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博士課程の就活はいつから?スケジュールや求人の探し方を紹介
更新日
この記事のまとめ
- 博士課程の就活において、就職率は学部や修士に比べると低め
- 博士課程の就活スケジュールは学部生とは異なるので注意が必要
- 博士課程の就活では、学校の就職課や教授の紹介を活用しよう
博士課程の就活について「いつから始める?」「求人の探し方は?」と悩む学生もいるでしょう。博士課程向けの求人は少ないため、どのような就職先があるか確認しておくことが大切。専門的な知識やスキルがある博士課程の学生は即戦力として期待される一方で、年齢や学歴の高さから採用を控える企業もあるようです。このコラムでは、博士課程の就活事情やスケジュール、求人の探し方について紹介するので、ぜひ参考にしてください。
博士課程の就活事情
博士課程修了者の就職率は、大学卒に比べると低いです。就職先として理系の研究職や薬剤師は、博士課程の学歴が評価されやすいでしょう。博士課程の就活事情として、就職率と求人の傾向について解説します。
博士課程の就職率
文部科学省が実施している「令和5年学校基本調査」によると、博士課程を修了した人の就職率は過去最高の70.2%となりました。博士課程修了者の就職率は、年々高まっているといえます。
大学(学部)卒業者 | 修士課程修了者 | 博士課程修了者 | |
---|---|---|---|
就職率(3年3月) | 74.2% | 75.8% | 68.4% |
就職率(4年3月) | 74.5% | 76.1% | 69.3% |
就職率(5年3月) | 75.9% | 77.4% | 70.2% |
引用:文部科学省「令和5年度学校基本統計(学校基本調査の結果)確定値を公表します(6~8p)」
しかし、同年の大学(学部)卒業者の就職率は75.9%。修士課程修了者の就職率は77.4%なので、博士課程修了者の就職率は総じて学部卒・修士課程修了者より下回っていることが分かるでしょう。
参照元
文部科学省
学校基本調査
博士課程の就活開始時期は年々早まっている
博士課程の学生を対象とした新卒採用の選考時期は、年々早まっている傾向にあるといえるでしょう。大手の製薬会社や化学メーカーのなかには、博士課程修了者を積極的に採用しようと早期選考を行っている企業もあります。
志望企業がある場合は、企業のWebサイトや大学の就職課を利用して、早めに採用情報を確認しましょう。博士課程の就活時期について、詳しくは後述する「博士課程の就活はいつから始める?」も参考にしてください。
博士課程文系の求人は少なく競争率が高い
文系の研究職に関する求人は理系の研究職に比べると少ない傾向にあり、競争率が高いといえるでしょう。しかし、公的機関の研究所やシンクタンク、コンサルタントのような民間企業でも、条件によっては文系でも研究職の枠がある可能性はあります。大学教員だけでなく、研究所や民間企業の採用情報も確認してみるのがおすすめです。
理系の研究職や薬剤師では博士課程が評価されやすい
理系の研究職や薬剤師の選考で博士課程は、評価されやすいでしょう。研究職は入職にあたって高度な専門知識が求められるため、大学院の修士課程や博士課程が条件の求人もあります。
また、製薬会社も研究職の場合は、高度な専門知識がある人材を求めているといえるでしょう。研究職だけではなく、病院薬剤師の仕事でも博士課程は評価されるといった動きもあるようです。
博士課程とは
博士課程とは大学院の課程のひとつで、修士課程に2年在席したのちに進学するのが一般的。修士課程を含んで5年以上の履修課程を修了することで、博士課程を修了し「博士号」を取得できます。
博士課程と学部卒との違い
学部卒と博士課程の違いは、得られる称号や学びの内容・目的でしょう。
学部卒とは、いわゆる「大卒」のこと。基本となる4年の在籍期間中に、自身の研究分野の専門知識を身につけることを目的としています。学部を卒業すると「学士号」を得られます。学士については「学士とは?修士や博士との違いと就活に与える影響を解説」のコラムもご覧ください。
博士課程と修士課程修了との違い
修士課程修了と博士課程の違いも、学部卒と同じく得られる称号や学びの目的です。
学部を卒業後に大学院に進学し、2年の「修士課程」または「博士前期課程」を修了すると「修士号」を得られます。修士課程は、学部卒に比べてより高度な専門知識を身につける場所。修士課程を修了後に博士課程に進むと、専門分野における新たな発見を目的に、さらなる研究を行います。
「院卒」とは?
