海運業界の仕事

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海運業界とは

海運業界は、エネルギーや原材料、食品などの各メーカーに対して、海上輸送を中心にサービスを提供しています。

顧客のニーズに伴い、さまざまな事業を展開。液体化学品を運ぶケミカル船に特化した会社や、食品や製品向けのコンテナ船に強みをもつ会社などがあります。

海運業界に興味のある方は、どのような分野に分かれているのか、どのような職種があるのかを知る必要があるでしょう。ここでは、代表的な仕事や海運業界で用いられる船舶の種類を解説します。

代表的な仕事

石油業界の仕事の種類は、「ターミナル事業」「海洋事業」「技術開発」「艦船事業」「ライフサイクル事業」と大きく5つに分けられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.ターミナル事業

ターミナル事業には、コンテナターミナルやケミカルターミナルなど、貨物の種類によって専用ターミナルを設ける企業があります。ターミナルでは、貨物の積み下ろしや運搬、保管をしているようです。

2.海洋事業

海洋事業は、船を輸送のためでなく、海の特定場所に浮かべて活用します。「浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(FSRU)」「浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)」が代表的です。

3.技術開発

技術開発は、輸送技術を追求しています。低負荷域で良い燃料率を実現させる排ガスバイパス(EGB)による低負荷チューニングなどがあり、環境保全を目指しているようです。

4.艦船事業

艦船事業は、ヘリコプター搭載護衛艦やイージス艦、氷砕船、巡視船などを建造します。輸送目的ではなく、防衛省や軍用の船を提供しているようです。

5.ライフサイクル事業

ライフサイクル事業では、新造船から解撤までの沖修理や改造工事、搭載機器の点検などを実施しています。船に関わるライフサイクルをサポートしているようです。

内航海運と外航海運に分かれている

海運業界は、国内の貨物を海上輸送する「内航海運」と、海外へ物資を輸出入する「外航海運」の2つに分けられます。
内航海運は、国内の港をつなぎ、石油や食料品、日用品など生活するうえで必要不可欠な物資を運搬。また、新幹線や工業用水の輸送も行い、生活を支えているようです。
外航海運は、日本と海外をつなぎ、資源エネルギーや食料品などの輸出入を行います。日本の食料品は輸入品に頼っている部分が大きいため、人々の生活を支える大きな役割を担っているようです。

海運業界で用いる船舶の種類

海運業界で用いる船舶には、「コンテナ船」「LNG船」「LPG船」などがあります。以下、詳しく見ていきましょう。

コンテナ船

コンテナ船は、日用品や電化製品などを運ぶために用いられます。コンテナに貨物を詰め、一度に多くの貨物を運べるようです。

LNG船

LNG船では、液体天然ガスを運びます。マイナス162度に冷却し、液体化させて運べるのが特徴です。万が一の事態が起こると、大惨事につながるため、専門的な知識が必要になります。

LPG船

LPG船は、液体石油ガスを運ぶ専門船です。低温で液体化させる船と、高温で液体化させる船の2種類があります。低温液体化は外航船に用いられ、高温液体化は内航船に用いられる場合が多いようです。

海運業界の具体的な職種

海運業界では、担当領域や必要な技術にあわせて職種が細分化されていきます。この項では、代表的な職種とその仕事内容をまとめました。

1.航海士

航海士は、航海中に船の甲板で操縦や指揮をとります。そのほか、貨物の積み下ろしの監督や、積荷の管理などを行っているようです。

2.機関士

機関士は、主に船舶のエンジンやボイラー系機器を操縦します。船のなかで、機械を扱うことに最も特化しているようです。

3.通信士

通信士は、通信機で陸上と連絡をとったり、通信機のメンテナンスを行ったりします。通信士は、無線従事者免許という資格が必要です。

4.船員

船員は、甲板部や機械部に分かれそれぞれの役割を担います。甲板部では、貨物を積み下ろしたり、舵取りをしたりするようです。また、機械部では、機器の整備や点検を行っています。

