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高卒で消防士になるには?採用試験や倍率・年収などの気になる情報を解説
この記事のまとめ
- 高卒で消防士になるには自治体ごとに行う採用試験への合格が必須で、倍率は高い傾向にある
- 試験合格後は消防学校で半年間、基礎知識や実技訓練などを学んでから現場へ配属される
- 高卒で受験できるのは「消防官Ⅲ類」、大卒は「消防官Ⅰ類」で試験の難易度や初任給に違いがある
- 「正義感がある」「冷静に物事を見て判断できる」といった人は、消防士に向いている可能性がある
- 高卒で消防士を目指すなら、仕事で起こり得るリスクについても把握しておくことが大切
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高卒で就職や転職をするにあたり、「消防士になりたい」と考えている方もいるでしょう。高卒で消防士になるには、各自治体が実施する消防官採用試験(消防官Ⅲ類)への合格が必要です。試験は教養試験や体力検査、面接などで構成されています。自治体によるものの、倍率は高い傾向にあるため、合格に向けた十分な試験対策と準備が重要です。
このコラムでは、高卒から消防士を目指す方法や試験内容、大卒との違い、仕事内容などを詳しく解説します。消防士として人命救助や地域の安全を守る仕事に就きたいと考えている高卒の方は、ぜひ参考にしてみてください。
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高卒で消防士になるには
高卒で消防士になるには、消防官採用試験を受験して合格する必要があります。まずは、消防士として働きたい自治体を決めることから始めましょう。消防官採用試験に合格した後は、消防学校で半年間知識と技術を学んでいきます。以下で、消防士になる方法と流れを確認しましょう。
消防士として働きたい自治体を決める
高卒で消防士を目指す際は、どの地域で働きたいのか自治体を決めましょう。消防組織は基本的に各自治体が運営していて、採用試験も自治体ごとに実施されます。そのため、最初にどこで消防士として働きたいかを決めることが肝心です。
自治体を選ぶときは、その地域で長期的に働きたいかといった視点をもって考えましょう。また、自治体によって年間採用人数や試験内容、給与体系は異なります。都市部と地方では、業務内容や災害対応にも違いがあると把握しておくのがポイントです。
たとえば、都市部では高層ビル火災や複雑な救助活動が発生する傾向にあります。一方、地方では山岳救助や自然災害対応が中心となる場合も。自分のキャリアや働き方に合った自治体を選びましょう。
「消防官採用試験」に合格する
高卒で消防士になるには、各自治体が実施している消防官採用試験への合格が必須です。高卒区分の試験は一般的に「消防官Ⅲ類」と表記され、毎年多くの受験者がいます。試験内容は自治体によって異なるため、志望する自治体の消防本部の採用情報を確認し、それに合わせて対策を進めましょう。
消防官採用試験は、主に一般知識や時事問題などを問う教養試験や適性検査、体力試験、面接試験などで構成されます。合格に向けて、日頃から計画的な学習や体力づくりを行いましょう。面接では志望理由や緊急時の対応などが問われるため、迷わず回答できるように練習しておくことが大切です。
消防学校で半年間知識と技術を学ぶ
高卒で採用試験に合格すると消防職員として採用されますが、すぐに現場へ配属されるわけではありません。合格後は消防学校に入学し、研修を受ける必要があります。およそ半年間の研修では、消防士として必要な基礎知識と技術を習得していくことになるでしょう。
消防学校では、消防法規などの法律知識や消火活動の理論、実技訓練、救急救命処置、消防車両・機材の操作方法など幅広く学びます。早朝からの体力トレーニングや日中の座学と実技訓練、夜間の自主学習など、充実したスケジュールが組まれているようです。消防学校での訓練を通して、仲間との絆も深まるでしょう。
消防学校を卒業後すると、各消防署に配属されて、消防士としての本格的な勤務がスタートします。配属後もさまざまな研修や訓練が続くため、経験を積みながら消防のプロフェッショナルとして成長できるでしょう。
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高卒と大卒の消防士の違い
ここでは、東京消防庁のWebサイトをもとに、高卒と大卒の消防士における試験や給与などについて解説します。
高卒と大卒でどのような違いがあるのか、消防士を目指している方は参考にしてみてください。
受験資格と採用人数
高卒が応募できる試験は「消防官Ⅲ類」で、大卒は「消防官Ⅰ類」の試験に応募できます。以下の表では、受験資格と採用予定者数をまとめました。
