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博士課程からは就職できない?主な勤め先や就活を成功させる方法を紹介
更新日
この記事のまとめ
- 博士号は、修士号に比べると就職率が低い傾向にある
- 博士号の求人は研究内容によって異なるため、就職先を考えて研究を選ぶ必要がある
- 博士課程に進学すると、高い専門性を身につけられる
- 博士課程へ進学すると、専門分野以外への就職がしづらくなる
- 博士課程修了者が就職するには、キャリアセンターや就職支援サービスを利用するのが有効
「博士課程修了者は就職が難しい?」と不安に思っている方もいるでしょう。博士課程は、学部卒から博士号取得までに約5年かかり就職が難しいといわれることもありますが、できないわけではありません。
このコラムでは、博士課程修了者の主な就職先や就活を成功させる方法を紹介しています。また、博士課程へ進学するメリット・デメリットも解説しているので、進路に迷っている人は参考にしてみてください。
博士課程からは就職できない?
博士号は、学部卒や修士課程修了者に比べて就職が厳しい傾向にあるようです。理由は、博士号の取得が一般的に最短でも5年かかることにあります。大学院に進んだ人が博士課程を修了するころ、大卒後すぐに就職した同級生はすでに6年ほど社会人経験を積んでいるので、責任の重い仕事を任されている可能性が高いでしょう。
それに対し、博士課程修了者は社会人未経験。30歳前後の新人でありながら、学歴が高いため給与水準が高く扱いに困る…という企業が多いようです。また、「特定の分野の研究をしてきた=視野が狭く、即戦力にならない」と考える企業もあるでしょう。このような理由から、一般企業は博士の採用に消極的になる傾向があるようです。
修士課程修了者に比べると就職率は低い
文部科学省の「令和5年度学校基本統計の公表について」を見ると、令和5年度の博士課程修了者のうち、就職した人の割合は70.2%で、修士課程修了者の就職率は77.4%です。比較すると、博士号の就職率のほうが低いことが分かります。
博士課程・修士課程修了者の卒業後の状況
修了者(人) | 就職者(人) | 修了者に占める就職者の割合(%) | |
---|---|---|---|
博士課程 | 1万5,831 | 1万1,120 | 70.2 |
修士課程 | 7万4,258 | 5万7,483 | 77.4 |
引用:文部科学省「令和5年度学校基本統計(学校基本調査の結果)確定値を公表します(p8~9)」
修士・博士の学位については、「学士とは?修士や博士との違いと就活に与える影響を解説」もあわせてご覧ください。
参照元
文部科学省
学校基本調査-令和5年度 結果の概要-令和5年度学校基本調査の公表について(PDF:775KB)
専門的な職種での採用ニーズは高い
博士号は、学部卒の求人数より少なくなるものの、専門的な職種の求人があります。開発や改良に携わる「研究機関」では、仕事内容となる実験や解析、データ収集などの知識を見込んで修士・博士卒を対象とする求人が多いようです。
また、研究職は中途採用も行っているので、自分の状況に合った求人を探してみると良いでしょう。中途採用の場合、学部卒の就活とはやり方が異なるため、事前によく確認しておくことが大切です。中途採用の面接のポイントは、「中途採用の面接では何に気をつけるべき?」で解説しています。
院卒者の就職事情も参考にしたい方は、「院卒は就職で不利になる?院卒の就職事情や就活のポイントを解説」もあわせてご覧ください。
博士課程の求人は研究分野によって異なる
博士課程の研究分野ごとの求人傾向
博士課程は主に研究活動を行うため、その分野の専門性が高いといえます。求人を探す際は、研究分野に合った求人を探すと良いでしょう。
文系の研究職は少ない傾向にある
文系の研究職の求人は、理系に比べ少ない傾向にあります。なぜなら、そもそも研究対象が理系に比べ少ないからです。
しかし、条件によっては文系の方も研究職に就職できます。文系は、大学の教授だけでなく民間の研究所や企業にも研究職の枠があるため、求人をよく確認してみてください。
研究職について詳しく知りたい方は、「研究職にはどんな種類がある?就き方や向いている人の特徴も解説」のコラムで研究職について紹介しているので、ぜひご覧ください。
理系の研究職は多い傾向にある
理系は文系に比べて研究対象が多く、就職先は、大学教授以外にも公的研究機関や民間企業などさまざまです。
文部科学省の「博士課程修了後の就職先(分野別・職業別)」では、理学、工学などを専攻した博士課程終了後の進路で多かったのが、教員以外の専門職(科学研究者・技術者等)であることが分かりました。