5.事務職

事務職は、集荷営業や港湾管理、企画、情報システムなどを手掛けています。案件ごとにほかの職種と連携を図りながら、運航管理を行っているようです。

6.技術職

技術職は、新造船計画や新技術開発、船舶保守管理業務を実施します。国内や国外を拠点にグローバルに活躍しているようです。

7.営業職

営業職は、各種メーカーに営業をして、船で運ぶ貨物を集めます。新規の契約を獲得したり、継続更新を行ったりし、企業の売上に貢献しているようです。

8.設計職

設計職は、開発された船舶を設計します。コンピューター画面上で最新の技術を活用し、基本設計や詳細設計を行っているようです。

9.調達職

調達職は、船舶を造る資材(パイプや電線、塗料など)の購入から納期管理や支払い手続きまで行います。優れた材料や機器を選定することも重要な役割です。

10.修理職

修理職は、船の積荷や人の安全を確保するためのメンテナンスをします。定期的に性能や安全性をチェックし、不備があれば対応するようです。

物流業界に興味がある方は「物流業界の仕事」のコラムもあわせてご一読ください。

海運業界の現状と課題

現在海運業界は円安傾向で、安定した輸送ができているようです。ただし、船員の高齢化が進んでおり人手不足が課題となっています。

ここでは、海運業界の現状と課題を詳しくまとめました。

海運業界の現状

2008年に起きたリーマン・ショック以降、海運業界は燃料価格の高騰により、厳しい状況に陥りました。その後、円安傾向で現在は比較的安定してきているようです。

海運業界の課題

海運業界には、船員の高齢化が進んでいることや、環境汚染を防ぐ対策をとる必要があることなどが課題となっています。以下、海運業界の課題についてまとめました。

国際社会への競争力が低下している

日本の海運業界は世界と比べ、競争力が低下しているようです。日本の輸送量は減少傾向にあり、世界から選ばれる輸送形態を生み出す必要があります。

船員の高齢化が進んでいる

海運業界の船員の高齢化が進んでいることが課題となっています。国土交通省の「船員の現状等 内航船員の推移(年齢階層別)(p.6)」によると、50代以上の船員は2019年が46.4%で、約半数以上が50代以上を占めています。

高齢化が進むと人手不足になり、人手不足が続くと運べる貨物の数も減ってしまうでしょう。今後、女性社員や若手社員の採用が必要になります。

参照元
国土交通省
船員の現状等

環境汚染を防ぐ対策が必要になる

近年地球温暖化が進んでおり、環境へ配慮するように義務づけられています。海の生物を守ったり、大気汚染を食い止めたりするために、環境へ配慮して貨物を運ぶことが求められるようです。

海運業界の将来性

近年環境汚染が問題視されており、海運業界では環境に配慮した事業展開が求められています。また、人手不足に対応するために、デジタル化を進めていくことも重要です。

海運業界の今後の動向

海運業界は今後、脱炭素化を目指し、新事業を展開することが求められます。以下、海運業界の今後の動向をまとめました。

脱炭素化を目指す

国際海事機構は、2008年と比べて2030年までに温室効果ガスを40%削減し、2050年には50%以上削減するように目標を掲げています。

この目標を達成するために、日本はすべての船舶を温室効果ガスを排出しない「ゼロエミッション船」へ変えると表明しているようです。温室効果ガス削減に向けて日本が積極的に改革することで、世界での競争力を高めたいと考えています。

デジタル化が進む

人手不足や船員の高齢化が進み、少ない人員で円滑に作業を進めるためにデジタル化が進んでいます。荷物の積み下ろしの最適化を分析したり、運航データを収集したりして作業の効率化に活用しているようです。

