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リース業界の仕事
更新日
リース業界とは
リース業界とは、企業相手に事業で使用する機械などを長期にわたって貸し出す「リース業」を展開する企業の総称です。リース契約を結ぶ企業としては、事業開始時に高額な物品を購入する必要がないので、初期投資を押さえられるといったメリットがあります。また、貸し出されるものは新品なので、リース契約のたびにいつも最新の設備を使用できるといった点も良い点といえるでしょう。
リースとは
リースとは賃貸借を意味する言葉ですが、転じて「リース企業が借り手企業に対し物品を長期間にわたって貸し出す業務形態」を指します。
リース業は大きく分けて「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の二つに分かれるのが特徴です。両者の違いは主に、そのリース契約が売買契約になるか賃貸借契約になるかという点といえるでしょう。どちらの契約になるかによって、リース料の内訳やその物品が借り手企業の資産になるかどうかという点が変わります。以下、それぞれの概要を見ていきましょう。
ファイナンス・リース
ファイナンス・リースとは、リース契約のうち中途解約ができず、物品の取得価格や諸経費をすべて借りた企業が支払う契約を指します。つまり、借り手企業が間接的に物品を購入している状態ともいえるでしょう。
ファイナンス・リースは基本的に売買契約で物品は借り手企業の資産となりますが、物品の価格やリース期間などによって異なり、契約内容はその都度細かく決まるようです。
オペレーティング・リース
オペレーティング・リースは、ファイナンス・リースにあたる契約以外のすべてのリース契約を指すものです。リース契約がオペレーティング・リースにあたるかどうかはリース期間と物品の使用耐用年数、リース料総額と物品の購入額を比較したうえで決まります。
リース契約の流れ
リース契約は、次のような流れで締結されます。以下、それぞれ見ていきましょう。
1.リースの引き合い
まずは、借り手企業がリース企業に物品を借りたい旨を申し出るとともに、借りたい物品の明細をリース企業に送ります。それを受けて、リース企業は借り手企業との間でどんな契約を行うのかを検討し、契約内容の作成に入ります。
2.リース契約の説明
リースの対象となる物品が決まったら、リース企業が借り手企業に契約内容の説明をします。借り手企業がリース契約について把握したら、物品のリース料の試算にうつります。
3.リース料の試算
リース企業は、貸出期間や物品の価格、性質などからリース料を試算します。リース料は、リース契約が満了した際の物品価値や物品の耐用年数などで決まるようです。
4.リース契約の申し込み
リース料の説明が終わったら、借り手企業はリース企業に過去3年間の会社経歴書や過去3期分の財務資料を提出したうえで契約の申し込みを行います。財務資料の提出は、借り手企業に支払い能力があるかどうか判断するためです。
5.審査
リース企業は借り手企業の資料をもとに、長期にわたってリース料を支払い続ける能力があるかどうかの審査を行います。審査の結果、借り手企業がリース料の支払いが困難であるとされた場合、契約することはできません。
6.リース契約の締結
審査に通れば、リース契約の締結です。リースの条件を互いに確認したうえで契約書を交わします。
7.物件の発注・納入
リース企業が物品を扱う企業(サプライヤー)に注文証を出してリース対象の物品を発注します。発注元はリース企業ですが、物品は借り手企業に直接納入されるのが特徴です。
8.リース開始
物品が納入されたら借り手企業は物品を使用するうえで問題ないかチェックし、リース開始です。リースが始まると同時に、借り手企業はリース企業に「物件借受証」を提出します。
9.リース料を支払う
最初に、借り手企業はリース企業に一回目と前払い分のリース料を支払います。その後、期間中は規定通りのリース料を支払う必要があります。
10.リース期間満了
リース期間が満了したら、借り手企業はその物品を使用し続けるかリース企業に返却するのかを決めます。再リースの場合、最初のリース料より大幅に割安になる場合が多いようです。
代表的な仕事
リース企業が契約で取り扱う物品は多岐にわたります。リース対象となる主な物品には、以下のようなものが挙げられるでしょう。
・パソコン
・産業機械
・工作機械
・不動産
・OA機器
・航空機
リース契約の対象となるのは、主に高額な機器類が多いです。
借り手企業は、事業経営に必要である高額な機器類をリースにすることで「初期投資を抑えられる」「月々の支払いが一定額になる」「常に最新の機器を利用できる」といったメリットが得られます。上記に挙げたもののほか、医療施設のMRIやレストランの厨房機器などのリース契約も多いようです。
