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院卒と学部卒の違いは?就職におけるメリット・デメリットも紹介
更新日
院卒と学部卒では就活にどのような違いが出る?
院卒と学部卒では、就活の場でどのような違いが出るのか知りたいです。まだやりたい仕事や行きたい企業が特に思いつかず、大学院への進学を考えています。しかし、院卒は就活に有利とは限らないとも聞きました。
就活の場において、院卒と学部卒では求められる能力に違いがあります。就職したあとも、給料や昇進の面で差が出ることがあるでしょう。どちらが有利とは一概に言えないため、就職の難易度やキャリアアップなどを踏まえて判断する必要があります。
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進学して院卒で就職するべきか、学部卒で働き始めるべきか、悩む方も多いのではないでしょうか。このコラムでは、就職における院卒と学部卒の違いやメリット・デメリットをまとめました。給料やキャリアアップ、待遇などを比較し、それぞれの特徴をしっかり把握しましょう。本コラムを参考に、自分にあった進路を検討してみてください。
院卒と学部卒の違いとは?
院卒と学部卒の就職における大きな違いは、「企業から何を期待されているか」という点です。院卒は、大学院での経験を活かして、専門性の高い業務や研究に取り組むことが期待されています。対して、学部卒は専門性よりも入社後の成長性が期待される傾向があるようです。そのほかの院卒と学部卒の就職における違いも、以下で詳しく見ていきましょう。
給与面での院卒と学部卒の違い
院卒と学部卒の就職における違いとして、給料の差も挙げられます。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査(8p)」における「第3表 学歴、性、年齢階級別賃金及び対前年増減率」によると、学歴別の賃金(全年齢計)は、下記のとおりです。
学歴別の賃金(全年齢計)
大学院卒 | 大学学部卒 | |
---|---|---|
男性 | 49万1,100円 | 39万9,900円 |
女性 | 40万7,800円 | 29万9,200円 |
参照:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
男女ともに、院卒の方が収入が高いことが分かります。
また、同資料の「第9表 新規学卒者の性、学歴別賃金及び対前年増減率(p15)」によると、新規学卒者の学歴・男女別の賃金は、下記のとおりです。
新卒における学歴別の賃金
大学院卒 | 大学学部卒 | |
---|---|---|
男性 | 28万3,200円 | 24万300円 |
女性 | 26万800円 | 23万4,300円 |
参照:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
上記のデータから、新規学卒者の給料も院卒の方が高いという結果が出ています。
ただし、データは平均賃金であり、企業ごとに給与体系は異なります。あくまで参考として見ておくと良いでしょう。
参照元
厚生労働省
令和5年賃金構造基本統計調査
キャリアで見る院卒と学部卒の違い
院卒と学部卒では、入社後のキャリアにも違いがあります。専攻によりますが、院卒は学んできた分野や研究を活かして、1つの部署で専門職として働く傾向があるようです。それに対して学部卒は、さまざまな部署を経験してステップアップしていくケースが一般的といえます。たとえ同じ企業であってもまったく異なるキャリアを進んだ場合は、比較しにくいのが実情です。
なお、昇進や評価には、入社後の取り組みが重視されます。そのため、最終学歴ではなく、意欲次第でキャリアは変わってくるといえるでしょう
待遇で見る院卒と学部卒の違い
同じ企業で同一の雇用形態で雇われている場合は、福利厚生や労働環境といった面で学歴による違いはありません。しかし、部署異動や配置転換の面で違いが生まれる可能性はあります。院卒が、これまでの経験を活かして研究や開発の仕事に就く場合は、異動を求められることは少ない可能性があるでしょう。
部署異動の少ない働き方
