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理学部出身者の就職先は?難しいと言われる理由と対策を解説
更新日
この記事のまとめ
- 理学部は、大学の専攻に直結する就職先が少なく「就職が難しい」と言われることがある
- 理学部は就職率より大学院進学率のほうが高い傾向にある
- 進学か就職かで迷う場合は、一度就活をしてみるのもおすすめ
- 理学部に人気な就職先には、メーカーやIT業界などがある
- 理学部卒業生は就職活動時に専攻や研究内容を分かりやすく説明できるようにしておこう
「理学部卒業生は就職が難しい」と言われることもあり、不安を感じる方ももいるでしょう。結論からいえば、理学部出身者は、対策次第で十分に就職は可能です。このコラムでは、「就職と進学はどちらが良いのか」についても触れながら、理学部生に人気のある就職先をご紹介します。就職活動をする際のポイントもお伝えしているので、ぜひ参考にしてみてください。
理学部を卒業しても就職が難しいと言われるのはなぜ?データで考察
「理学部は就職が難しい」と言われる理由の一つに、大学の専攻に直結する就職先が少ない点が挙げられます。研究職などの職種は、募集要項に制限が設けられていることもあり、採用のハードルはどうしても上がりがちです。しかし、「理学部出身者は就職できない…?」と不安に思う必要はありません。視野を広げて就職先の選択肢を増やしていくことで、内定を勝ち取ることは十分可能です。以下で、理学部出身者を取り巻く就職の状況について紹介します。
今は文系・理系ともに就職しやすい状況にある
厚生労働省の「平成24年 雇用政策研究会 第2回資料」を参照した以下のグラフを見てみると、そもそも理学部の「就職も進学もしない者の割合」は、1970年から2010年まで文系学科と比べると相対的に低く推移していたことがわかります。
また、近年は有効求人倍率が高い水準にある点もポイントです。厚生労働省の「令和6年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)」によると、理学部生を含む理系大学の就職率は98.8%。これは、調査開始以降、過去最高となる数値です。文系の就職率も97.9%と高く、学部問わず就活に有利な状況であることがうかがえます。
就職も進学もしない者の割合
引用:厚生労働省「若者を取り巻く雇用環境と課題(就職しにくい学科の増加①)」
参照元
厚生労働省
若者を取り巻く雇用環境と課題
令和6年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)を公表します
理学部は就職と大学院進学どちらが良い?
文部科学省の「令和元年度学校基本調査(確定値)の公表について (p.9)」によると、理学部生の進学率は40.8%、正規の職員等を進路に選び就職した人は49.6%でした。進路状況を工学部生と比較したものが以下のグラフです。
理学部 | 工学部 | |
---|---|---|
進学者 | 40.8% | 36.4% |
正規の職員等 | 49.6% | 59.2% |
引用:「令和元年度学校基本調査(確定値)の公表について 図5 分野別卒業者の進路状況」
工学部生と比較すると、理学部生の方が大学院へ進学する割合がやや多い傾向にあるようです。理学部卒業生は、就職と大学院進学の特徴をそれぞれ理解し、自分に合った進路を選択することをおすすめします。選択に迷いがある場合は、大学院進学を目指しながら、就職活動を経験してみるのも一つの方法です。
参照元
文部科学省
学校基本調査-令和元年度結果の概要-
理学部卒業生が就職するメリット
就職することで、「新たなことにチャレンジできる」「収入を得られる」「社会人経験が積める」といったメリットを得られます。
1.新しい分野への就職に挑戦しやすい
専門分野以外の就職先に興味のある理学部出身者は、就職を検討するのがおすすめです。大学院に進学すると専門性を高められるものの、新しい分野への就職がしづらくなる傾向にあります。一方で、大卒の場合はポテンシャルを重視する企業も多いため、新しい分野への挑戦もしやすいでしょう。
2収入を得られる
就職すれば給料が得られ、安定した生活を送れます。理学部生は大学院に進学すると研究が忙しく、アルバイトする余裕がないという人も少なくありません。進学せずに就職し給料を得られることをメリットと感じる人もいるでしょう。
3.社会人経験が積める
社会人経験が積めることも就職をするメリットの一つ。専門分野以外の業務に触れたり、社会人として必要なマナーが学べたりします。また、実務経験を積むことで自身の成長のスピードを上げられることもあるでしょう。なかには、社会人を経験することで新たに学びたいことが見つかり、大学院へ進学する方もいます。
理学部卒業生が大学院進学するメリット
理学部生が就職ではなく大学院進学するメリットには、主に、「研究が継続できる」「キャリアプランを考える時間が取れる」「市場価値を高められる」の3つがあります。
1.研究が継続できる
研究を続けたい人や専攻を深掘りしたい理学部生の場合、より専門的な内容を学べる大学院進学を選んだほうがメリットは多いです。研究者などの専門的スキルが必要な進路を考えている人は、専門性を高めることで、就職に有利になるというメリットもあります。
2.キャリアプランを考える時間が取れる
大学卒業後の進路が定まっていない人にとって、キャリアプランを考える時間が取れることはメリットといえるでしょう。社会人になりたての頃は仕事を覚えるのに忙しく、キャリアプランについて考える時間はなかなか取れないもの。大学院に在籍しているあいだに、将来のビジョンを明確化することが可能です。
3.市場価値を高められる
大学院卒業後に就職した場合、博士号保持者として市場価値が上げられるというメリットがあります。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、2023年における大学卒業者の賃金の平均は36万9,400円、大学院卒業者の賃金の平均は47万6,700円です。年齢が上がるにつれ、賃金差も広がる傾向にあります。このように、市場価値を上げて給与水準を高められることは、理学部生が大学院進学するメリットといえるでしょう。また、メーカーなどの研究職に応募する場合、博士号の学位を必須としている企業もあります。専門スキルが必要な進路を検討している人は、進路先を増やせる点もメリットといえます。
参照元
厚生労働省
令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
理学部の既卒は就職が難しい?
