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博士課程に進むと就職は難しい?進学するメリット・デメリットや就活方法
更新日
この記事のまとめ
- 博士課程修了後の就職が難しいといわれるのは、求人数の少なさが原因
- 博士課程修了者の就職率は例年約7割程度
- 博士課程修了後の主な就職先は研究機関や民間企業、大学など
- 就職せず博士課程に進むメリットは、興味のある分野を深く追究できる点
- 博士課程に進むデメリットは、大卒で就職した同世代とキャリアの差が出る点
博士課程に進もうと考えている人のなかには、「修了しても就職が難しいのでは?」と不安に思っている人もいるでしょう。状況によって不利になる可能性もゼロではありませんが、「博士課程修了者だから就職できない」ということはありません。
このコラムでは、博士課程修了者の就職率や主な就職先をご紹介します。また、博士課程に進んだ場合のメリット・デメリットも解説。博士課程への進学を検討する際の参考にしてみてください。
博士課程に進んでも就職できないって本当?
「博士課程に進んでも就職は厳しいのではないか?」と考える人もいるようです。しかし、博士課程に進むことで、必ずしも就職が厳しくなるわけではありません。
博士課程への進学を検討する際には、就職が厳しいといわれる理由を知り、自分のキャリアプランや興味に博士課程が必要かどうかを考慮すると良いでしょう。
博士号を取得しても就職が難しいといわれる理由
博士課程を修了しても就職が難しいといわれる理由には、専門性の高さゆえに求人数が少ないことが挙げられます。特に文系の場合、理系と比較すると求人数が少ないといわれているようです。
大学院でせっかく高度な知識を得ても、知識や経験を活用する機会の少ない仕事に就職してしまう可能性もあります。
目指す職業によっては、博士号を取得しなくても就職できる場合もあるので、博士課程進学前に自分の将来のキャリアプランを立てる機会を設けてみましょう。
博士課程とは?
博士課程とは、大学院で受講できる課程のことを指します。後期博士課程とも呼ばれ、修士課程修了後、原則として3年間の研究を行い、論文の審査と試験に合格することで得られる学位です。
なかには、5年間の一貫制博士課程を設定している大学もあります。
博士課程と修士課程の違い
修士課程は「前期博士課程」とも呼ばれ、原則として大学院に2年間在学して修士論文を提出し、最終試験に合格した人が得られる学位です。
大学と同じく単位を取ることがメインで、授業を受けながら専門分野の研究を行います。海外留学をする人や社会人として働きながら在学する人もいるので、2年以上かけて修了することも珍しくありません。
一方、博士課程は評価対象のメインが論文となっており、大学や学会に提出する論文を作成するために研究を行います。年数にとらわれずに研究に打ち込み、研究分野によっては休学して海外留学する人も多く、30代を過ぎて修了する方もいるようです。
博士課程修了者の就職率
文部科学省の「令和5年度学校基本統計結果の概要」によると、2023年の博士課程修了者の就職率は70.2%です。2022年の就職率は69.3%、2021年は68.4%、2020年は69.8%という結果から、例年全体の7割程度の博士課程修了者が就職していることが分かります。
「大学院を中退したら就職できない?就活を成功させる7つのポイントを紹介」のコラムでは、大学院を中退した場合の就職について解説しています。こちらもあわせてチェックしてみてください。
参照元
文部科学省
博士後期課程修了者の進路について
就職せずに博士課程に進むメリット
就職せずに博士課程に進むメリットには、「興味のある分野を深く追究できる」「博士課程修了者向けの求人に応募できる」などがあります。
就職せずに博士課程に進むメリット
- 興味のある分野を深く追究できる
- 博士号を取得できる
- 新たな発見をする可能性がある
- 海外で就職できる場合がある
- 博士課程修了者向けの求人に応募できる
興味のある分野を深く追究できる
博士課程に進むと、興味のある分野を深く追究できます。大学院の博士課程の場合、一人ひとり興味のある分野を研究しやすい環境にあるようです。