深刻な人手不足はなぜ起こる?転職時に知っておきたい原因と対策法」のコラムでは、人手不足になる社会的要因をまとめているので、企業を選ぶ際の参考にしてみてください。

海運業界への就職を成功させる4つのコツ

海運業界への就職を成功させるために、業界について詳しく知り、各企業の強みを把握することが大切です。ここでは、海運業界への就職を成功させるコツをまとめました。

1.業界について詳しく知る

海運業界に関する最新情報を収集することが大切です。

環境面への配慮をどのように行っているのか、海運業界と政治や経済との関わりなどの情報を集めると、海運業界の動向を把握できます。最新の動向を把握していると、グループディスカッションや面接で積極的に発言ができ、アピールできるでしょう。

業界研究のやり方を知りたい方は「業界研究のやり方は?就活に役立つノートの作り方とポイントを紹介」を参考にしてみてください。

2.各企業の強みを把握する

業界研究だけではなく、各企業の強みを把握することも大切です。

各企業のWebサイトを確認すると、創業当時から現在に至るまでの変遷が分かります。各企業の変遷を比べると、それぞれの強みや違いに気づけるでしょう。

3.英語力をアピールするために語学力を高める

海運業界は業務上英語を使う機会が多いため、語学力を高めることが大切です。

TOEICで高得点を獲得するとアピール材料になります。事前に語学力を高める努力をしていると、「入社するために頑張っているんだ」と入社意欲の高さをアピールできるでしょう。

TOEICで高得点をとる対策法を「TOEICのスコアは就活でアピールできる?概要と学習方法について解説」のコラムで解説しているので、あわせてご一読ください。

4.責任感や実行力を発揮したエピソードを伝える

海運業界は業務をやり遂げる責任感や、期日までにやり切る実行力が求められるため、関連したエピソードを伝えるとアピールできます。

これまでの経験を振り返り、責任感をもって取り組んだ出来事や、目標を達成するために計画的に取り組んだエピソードをまとめましょう。具体的に説明すると説得力が増し、より自身の魅力を伝えられます。

海運業界の志望動機

海運業界を志すには、責任感をもち、英語力がある必要があります。以下、海運業界に向いている人の特徴とそれを踏まえた志望動機をまとめました。

海運業界に向いている人

海運業界は、責任感がある人や英語力がある人が向いているでしょう。ここでは、海運業界に向いている人を解説します。

責任感がある人

海運業界は一人ひとりが重要な業務を担う機会が多いため、与えられた業務を最後までやり切る責任感が求められます。

たとえば、「前職では△△のプロジェクトを成功させるために、ゴールを見据えながら計画を立てて取り組みました」など、これまでに責任をもって取り組んだ出来事を伝えると責任感の強さをアピールできるでしょう。

英語力がある人

海運業界は海外勤務する可能性もあるため、日常会話レベル以上の英語力が求められます。

「キャリアアップしたい」「海外勤務したい」と考えている方は、専門用語を使える英語力が必要です。TOEICで高得点をとると、英語力の高さをアピールできるでしょう。

英語力が求められない場合もある

採用時に語学力を重視していない企業もあるようです。その場合、入社後に語学力を向上させるために、企業側が支援しています。
入社前に日常会話ができなくても良いですが、入社後は英語を使う機会が多いため、語学力を高めるために努力ができる姿勢が必要になるでしょう。

リーダーシップ力がある人

海運業界は、自分に与えられた業務を主体的に取り組み、成果を出すことが求められます。

たとえば、船長は、大きな仕事をみんなで協力して果たすために、船員をまとめるリーダーシップ力が必要です。状況を把握し、どのように声掛けをするとチーム全体の能力が発揮できるか考え、チームを引っ張っていくのが大切になります。

これまでにリーダーとしてチームを引っ張っていった出来事を伝えると好感を与えられるでしょう。

分析力がある人

海運業界では、世界情勢や地域課題に関する情報を集め、先を見通しながら業務を進める分析力が求められます。

海運業界を取り巻く状況を把握し、数年先にはどのように変化するのかを分析しながら業務を進められる人が向いているでしょう。

好印象を与える志望動機を作成するときの3つのポイント

志望動機を作成するときには、海運業界を志望した理由を明確にしたり、企業の強みを整理したりすることが大切です。ここでは、好印象を与える志望動機を作成するときのポイントを解説します。