試験の種類 | 受験資格 | 採用予定者数 (1次募集と2次募集の合計) |
---|---|---|
消防官Ⅰ類 | ・1990年4月2日から2004年4月1日までに生まれた人 ・2004年4月2日以降に生まれた人で、学校教育法に基づく大学(短期大学を除く)を卒業している人(2026年3月卒業見込みを含む)、または同等の資格を有する人 ※日本国籍を有している、地方公務員法第16条の欠格条項に該当しない人 | 220名 |
消防官Ⅲ類 | ・2004年4月2日から2008年4月1日までに生まれた人 ※日本国籍を有している、地方公務員法第16条の欠格条項に該当しない人 | 220名 |
参照:東京消防庁 職員募集「採用情報 消防官Ⅰ類(教養試験方式)」「採用情報 消防官Ⅲ類」
表のとおり、採用人数については違いがみられません。高卒が応募できる「消防官Ⅲ類」の受験資格は、「2004年4月2日から2008年4月1日までに生まれた人」となっているため、18歳から21歳までの人が応募できると分かります。このように、学歴によって応募できる区分や年齢制限に違いがあると理解してくことが、受験準備の第一歩となるでしょう。
採用試験の内容
高卒が応募できる「消防官Ⅲ類」と大卒向けの「消防官Ⅰ類」では、第1次試験と第2次試験を行います。それぞれの試験にどのような違いがあるのか、以下で解説するので参考としてご覧ください。
第1次試験
消防士採用試験の第1次試験は、「教養試験」「作文試験」「適性検査」で構成されています。消防官Ⅲ類で行う教養試験では「高校卒業程度の五肢択一式試験」なのに対し、消防官Ⅰ類は「消防官の職務遂行に必要な基礎的能力を問う検査」とされているため、大卒程度の知識を求められると想定できるでしょう。
また、消防官Ⅲ類は「作文試験」となっていますが、消防官Ⅰ類の場合は「論文試験」です。この試験においても若干の違いがあるといえます。
第2次試験
消防士採用試験の第2次試験の項目は、「身体・体力検査」と「口述試験」です。「身体・体力検査」では、消防官Ⅲ類と消防官Ⅰ類に違いはありません。「口述試験」では、消防士の仕事に対する理解を示したり、自分の強みをアピールしたりして、試験の突破を目指しましょう。
給与
以下の表では、消防官Ⅲ類と消防官Ⅰ類の給与をまとめました。どのような違いがあるのか確認してみてください。
試験の種類 | 給与(初任給) |
---|---|
消防官Ⅰ類 | 30万2,100円 |
消防官Ⅲ類 | 26万4,700円 |
参照:東京消防庁 職員募集「採用情報 消防官Ⅰ類(教養試験方式)」「採用情報 消防官Ⅲ類」
消防官Ⅰ類の給与は、消防官Ⅲ類に比べておよそ4万円近く高いと分かるでしょう。なお、こちらの給与は基本給だけでなく、地域手当も含まれています。扶養手当や通勤手当も含めると、さらに変動する可能性があるので、あくまで目安としてご参考ください。
キャリア
東京消防庁のWebサイトには、消防官Ⅲ類と消防官Ⅰ類におけるキャリアに関する情報はありませんでした。一般的に、消防組織内での昇任やキャリアパスは、個人の能力や経験、研修の受講状況などによって異なってくるものだと考えられます。学歴が初期の配属や昇任試験の受験資格に影響を与える可能性もありますが、高卒で入職した後の努力や実績によってキャリアアップを目指せるでしょう。
参照元
東京消防庁 職員募集
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高卒対象の消防士採用試験の詳細と難易度
ここでは、東京消防庁のWebサイトを参考に、高卒対象の消防士採用試験の詳細と難易度を解説します。実際の消防士採用試験で行われる試験の種類や、出題内容について確認しましょう。
なお、試験の種類や出題傾向は東京消防庁が公開している情報をもとに紹介しているので、受験する自治体によっては内容が異なる可能性があります。あくまで参考の1つとしてご覧ください。
教養試験
教養試験は、消防士採用試験の第1次試験です。高卒が対象の消防官Ⅲ類では、高校卒業程度の五肢択一式試験が実施されます。出題分野について、東京消防庁を参考に以下の表にまとめました。
出題分野 | 内容 |
---|---|
知能分野(27問) | 文章理解、語句の用法、英文理解、判断推理、空間概念、数的処理、資料解釈 |
知識分野(18問) | 人文科学(国語、歴史、地理) 社会科学(法学、政治、経済、社会事情)自然科学(数学、物理、化学、生物) |
参照:東京消防庁 職員募集「採用情報 消防官Ⅲ類」
表のとおり、出題内容は大きく「知能分野」と「知識分野」に分かれます。東京消防庁が公表した採用試験の選考結果によると、令和6年度の第1次試験の受験者は2500人で合格者は915人でした。幅広い分野から出題されるので、しっかりと学習計画を立て、基礎知識を身につける必要があるでしょう。