関心のある分野について研究したいと考える方のなかには、博士課程ではなく民間企業の研究職への就職を選択する人もいます。しかし、民間企業では利益の追及も重要視されているため、研究内容や費やせる時間、予算などが制限されることもあるでしょう。
「興味のある分野を突き詰めたい」「ある程度自由に研究を進めたい」と考えている方は、就職よりも博士課程への進学が向いている可能性があります。
博士号を取得できる
「博士」の称号を得られるのも、博士課程に進むメリットの一つです。博士号に有効期限はないので、博士課程を修了することで一生ものの学位を取得できます。
博士号の取得で、一部の試験項目が免除される資格も存在します。たとえば、商学・法律学関連の博士号を取得した人の場合、公認会計士の一部の試験が免除になるようです。将来目指す職種によっては、博士号の取得が有利に働くでしょう。
新たな発見をする可能性がある
研究で新たな発見をする可能性がある点も、メリットとして挙げられます。新たな発見によって、研究に大きなやりがいを感じる方も多いようです。
また、自分が書いた論文が認められ、多くの人の目に触れる機会が得られたときにも、大きなやりがいを感じられるでしょう。博士課程で研究に打ち込むことで、一般企業に就職していたら得られないであろう驚きや達成感を体験できる可能性もあります。
海外で就職できる場合がある
博士課程を修了していれば、海外で就職できる可能性があります。特に、海外で研究職を目指す場合には、博士号を持っていなければ選考を受けることも厳しいようです。
海外への就職では、肩書きの有無が就職を左右するといわれています。博士号を持っている人材は重宝される傾向にあるため、海外での就職を有利に進められる場合があるでしょう。
博士課程修了者向けの求人に応募できる
求人のなかには、応募条件を「修士課程修了」とするものや「博士課程修了者歓迎」と記載するものがあります。「博士課程修了者歓迎」の求人の場合、修士課程修了者よりも選考時に有利になる場合があるでしょう。
博士課程を修了するのは容易ではないため、博士号を持っていることが、忍耐力や探求心、知識の証明になります。自分の強みに説得力が増し、自信を持って選考を進められるでしょう。
就職せずに博士課程に進むデメリット
就職せずに博士課程に進む場合、「大卒で就職した同世代とキャリアの差が出る」「経済面の負担が大きい」といったデメリットがあります。
就職せずに博士課程に進むデメリット
- コミュニケーション能力を磨く機会が少ない
- 博士課程の修了後に必ず就職できるとは限らない
- 大卒で就職した同世代とキャリアの差が出る
- 博士課程に進むと経済面の負担が大きい
コミュニケーション能力を磨く機会が少ない
博士課程に進んだ場合、基本的に一人または少人数で研究を進めるため、同年代で就職した社会人と比べると、人間関係が狭くなることもあります。そのため、コミュニケーションスキルを磨く機会が少なくなってしまう傾向があるようです。
どのような職種に就職するにしても、ある程度のコミュニケーション能力は必須のスキル。「教授とコミュニケーションを取る」「同年代と情報交換をする」「アルバイトをする」など、意識的に人と接する機会を作るのがおすすめです。
コミュニケーション能力を向上させる方法については、「社会人に必要なコミュニケーション能力は?苦手な方の向上ポイントを解説!」のコラムで解説しています。
博士課程の修了後に必ず就職できるとは限らない
博士号を取得しても、必ず就職できるという保証はありません。状況によっては、自分の研究分野に関係する仕事に就職できないこともあります。
博士課程での研究分野に深い関わりがある業界や、自分の興味のある企業への応募や選考と並行して、広い視野での仕事を探しと業界研究も行っておくのがおすすめです。
大卒で就職した同世代とキャリアの差が出る
大学卒業後から博士課程修了までに、最低でも5年かかるため、大学卒業と同時に就職した同年代とはキャリアの差が出てしまいます。
企業側は、年齢を重ねた人材にはある程度の実績・スキルを求める傾向があるようです。博士号の取得が遅れるほど年齢が重なり、就職に不利になる恐れもあります。
これらのデメリットを認識し、博士課程修了後のビジョンを明確に定めておくと、同年代とのキャリアの差に落ち込まずに就活に取り組めるでしょう。
博士課程に進むと経済面の負担が大きい