研究職の募集が少ないこともあり、理学部の既卒者が専門性を活かせる就職先を見つけるのは簡単ではないでしょう。しかし、視野を広げて求職活動を行えば、条件の良い就職先を見つけられる可能性は高まります。「理系の既卒者は就職できる?就活成功のためのコツを紹介」のコラムでは、理学部の既卒生が就職を成功させるコツや、就職しやすい業界を解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【学科別】理学部に人気な就職先は?
厚生労働省の「若者を取り巻く雇用環境と課題(p14)」によると、2011年度の調査では、理学部生が専門的・技術的職業従事者として就職する割合は、半数以上を占めます。続いて、事務職、販売職、農林漁業などの順です。
専門・技術職 | 事務職 | 販売職 | 農林漁業 | |
---|---|---|---|---|
理学部 | 52% | 21% | 15% | 3% |
引用:厚生労働省「若者を取り巻く雇用環境と課題 学科別の職業別就職者数」
表から分かるように、理学部生は、専門分野を生かした就職先に人気が集まる傾向にあるようです。
注意点は、大学院を卒業していないと応募できないところもあること。研究職などの専門性のある職種は特に、募集の条件が厳しいのでしっかり確認するようにしましょう。以下では、理学部の学科別に見る就職事情をまとめました。
参照元
厚生労働省
第2回雇用政策研究会議事次第
理学部【数学・物理学系学科】
数学や物理を学んだ方の強みは、物事を論理的に分析する力を持っていることといえます。目の前にあるものや起こっている現象を解決する際、明確な根拠に裏打ちされた論理を展開できる方も多いです。理学部の数学・物理学科出身者が就職し活躍している職種には、以下のようなものがあります。
ITエンジニア
理学部出身者のなかには、数学や統計の知識を活かし、ITエンジニアとして就職する人もいます。その中でも、近年注目されているのが「アルゴリズム開発者」と「データサイエンティスト」といった職種です。アルゴリズム開発者は、コンピュータが情報を処理するための計算方法や問題解決の手順を構築します。データサイエンティストは、業務システムやインターネットのアクセスログといった膨大なデータから必要な情報を取り出して分析し、企画や経営への有益な情報を提案するのが仕事です。
保険や金融に関する専門職
それほど多くはありませんが、理学部を卒業したあと、金融や保険関係に就職する人もいます。ローンや保険製品の開発、投資などに携わる「アクチュアリー」や「アナリスト」として活躍する人もいるようです。アクチュアリーは、保険加入者のリスクを分析したり、保険料率の算定をしたりするなど、保険と金融に関するさまざまなことをシミュレーションします。アナリストは、市場動向や企業を調べ、経営リスクや業績などを分析。その見解を基に、投資家に提案を行う仕事です。
メーカー
理学部全体としても人気のある就職先がメーカーです。数学・物理学系学科の理学部卒業生は、「電機メーカー」「半導体メーカー」「医療機器メーカー」などに就職を希望する人が多い傾向にあります。
光学設計
理学部の中には、物理学で学んだ光の特性の知識を活かして、レンズや照明の設計に携わる職に就く人もいます。カメラやマルチコピー機、医療用具、電化製品など、ジャンルは多岐に渡ります。
理学部【生物学・生命科学系学科】
生物の生態系や遺伝子レベルなど専門的な知識を習得することから、理学部の中でも大学院へ進学する割合が多い学科ですが、大学卒での就職も可能です。学んだ知識を活かせる職種には、研究開発職や臨床検査技士などがあります。
研究開発職(化学系メーカー)
理学部の生物・生命科学系学科からは化学系メーカーの研究開発職が人気のようです。工業薬品や化粧品、医療品、洗剤など、生活と密接に関わりのある化学製品の研究と開発に携わります。
臨床検査技士
医療機関や検査センターで患者の健康状態を調べるのが仕事で、国家資格が必要です。主に、脳波や心音図、心電図などのデータを計測する生体検査と、体液や血液、排泄物などを分析する検体検査を行います。
理学部【地学系学科】
理学部の地学系学科を卒業後、地質調査の知識を活かし、環境計画・都市計画を伴う土木建設や環境エネルギーの領域で活躍する人もいます。測量士や地盤調査など、専門性の高い業務に携わることが多いようです。
測量士
測量法に沿った安全な工事計画となるよう、あらゆる建設工事の測量を行う仕事です。測量士になるには、国家資格の取得が必要となります。
地盤調査
地盤調査とは、建設予定地の地盤の状態を調査し分析する業務です。数値やデータ、環境から見えてくるものを緻密に分析します。理系センスが発揮される業務だといえるでしょう。
就職活動で理学部卒業生が注意すべきことは?