1.海運業界を志望した理由を明確にする

海運業界を志望した理由を明確にして、分かりやすく伝えることが大切です。

物流は海運業界以外に、陸上輸送や航空輸送があります。なかでも、海上輸送を選んだ理由を伝えましょう。海運業界の魅力を伝えると、理解度や志望度の高さをアピールできるでしょう。

2.応募した企業の強みを整理する

志望する企業の強みを見つけ、「この企業だから挑戦できること」を志望動機で伝えましょう。海運業界全体でいえることだけをアピールしても、「志望動機を使い回しているのではないか」「ほかの企業が第一志望ではないか」とネガティブな印象を与える恐れがあります。

同じ海運業界でも、重点を置いている事業に違いがあるでしょう。それぞれの企業の強みを整理し、志望した企業だからできることを伝えると志望度の高さをアピールできます。

企業研究ってどうやるの?基本的なやり方と目的を解説」のコラムでは企業研究のやり方を解説しているので、参考にしてみてください。

3.入社後にどのように活躍したいかを伝える

選考の場で、入社後にどのように活躍したいと考えているのか伝えることが大切です。

採用担当者は選考の場で、企業とのマッチ度の高さや、入社後に活躍できる人材なのかを確認しています。そのため、企業にどのように貢献できるかを明確に述べましょう。

未経験者の志望動機

未経験者の場合は、海運業界を志望するに至った理由と熱意を伝えるのが効果的といえます。ここでは、未経験者の志望動機の例文をご紹介します。

未経験者の志望動機の例文

「物流で人々の生活を支え、社会に貢献したいと思い志望しました。
貴社は大気汚染を防ぐためにゼロエミッション船の開発に力を入れていることを知り、わたしも持続可能な物流を実現する一員になりたいと思いました。
英語力に不安はありますが、今後も学び続け、積極的に業務を進められるように努力をします。現在はTOEIC800点を目指して勉強しています」

異業界からの応募する場合は、応募するに至った理由を明確に述べ、入社後どのように活躍したいと考えているのか伝えましょう。

経験者の志望動機

経験者の場合は、なぜ転職しようと考えたのかに触れると良いでしょう。ここでは、経験者の志望動機の例文をご紹介します。

経験者の志望動機の例文

「前職では航海士として5年ほど業務に携わっていました。効率よく貨物の積み下ろしができるように計画を立てたり、ミスがないように管理をしたりすることにやりがいを感じていました。
貴社は年齢問わず新しい業務を任せ、経験値を高めさせてくれることを知り、これまでの経験を活かしながら新しい業務にも挑戦しキャリアアップしたいと思い転職を決意しました。
今後も周囲とコミュニケーションを図り、円滑に業務が進めていきたいと考えています」

経験者の場合は、転職に至った経緯を明確に伝えましょう。また、これまでの知識やスキルを、入社後にどのように活かしていくかを述べることも大切です。

志望理由・動機の例文を解説!書き方の流れや作成時のポイントも紹介」のコラムでは、志望動機を書くときのポイントを詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

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海運業界に関するQ&A

ここでは、海運業界の仕事に興味のある方に向けて、よくある質問と回答をまとめています。

海運業界にはどのような仕事がありますか?

海運業界には、航海中の操縦や指揮をとる航海士や、新造船を開発する技術職、安全な輸送ができるようにメンテナンスを行う修理職など幅広い業務があります。

海運業界に向いている人はどのような特徴がありますか?

責任感がある人や英語力がある人に向いているでしょう。また、航海士や通信士、事務職など業務内容が幅広いため、連携をとれるように協調性がある人にもおすすめです。

海運業界には未経験者も入れますか?

未経験者も海運業界に就職することは可能です。海運業界に興味をもった理由を伝えることが重要です。入社後、どのように力を発揮したいと考えているのか述べると良いでしょう。

未経験でも挑戦できる?異業種への転職を成功させるコツ」のコラムでは、未経験から異業種へ転職する際のコツを紹介しているので、参考にしてみてください。

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