ハウスクリーニングの仕事

ハウスクリーニングとは

ハウスクリーニングとは、一般家庭の住居や空室を対象とした掃除の専門サービス業を指します。研修により、専門的スキルを習得したうえで業務を行うのが特徴です。「掃除のプロフェッショナル」として、専用の洗剤や掃除道具を使用して作業を行います。

ハウスクリーニングの仕事内容

専用洗剤や道具を使い、普段の掃除では手の届きにくい部分の汚れを掃除するのがハウスクリーニングの仕事です。
ここでは、ハウスクリーニングが掃除を担当する場所や活躍の場、業務のやりがいと大変なところなどを紹介します。就職・転職する職種として検討している方は、ぜひご一読ください。

具体的な業務内容

ハウスクリーニングの業務内容は、清掃箇所により異なります。以下では、場所による業務内容の違いをまとめました。実際にプロの清掃業務ではどのような作業が行われるかチェックしてみてください。

浴室の場合

清掃箇所が浴室の場合、付着した水垢やぬめり、カビ汚れなどの除去を行います。鏡や床、壁などの部位や汚れの種類によって使用する掃除用具や洗剤を使い分けながら、清掃を行うのが特徴です。
家庭により浴室内の構造は異なるものの、浴室内の表面だけでなく排水溝の内部までくまなく行う必要があるでしょう。

キッチンの場合

清掃箇所がキッチンの場合、シンクの蛇口や排水溝はもちろん、コンロやレンジフードといった幅広い範囲の作業を行います。

キッチンの清掃においても、場所により汚れの種類は異なるものの、主に占めているのは油汚れです。食事の準備で日常的に使用されやすいキッチンは、衛生管理の面において清潔に管理することが望ましいでしょう。

しかし、普段の掃除の時間や範囲だけでは油汚れを除去するのは難しい場合もあります。ハウスクリーニングの技術があれば汚れが除去できる可能性を高められるため、依頼を受ける現場のなかでも人気のある場所といえます。

トイレの場合

トイレの場合の清掃箇所では、便器や水洗タンク、換気扇、トイレ室内の壁面・床などです。
特に、汚れのなかで時間と労力を必要とされるのは、便器に付着している尿石といえるでしょう。トイレの汚れは家庭の掃除の範囲内で取り除くのは難しく、便器の破損の原因になることも考えられます。ハウスクリーニングでは専用の洗剤を使って清掃するため、普段の掃除よりも容易に汚れを分解できるでしょう。

また、分解して掃除を行うのが難しい温水洗浄便座も、トイレのハウスクリーニングの清掃で行われる部分です。「分解して破損してしまわないか不安…」といった理由で依頼されることもあるでしょう。

部屋の場合

部屋における清掃では、床や壁紙、天井、窓などの汚れを除去します。床の場合は、汚れの除去を行ったあとにワックスがけも行うこともあります。
部屋の広さや家具の配置状況により作業時間や難易度に差が生まれやすく、ときには家具の移動を求められるケースもあるようです。

玄関の場合

玄関の依頼の場合だと、壁やタイル、シューズボックス、ドアなどの清掃を行います。砂や泥による汚れが付着しやすい場所であり、掃き掃除だけでなく、高圧洗浄が必要な場合もあるでしょう。
洗浄をする際に清掃箇所以外の場所が汚れないよう、養生をするといった準備も作業に含まれるようです。

ベランダの場合

ベランダも玄関と同じく、砂や泥による汚れが付着しやすい場所といえます。ときには、苔がこびりついている場合もあるでしょう。

洗剤やブラシなどを使用してベランダの床や壁の洗浄をしたり、手すりや排水溝の清掃を行ったりします。室外機や給湯器が設置されている場合は、表面や周囲の清掃も行うことが必要です。

エアコンの場合

エアコン清掃では、ほこりやカビなどの汚れの除去を中心に行います。エアコン内部を掃除するためには分解する必要があり、構造に関する専門知識が求められます。

分解して内部の清掃を行う際には、周囲や電装部位に汚染した水がかからないように養生をするといった前準備も必要です。家庭の掃除の範囲だと内部まで行うのが難しいため、汚れが蓄積しやすい場所といえるでしょう。

ハウスクリーニングが活躍する場

ハウスクリーニングが活躍する場は個人宅だけでなく、賃貸住宅やビルのほか、高齢者施設や病院などがあります。個人宅の場合、年末や引っ越し前の大掃除の依頼が多いようです。
また、仕事や育児で多忙な際に、水回りやエアコンの掃除だけをお願いする人もいます。