リース業界に関連する業界
リース業界は多くの物品を取り扱うことから他の業界との関連が深いうえ、資本力をもとに他の産業に積極的に参入している企業が多いのが特徴です。以下、リース業界とかかわりの深い業界をご紹介します。
製造業
製造業はリース業界と関わりの深い業界の一つです。製造業で使用する精密機械はリースで導入されることが多く、リース企業にとってメインの取引先となっている業界といえます。
情報通信業
大手情報通信企業を経営母体に持つリース企業もあります。タブレットといった情報通信機器以外にも、ドローンやLED照明、高度医療機器なども取り扱っているようです。
生命保険業
リース企業の中には、その資本力を活かして生命保険業を展開しているところもあります。グループ企業の中でも保険業の売り上げは大きく、主力産業となっていることもあるようです。
不動産業
不動産業もリース業と関係の深い業界の一つです。建物をリース契約する場合は、リース企業が地主から土地を借りたうえで建築した建物を貸すという構図になります。一般的に「不動産リース」と呼ばれる形態です。
銀行業
メガバンクがリース企業の母体となっていたり地方銀行が直接リース業を展開していたりと、銀行業とリース業界は深い関わりを持ちます。リース業はそもそも金融ビジネスの一環であるうえ、資金力のある銀行がリース業を展開するのは自然であるといえるでしょう。
環境エネルギー事業
近年、環境エネルギー事業に取り組んでいるリース企業が多い傾向があります。太陽光発電や地熱発電、風力発電といった環境エネルギー事業は設備を整えるのに非常に多額の資金を必要とするので、資金力のあるリース企業に適しているのでしょう。
大手リース企業ではこういった再生可能エネルギー事業の海外企業への出資、買収を進めており、今後グローバルに事業を展開していく見通しを立てているようです。
メーカー(サプライヤー)
リース対象となる物品を扱う各メーカー企業も、リース業界と関わりが深いといえるでしょう。
リース業が主な事業で多くのメーカーと取引をしている場合もあれば、メーカー企業が自社製品をリース対象として貸し出している場合もあります。
リース業界に必要な資格やスキル
リース業を営むにあたって必要となる資格や認可・許可は特にありません。
しかし、リース企業は貸金業を始めることが多く、事業の幅を広げるためにのちのち貸金業登録をする場合があるようです。
リース業界の具体的な職種
リース業界では、次のような職種に業界ならではの特徴が見られるようです。以下、詳しく解説します。
営業
リース企業の営業職は、借り手企業とリース契約を取り付けるのが仕事。リース企業では扱う物品が多岐にわたるので、営業チームは物品ごとに分かれているようです。
リース企業に入社するとまず営業職からキャリアをスタートさせることが多いといわれているほどで、リース業界にとっては重要な職種といえるでしょう。
経理
リース企業の経理は社員の給与計算といった一般的な業務にくわえ、リース契約の税務処理を担当するのが特徴です。よって、リース企業の経理職は金融や経営の知識に明るい必要があり、専門性が高く重要な役割を担います。また、経理がリース契約の契約書の作成を担当するのも特徴的といえるでしょう。
審査・法務
リース契約締結にあたって、借り手企業に返済能力があるのかなどの審査にあたるのが審査・法務職の役割です。ユーザーの信用をチェックする「与信業務」といってもよいでしょう。契約書類の作成や内容相違、法的判断を伴う取引上の法務といった業務も行うため、法務や財務に関する深い専門知識、豊富な経験が必要なようです。
資産管理
リース企業では、資産管理は特に重要な意味を持つ仕事といえるでしょう。物品の管理にくわえ、リース契約満了後の再契約手続きやリース物品の売却、廃棄処理などが資産管理職の主な業務です。リース企業の資産である物品をどのように管理・運用するかによって企業の得られる利益が大きく変わってくるため、非常に重要な仕事とされています。
リース業界の現状と課題
日本のリース業は1960年代から始まりましたが現状は国内での需要が伸び悩んでおり、業界の傾向としては海外展開を見据えている企業が多いようです。ここでは、リース業界の市場規模や現状、課題について解説します。
リース業界の市場規模
リース事業協会の資料によるとリース取扱高は2001年の8兆434億円をピークに徐々に減少していき、2021年は4兆2,536億円と半分近くの額になっているのが特徴的です。リース業は景気に大きく左右されるため、リーマンショックや感染症といった社会経済へのダメージの影響は見過ごせないでしょう。
参照元
公益社団法人リース事業協会
リース統計
リース業界の現状
リース業界は現在国内の需要が伸び悩んでおり、事業の統合や提携が盛んに行われている傾向にあるようです。以下、詳しく解説します。