院卒とは、大学院の課程を修了し、修士または博士の学位を持っている人のことです。大学院では修士を取得すると、博士課程に進学できますが、修士課程を終えて博士課程に進まなくても「大学院卒」を名乗れます。博士課程の就活はいつから始める?
博士課程の場合は、いわゆる「就活ルール」は適用されないのが一般的。そのため学部卒のように「3月に情報解禁、6月から面接、10月に内定」に準じて採用活動を行う企業も少なく、なかには卒業前年度の夏から選考をスタートすることも。
学部生の就活スケジュールに合わせて進めようと思っていたら、すでに博士課程向けの選考は終わっていた…とならないよう、早めにスタートしましょう。
博士課程の就活スケジュール
博士課程の就職活動が本格的に始まるのは、博士2年目の夏です。(4年制の場合は、博士3年目。)早い会社では、博士2年目の6月ごろからエントリーが始まることもあるでしょう。
博士課程向けの採用は、書類選考から面接、内定までの選考スケジュールが短く、短期集中型になっている場合もあります。エントリー開始から締め切りまで1ヶ月しかない会社もあるため、博士2年目になったら、早めに就活準備を始めましょう。
博士課程の就活生が選ぶ企業や職種
博士課程の就活生は、これまで研究してきた専門分野を活かせる仕事を選ぶこともあるでしょう。なかでも、博士号を活用できる研究職を選ぶ方は多いようです。
民間企業の研究職
民間企業でも、研究開発を行う企業では研究職を配置しています。ただし、民間企業なので利益を出すことが求められるのが特徴。企業が求める内容に応じた研究を行う必要があるものの、自分の研究成果が製品として流通するのは大きなやりがいになるでしょう。
なお、民間企業のなかには、より研究に特化した「研究所」を持っていることも。利益とは一線を画し学術的な研究に近い面が強くなります。
公的機関の研究職
国や官公庁に付随する研究所で働く研究職です。民間企業とは異なり利益を求めないのが特徴。ひとくちに「公的機関の研究職」といっても、下記を筆頭に多くの種類・分野があります。
・民間企業からの依頼や技術相談を行う研究機関
・警察関連の研究機関
・気象関連の研究機関
・農林水産に関する研究機関
・人口や国土に関する研究機関
なお、省庁に付随する研究機関での勤務を希望する場合は、国家公務員総合職試験への合格が必須。地方団体の場合は地方公務員として公務員試験に合格する必要があります。
ポスドク
ポスドクとは「ポストドクター」の略で、博士号を取得後に大学の任期付き研究員になる人を表します。教授ではないため、大学院生と助教授の間の立ち位置といえるでしょう。
「ポスドクはやばい?問題点や就職事情について詳しく解説!」のコラムでも解説しているように、日本は欧米とはポスドクの扱いが異なります。ポスドクとして研究成果を挙げても、その先の助教授になれるのは少数。そもそも助教授のポストが少ないのに対してポスドクの数が多いため、受け入れ先がないのも要因のひとつでしょう。
博士課程で就活するメリット
博士課程で就活を行うと、これまでの研究経験や結果を即戦力として評価してもらえます。また、そもそも博士課程修了者は少ないため、倍率が低くなりやすいのもメリットでしょう。
博士課程用の選考は倍率が低め
博士課程向けの選考では、基本的に「博士課程修了(見込み)」が応募条件となります。そもそも博士課程修了者の人数は多くないため、学部生向けの選考などに比べると倍率は低くなりやすいでしょう。
研究分野の即戦力になれる
研究分野に関連する就職先であれば、即戦力として活躍できるのも博士課程終了者の強み。特に研究者の少ない分野や領域は、ライバルも少なくなるため有利になりやすいでしょう。
学部生などに比べると社会人としての基礎力は高め
博士課程を修了すると、ストレートでも27歳前後。学部生に比べて研究発表などの機会も多く、社会人としての基礎力が身についているのは大きなメリットになります。
博士課程で就活するデメリット