そのほか、賃貸住宅やビルの入退室に伴うクリーニングや、共用部分の定期的な掃除を担当することもあるようです。高齢者施設や病院では、カーペットの除菌なども行います。

ハウスクリーニングのやりがい・大変なところ

ハウスクリーニングのやりがいは、目に見えて結果が分かる点です。一般の方では難しい裏側や細かい部分の汚れもしっかりと落として磨き上げるので、達成感を得られるでしょう。
また、お客さまに喜ばれ、感謝の言葉を直接聞けるのもやりがいの一つといえます。

一方、ハウスクリーニングの大変なところは、気遣いと体力が必要な点です。住居や家電を傷つけないように掃除しなければならないため、細心の注意と丁寧な仕事が求められます。

また、部屋数が多く掃除箇所が広範囲だったり、重い家具を動かすための体力が必要になったりするのも大変さを感じる部分です。住居によってはかなり頑固な汚れを落とす必要があるので、整理整頓に時間がかかる場合もあるようです。

ほかにも、ハウスクリーニングを仕事に選ぶ場合のメリット・デメリットを以下にまとめました。ハウスクリーニングを目指すための就活や、入社後の働き方をイメージするのにご活用ください。

ハウスクリーニングを仕事に選ぶメリット

ハウスクリーニングは、作業に必要な知識やスキルの習得を入社後の研修で行う傾向にあり、未経験者にとってはメリットといえます。アルバイトやパートなどの働き方を選択すれば、早朝や深夜のみといった短時間のみで働ける場合があるようです。「日中の予定を優先できる働き方がしたい」という方には、魅力的なポイントといえます。

また、ハウスクリーニングは賃貸物件といった需要により市場が縮小しにくく、安定した雇用環境で働きやすいといえるでしょう。ニーズに関しては「ハウスクリーニングの将来性」でも詳しく解説しているので、あわせてチェックしてみてください。

ハウスクリーニングを仕事に選ぶデメリット

ハウスクリーニングは体力が必要なため、人によっては身体的な負担をデメリットと感じる場合もあるかもしれません。さらに、現場の汚れの程度によっては臭いが気になることも考えられ、精神的な負担からモチベーションの低下につながってしまうケースもあり得るでしょう。

また、ハウスクリーニングは、現場ごとに決められた時間内で作業を進めるよう求められる場合もあります。清掃場所の広さや汚れによっては、臨機応変の判断を求められることが考えられます。「決まった作業を自分のペースで進めたい」といった場合、デメリットに感じることがあるでしょう。

ハウスクリーニングの年収

厚生労働省のjobtagの「ハウスクリーニング」によると、ハウスクリーニングの平均年収は386万4,000円でした。

なお、フランチャイズに加盟して独立した場合は年収500万円程度が一般的なようです。完全に独立して1人で開業した場合は出来高制のため、仕事のやり方次第で年収800万円以上を見込めることもあります。

ただし、一般家庭の掃除だけでなく、建設現場の廃材片付け、賃貸物件の清掃やリフォームなど、できる仕事内容に応じて現場1件あたりの報酬は変動します。安定して固定客がついているかどうかによっても年収に差が出るでしょう。

フランチャイズの仕組みを知りたい方は「フランチャイズとは？チェーン店との違いや事業例も分かりやすく解説！」のコラムをご一読ください。

参照元
厚生労働省
jobtag職業情報提供サイト（日本版O-NET）

勤続年数別ハウスクリーニングの年収相場

厚生労働省の調査「令和３年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金（時給換算）」によると、ハウスクリーニングが含まれる清掃員の平均賃金は以下のようになっています。

※無期雇用かつフルタイムの労働者について、（所定内給与+特別給与÷12）÷所定内労働時間で時給換算したものを特別集計

引用：厚生労働省「令和３年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金（時給換算）1712清掃員（ビル・建物を除く），廃棄物処理従事者」

上記の月収はフルタイム（1日8時間、1ヶ月20日勤務と想定）して計算したものです。この結果から、清掃サービス業者に就職した場合の平均年収は、約200～400万円であると分かります。

参照元
厚生労働省
令和３年賃金構造基本統計調査　結果の概況

年代別ハウスクリーニングの年収相場

厚生労働省のjobtagの「ハウスクリーニング」によると、ハウスクリーニングの年代別平均賃金は以下のようになっています。

※「年齢別の年収グラフを見る」のグラフを表にしたものです。

引用：厚生労働省「job tag 職業情報提供サイト（日本版O-NET）就業者統計データ」

上表から、45～49歳にかけて徐々に年収が上がっていくことが分かります。以降の年代では年収額が下がっていますが、フルタイムで働く人が減っている可能性もあるため、必ずしも時間で考えた単価が下がったとはいえません。