論文試験
論文試験も第1次試験の一部で、与えられたテーマに基づいて論文を作成する形式を採用しています。600字から800字の範囲で記述が必要で、試験時間は1時間です。試験では与えられたテーマに対する自分の考えや意見を、論理的かつ分かりやすく構成し、文章で表現する能力が試されます。
限られた時間内で内容をまとめられるよう、日ごろから社会的な出来事に関心をもち、自分の意見を整理して記述する練習を積むことが、論文試験対策には有効です。
勉強するときは過去問も確認しよう
消防士採用試験の対策を進めるなら、過去問の確認はとても大切です。試験の傾向や出題形式を把握する学習材料になるので、繰り返し問題を解きましょう。時間を計って本番のように問題を解いてみたり、解答を丁寧に見直して理解を深めたりするのも効果的な練習になります。過去問を通じて、試験本番で実力を最大限に発揮できるよう準備を進めていきましょう。
ハタラクティブキャリアアドバイザー後藤祐介からのアドバイス
適性検査
適性検査も第1次試験の1つです。消防士採用試験における適性検査は、受験者が消防士の職務に適しているかを測るために実施されます。検査では個人の性格や行動特性、ストレス耐性といった側面が評価されるのが一般的です。
具体的な検査内容は公表されていない場合もありますが、消防士として求められる責任感や協調性、冷静な判断力などが備わっているか総合的に見られていると考えられます。日ごろから自己分析を行い、自分の強みや弱みを把握しておくと、適性検査への心構えとして役立つでしょう。
身体・体力検査
身体・体力検査は第2次試験で行われます。この検査は、消防士として職務を遂行するために必要な身体能力と健康状態を確認するための、大切な検査といえるでしょう。主な項目と基準を以下の表にまとめました。
項目 | 基準 |
---|---|
視力 | 視力(矯正視力を含む)が0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上。 なお、裸眼視力に制限はない。 |
色覚 | 石原式色覚検査を実施。 ※石原式色覚検査で異常があった場合は、赤色、青色および黄色の色彩識別検査を実施。 ※色彩識別検査で異常があった場合は、後日、眼科医による診断を受ける必要がある。 |
聴力 | オージオメータを使用して、純音聴力検査を実施。 |
体力 | 1km走や反復横とび、上体起こし、立ち幅とび、長座体前屈、握力、腕立て伏せにより体力検査を実施。 |
健康度 | 尿検査や胸部X線検査、心電図、血液検査、血圧、問診により検査を実施。 |
参照:東京消防庁 職員募集「採用情報 消防官Ⅲ類」
表のとおり、身体・体力検査では、体力面や健康面を総合的にチェックされると分かります。身体・体力検査の合格に向けて、健康的な生活を送りながら体力向上に努めましょう。
なお、東京消防庁の公表によると、第2次試験の受験者数は703人で、最終合格者数は379人でした。消防官Ⅲ類の倍率は6.6倍と高く、試験の合格に向けて十分な準備と対策が必要だと分かります。
口述試験
高卒の消防士採用試験における「口述試験」は、第2次試験の一部として行われます。この試験は、個別面接の形式で実施されるものです。受験者の人間性やコミュニケーションスキル、消防士としての適性などを総合的に判断する場となるでしょう。
面接では、志望動機やこれまでの経験、長所・短所などが問われることが考えられます。また、消防業務への理解度や、チームの一員として貢献できるかといった点も評価の対象となるでしょう。しっかりと自己分析を行い、聞かれたことに対して論理的に話せるよう準備を進めておくのがおすすめです。
参照元
東京消防庁 職員募集
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高卒消防士の主な仕事内容
高卒で消防士として採用された場合、その仕事内容は多岐にわたります。消防士の主な業務は大きく分けて「火災対応」「救急対応」「救助対応」「予防活動」の4つです。それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
主な業務内容 | 特徴 |
---|---|
火災対応 | 火災現場への出動が中心。消火活動はもちろんのこと、建物の構造を把握し、延焼を防ぐための放水や、残火処理などを行う。 |
救急対応 | 急病人や怪我人の応急処置と搬送を行う。止血や心肺蘇生、AEDの使用など、迅速かつ適切な処置が求められる。 |
救助対応 | 交通事故や水難事故、高所からの転落など、さまざまな現場で人命救助を行う。専用の資機材を使い、安全を確保しながら要救助者を救出することも。 |