博士課程を修了した人材に対して、年齢やコストを懸念して積極的に採用しない企業があるのも事実です。また、研究者として高いレベルを求められるため、選考のレベルそのものが高くなるのはデメリットといえるでしょう。
求人数が少ない
「博士課程修了」を条件とする求人は少ないのが現状です。博士課程で身につけるスキルや知識を必要とする場合を除き、一般的な企業のなかは院卒に対して「年齢や学歴が高いためコストがかかる」と考えていることもあるでしょう。
「大学院卒と学部卒の違いは?就活アドバイザーに詳しく聞いてみました!」でも説明しているように、大学院卒になると学部卒に比べて給与水準が高くなります。専門的な業務ではない場合、博士課程ほどの学歴を求めない企業があるのも事実でしょう。
高いレベルを求められやすい
企業は博士課程修了者を即戦力とみなして採用するため、研究において高いレベルを求める傾向が強いといわれています。同じ分野で、より高いレベルの研究を行っているライバルがいれば採用が見送られる可能性もあるなど、学部卒に比べると実力が重視されやすいのがデメリットでしょう。
学部卒に比べると年齢が高い
学部卒に比べると、前述のとおり最低でも5歳の差が生まれる博士課程修了者。同年代の学部卒は5年のキャリアを築いているため、その差に悩む方もいるようです。
博士課程を中退しても就職で不利にはならない
新卒を採用する企業は、年齢の若さや成長意欲などポテンシャルも重視しています。博士課程の中退理由をきちんと説明できれば、就職活動で不利になる可能性は低いでしょう。博士課程を中退した際の就職活動については「博士課程を中退しても就職できる?就職活動を成功させる方法を詳しく解説」のコラムもご参照ください。
博士課程修了者の平均給与
博士課程修了者の給与に関して詳細なデータはありませんが、学位別でみると新卒の給与は大学卒より大学院卒の方が高い傾向です。博士課程の就活で志望することもある、大学教員や研究者の給与についても紹介するので、参考にしてください。
学歴別の平均給与
令和5年賃金構造基本統計調査によると、新卒を対象とした学歴別の平均賃金は、男女計で高校186万円、専門学校214万円、高専・短大214万円、大学237万円、大学院276万円となっています。博士課程修了者のデータはありませんが、最終学歴が給与に影響しているといえるでしょう。
参照元
厚生労働省
令和5年賃金構造基本統計調査
職種別の平均給与
博士課程の学生が就職で志望することがある、大学・短期大学教員の平均年収は1,065万円です。また、情報工学研究者や薬学研究者の平均年収は703万円となっています。
令和4年分民間給与実態統計調査によると、日本の平均年収は458万円でるため、博士課程が志望する職種の平均年収は比較的高い傾向があるといえるでしょう。
参照元
厚生労働省
jobtag
令和4年分民間給与実態統計調査
博士課程の就活向け求人の探し方・サイト
博士課程の就活で求人を探すには、「学校や教授の情報」や「求人サイトやコーポレートサイト」を使用するのが一般的。研究職以外も検討しているなら、エージェントを活用するのもおすすめです。
大学の就職課や教授
修士の場合、学校推薦で就活できることがあります。博士の場合は、教授や研究室に対して推薦がくるようです。また、推薦ではなくても教授からのオファーや就職課に来ている求人は活用できるでしょう。
求人サイト・コーポレートサイト
一般的な求人サイトも、博士課程の就活で活用できます。大学院卒や研究職に特化した求人サイトも活用してみましょう。企業のなかには自社のWebサイトでしか採用情報や求人を掲載していないこともあります。気になる企業があればこまめに情報を確認しておきましょう。
就職エージェント
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京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。