参照元
文部科学省
「未来を牽引する大学院教育改革~社会と協働した「知のプロフェッショナル」の育成~」(審議まとめ)(平成27年9月15日 大学分科会)
修士や博士は専門職の求人がある
修士号や博士号は専門性に長けているため、専門職の求人に応募ができます。また、専門職の仕事内容によっては、修士号や博士号を持っていると有利になる可能性も。
科学技術・学術政策研究所の「民間企業の研究活動に関する調査報告2022 [NISTEP REPORT No.199]を公表しました(p8)]によると、修士号と博士号は、学士号取得者(大卒)に比べて研究開発者の採用が多いことが分かります。特に、専門性が必要とされる研究職や専門職は、修士号や博士号のほうがニーズが高い傾向にあるため、自分の専門分野に合った求人を探すことをおすすめします。
参照元
科学技術・学術政策研究所
民間企業の研究活動に関する調査
就職せずに博士課程に進むメリットとデメリット
先述したように、博士号は学部卒から5年かかるため、たとえ新卒でもポテンシャル採用されるのは難しいでしょう。では、就職せずに博士課程を進むことへのメリットはあるのか、デメリットもあわせて詳しく解説します。
メリット
就職せずに博士課程に進むメリット
就職せずに博士課程に進むメリットは、「興味があることを追求できる」「高い専門性を身に着けられる」「就職の際に専門的な知識やスキルを評価されやすい」などが挙げられます。
それぞれのメリットについて、以下で詳しく見てみましょう。
興味のあることをとことん追究できる
博士課程では、自分が興味関心のあることをとことん追究できる環境があります。研究自体は就職した企業の研究職でも行えるものの、その範囲の自由さは博士課程に進む魅力の一つです。
また、研究の成果によっては世の中に大きな影響を与えることも。一般企業では決して体験できない経験をすることは、やりがいや達成感にもつながるでしょう。
高い専門性を身につけられる
博士号は、研究によって高い専門性を身につけられる学位です。たとえば、論理的思考力や批判的思考力、相手に分かりやすく物事を伝える伝達力、データ分析力などさまざまな能力があります。これらは社会でも活かせるものなので、選考時に評価してもらいやすいでしょう。
また、将来性のある分野なら、研究を極めることで就職後の給料アップや裁量のある役職に就くことも期待できます。
就職で専門的な知識やスキルを評価されやすい
専門性のある内容を仕事を扱う企業や公務員、大学教授などは、博士課程修了者のみを採用対象としているところが多いようです。このような希少度の高い職種に挑戦できるのも、博士号の特徴といえます。
修士課程修了者が対象の求人でも、博士号を持っていれば「高い専門性がある」として採用されやすくなることも。博士課程で習得した知識を活かして、幅広いキャリアに挑戦できるでしょう。
デメリット
就職せずに博士課程に進むデメリット
博士課程に進むデメリットとしては、「同年代の社会人とキャリアの差が出る」「博士課程修了者を対象とした求人が少ない」「専門分野以外への就職がしづらい」などが挙げられます。
博士課程に進むか迷っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
同年代の社会人とキャリアの差が出る
博士号から就職すると、学部卒の新卒で就職した同年代の人とのキャリアに差が生まれます。博士号を取得するには最短でも5年かかるため、博士課程修了後には27歳です。つまり、新卒入社した同期とは5年の差がつきます。
27歳で社会人経験がないと就職が難しいだけでなく、初任給にも影響して年収の差が開く恐れもあるでしょう。
博士課程修了者を対象とした求人が少ない
長い年月をかけて学位を取得しても、博士課程修了者を対象とした求人は少ないのが現状です。
欧米諸国は、博士号という学位に対して社会的評価や給与水準が高い傾向にあります。一方で、日本では博士号取得後のキャリアパスがあまり整備されていないのも事実。そのため、博士号があっても、必ずしも希望職に就けるわけではないことを念頭に置きましょう。
専門分野以外への就職がしづらい
博士課程修了者は、研究職の内定が得られなかった場合、専門分野以外の職種に目を向けにくくなります。これまで研究を続けてきた分野を取り扱う職場が見つかっても、内定がもらえなかった際に次の就職先として一般企業や職種は選びにくいもの。
また、大学でポスドク(博士研究員)に就く道もありますが、時間を重ねてしまうとより就職が難しくなるでしょう。
博士課程を中退して就職することは可能?
