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医薬品業界の仕事とは?将来性やメリット・デメリットもご紹介
更新日
医薬品業界とは
医薬品業界とは、医薬品の研究開発や製造、販売を手掛ける業界です。
医薬品メーカーが開発・販売する医薬品には、医師の処方箋が必要な「医療用医薬品」と、ドラッグストアなどで購入できる「一般用医薬品」があります。
医療用医薬品
医療用医薬品は、最初に開発・承認された医薬品で新薬ともいわれる「先発医薬品」と、先発医薬品の特許権の存続期間が終了したあとに製造される「後発医薬品(ジェネリック)」に分類されるのが特徴です。
国内における医薬品業界の市場は医療用医薬品が大部分を占めています。厚生労働省の「令和3年薬事工業生産動態統計調査 医薬品生産金額の推移」によると、2021年(令和3年)の医薬品生産額約9兆1747億円のうち、医療用医薬品は約8兆4255億円、一般用医薬品が約7492億円。その比率はおよそ9:1です。
参照元
厚生労働省
薬事工業生産動態統計調査:結果の概要
一般用医薬品
一般用医薬品は、処方箋がなくても購入できる薬のことを指し、「OTC医薬品」とも呼ばれています。OTC医薬品は、大きく分けてドラッグストアやインターネットなどで購入できる「一般用医薬品」と、対面で薬剤師からの情報提供や指導を受ける必要がある「要指導医薬品」の2種類です。
一般用医薬品はリスクに合わせて第1・第2・第3類に区分されており、お客さまに販売するうえでの情報提供の義務や、対応する専門家などを定めています。
製薬業界との違い
医薬品業界と製薬業界には、大きな違いはありません。
医薬品業界とは、主に医薬品メーカーが集まった業界として「医薬品業界」と呼ばれており、医薬品の研究開発や製造、販売を手掛ける業界です。
そして、製薬業界も同じく医薬品の研究開発や製造、販売を手掛ける業界のことを指しています。呼び方に違いはありますが、どちらの業界も業務内容に違いはないといえるでしょう。
医薬品業界の代表的な仕事
医薬品業界の仕事の種類は、大きく以下の3つに分けられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
製薬会社・メーカー
製薬会社での仕事は、新薬の製造に関わる「研究」「開発」の仕事と、新薬の「営業」の仕事に分かれます。
新薬の製造に関わる「研究」「開発」の仕事は、専門的な知識が求められるため、薬学部や理系の修士・博士課程を修了していることがエントリーの条件となっている企業も多いでしょう。
一方で、MRと呼ばれる製薬会社の営業の仕事では、基本的に特定の資格や学歴は必須ではありません。とはいえ、スキルアップのため、公益財団法人MR認定センターが実施する「MR認定試験」を受けるなど、資格を取得するのも有効といえます。
製薬会社の仕組み
製薬会社は、自社で製造した医薬品を、病院やドラッグストアをとおして患者に販売することで収益を得るのが一般的な構造といえます。新薬の研究開発期間には数年~十数年、開発費用には数百億円以上が必要といわれ、新薬を作るためのハードルは高いものです。
開発された新薬は、臨床試験などを経て厚生労働省から承認されたあと、最長で10年間は再審査期間として独占販売が認められます。独占販売期間中は売上が拡大するものの、期間が終了すると多数の後発医薬品(ジェネリック)が製造・販売可能となり、売上は減少傾向となるようです。そのため、製薬会社は新薬を絶え間なく開発・販売することで、持続的に収益をあげることが必要となります。
参照元
厚生労働省
「再審査期間の取扱いについて」の一部改正について
病院・保険薬局
医薬品業界における病院・薬局の役割は、医薬品の販売です。「医療用医薬品」を取り扱う病院や調剤薬局に勤務する薬剤師が、医師からの処方箋に基づいた調剤や服薬指導を行います。
ドラッグストア
ドラッグストアでは、登録販売者や薬剤師が医薬品の販売業務を行います。ドラッグストアでは、薬局と違い調剤ができないため、医師の処方箋が必要ない「一般用医薬品」の販売がメインです。一般用医薬品の販売を行う登録販売者は、各都道府県が年1回実施する「登録販売者試験」を受験し、合格する必要があります。