参照元
厚生労働省
jobtag職業情報提供サイト（日本版O-NET）

ハウスクリーニングの将来性

ハウスクリーニング業界は、戸建住宅やマンション、アパートの増加に伴い、需要が高まっています。また、人手不足のため将来的にも活躍の場が広がると考えられるでしょう。

ここでは、ハウスクリーニングの将来性が高い理由やキャリアアップの方法などを紹介します。

ニーズ

ハウスクリーニングのニーズは年々高まっています。高齢化社会に伴い、自宅を思うように掃除できない高齢の方や家族が清掃サービスを利用するケースや、女性の社会進出によって掃除の代行サービスを利用する共働き家庭が増加しているからです。

ほかにも、防臭・防カビコートなど、従来の「掃除」という意味合いだけでなく「家の劣化を予防する」ことを目的としたサービスの市場開拓も進んでいるため、今後もハウスクリーニングの仕事はますます求められるようになるでしょう。

キャリアアップ

ハウスクリーニングの仕事でキャリアアップするためには、専門業者で掃除や住居に関する専門知識、業務用清掃用具を用いた確かなプロ技術を習得するとともに、お客さまの信頼を得るための接客マナーを身につけることも大切です。ノウハウを習得したあとに独立開業することで、多様な現場のニーズに応えられる「清掃のプロフェッショナル」としての信頼を得られるでしょう。

ハウスクリーニングに必要な資格

清掃業の従事者のなかには、ハウスクリーニング技能士の資格を活かして活躍している人も少なくありません。ハウスクリーニング技能士は国家資格で、受験するには3年間の実務経験が必要です。実技・筆記の試験に合格する必要があり、難易度は高めなものの取得すれば就職に役立ちます。

学科試験の手数料は1万1,400円、実技試験の手数料は3万5,400円です。2023年度から仙台と福岡会場は2年に1度の開催となっており、2024年度は東京、大阪、仙台、福岡の4会場で開催されます。2025年度は東京と大阪会場のみの開催です。

ハウスクリーニング技能検定の概要や資格取得のメリットは「ハウスクリーニングの仕事に役立つ資格とは？おすすめの検定をご紹介！」で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

参照元
厚生労働省指定試験機関公益社団法人全国ハウスクリーニング協会HCA
受検案内

ハウスクリーニングになるには

ハウスクリーニングは未経験OKの求人も多く、掃除に関する技術や資格がなくても就職が可能です。ここでは、ハウスクリーニングとして就業するまでの流れや役立つスキルなどを紹介します。

就業までの流れ

掃除に関する専門知識や技術、道具の使い方などを覚える必要があるため、まずは清掃サービス会社に就職し、働きながらノウハウを習得するという流れが一般的なようです。
また、アルバイトから始めて正社員になる方もいます。

プラスになるスキルや要素

ハウスクリーニングの仕事は、掃除のスキルはもちろん、照明器具の交換、修繕などができるとさらに顧客ニーズが高まるようです。また、お客さまと直接やり取りをすることも多く、コミュニケーション力や接客サービス経験などもプラスになるでしょう。

清掃という仕事柄、丁寧で細かい作業をコツコツ続けられる一方で、段取りをしてスピーディーに作業をする進行力も求められます。

ハウスクリーニングの志望動機

この項では、ハウスクリーニングの仕事に就くための志望動機について解説します。下記でご紹介する「ハウスクリーニングの仕事が向いている人」を参考にして、自身の長所と最も一致するポイントを中心にアピールしましょう。

経験者の場合は、得意な清掃技術を伝えるのがおすすめです。未経験者の場合は、日ごろの掃除で身につけた技術などをアピールしましょう。

ハウスクリーニングが向いている人

ハウスクリーニングの仕事が向いている人の特徴は以下のとおりです。

真面目で丁寧な人

清掃の仕事の基本的な部分である「きれい好き」かどうか、細かい部分も手を抜かずに取り組める真面目さがあるか、などを問われます。

段取りができる人

1件あたりの現場に掛けるのが2〜3時間というハウスクリーニングの仕事では、的確でスピーディーな作業進行が求められます。段取りをして効率的に作業できるスキルがあると、評価されやすいでしょう。