予防活動 | 火災を未然に防ぐための広報活動や、建物への立ち入り検査、消防設備の点検指導などを行う。 |
消防士として活躍するには、日々の訓練も欠かせません。体力維持のためのトレーニングや、専門的な知識・技術を習得するための訓練を定期的に行い、緊急事態に向けて備えます。また、消防署内での事務作業や資機材の点検整備も日常業務の一部です。なお、東京消防庁では、業務内容について分かりやすく紹介しています。こちらもあわせて参考にしてみてください。
参照元
東京消防庁 職員募集
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高卒で消防士として働く3つのメリット
消防士は火災や災害などから命や安全を守る職業であり、私たちが生活を送るうえで欠かせない存在です。ここでは、高卒で消防士として働くメリットを3つ紹介しています。消防士の仕事に就きたいと考えている方は、参考としてご覧ください。
1.直接的に人の役に立てる
高卒で消防士として働くメリットの1つは、直接的な形で社会貢献ができる点にあります。火災現場での消火活動はもちろんのこと、救急救命活動や災害時の支援活動など、人の命や安全を守る業務に従事できるのは、消防士ならではの魅力です。
危険が伴う現場において最前線で人を助けられるのは、消防士だからこそだといえます。たとえば、火災で取り残された人を救出したり、救急車で搬送した患者さんの命を救ったりしたときの達成感は、何物にも代えがたいものです。
また、消防士は地域の防災訓練や防火指導など、未然に災害を防ぐ活動にも携わります。このように、消防士は緊急時の対応だけでなく、平時においても地域の安全を支える存在です。地域住民から感謝される機会も多く、社会的な評価も高い職業といえるでしょう。
2.同世代と比較して年収が高い
高卒で消防士に就職する場合、同年代の収入と比較して安定した収入を得ることが可能です。公務員としての基本給に加え、住居手当や地域手当などのさまざまな手当が充実しているため、総支給額は高卒全体平均と比べて高い傾向にあります。
総務省の「第4表 初任給」と厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」をもとに、消防士の年収と高卒の平均年収の目安をまとめました。
消防士の年収 | 高卒全体の平均年収 |
---|---|
406万4,856円 | 346万6,800円 |
参照:総務省「第4表 初任給 第5表 職種別職員の平均基本給月額(P.279)」厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査の概況 (3) 学歴別にみた賃金(P.8)」
消防士の年収は、高卒全体の平均年収に比べて50万円以上高いと分かります。なお、こちらの年収にボーナスは含んでいません。ボーナスの金額も含めるとさらに差が開くでしょう。消防士は公務員としての身分が保障されているため、景気に左右されにくく、将来設計を立てやすいのもメリットです。
3.早いうちからキャリアを積める
高卒で消防士になるメリットに、早いうちから専門知識と技術を習得できる点が挙げられます。高校卒業後に就職する場合、18歳から実務経験を積み始められるため、大学に進学した同年代と比べて4年早くキャリアを積めるでしょう。
若いうちから消防活動の現場を経験することで、体力面や技術面における成長のスピードが期待できます。救急救命士や危険物取扱者、防災士などの資格取得支援制度を設けている消防本部もあるので、自分の可能性を広げながらキャリアアップしていけるでしょう。
参照元
総務省
令和6年 地方公務員給与の実態 令和6年4月1日地方公務員給与実態調査結果
厚生労働省
令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況
高卒で消防士として働く3つのデメリット
高卒で消防士になるのはメリットがある一方、特有の課題や難しさも存在します。消防時に就職を検討する際は、メリットだけでなくデメリットについても正しく理解しておくことが大切です。ここでは、高卒で消防士として働くデメリットについて解説します。
1.ケガや殉職する危険が伴う
消防士の仕事は、火災現場や災害現場での活動が中心となるため、常に危険と隣り合わせです。火災現場では熱や煙にさらされるリスクがあり、建物倒壊の危険性もあります。また、救急活動や災害救助においても、予測できない状況に遭遇することがあるでしょう。
総務省消防庁の「令和5年版 消防白書」では、令和4年中に公務によって負傷した人は1253人、殉職した人は2人と公表されました。このようなリスクに対応するため、消防組織では徹底した安全管理や訓練を行っていますが、完全にリスクをなくすことは難しい職業であると理解しておく必要があります。