ただし、近年ではドラッグストアに調剤薬局が併設されている場合も多く、薬剤師として勤めている方も増えているようです。ドラッグストア業界の仕事内容については、「ドラッグストア業界の仕事」のコラムにて解説しているので、あわせてご覧ください。
医薬品業界に関連する業界
医薬品業界に関連している業界には、「医薬品開発業務受託機関(CRO)」「医薬品卸の専門商社」「MR派遣・MR業務受託企業(CSO)」があります。それぞれの業界について、以下で詳しく解説するので、参考にしてみてください。
医薬品開発業務受託機関(CRO)
医薬品開発業務受託機関(CRO)は、企業や医療機関、行政機関などの依頼により、医薬品開発の際の臨床試験や製造販売後の調査を行う外部機関です。参加協力者の人権や安全性を守って臨床試験が実施されているかを確認する「モニタリング」や、症例報告書の内容をチェック・修正し、データ化して管理する「データマネジメント」などの業務があります。
また、医薬品メーカーがより迅速に新薬の開発を進められるよう、治験や医療機関とのやり取りなどをCROに委託することもあるようです。
医薬品卸の専門商社
医薬品卸の専門商社は、医療用医薬品を薬局や医療機関に販売・提供しています。「医薬品卸」とも呼ばれ、医薬品業界と関係が深い業界といえるでしょう。
MR派遣・MR業務受託企業(CSO)
MR派遣・MR業務受託企業(CSO)は、MRの派遣や、医薬品関連のマーケティング業務などを受託している企業です。CSOに所属しているMRは「コントラクトMR(CMR)」と呼ばれています。
医薬品業界に必要な資格やスキル
医薬品業界の仕事に就くうえで必要な資格は、職種によって異なります。
薬剤師を目指すのであれば、薬学部を卒業したうえで「薬剤師国家試験」に合格しなければなりません。登録販売者になるためには、「登録販売者試験」に合格する必要があります。
前述のように、製薬会社の営業職(MR)に必須の資格はないものの、公益財団法人MR認定センターが主催するMR認定試験に合格し、資格取得を目指すことでキャリアアップに役立つでしょう。
医薬品業界では英語力が必要になる場合も
医薬品関連企業では、海外市場進出に対する重要性が高まっているようです。海外事業を展開している企業に就職したり、就職後に企業が海外市場へ進出したりした場合、一定の英語力が求められる可能性があるといえます。
たとえば、研究職や開発職であれば、海外との共同研究や、研究開発を進める際に海外の文献や論文を読むことが求められるでしょう。また、製薬会社のマーケティング部門や、営業職(MR)、臨床開発モニター(CRA)などの職種も、海外のチームと関わる機会があれば医薬品の基礎知識以外に英語力が必要になることが考えられます。
「英語を使う仕事は未経験から挑戦可能?歓迎されるスキルや就職のコツを紹介」のコラムでは、仕事で求められる英語力の目安について解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
医薬品業界の具体的な職種
前項の「代表的な仕事」では医薬品業界の3つの分類を紹介しましたが、担当領域や必要な技術によって職種はさらに細分化されています。この項では、職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tagを参考に、代表的な職種とその仕事内容をまとめました。
医薬品業界の具体的な職種
- 製薬会社の社員
- 薬剤師
- 登録販売者
- 治験コーディネーター(CRC)
- 臨床開発モニター(CRA)
製薬会社の社員
製薬会社には大きく分けて、「研究」「開発」「営業」の3つの職種があります。
研究職
研究職では、主に新薬の開発を行います。たとえば、国内外の研究論文や最新情報などを参考に研究テーマを設定し、そのテーマに沿って化合物を創製・スクリーニング(選別作業)を実施。その後、スクリーニングを行って厳選された化合物を動物実験の際に用いて、人間が服用しても問題ないかを確認(非臨床試験)します。
開発職
研究職が実施した非臨床試験で効果が認められた製剤の臨床試験(治験)を行うのが開発職です。
治験では、動物ではなく人間を被験体として製剤の臨床試験を行うため、被験者はもちろん、医療関連施設や専門医などへ協力を要請し厳しくチェック。臨床試験の結果をまとめ、厚生労働省に新薬の承認申請を行います。
営業職(MR)