国内需要の伸び悩み
2020年度のリース需要動向調査報告書(p2)によると、2020年度のリース利用状況は87.6%と依然として高い利用率です。しかし、国内の需要は飽和状態であるといわれており、リース企業にはこれから事業をどう展開していくのかが問われているようです。
事業の統合、提携
現在、リース企業は国内需要の伸び悩みへの対策として事業の統合や業務提携を進めています。これは、海外への業務展開を踏まえたうえでできるだけ競争力を身に付けるためや、他事業へより進出していくためです。これから、どんな事業を自社の強みにするのかが問われているといえるでしょう。
参照元
公益社団法人リース事業協会
2020年リース需要動向調査報告書
リース業界の課題
リース業界の課題には、大企業に対する会計基準の変更や需要の低迷といったものが挙げられます。これまでの制度ではリース物品が「費用」として計上できたため、購入に比べて銀行の借入審査が緩い傾向があったというメリットがありました。しかし、会計基準の変更により「資産」として計上することになったため扱いが購入と同じになり、上記のメリットがなくなってしまったことがリース業界に大きな影響を与えたようです。
また、リース自体の需要が低迷しており、これ以上契約件数を伸ばすのが難しいといった背景も。リース業に対するこれらの問題に対し、リース企業はこれまでの事業に新たな付加価値を付けて対応していく必要があるといわれています。
リース業界の将来性
リース業界は企業ごとに多くの事業に進出していることから、今後も将来性がある業界といわれています。以下、業界の今後の動向について見ていきましょう。
リース業界の今後の動向
リース業界は国内需要の低迷により、海外への事業拡大や他業界への進出といった動きが活発になっていくといわれているようです。以下、それぞれ解説します。
海外への事業拡大
国内での需要が飽和状態であることから、リース業界は海外への事業拡大を見据えた動きを取っているようです。本来のリース業だけでなく環境エネルギー事業に取り組む企業が目立ち、海外企業への出資や買収などを進めつつ進出への足がかりを作っている状況が見られます。
他業界への進出
リース業界は先述した環境エネルギー事業以外にも、多くの業界に進出しています。
たとえば生命保険業はリース企業の大きな収入源となっていますが、リサイクル事業に力を入れている企業もあるようです。現在「循環型社会」といったあり方が注目されていますが、リース企業はカーリース部門で中古車両のリサイクルといった取り組みを通じて貢献する姿勢を見せています。
このように自社の事業を他業界で活かそうとしたり、海外企業と提携してまったく新しい事業モデルを生み出そうとしたりするなど、企業ごとに独自の事業展開を試みているようです。
リース業界のメリット・デメリット
リース業界には、企業の設備投資に関わることで他企業の事業のサポートができたり多くの業界と関われたりするといったメリットがある一方、先述のように国内需要が頭打ちであるといったデメリットがあります。以下、詳しく見ていきましょう。
リース業界の魅力とやりがい
リース業界の魅力ややりがいには、以下のような点が挙げられます。
企業の創業や事業をサポートできる
リース業は、業務を通じて借り手企業の創業や事業をサポートできるのが魅力です。リースを利用することにより創業時の設備投資を抑えることができるので、大企業に比べて資本の少ない中小企業は特にその恩恵を受けられるでしょう。また、常に最新の機器を導入したい医療機関などには、高額な医療機器を効率良く使用できるといったメリットがあります。よって、自社の業務で直接他社事業をサポートできるところにやりがいを見いだせるでしょう。
多くの業界と関われる
リース企業の扱う物品は多岐にわたるため、そのぶん多くの業界と関われるのも魅力。業務を通じて、違う業界についての知識を得られます。多様な業界と関わる経験をもとに、ビジネスに対する視野を広げることができるでしょう。
リース業界の大変なところ
リース業界の大変なところは、国内需要が頭打ちで新規開拓が難しい点です。過去大きな利益を出していたリース業界ですが景気の影響を受けてリース契約自体が減少してきているうえ、これ以上国内での需要を伸ばすのは難しいという事情が課題となっています。よって、新たな事業への取り組みや海外進出など、いかに自社事業を独自に展開していくかが問われているといえるでしょう。
リース業界の志望動機
リース業界の志望動機では「なぜリース業界を選んだのか」や「自分のスキルや経験、能力をどのように業務に活かしていきたいのか」を明確にする必要があるでしょう。ここでは、リース業界に向いている人の特徴や志望動機の例をご紹介します。
リース業界に向いている人
リース業界に向いている人の特徴は、以下のとおりです。
法人向けの営業職を希望している人