仕事内容や職種、勤務地を限定できる「限定正社員」という働き方があります。限定正社員として働ける企業に就職すれば、転勤や部署異動が少ないキャリアを進めるでしょう。限定正社員については、「限定正社員のメリット・デメリットを紹介!」のコラムでも詳しく解説しています。興味のある方は、こちらもぜひチェックしてみてください。就活で見る院卒と学部卒の違い
院卒と学部卒の違いは、就活で企業に求められることやアピールすべきことにもあります。院卒は、大学院で学んだ専門性を活かして活躍することが期待されるでしょう。専門的な研究を通して身につけられる「物事を突き詰めて考える力」も求められる傾向があります。
学部卒は専門性よりも柔軟さや若さが求められる傾向があります。「入社後に育てていく人材」として、成長意欲が評価されるでしょう。
このように院卒と学部卒では違いがあるため、応募書類や面接では企業が求めている人物像を意識して、自己アピールをすると良いでしょう。なお、就活では学歴を問わず、人間性やコミュニケーション能力も重視されます。マナーを守り、相手に好印象を与えられるような立ち振る舞いをするよう心掛けましょう。
院卒の就活のコツについては、「大学院生の就活スケジュールを解説!いつから始めたら良い?」のコラムでも解説していますので、あわせてご覧ください。
大学院における専攻分野別の学生数
総務省統計局の「令和5年度 学校基本調査」をもとに、修士課程の大学院生の人数を、専攻分野別にまとめました。
人数 | 割合 | |
---|---|---|
人文科学、社会科学 | 25,049人 | 14.85% |
理学、工学、農学 | 93,045人 | 55.15% |
保健、商船、家政 | 13,216人 | 7.83% |
教育、芸術 | 9,414人 | 5.58% |
その他 | 27,982人 | 16.59% |
合計 | 168,706人 |
参照:総務省統計局「令和5年度 学校基本調査 12 専攻分野別 大学院学生数(12-1)」
上記の統計によると、大学院進学者の半数以上が理系の分野を選択していることが分かります。理系の院卒は、研究職や技術職、設計開発など、大学院時代の経験を活かせる分野で就職が有利になることがあるでしょう。
そのほかの分野を専攻していた場合も、それぞれ就職で有利に働く可能性があります。社会学系を専攻していた場合は、マスコミや広告系の会社で研究結果を活かせることがあります。経済学系を学んだ場合は、コンサルや金融関係での活躍が期待できるでしょう。法学系以外の文系の場合は直接的に就職に役立つことは少ない傾向にあるものの、学んだことを活かして教授や公務員、教員を目指すケースがあるようです。
参照元
総務省統計局
令和5年度 学校基本調査
院卒で正社員就職するメリット・デメリット
ここでは、院卒から正社員就職するメリットやデメリットを紹介します。以下を参考に学部卒との違いにも注目して、自身の進路やキャリアを検討しましょう。
院卒で正社員就職するメリット
院卒で正社員として就職するメリットには、以下のようなものが挙げられます。
給与面で優遇される
院卒は給与面で優遇される可能性があります。学部卒よりも学費が掛かりますが、その分基本給が高く、稼ぎやすいといえるでしょう。
就職で学校推薦を受けやすい
専門性があるため、学校推薦によって就職を決められるケースもあります。在学中は研究が忙しいものの、頑張った経験が就職で評価されることもあるようです。大企業に就職できる場合もなかにはあるでしょう。
そのほか、就職が景気に左右されにくいこともメリットの一つです。このように給与面や就職面で優遇されることが、院卒のメリットだと考えられます。
院卒で正社員就職するデメリット
院卒で正社員として就職することには、デメリットもあります。学部卒で就職するか、進学するか迷っている場合は、デメリットもよく把握しておきましょう。
就職の倍率が高い
院卒は専門性が評価される反面、学部卒ほど募集枠は多くありません。同じく専門性のある院生がライバルになるので、就職の倍率は高くなる可能性に留意しましょう。
期待値の高さがプレッシャーになり得る
専門性を活かした活躍を期待されることが、人によってはプレッシャーに感じることもあります。期待値が高いほど、結果が出せなかったときに辛い思いをすることも。仕事によっては大学院での研究内容をうまく活かせず、焦りを感じる場合もあるようです。
方向転換しにくい
