大卒認定試験って本当にあるの?大卒資格の取得方法や難易度について

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この記事のまとめ

  • 大卒資格は、4年制大学の卒業者が取得できる「学士」(称号)のこと
  • 高卒認定試験はあるが、大卒認定試験という試験は存在しない
  • 大学の通信教育課程や第二部(夜間部)などでも大卒資格が取れる
  • 大卒資格があれば、大卒が応募条件の企業にもチャレンジできる
  • 大卒資格の取得を考える際は、学びたい内容やライフスタイルに合った方法を選ぼう

「大卒資格があれば、職業選択の幅が広がる?」「大卒資格があれば、収入アップが見込める?」など、大卒資格を取るべきか迷っている人は多いのではないでしょうか。このコラムでは、中卒や高卒の人が大卒資格を取得する方法について解説しています。「高卒認定試験はあるけれど、大卒認定試験はあるの?」という疑問や、大卒資格を取るメリットとデメリットにも触れているので、大卒資格取得を検討する際にお役立てください。

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大卒資格とは

大卒資格は、一般的に4年制大学を卒業することで得られる資格です。試験を受けて取得する資格ではないため、取得するまでには長い時間が必要となります。大卒資格について、詳しく見ていきましょう。

大卒資格は学士の学位(学士号)を指す

大卒資格とは、4年制大学を卒業したときに与えられる「学士」という学位を指します。大学を中退すると大卒資格はもらえませんが、その後大学に通ったり、足りない単位を取得したりして必要な条件を満たせば、学士の学位が取得可能です。

「大卒認定試験」という試験は存在しない

「中卒認定試験(中学校卒業程度認定試験)や高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)があるなら、大卒認定試験もあるのでは?」と勘違いしてしまう人もいるようですが、2020年時点で、大卒認定試験という名称の試験は存在しません。
「大卒認定試験がある」と誤解が生まれてしまう理由としては、高卒認定試験の名称が2004年度まで大検(大学入学資格検定)だったことが挙げられます。「大検」という略称から、「大卒資格を得られる認定試験がある」と誤解されることが多いようです。

参照元
文部科学省
高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)

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大卒資格を取得する5つの方法

文部科学省では、大学の卒業要件を「大学に4年以上在学し、124単位以上を修得すること」と定めています。以下に単位の取得方法を5パターン紹介するので、自分の目標やライフスタイルと照らし合わせながら、どの方法が適しているかを考えてみましょう。

1.日中に通学制の4年制大学へ通う

大卒資格を得る一般的な手段としては、昼間の時間帯に通学制の4年制大学へ通うという方法が挙げられます。学内の掲示板やメールを活用して教員とコミュニケーションがとれるのは、大きなメリットだといえるでしょう。学生同士で情報交換ができるので、大学に通い続けるモチベーションが保てるという利点もあります。
大卒資格を得るには、4年以上在籍して124単位以上取得する必要があります。しかし、社会人として働いている人が日中の通学制大学に通うのは現実的ではありません。働きながら大卒資格を取りたい人には、次の方法が有効です。

2.夜間学部(第二部)がある大学で単位を取得する

夜間帯の時間に空きがあるなら、大学の夜間学部に入り卒業を目指すという方法が良いでしょう。
大学によっては、平日の夜間(午後4時半開始、午後6時開始など)に授業を行う学部が設けられています。平日の夜に加えて土曜日の日中に授業を行う大学もあり、平日の昼間に大学へ通えない学生でも、充実した授業が受けられるのが特徴です。夜間学部の多くが「法学部第二部」「工学部第二部」といった名称であることから、夜間学部は「二部」または「第二部」とも呼ばれています。
第二部に通って大卒資格を取る場合も、基本的には4年以上在籍し、124単位以上取得しなければなりません。授業の度に通う手間はありますが、日中に大学に通う場合と同様、第二部の学生と話す機会があるのは大きなメリットだといえるでしょう。

3.通信教育を行う大学で単位を取得する

決まった時間に大学へ通えない人は、大学の通信教育を受講するという方法がおすすめです。
通信教育が受講できる大学は、通信教育課程が設置されている私立大学、もしくは通信課程専門の通信制大学の2種類。通信教育課程で大卒資格を取得したい場合も、原則として4年以上在籍し、124単位以上取得する必要があります。ただし、短大を卒業して「短期大学士」の学位を持つ人は、最短2年で大卒資格が取得可能です。

通信教育課程の授業方法は、主に以下の4種類です。
・テキストを使った授業(自主学習とレポートの提出)
・テレビやラジオによる授業(放送授業)
・スクーリング(面接授業)
・インターネットを活用した授業