2.上下関係がはっきりしている
消防組織は階級制度を採用しており、命令系統と上下関係が明確に定められています。組織構造は緊急時の迅速な対応には不可欠ですが、個人の裁量や自由度が制限される場合もあるでしょう。
特に若手消防士は、上司や先輩の指示に従って行動することが求められます。自由な発想やフレキシブルな働き方を重視する人は、ストレスを感じてしまう恐れも。
また、消防署内での生活も規律に基づいているため、当番制での宿直勤務中は食事や睡眠、訓練など、多くの活動が時間割に沿って行われます。このような環境は、規律に従って行動できる人には向いていますが、自由な環境を好む人には窮屈に感じられることもあるでしょう。
3.異業種への転職が難しくなる可能性がある
異業種への転職が難しくなる可能性があるのは、高卒で消防士として働くデメリットの1つです。消防士の業務で培われる特殊技能は、ほかの職種ではそのまま活かしにくい側面があります。
たとえば、消防士として身についた消火活動や救助技術、防災知識などの専門性は、一般企業において役立つ場面が限られるでしょう。また、消防組織特有の指揮命令系統や業務フローに慣れることで、民間企業の文化や働き方に適応するのが難しくなることも。
ただし、消防士として培った危機管理能力やチームワークを活かした経験などは、一般企業でも役立つ可能性があります。近年では、救急救命士の資格をもつ消防士が医療機関に転職するケースや、防災コンサルタントとして独立するケースなど、専門知識を活かした転職事例も増えているようです。消防士から転職を希望する際は、十分な対策をして就活に臨む必要があるでしょう。
参照元
総務省消防庁
令和5年版 消防白書
高卒で消防士に向いている人の特徴
消防士は火災の消火活動だけでなく、救急活動や災害救助、防災指導など、多岐にわたる業務を担当します。責任感があり、物事を冷静にみて状況を判断できる人は、消防士に向いているでしょう。以下で、高卒から消防士を目指す人に求められる特徴について詳しく解説します。
正義感がある人
消防士は、火災や災害の現場で人々の命を守る最前線に立ちます。そのため、「困っている人を助けたい」「地域社会に貢献したい」といった正義感は、消防士として働くうえで重要です。強い正義感をもっていると、厳しい訓練や危険を伴う現場での活動を乗り越える原動力になるでしょう。
日常生活においてボランティア活動に参加したり、人のために尽力したりした経験がある人は、その正義感を消防士の仕事で活かせる可能性があります。
冷静に状況を判断して行動できる人
消防の現場では、一刻を争う状況や、予測不能な事態に直面することがあります。そのような緊迫した場面で、冷静に状況を判断し、適切な行動をとれる能力は消防士にとって不可欠です。消防士には感情に流されず、事実に基づいた情報収集を行い、限られた時間の中で最善の選択をする力が求められます。
たとえば、火災現場では救助が必要な人がどこにいるのか、どのようにアプローチすれば安全かなど、落ち着いて状況を見極めなければなりません。また、救急現場においても、負傷者の状態を正確に把握し、適切な応急処置を施すためには冷静な判断力が重要です。日ごろから、突発的な出来事にも動揺せず、落ち着いて対処するよう心掛けている人は、消防士としてその能力を発揮できるでしょう。
チームワークを大切にできる人
消防士の仕事では火災消火や救助活動、救急搬送など、あらゆる現場で複数の隊員が連携し、協力し合うチームワークが欠かせません。それぞれが自分の役割を理解したうえでお互いを信頼し、助け合うことで、安全かつ効率的に活動を進められます。
たとえば、ホース延長の1つをとっても、数人が呼吸を合わせて作業を進める必要があるでしょう。要救助者を搬送する際も、声を掛け合いながら協力しなければなりません。また、日々の訓練や規律の中でも、チームの一員としての自覚をもち、協調性を発揮することが求められます。
これまでに部活動やグループ活動へ積極的に参加したり、仲間と協力して目標達成のよろこびを感じたりした経験がある高卒の人は、消防士でチームワークを発揮して活躍できる可能性があるでしょう。
高卒で消防士を目指す場合の注意点
ここでは、高卒で消防士を目指す場合の注意点を解説します。憧れだけで飛び込むと、現実とのギャップに苦しむこともあるので、自分の適性や価値観と照らし合わせながら就職を考えてみてください。
本当に消防士になりたいか考える
高卒で消防士になりたいと思う理由は人それぞれですが、憧れやイメージだけで志望すると、現実とのギャップに悩む恐れがあります。消防士の仕事は輝かしい活躍のイメージがある一方で、危険と隣り合わせの過酷な現場活動や、地道な訓練の繰り返しが大半です。