博士課程に進むと、入学費や授業料、研究費用など金銭的な負担が生まれます。入学費や授業料は奨学金や免除制度がありますが、厳しい条件が設けられていることも多く、すべての人が利用できるわけではありません。
博士課程への進学を検討する際には、費用を計算し、経済的な負担を考慮したうえで決定してください。
博士課程修了後の主なキャリア・就職先
博士課程修了後の主な就職先は、公的研究機関や民間企業、大学、医療機関などが挙げられます。
博士課程修了後の主な就職先
- 公的研究機関や民間企業の研究職
- 大学の教員
- 医療機関の医師・薬剤師
公的研究機関や民間企業の研究職
博士号を取得したあとは、公的研究機関や民間企業に研究職・技術職として就職する道があります。特に理学や工学、農学、保健などの理系分野の博士課程修了者は、研究職や技術職へ進む方が多い傾向にあります。
大学の教員
大学教員は、博士号を取得した人の主な就職先の一つです。基本的なキャリアパスとしては、最初にポスドクとして入職し、助教、講師、准教授というステップを経て教授になります。
しかし、ポスドクから実際に教授になれる人は一握りのため、見切りを付けてほかの機関に就職したり、ポスドクのまま大学に残ったりする人もいるようです。
ポスドクとして研究し続ける人もいる
ポスドクとは「ポストドクター」の略語で、博士課程修了後に任期付きで働いている博士研究員を指します。本来ならば、任期終了後に正規の研究員として働くのが理想的ですが、日本で実際にそのようなキャリアを積めるのはごく一部の人だけだといわれているようです。
研究職や大学教授のポストには限りがあるため、雇用の不安定なポスドクから抜け出せないまま年齢を重ねる人が出てしまうという、深刻な問題も存在します。
ポスドク問題については「【ポスドク問題】有能な研究員が抱える社会的不安とは?」のコラムで解説しているので、あわせてご一読ください。
医療機関の医師・薬剤師
保健の博士号を取得した場合、医師や薬剤師といった医療関係の仕事に就く人が多いようです。近年は製薬業界で博士課程を修了している人材の需要が高まっており、製品開発をサポートする職種に就ける場合もあります。
就職後に博士課程に進む方法もある
博士号取得を目指す方法として、就職してから博士課程に進む道もあります。会社側が積極的に博士号取得を後押ししている場合は、金銭面の支援を受けられることもあるようです。ただし、支援を受ける以上、博士課程修了後は原則としてその会社に長く留まらなければいけません。また、仕事と大学院での研究を両立する覚悟も必要になります。
就職後に博士号取得を目指す際は、仕事探しの際は企業研究を徹底的に行い、「ここなら長く働けそう」と思えるような企業を選ぶようにしましょう。
博士課程修了後に就職した場合の年収は?
博士課程終了後に就職した場合の年収は、職種や企業、経験によって異なるでしょう。
以下では、博士課程修了者の主なキャリアとしてご紹介した職業の平均年収をご紹介します。
職業 | 平均年収 |
---|---|
大学教員 | 1074.7万円 |
医師 | 1436.5万円 |
薬剤師 | 577.9万円 |
医学研究者 | 740.2万円 |
土木・建築工学研究者 | 740.2万円 |
バイオテクノロジー研究者 | 740.2万円 |
宇宙開発技術者 | 554.3万円 |
上記の情報はあくまでそれぞれの職業の平均年収であり、博士課程修了者に限った数字ではありませんので、参考情報としてご覧ください。
参照元
職業情報提供サイトjobtag
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博士課程修了後の就職活動の方法3選
博士課程の大学院生が就職活動する場合、教授からの紹介を受ける方法や、大学のキャリアセンターを利用する方法などがあります。
以下では、博士課程終了後の就職活動の方法を3つご紹介。自分の状況に合わせて就活法を選択しましょう。
1.博士課程の教授からの紹介を受ける
博士課程の研究室によっては、教授に就職先となる企業を紹介してもらえる場合があります。紹介を受けたときには、教授からの情報をうのみにしないよう注意が必要です。選考時や就職後に想像とのギャップが生まれてしまわないよう、Webサイトや就職情報誌などを活用し、企業の事業内容や社風、将来性などを確認しましょう。
