×12ヶ月+年間賞与で計算し、上位5位のランキングにして表にまとめました。
順位 | 都道府県 | 平均年収 |
---|---|---|
1位 | 宮崎県 | 717万7,000円 |
2位 | 熊本県 | 684万1,100円 |
3位 | 静岡県 | 637万9,600円 |
4位 | 京都県 | 633万7,700円 |
5位 | 大阪府 | 632万円 |
引用:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 都道府県別」
宮崎県、熊本県は毎月「きまって支給する現金給与額」が高いため、年収が高くなっています。また、静岡県・京都府・大阪府については「年間賞与その他特別給与額」が高いため、上位5位までにランキングしました。上記の結果から、首都圏が必ずしも年収が高いとは言えないため、年収アップを目指したい方は、地方の企業への就職を検討してみても良いでしょう。ただし、月収は勤続年数によることや、賞与は毎年の実績によって変わることなどを踏まえると、ランキングは変動する可能性があることもあわせて押さえておきましょう。
参照元
e-Stat
令和4年賃金構造基本統計調査「都道府県、職種(特掲)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)(役職者を除く)」
年齢別の平均年収
同調査の年齢別の平均年収を月収×12ヶ月+年間賞与で計算して以下にまとめました。薬剤師は年齢が若いうちは、それほど年収が高くないものの、長く勤めるほど昇給が見込めるようです。
年齢 | 勤続年数 | 平均年収 |
---|---|---|
20~24歳 | 0.5年 | 381万2,700円 |
25~29歳 | 1.9年 | 464万8,800円 |
30~34歳 | 5年 | 564万1,300円 |
35~39歳 | 8.8年 | 608万700円 |
40~44歳 | 10.3年 | 630万4,100円 |
45~49歳 | 15.2年 | 641万2,200円 |
50~54歳 | 15.2年 | 665万6,000円 |
55~59歳 | 16年 | 717万3,900円 |
引用元:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 職種」
勤続年数が伸びるにつれて、毎月決まって支払われる給料だけでなく、「賞与その他特別給与」も高くなるようです。ただし、薬剤師の年収は、50〜54歳をピークに下がる傾向にあります。
勤続年数に応じて昇給する制度とは
勤続年数に応じて昇給する制度を、「定期昇給」といいます。近年では、定期昇給制度を採用している企業は減少傾向にあるものの、導入されている企業や職種はあるため、覚えておくと良いでしょう。「定期昇給ってなに?平均上昇率とアップに有効な方法とは」のコラムで、定期昇給による平均的な昇給率を紹介しているので、あわせてご覧ください。参照元
厚生労働省
令和4年賃金構造基本統計調査「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
薬剤師の年収は就職先によっても異なる
厚生労働省の「第24回医療経済実態調査(医療機関等調査) 報告」によると、就職先による薬剤師の年収の違いは以下のようになっています。このデータは、常勤職員の平均年収です。
勤務先 | 平均年収 |
---|---|
一般病院(国立) | 626万5,471円 |
一般病院(社会保険関係法人) | 594万9,629円 |
一般病院(医療法人) | 528万6,383円 |
一般診療所(個人) | 709万1,189円 |
一般診療所(医療法人) | 741万6,328円 |
保険薬局(個人と法人を含めた全体) | 486万4,287円 |
引用元:厚生労働省「第24回医療経済実態調査(医療機関等調査) 報告」
上記のほか、薬剤師の就職先は製薬会社や薬局、ドラッグストアなどがあり、就職先によって平均年収に差があるようです。また、一般的には実力主義といわれる製薬会社では年収が高く、病院内の薬剤師は年収がやや低めといわれています。しかし、年収が低めであっても、病院では幅広い知識が得られスキルアップできる点が魅力といえるでしょう。薬剤師の就職先の1つであるドラッグストアについて「ドラッグストア業界の仕事」のコラムで詳しく紹介していますので、こちらも併せてご覧ください。
参照元
厚生労働省
第24回医療経済実態調査の報告(令和5年実施)
薬剤師の年収をほかの職種と比べてみよう
薬剤師になるには、国家資格に合格する必要があります。国家試験を受けるには大学の薬学部で6年間の養成課程を修了しなければならないうえ、試験は年に1回しかありません。合格率は高いものの、簡単になれる職種ではないため、比較的年収は高めといえるでしょう。以下では、薬剤師とほかの職種との年収の違いをデータをもとに解説します。
日本の平均年収との比較
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は458万円でした。男女別に見ると、男性の平均給与は563万円、女性は314万円です。前述のとおり、薬剤師の平均年収は583万3,900円なので、およそ125万円の差があると分かります。薬剤師の年収はほかの職種に比べて高く、特に女性は年収の差が大きいといえます。
医療関係者との比較
では、薬剤師以外の医療関係者とは、どの程度違いがあるのでしょうか。以下で、薬剤師以外の医療関係者の平均年収を紹介します。厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」をもとに、月収×12カ月+年間賞与で計算した医療関係者の平均年収は以下のとおりです。
職種 | 平均年収 |