仕事では火災現場の熱や煙、救急現場での痛ましい状況を目の当たりにすることもあります。そうした厳しい現実に向き合い、乗り越えていく覚悟があるか、改めて自分自身に問いかけてみてください。本当に消防士になりたいかを判断するためには、実際の業務内容を知ることが大切です。消防署の一般公開や、消防士を招いた進路説明会などに積極的に参加してみましょう。また、現役の消防士にインタビューするなど、リアルな情報を集めることもおすすめです。
消防士の仕事の全体像を理解し、そのうえで「消防士になりたい」と思えるかどうかが重要なポイントといえます。
24時間の勤務体制で働くこともある
東京消防庁で紹介しているように、多くの消防本部では、24時間体制の交替制勤務が導入されています。これは、火災や救急といった緊急事態がいつ発生しても対応できるよう、常に人員を配置しておく必要があるためです。一般的な企業の働き方と大きく異なるため、自分のライフスタイルと合うかどうか慎重に検討する必要があります。
24時間体制の勤務では日中に通常業務や訓練を行い、夜間は仮眠をとりながら緊急出動に備えるため、生活リズムが不規則になりがちです。そのため、自分の体調管理を徹底して、限られた休憩時間や非番の日にしっかりと休養をとることが非常に重要といえます。また、友人や家族とのスケジュール調整も工夫が必要になるでしょう。規則正しい生活を送ることが得意な人や、不規則な勤務でも自己管理ができる人は、このような勤務体制に順応しやすいと考えられます。
民間企業への就職も選択肢に入れる
これまでお伝えしたように、消防士採用試験の倍率は高く、狭き門だといえます。高卒で消防士を目指す際は、民間企業への就職も視野に入れることで、将来の選択肢を広げられるでしょう。
たとえ消防士の夢がすぐに叶わなかったとしても、民間企業で働く経験は決して無駄にはなりません。たとえば、民間企業で経験を積みながら、消防士採用試験に再挑戦する道があります。民間企業で培われるコミュニケーションスキルやチームで働く経験などは、将来的に消防士の採用試験に再挑戦する際に役立つはずです。柔軟な視点で自分の可能性を探ることが、後悔のない進路選択に繋がります。
参照元
東京消防庁 職員募集
トップページ
【まとめ】高卒で消防士になるには
高卒で消防士になるためには、自治体が実施している消防士採用試験に合格する必要があります。採用人数には限りがあり、倍率が高いので、試験に向けた十分な準備や対策が重要です。現場ではチームワークが不可欠であり、仲間と協力する姿勢や冷静な判断力が求められるでしょう。
消防士の仕事に対する理解を深め、もしもの場合は民間企業への就職も視野に入れるなど、柔軟な視点をもつことが大切です。
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高卒で消防士を目指すときによくあるQ&A
ここでは、高卒で消防士を目指すときによくある疑問をQ&A形式にまとめました。消防士になりたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
消防士採用試験の倍率を教えてください
受験する自治体や年度によって変わるものの、消防士採用試験の倍率は高い傾向にあります。たとえば、東京消防庁の直近のデータでは、高卒程度(消防官Ⅲ類)でおよそ6倍から8倍台でした。採用人数の枠は限られているため、消防士採用試験の合格に向けて、しっかりと対策をしたうえで臨むことが大切です。コラム内の「高卒対象の消防士採用試験の詳細と難易度」では、採用試験の詳細について解説しているのでご参照ください。
消防士の採用試験日はいつですか?
消防士の採用試験日は、応募する自治体によって異なります。たとえば、東京消防庁のように年に複数回試験を実施する自治体もあれば、年1回の実施としている自治体もあるようです。正確な日程を知るには、希望する消防本部のWebサイトや、各自治体が発行する採用案内を確認しましょう。早めに情報収集をして、計画的に準備を進めるのがおすすめです。
高卒消防士の給料はいくら?大卒との違いは?
地域によって異なるものの、東京消防庁の場合、消防官Ⅲ類の初任給は地域手当を含めて26万4,700円です。一方、消防官Ⅰ類の初任給は30万2,100円となっています。スタートしたときの給与は大卒の方が高めに設定されているのが一般的ですが、仕事の成果や経験によって昇任・昇給して差は縮まる可能性があるでしょう。
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京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。
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