理学部卒業生が就職活動で意識すると良いポイントは、「大学の専攻にこだわりすぎない」「専攻内容を説明できるように準備しておく」「学業への姿勢をアピールする」の3つです。それぞれ解説していきます。
大学の専攻にこだわりすぎない
大学で専攻したことや研究したことをダイレクトに活かせる会社は限られています。条件を絞ると、内定を取りづらくなる可能性があるため、幅広い視野で就職活動を進めていくと良いでしょう。理学部卒業生は、論理的思考や計画性など仕事に活かせる要素を多く持っている傾向にあります。それらを活かした仕事にも目を向けて、就職先の選択肢を増やしておくと就職の可能性を高められるでしょう。
専攻内容を説明できるように準備しておく
理学部卒業生は、面接で「専攻の勉強内容」を聞かれると思って準備しておきましょう。説明する際は、専門分野に馴染みがない方にもわかりやすいように伝えるのがポイントです。「面接練習のやり方を解説!よく聞かれる質問や一人で行う方法は?」のコラムでは、質問内容や回答例など就職活動に役立つ情報を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
学業への姿勢をアピールする
企業は採用にあたって、コミュニケーション能力や基礎学力、積極性、責任感などを求める傾向にあります。理学部卒業生は、「どのように研究に取り組んできたか」をアピールするのがおすすめです。研究のために自ら考え行動したことや改善したこと、チームとして研究を進めるために取り組んだことなど、アピールできる要素はたくさんあるはずですので、ぜひ探してみてください。「「学業で力を入れたこと」の回答法や例文を紹介!分からないときの対処法も」では、アピール方法を具体的に解説しています。興味のある方はこちらも併せてご覧ください。
就職活動に不安がある理学部卒業生は、就職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。就職・転職エージェントのハタラクティブでは、求人の紹介だけでなく、面接対策や履歴書の添削なども行っています。プロからアドバイスを得ることで、自分では気づけなかった視点を得られたり、有益な情報を得られたりすることもあるので、上手に活用するのがおすすめです。サービスはすべて無料でご利用いただけます。まずは、お気軽にご相談ください。
理学部の就職に関するQ&A
ここでは、理学部の就職に関してよくある疑問にQ&A形式で回答していきます。
理学部の就職は大学院に行っていないと難しいですか?
視野を広げて就職先の選択肢を増やせば、理学部からの就職は十分にできるでしょう。専門性を高めたい人は大学院への進学をおすすめしますが、新しい分野への就職に興味のある人は、進学ではなく、就職を検討するのも良いでしょう。大学卒業後の進路については、「大学卒業後の進路が決まらない!後悔しない就職先の選び方を解説」でも取り上げています。
理学部で人気のある就職先はどこですか?
理学部で人気な就職先は学科により異なりますが、主にメーカーやIT業界が人気です。数学・物理系学科であれば、保険や金融業界に就職する人もいます。このコラムの「【学科別】理学部に人気な就職先は?」では、学科ごとに人気な就職先を詳しく紹介しているので参考にしてみてください。
研究ばかりしていたのでガクチカが弱いです。大丈夫でしょうか?
研究も深堀りすれば、立派なガクチカになります。「研究にはどんな苦労があったのか」「どうやって乗り越えてきたか」「研究をとおして何を学べたか」などを具体的に書き出していくと、考えを整理しやすいです。ガクチカの伝え方については「面接時で聞かれるガクチカの話し方を紹介!どこまで話す?長さの目安は?」のコラムをご覧ください。
- 経歴に不安はあるものの、希望条件も妥協したくない方
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。