製薬会社の営業職はMR(Medical Representatives)と呼ばれ、主に医療関連施設や医師に対して医薬品に関する情報提供や販売を行う職種です。開発した医薬品の安全性や有用性、副作用の有無などの情報を提供するとともに、現場で医薬品の効果や副作用などについてヒアリングし、研究職や開発職にフィードバックする重要な役割も担います。
医療従事者に対する営業が主となるので、営業のなかでも特に専門性の高いジャンルといえるでしょう。
「営業職とは何をする仕事?業務の内容やメリット・デメリットを解説!」のコラムでは営業に向いている人の特徴を紹介しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
参照元
職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tag
薬学研究者
医薬情報担当者(MR)
薬剤師
薬剤師は、病院やクリニックなどで出された処方箋をもとに調剤業務や服薬指導などを行う職種です。主に調剤薬局やドラッグストア、病院などに勤務します。患者や消費者の薬の使用についての的確な判断や、開発や進歩のスピードが速い医薬品分野において常に薬に関する最新の情報を学び、身につける努力が求められる仕事です。
薬剤師になるためには、薬学部を卒業し、薬剤師国家試験に合格する必要があります。「薬剤師の年収はどれくらい?男性・女性別の平均や他職種との比較を解説!」では、薬剤師の年収について詳しく解説。薬剤師について気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
参照元
職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tag
薬剤師
登録販売者
登録販売者は、主にドラッグストアに勤務し、医師の処方箋が必要ない「一般用医薬品」の販売や服薬指導を行います。登録販売者として働くには、各都道府県が年1回実施する「登録販売者試験」を受験し、合格しなければなりません。
登録販売者試験は、論述問題や実技試験、年齢制限などは設けられていないため、医薬品業界未経験の方も挑戦しやすい試験といえるでしょう。
治験コーディネーター(CRC)
治験コーディネーター(CRC)は、病院で治験内容を被験者に説明し、ケアやサポートを行う仕事です。治験コーディネーター(CRC)は、薬剤師のほか、看護師や臨床検査技師といった医療系の資格を有していると就職に有利とされています。
参照元
職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tag
治験コーディネーター
臨床開発モニター(CRA)
臨床開発モニター(CRA)は、新薬が開発される際に治験が適切に行われているか監視(モニタリング)する仕事。製薬会社やCRO(医薬品開発業務受託機関)に勤務し、モニタリングだけではなく、症例データの収集や、全体の進捗管理を行うこともあるようです。
臨床開発モニター(CRA)も治験コーディネーター(CRC)と同じく、薬剤師のほか、看護師や臨床検査技師といった医療系の資格を有していると就職に有利とされています。
参照元
職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tag
臨床開発モニター
医薬品業界の現状と課題
医薬品業界は、科学技術の進歩や、高齢化社会における医薬品需要を満たすため、日々発展を続けているのが特徴です。ここでは、市場規模や業界の現状、課題について解説します。
医薬品業界の市場規模
厚生労働省の「令和3年薬事工業生産動態統計調査 医薬品生産金額の推移」によると、2021年(令和3年)における医薬品生産金額は約9兆1,747億円とされています。前年の約9兆2,639億円と比較すると、892億円(-1%)の減少です。
「医薬品業界の現状」で後述する毎年の薬価改定の影響で、日本の医薬品の市場は大きな拡大は難しいとする説もあります。
参照元
厚生労働省
薬事工業生産動態統計調査:結果の概要
医薬品業界の現状
日本の高齢化社会の進行により、医薬品のニーズは年々高まっています。病気や怪我の治療がなくなることはないので、業界として一定の需要は望めるでしょう。