大卒資格取得に必要な124単位のうち30単位(大学によって異なる)は、スクーリングで単位を取得しなければなりません。スクーリングには「夏期スクーリング」「通年スクーリング」「夜間スクーリング」などがあり、実施期間や取得単位は大学によって異なります。最近では、対面授業に代わってインターネットでの授業を導入する大学も増えているようです。大学を選ぶ際には、「スクーリングは夏期・通年・夜間のどの形式か」「自宅や職場から通学できるか」などを事前に確認しましょう。

4.大卒資格が取得できる専門学校を卒業する

専門学校卒業と同時に大卒資格を取得できる「併修制度」を導入している専門学校もあります。
専門学校に通いながら大学の通信教育課程が受講できるため、仕事に必要な専門知識を吸収しながら、キャリアアップに役立つ大卒資格も手に入れられるのがメリットです。

5.「大学改革支援・学位授与機構」を活用する

大学中退者や短大・高専卒業者、専門学校修了者など一定の条件を満たしている人の場合、同機構の審査を通過すれば、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構で大卒資格が取得できます。大学中退者の場合は、中退前に大学に2年以上在籍し、62単位以上取得していることが条件です。以下の2種類のうち、どちらかの方法で必要な単位を取得しましょう。

大学の科目等履修生制度で単位を取る

科目等履修生制度は、大学で行われている講義を、その大学の学生以外も受講できる制度です。科目等履修生制度の有無や受講できる科目は、大学によって異なります。

短大・高専の認定専攻科で単位を取る

認定専攻科は、短大や高専に設置された専攻科のうち、同機構が「大学教育相当の教育を行っている」と認定した専攻科を指します。

必要な単位の修得を終え、専攻区分に関するレポートを提出すれば、学位授与の申請ができます。
基礎資格の確認や科目等履修生制度がある大学、同機構が認定する短大・高専の専攻科を知りたい方は、大学改革支援・学位授与機構の公式サイトをご確認ください。

参照元
文部科学省
大学通信教育等における情報通信技術の活用に関する調査研究協力者会議(第1回)配付資料
【参考資料1】大学通信教育に関する基礎資料3
独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構
単位積み上げ型の学士の学位授与制度

大卒資格を取得するメリット

大卒資格を持っていると、中卒・高卒の場合と比べて就活の選択肢が大きく増加します。大卒資格を取得するメリットについて、詳しく見ていきましょう。

募集条件が「大卒以上」の求人に応募できる

大卒資格があれば、大卒以上の人を募集している求人にチャレンジできます。
高卒の人や大学を中退した人は、応募資格を高卒以上としている企業しか選択肢がありません。しかし、大卒資格を持っていればより多くの企業に応募できるというメリットがあります。業界や職種について考える際に、就職先の幅が広がるでしょう。

高卒求人と比べて収入が高い可能性がある

2020年時点で、厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、学歴が高いほど1ヶ月あたりの給与が高くなっています。

〈男性〉
・大学、大学院卒:40万500円
・高専、短大卒:31万4,900円
・高校卒:29万2,900円

〈女性〉
・大学、大学院卒:29万6,400円
・高専、短大卒:26万600円
・高校卒:21万4,600円

給与は勤務する企業や仕事内容、年齢などによって変わり、学歴だけで決まるわけではありません。そのため「大卒の方が高卒よりも給与が高い」とは一概にはいえませんが、高卒で就職した場合、同じ年齢の大卒者より収入が低い可能性があります。

受験できる資格の種類が増える

国家資格を含む一部の資格は、大卒資格があれば資格試験の受験資格が緩和されます。
たとえば、高卒の人が税理士試験を受験する際には、実務経験か定められた専門資格が必要です。しかし、大学で必要な科目の単位を取得している人なら、それだけで学歴要件を満たすため受験資格が得られます。「資格を取ってキャリアの幅を広げたい」「専門職を目指したい」など、仕事に関して明確な目標がある人にとっては、大卒資格の取得に一考の価値はあるでしょう。

一般教養や専門知識が身につく

幅広い知識が習得できるという点も、大卒資格を取得する大きなメリットだといえるでしょう。
専攻する学部や学科の専門知識が習得できるだけでなく、学生が最低限備えておきたい一般的な教養も身につきます。これまでにご紹介した収入面の優遇や求人の募集条件に関するメリットも、大卒の人の知識や教養が社会的に評価されているという理由からきているようです。

大卒資格の取得過程を就活でアピールできる

たとえば、正社員もしくはフリーターとして働きながら勉強をする場合、多くの人は大学の通信教育課程や夜間学部で単位を取得することになります。就職活動の際、スケジュールや体調管理に気をつけながら勉強と仕事を両立したことがうまくアピールできれば、「自己管理能力が高く、向上心もある」と肯定的な評価に繋げられるでしょう。また、科目等履修生制度で大卒資格を取得する場合も、目的意識を持って専門的な知識・技術を習得したことが履歴書や面接でアピールできます。