法人向けの営業職を希望している人は、リース業界に向いているといえます。なぜなら、リース企業の取引先のほとんどが法人だからです。また、どちらかというと新規開拓よりも取引先を回るルート営業が多いため、営業職が初めてという人も目指しやすいでしょう。
業務を通じて他社の事業に貢献したい人
リース業の特徴の一つとして、業務を通じて他社の事業に直接貢献できるという点があります。特に中小企業の創業などに関われるときには、感慨深さとともにやりがいを感じられるでしょう。自分の仕事が他者に役立つことを実感したい人にはおすすめの仕事です。
未経験者の志望動機
未経験者の志望動機では「なぜリース業界を選んだのか」という点を明確にするのが重要です。以下、未経験者の志望動機の例文をご紹介します。
「貴社を志望した理由は、営業職として幅広い物品を扱ってみたいと思ったからです。私は、前職でメーカーの法人営業職についておりました。コピー機の営業を担当しており取引先のニーズに応えた製品を納入しておりましたが、経験を積むにつれてコピー機をはじめとするOA機器だけでなく、もっと多くの種類の物品を扱い、より相手企業の事業に貢献できる営業をしてみたいと思うようになったのが転職を志したきっかけです。
中小企業の創業支援に力を入れている貴社であれば、相手企業への多様な物品の営業を通じてより事業支援ができると考え、志望いたしました。」
リース業界未経験者の志望動機では、なぜ前職でなくリース業界を選んだのかについて説明するのがポイントです。また、リース業界の中でも企業の特徴をつかんだうえでなぜ応募先企業なのかを明確にできると良いでしょう。
経験者の志望動機
経験者の志望動機では「なぜ転職するに至ったのか」が大事な点です。前職の企業では叶えられず、応募先企業で叶えたいことについて説明しましょう。
以下、経験者の志望動機の例文をご紹介します。
「貴社を志望した理由は、英語力を活かして環境エネルギー事業の海外プロジェクトに参加してみたいと思ったからです。前職では企業のエネルギー事業部門に所属していましたが、国内のプロジェクトが中心でした。そこで経験を積むにつれて、よりエネルギー事業への興味が深まったうえ、海外の事業についても強い興味を持つにいたりました。よって、英語力とエネルギー事業部門での経験を活かし、ゆくゆくは海外への事業展開を活発に行っている貴社の海外プロジェクトに参加したいと考え、志望いたしました。」
同じリース業界であっても企業によって特色が違うことから、前職の企業ではできないプロジェクトに参加したいと考えたことをメインの志望動機にしています。経験者の志望動機では、企業ごとの違いを踏まえたうえで、応募先企業のどんな特色に惹かれたのかを説明する必要があるでしょう。
リース業界に関するFAQ
ここでは、リース業界についてよくある質問と回答をご紹介します。
リース業界ではどんな事業を行っている?
リース業界ではメインとなるリース業にくわえ、生命保険事業や環境エネルギー事業などさまざまな事業を手広く扱っているのが特徴です。国内でのリース需要が飽和状態であることから、海外を見据えた事業展開を行っているのが近年の業界の傾向といえるでしょう。
リース業界の将来性は?
リース業自体のニーズは伸び悩んでいるものの、リース企業は幅広い事業を展開しているため、その事業には多くの可能性があるといえるでしょう。よって、将来性のある業界といえます。「就職は穴場企業もおすすめ!ホワイトな業界や企業の見つけ方を紹介」のコラムでも一部リース業界についてご紹介していますので、併せて参考にしてください。
リース業界に向いている人は?
リース業界は、法人向けの営業職を志望している人や業務を通じて他社の事業に貢献したいと考えている人に向いているといえます。また、多くの物品を扱うため、何にでも興味の持てる好奇心旺盛な人にも向いているといえるでしょう。営業職に向いている人については「営業職とは何をする仕事?業務の内容やメリット・デメリットを解説!」のコラムでご紹介していますので、こちらもご覧ください。
リース業界に転職するには?
リース業界に転職したいのであれば、他業界の営業職として経験を積むのがおすすめ。リース業界では法人営業が事業の要となるからです。営業経験をもとにリース業界でどのような仕事をしたいのかを明確にしておくと良いでしょう。20代向け転職エージェントのハタラクティブでは営業経験を積みたい方に向けて未経験からチャレンジできる営業職の求人をご紹介していますので、一度ご相談ください。
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京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。
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