2.大学のキャリアセンターを活用する
大学のキャリアセンターでは、一般の求人サイトでは公開されていない求人や、自分が通う大学の卒業生を歓迎する求人を紹介してもらえることがあります。また、キャリアセンターでは面接練習やエントリーシートの添削などを行ってくれる場合もあるようです。就活を始めたら、まずは就職課の窓口に問い合わせてみましょう。
「大学院卒の履歴書の書き方を解説!学歴欄の記載方法や作成のポイントとは」のコラムでは、博士課程を修了した場合の履歴書の書き方や効果的なアピール方法を解説しています。こちらもあわせてチェックしてみてください。
3.就職エージェントを利用する
「忙しい博士課程での研究の合間に一人で就活を進められるか不安…」とお悩みの方には、就職エージェントの利用がおすすめです。
就職エージェントとは、求人紹介や応募書類のアドバイス、面接対策などを行う民間企業のサービスのこと。アドバイザーとの面談で興味のある仕事や働くうえで重視したいことなどを伝えると、自分に合う求人を紹介してもらえます。条件に合う求人探しや面接日程の調整などはエージェントが行うので、就活に多くの時間を割けない方も、効率良く就活を進められるでしょう。
ハタラクティブは、20代のフリーターや第二新卒などを対象に就職・転職支援を行うエージェントです。経験豊富なキャリアアドバイザーが、求職者の経歴に合う求人を厳選してご紹介し、応募する企業に合わせた面接対策も行います。
就活に関する疑問にもお答えしているので、就職活動を効率的に進めたい方や、一人での就活に不安を感じている方は、ぜひ一度お問い合わせください。
博士課程修了後の就職活動に関するQ&A
ここでは、博士課程終了後の就職活動に関するお悩みについてQ&A形式でお答えします。博士課程修了後の進路にお悩みの方はぜひチェックしてみてください。
理系の博士課程修了後の就職先にはどのような選択肢がありますか?
理系の博士課程終了後の就職先として、医師や薬剤師、民間企業や公的機関の研究職や大学職員などが挙げられます。理系の場合、比較的求人数は多いといわれていますが、第一志望の選考に通らない可能性も考慮し、希望の職種や企業以外の仕事についても調査をしておくのがおすすめです。
理系出身者が就職する業界や職種は、「理系の就職先はどんな職種?文系との違いや学部卒と院卒の差を解説」でもご紹介しています。
文系の博士課程に進んだ場合の就職先は?
理系と同様、大学の教員に就職する方もいます。しかし、理系に比べると研究職の求人は少なく、専門職への就職は難易度が高いようです。とはいえ、民間企業へ就職する道はあるので、博士課程で学んだ専門知識を活かせる求人を探すと良いでしょう。
文系の就活法については「文系は就職が難しい?就活を有利に進める方法やおすすめの業界について解説!」のコラムで詳しく解説しています。
博士課程修了後のキャリアはどのように積むと良いですか?
博士号取得後にキャリアを積むために、まずは専攻分野に合わせた業界への就職を目指しましょう。専攻分野と関係のない仕事でもキャリアを積むことは可能ですが、専攻分野に関わりの深い仕事に就職するほうが将来のキャリアプランを立てやすく、効率的にキャリアアップを図れます。
キャリアプランの立て方が分からない方には、「キャリアプラン例や具体的な立て方を解説!面接で効果的な答え方もご紹介」のコラムがおすすめです。
博士課程修了後の就活をスムーズに行うには?
博士課程修了者に限らず、就活をスムーズに進めたい方は、早めに就活に取り組み始めましょう。企業エントリーが始まる前から自己分析や企業情報を集めれば、徹底的に対策したうえで選考に臨めます。
一人での就活に不安を感じる方には、若年層に特化した就職・転職エージェントのハタラクティブへの相談もおすすめです。
- 経歴に不安はあるものの、希望条件も妥協したくない方
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2012年の設立以来、18万人以上(※)の就職・転職をご支援してまいりました。経歴や学歴が重視されがちな仕事探しのなかで、ハタラクティブは未経験者向けの仕事探しを専門にサポートしています。
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。