コミュニケーション力に自信がある人

お客さまと直接やり取りをする仕事なので、笑顔で挨拶できるといった接客マナーとともに、細かい要望に応えるためのコミュニケーションが不可欠です。

未経験者の志望動機

未経験者の志望動機では、ハウスクリーニングの仕事に適性があることをアピールするのが大事です。掃除や整理整頓が得意なのはもちろん、丁寧、几帳面、体力に自信があるなど、清掃業に求められることと一致している自分の長所をアピールしましょう。

職種や業界が違っても接客業の経験があるなら、「コミュニケーション力を活かして人に喜ばれる仕事がしたい」といった志望動機も好印象を与えられると考えられます。

経験者の志望動機

ハウスクリーニングの経験があるなら、前職で身につけたノウハウや知識、経験した仕事内容を伝えましょう。得意とする技術や接客方法などがあれば、特にアピールポイントとなります。

ハウスクリーニングの求人は、その業者ならではの特化したサービスを打ち出していることが多いので、自分の経験やスキルをどのように活かせるかを伝えるのが効果的です。

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ハウスクリーニングに関するFAQ

ここでは、ハウスクリーニングの仕事に関する疑問をQ＆A方式で解説します。

ハウスクリーニングに未経験OKの正社員求人はありますか？

あります。特に、研修が充実している企業では、人柄やポテンシャルを重視して採用する場合が多いようです。そのほか、将来の幹部候補として未経験の若手を採用する企業もあります。

未経験OKの求人を探す方法は「社会人経験なしから正社員就職できる？成功のための準備やコツを紹介！」のコラムを参考にしてください。

ハウスクリーニング技能士以外の資格は？

「ハウスクリーニングアドバイザー」があります。日本生活環境支援協会（JLESA）が主催している資格で、誰でも受験が可能です。通信講座で勉強して、在宅で受験することもできます。取得すれば清掃の知識があることを証明できるので、未経験からの就職を目指す方におすすめです。

ハウスクリーニングアドバイザーについては「清掃業の仕事内容とは？メリット・デメリットと向いている人もご紹介」のコラムでも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

ハウスクリーニングに繁忙期はありますか？

依頼案件によっても異なりますが、基本的には、賃貸の入居前クリーニングが発生しやすい3月と年末の大掃除のシーズンです。一方、1～2月や秋は「年末の大掃除後であまり必要にならない」「過ごしやすく自分で掃除をする人が増える」といった理由から閉散期になります。

ハウスクリーニングと家事代行の違いは？

頻度とその掃除の範囲です。
家事代行の清掃サービスは、基本的に定期的に行い、清潔さを保つことを前提としています。一方、ハウスクリーニングの掃除は入退去前の清掃や年末の大掃除など、1回の清掃の仕上がりを求められる点が違いといえるでしょう。

家事代行は、その名のとおり日ごろの掃除を代行するものですが、ハウスクリーニングでは、業務用の専門的な道具や洗剤を使って蓄積した汚れを一掃します。

ハウスクリーニングのアルバイトから正社員になれますか？

正社員登用制度がある企業なら、アルバイトから正社員になれる可能性があります。企業によって正社員になるための条件が異なりますが、アルバイトでの実績や勤務態度がポイントになるようです。

正社員登用制度については「アルバイトから正社員になるには？登用制度や採用されやすい人の特徴を解説」のコラムで詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。

ハウスクリーニングの志望動機を作るのが難しいです

自身の強みや仕事への熱意、将来のキャリアプランなどを織り交ぜて作りましょう。具体的なエピソードとともに強みをアピールし、「10年後は管理職になりたい」といった目標を伝えると効果的です。「履歴書の志望動機の書き方とは？例文とともに転職時のポイントを解説」で紹介している例文を参考にして、オリジナルの志望動機を考えてみてください。

1人で志望動機を考えるのが難しい方は、就職・転職エージェントのハタラクティブへご相談ください。キャリアアドバイザーが、応募先企業にアピールできる志望動機を一緒に考えます。

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監修者：後藤祐介キャリアコンサルタント

一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています！

京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。

資格

• 国家資格キャリアコンサルタント
• 国家資格中小企業診断士

メディア掲載実績

• 働きたいだれもが就職できる社会を目指す「ハタラクティブ」
• 「働く」をmustではなくwantに。建設業界の担い手を育て、未来を共創するパートナー対談
• 定時制高校で就活講演 高卒者の職場定着率向上へ
• 厚労省認定「サポステ」で若者の就労支援厚労省認定「サポステ」で若者の就労支援

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