参照元
厚生労働省
令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況(学歴別にみた賃金)
令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況(学歴別にみた賃金)(PDF)
日本税理士会連合会
税理士の資格取得

大卒資格を取得するデメリット

どの方法を選んでも、大卒資格の取得には時間やお金がかかります。これらの要素は、人によっては大きなデメリットだといえるでしょう。

取得までの期間が長い

基本的に、大卒資格の取得には通算4年の期間が必要です。
「大卒資格を取ってから就職しよう」と考えていても、自分が大学を卒業するタイミングで、希望の求人があるという保証はされていません。「大卒資格を取れば希望の企業に就職できる」と一概には言えないことを覚悟しておきましょう。また、働きながら大卒資格の取得を目指す人は、仕事と学業の両立が負担になることもあります。

お金がかかる

授業料や通学にかかる交通費など、大卒資格を得るにはまとまった費用が必要になります。社会人として働いていたとしても、学費の支払いは大きな壁の1つです。
また、せっかく大学を卒業しても、学んだ内容が就職先で活かせない可能性も視野に入れて行動する必要があります。「高い授業料を払って大卒資格を取ったのに、あまり意味がなかった…」と後悔しないよう、大卒資格の取得目的を明確にしておきましょう。

参照元
文部科学省
私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について

大卒資格をとらずに就職するという選択肢もある

「大卒資格を取得してから就職すべき?」と悩んでいる人は、「自分は何のために大卒資格を取りたいのか」「大卒資格をどのように活かしたいのか」について改めて考えてみましょう。就活をするうえで「大卒資格が必要な専門職に就きたい」という目標があるのなら話は別ですが、大卒資格の取得にかかる期間や費用を考えると、大卒資格を取らずに就職した方が良い場合もあります。

仮に、大卒資格を取らずにすぐ就職した場合の収入について考えてみましょう。
月収が20万円だと仮定すると、4年間で960万円を企業から支給される計算になります。

20万円×48ヶ月(※)=960万円
※12ヶ月×4年=48ヶ月

ここでご紹介した金額はあくまで概算であり、手取り(年金・税金などが引かれて実際に受け取る金額)は少なくなります。手取りは総支給額の約8割といわれているため、仮に、4年間で960万円支給された場合、実際に受け取る金額はおよそ770万円です。

960万円×0.8=768万円

4年間でこれだけの収入が受け取れることを考えると、大卒資格にこだわらず就職活動をスタートするのも1つの手段です。また、すぐに就職すると、業務の知識・スキルやビジネスマナーを早く身につけられるというメリットもあります。大卒資格の取得にかかる期間や費用と照らし合わせて、どちらがよいかを考えてみましょう。

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大卒資格に関するお悩みQ&A

大学を中退したものの大卒資格を取得すべきか悩んでいる方に向け、大卒資格に関するお悩みをQ&A方式で解決していきます。

働きながら大卒資格を取るのは現実的?

通信制大学や夜間(第二部)課程のある大学で大卒資格を取得する人は意外と多く、不可能ではないといえるでしょう。ただし、一般的な大学より強制力が弱く、自主性がないとすぐにだらけたり、ついプライベートを優先したりしてしまうという人も。「全課程を修了して大卒資格を取りたい」という揺るぎない心の強さが鍵となるでしょう。

大卒資格を取るのにデメリットはある?

通信制や夜間を利用したとしても、大卒資格を取るには時間とお金がかかります。生活にゆとりがあったり、「就きたい職種が大卒の募集だけだった」という風に特別な理由があったりする方以外だと、メリットよりデメリットが大きいことも。自分はどうして大卒資格を取得したいのかよく考えて道を選択しましょう。

大学中退のままだと就職に不利?

「大卒募集」など学歴で応募不可となる求人では、そもそも応募ができないため不利といえます。しかし、特に学歴についての記載がない求人や「未経験者募集」といった内容であれば、学歴より人柄や経験を重視してもらえることがほとんど。きちんと中退理由さえ説明できれば、就職に不利になることは少ないでしょう。学歴が気になる方は「大学中退の学年で就職時の評価は変わる?」も参考にして就職活動に臨んでください。

大学中退で正社員になるには?

大学を中退した理由を伝えること、将来のビジョンを明確に描くこと、企業研究や自己分析を入念に行うことがポイントです。特に中退理由は「入社後の早期退職」の懸念材料。今は前向きな姿勢があることを示しましょう。ただし嘘をつくのはNGです。大学中退で正社員を目指している方は「大学中退から正社員になるには」ハタラクティブへ。ハタラクティブでは専任のアドバイザーがマンツーマンで就職活動をサポートします。

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