博士課程を中退して就職することは可能です。大学院を中退すると、「既卒」として就職に挑めるのがポイント。新卒と比べて不利になる場合があるものの、積極的に既卒を採用したり、既卒を新卒として扱ったりする企業も存在します。また、これまで研究に使っていた時間を資格取得の勉強にあてることもできるので、自分に合った就職先を見つけられるでしょう。
大学院の中退率やリスクなどについて知りたい方は、「大学院中退率と就職に与える影響を解説!就活で後悔しないポイントも」のコラムを参考にしてみてください。
博士課程修了者の主な就職先3選
ここでは、博士課程修了者におすすめの主な3つの就職先をご紹介します。
1.民間企業
大手の製造業などでは、企業の将来を担う研究開発者を求めています。企業が携わっている研究内容と、実際に自分が研究している内容が合致することは少ないため、分野が違ったとしても一度応募してみると良いでしょう。
また、中途採用の場合は即戦力のある人材を求めるので、求人票に必要な経験やスキルなどが記載されていることが多いようです。自分に当てはまるものがないか、事前に確認してみてください。
2.大学や公的機関
博士課程修了者は、大学や公的機関の研究職として働くのもおすすめです。ただし、大学や公的機関の研究職は、募集の有無がその年によって変わるため、求人を見逃さないように注意しましょう。
公的機関への就職が気になっている方は「公務員とはどんな職業?転職を目指す前に知っておくべきこと」のコラムもあわせてご覧ください。
3.海外企業
博士課程修了者は、海外企業への就職も可能です。「博士課程修了者を対象とした求人が少ない」でも述べたように、海外における博士号の社会的評価は高めです。世界で活躍する研究者にとって博士号の学位は影響力があり、就職がしやすいでしょう。
給与は学位ごとに異なる
給与は学位ごとに異なり、学歴が高いほうが給与も高い傾向にあります。
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、大学卒の平均賃金が36万2,800円なのに対し、大学院卒は46万4,200円で、約10万円ほど大学院卒のほうがが高いことが分かりました。
大学院を卒業し、修士号や博士号をとると就活のハードルは上がりますが、その分給与は高くなるといえるでしょう。
参照元
厚生労働省
令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 学歴別
博士課程修了者が就職する3つの方法
博士課程修了者が就職する3つの方法
博士課程修了者が就職を成功させるためには、求人情報を細かくチェックしたり、第三者の力を借りたりするのが効果的です。ここでは、3つの方法について解説します。
1.求人情報をこまめにチェックする
企業のWebサイトや就職サイトなどから、求人情報を定期的にチェックしましょう。通常の学部卒なら3月から始まるのがほとんどですが、有名企業やメーカーによっては、博士課程2年の9月ごろから採用活動が始まります。一般的な開始時期と半年以上も異なるため、見落とさないように注意して見ておきましょう。
2.大学のキャリアセンターに相談する
自分が通っている大学のキャリアセンターへ相談してみるのも、博士号の就職先を探す方法の一つ。キャリアセンターではインターンや独自求人などの情報を得られることもあるので、一度確認してみるのがおすすめです。また、書類添削や面接対策もしてもらえるため、効率的な就活ができるでしょう。
教授からの紹介を受ける手もある
理系の場合、大学の教授が企業にコネクションを持っている可能性があります。気になる方は、担当の教授に相談してみましょう。教授からの紹介は、研究所の専門性が企業採用対象であり、過去の採用実績も良好なことが多く、内定獲得率の高さが特徴です。3.就職支援サービスを利用する
博士課程修了者の就職先を探すなら、就職支援サービスを利用するのも良いでしょう。主なサービス内容は、就活のプロであるアドバイザーとの就職相談や求人紹介、書類作成の指導、面接選考時のフォローなどです。また、職種や業界に特化したエージェントもあるので、自分に合ったサービスを選んでみましょう。
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京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。