院卒から就職する際は、方向転換がしづらいこともデメリットの一つです。院卒から専攻と異なる分野に就職することは不可能ではありませんが、せっかくの強みが活かせない可能性があります。さらに、専攻と異なる分野に進もうとすることで、面接官に「大学院で学んだことを何故活かそうとしないのか?」と疑問を持たれることもありえます。大学院に進学してから異なる進路に進もうとする場合は、リスクが伴うことも留意しておきましょう。
上記のほか、大学院での学生生活が忙しいこともデメリットとして挙げられます。院卒で就職活動をする際は、ハードな研究や勉強とうまく両立させる必要があります。大学院の忙しさも理解したうえで、進学を決めるようにしましょう。
院卒で就職するメリット・デメリットについては、「院卒は就職で不利になる?院卒の就職事情や就活のポイントを解説」のコラムでも紹介しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。
学部卒で正社員就職するメリット・デメリット
ここでは、学部卒で就職するメリットやデメリットを紹介します。院卒を検討している場合も、学部卒のメリットとデメリットを確認して、進路を決める判断材料にしましょう。
学部卒で正社員就職するメリット
学部卒で就職するメリットは、主に以下の2点です。
院卒より2年早く働ける
学部卒で就職すると、院卒よりも2年早く働き始めることができます。大学院に進めば学費が掛かる2年間となりますが、学部卒で就職すればその間お金を稼ぐことができ、社会人としての経験値も、院卒より2年長く積めます。
今後の成長を期待してくれる企業とマッチしやすい
学部卒は専門的なスキルや能力よりも、若さや成長性を見込んで採用される傾向があります。今後の成長意欲を見てくれる企業へ入社したいという場合は、学部卒で就活をした方がマッチしやすいでしょう。「社会人になってから成長していきたいか」「先に仕事で活かせる専門性を身につけておきたいか」といった軸で進路を選択するのも一つの手です。
学部卒で正社員就職するデメリット
学部卒で就職するデメリットとして、下記のようなものが考えられます。
専門性が高くない
院卒に比べて、学部卒の専門性はそれほど高くありません。そのため、仕事で専門的なスキルを活かせる機会も院卒に比べると少なくなる恐れがあります。
学校推薦が少ない
院卒に比べて、就職の学校推薦も少ない傾向にあります。特に専門性が重視される理系の場合は、学校推薦の有無が就職活動に影響することもあるでしょう。推薦が利用できなければ、自分の力で就職するチャンスを掴みに行くことが必要です。
院卒と学部卒のどちらで就職するか迷ったときのポイント
院卒と学部卒のどちらで就職するか迷う場合は、両者の違いやメリット・デメリットを踏まえて、自分にあった進路を決めることが大切です。ここでは、進学か就職か迷った場合の選択のポイントを紹介します。
大学院へ行くメリットが多いかどうか考える
自分にとって院卒で就職するメリットが、デメリットや学部卒で就職するメリットを上回るなら、進学する価値はあるといえます。院卒・学部卒で就職するメリット・デメリットは、その人の状況や専攻分野によって異なります。一般的なものだけでなく、自分にとってのメリットやデメリットを考えて検討しましょう。 また、就職のことだけを考えて判断する必要はありません。本来、大学院に進学する目的は、学問を突き詰めることです。「就職で有利だから」「生涯年収が高くなるから」という理由だけで進学を決めるのは避けましょう。
就職してからスキルや経験を積む方法も検討する
大学院に進学しなかったからといって、スキルや専門性を極める機会を失うわけではありません。専攻分野によっては、大学院で研究するよりも、学部卒で就職して実務で学んだ方がスキルが身につくこともあります。大学院で研究するか、スキルが身につく仕事をするかを、自分なりに比較して検討してみるのもおすすめです。 また、大学や大学院への入学に年齢制限はありません。専門的に突き詰めたいと思う学問があれば、一度就職してから大学や大学院に再チャレンジすることもできます。現時点で大学院に行く明確な理由がない場合は、一度就職してみることを選択肢に入れてみるのも良いでしょう。
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京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。