---|---|
医師 | 1428万8,900円 |
保健師 | 481万2,800円 |
助産師 | 584万2,100円 |
看護師 | 508万1,300円 |
准看護師 | 418万1,700円 |
診療放射線技師 | 543万7,400円 |
臨床検査技師 | 508万9,200円 |
引用:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 職種」
薬剤師の平均年収582万5,075円は、医師・助産師に次いで高い金額であることが分かります。薬剤師は、日本の平均年収に比べて高いだけでなく、医療関係の職種のなかでも年収が高いといえるでしょう。
参照元
厚生労働省
令和4年賃金構造基本統計調査「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
薬剤師が年収アップを目指す方法
薬剤師が年収をアップさせるためには、昇進を目指したり、資格を取得して専門性を高めたりするなどの方法があります。前述のとおり、20~24歳の薬剤師は平均年収が373万4,767円で、日本の平均年収に比べて低めです。長く働くほど年収は上がりますが、自分の努力次第で平均より高い年収を目指せるでしょう。
1.昇進する
薬剤師は、製薬会社の管理職や病院の部長、薬局長などを目指すことで年収をアップさせる方法があります。ただし、就職先によって昇進制度や昇給率は異なるため、応募先の会社がどのような制度なのか確認しておくと良いでしょう。昇進するためには、マネジメント能力やコミュニケーション能力といった、薬剤師以外のスキルも必要です。また、製薬会社で昇進を目指す場合、患者と接する機会が減るため、現場が好きな人には向いていない場合もあります。年収アップのために、やりたい仕事と異なる業務に就いても問題ないか、考える必要があるでしょう。
2.資格を取得する
薬剤師資格のほかに、管理薬剤師や認定薬剤師、専門薬剤師といった資格を取得することで手当が支給される場合があります。また、資格取得によって専門スキルが高まるため、昇給による年収アップがしやすくなるようです。以下では、薬剤師の資格を紹介します。
管理薬剤師
薬局などに設置が義務づけられている責任者としての資格です。一般の薬剤師が行う調剤や服薬指導のほか、管理業務や副作用情報の報告など、管理薬剤師にしかできない業務があります。管理薬剤師になるためには、薬局で5年以上の実務経験、または同等の能力・経験を積むことが推奨されているため、誰でも取得できる資格ではありません。そのため、管理薬剤師になると役職手当がつくのが一般的です。
認定薬剤師
認定薬剤師は、医療における最新の知識や技術を持つ薬剤師です。資格を取得するためには、指定の研修に参加し、単位を得る必要があります。認定薬剤師認証研修機関に申請し、認定されれば合格です。さらに、認定後も定期的に単位を取得し、資格を更新する必要があります。そのため、認定薬剤師の資格を取得していることで、常に新しい知識や技術を学んでいる証明になり、転職にも有利に働くようです。
専門薬剤師
認定薬剤師の上位資格といわれているのが専門薬剤師です。薬剤師として必要な知識は一通り身についているのを前提とし、さらに薬物療法の専門家として医師や看護士と連携できる能力が求められます。医師の右腕といわれるほど、高い専門知識を持つ薬剤師といえるでしょう。専門薬剤師の資格を取得するためには、認定薬剤師(領域別)の認定を受けていることに加えて、複数の講座を受けることや、実技研修、論文作成などが必要です。道のりは長いものの、専門薬剤師になれば職能給や手当がつき、年収アップが期待できるでしょう。就職においても、需要は高いといえます。
3.転職する
薬剤師の平均年収は、企業規模による差は少ないものの、賞与や福利厚生による年収アップを実現するなら大手企業への転職を検討してみるのも良いでしょう。また、薬学部出身である場合は、製薬会社の研究職への転職もおすすめ。特に、大手企業の研究職は年収が高いといわれています。ただし、製薬会社の研究職は、薬学部の大学院を卒業した人が多く、就職は狭き門です。募集人数が少ないうえ、生物学や化学系の大学院卒もライバルになり、高い専門知識が求められます。しかし、製薬会社は実力主義といわれており、成果を出せば年収アップが可能です。そのほか、薬剤師の平均年収が高い地域の企業へ転職するのも一つの方法といえます。「医薬品業界の仕事」のコラムでは、医薬品業界の志望動機の例文を紹介しているので、参考にしてみてください。
薬剤師の有効求人倍率は高い
厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和5年11月分)について」によると、2023年11月の「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」の有効求人倍率は3.09倍(パートは除く)でした。パート勤務も含めた全体の有効求人倍率は1.32倍なので、薬剤師は平均に比べて、倍以上の求人があることになります。参照元
厚生労働省
一般職業紹介状況(令和5年11月分)について
4.派遣薬剤師になる
派遣薬剤師の時給は2,500〜3,000円程度といわれており、一般的な派遣社員より高い水準です。フルタイムで働けば年収600万円も夢ではありません。ただし、派遣社員の場合は雇用期間に定めがあり、正社員に比べて不安定な立場ではあります。その分、働き方の自由度が高いので、プライベートを大事にしながら働きたい場合はおすすめです。
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京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。