ただし、円安により調達コストや製造コストが増大したことに加え、薬価改定が2021年以降に毎年行われるようになった影響から、国内での収益確保が難しい状況という問題点にも目を向けておくことが必要です。
厚生労働省の「日本製薬団体連合会意見陳述資料(p.4)」によると、「ほとんどの企業が直近の物価上昇、為替変動が調達コストに影響を与えている」と回答しています。また、原薬や原材料、包装材料などにおいて、昨年度の2倍以上の調達コストがかかっているものもあるようです。
国内の収益確保が困難を極めるなか、打開策としてビジネスの焦点を海外に向ける企業も増えているようです。
参照元
厚生労働省
中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第189回) 議事次第
2021年度からの毎年の薬価改定による変化
2021年度から、医療用医薬品の公定価格(薬価)の改定が毎年行われるようになりました。これまでは2年ごとに厚生労働大臣によって薬価の改定が行われていましたが、日本の総人口の半分以上を占める団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年から、年間国民医療費が増加し、国民の医療費負担が大きくなることが予想されます。その対策の一環として、2021年度から薬価の改定を毎年行うことで薬価を引き下げる回数を増やし、医療費の抑制に取り組んでいるようです。
日本企業の海外進出が進んでいる
近年は日本の医薬品メーカーの海外進出が進んでおり、企業によっては海外の売上が多くを占めていることも。前述した薬価改定の影響により、国内の医薬品市場の拡大が打ち止めになる可能性があるため、海外での売上比率を伸ばしている企業が増加傾向にあるようです。
グローバル社会への取組の強化
近年は医薬品業界の国際競争が激化の傾向にあるため、グローバル社会に対応するために技術力や開発力の向上への取り組みを強化している企業が増えつつあります。その一環として、世界各国の創薬ベンチャー企業との提携や買収などを行う動きもあるようです。
ジェネリック医薬品のシェアの増加
厚生労働省では、医療費負担の抑制のための対策の一環として、新薬と同様の有効性をもちながら、安価で入手できるジェネリック医薬品の普及促進を推進しています。
厚生労働省の「『最近の調剤医療費(電算処理分)の動向』における後発医薬品割合(数量ベース)」によると、保険薬局で調剤された全医療用医薬品のうち後発医薬品(ジェネリック)の割合は増加傾向。2018年(平成30年)以降は50%以上のシェアを占めています。
ただし、ジェネリック医薬品の品質に関するトラブルが発生した事例もあるため、品質管理の徹底も求められているようです。
参照元
厚生労働省
後発医薬品(ジェネリック医薬品)及びバイオ後続品(バイオシミラー)の使用促進について
医薬品業界の課題
前述したように、医薬品業界では、円安によるコストの増大や、薬価引き下げにより依然苦しい状況が続いているといえます。下記で詳しく解説しているので、ご一読ください。
薬価の引き下げによる国内市場の成長の停滞
2021年度から毎年の改定で薬価が引き下げられていることにより、国内における医薬品市場の成長が停滞の傾向にあります。その打開策として、ビジネスの焦点を海外に向ける企業が増えると、国内での医薬品の開発・販売を行わなくなり、後発医薬品(ジェネリック)を中心とした供給が不安定になってしまうという新たな問題点も浮上。これにより政府は、「薬事制度の改善」や「医薬品の適正化」など薬価制度の改革を議論し、国内での医薬品安定供給や、国内市場の魅力度向上を図ろうとしています。
MRの雇用が減少傾向
MRの雇用が減少傾向にあることも、医薬品メーカーの課題となっています。
MRは、訪問による医療機関への自社医薬品の情報提供を行っていました。しかし、ジェネリック医薬品の普及が推進されている状況に加え、新型コロナウイルス感染症の影響で対面の情報提供が減少したため、MRの雇用が減少しているようです。
医薬品業界の将来性と今後の動向
医薬品業界については、「医薬品業界の課題」で紹介したような課題があるとはいえ、病気や怪我などの治療はなくてはならないものなので、好景気・不景気に関わらず比較的安定して働ける業界と考えられます。
特に、高齢化が進む日本社会において、医薬品や医療への関心は今後ますます高まることでしょう。新薬の開発にも一層の成長が期待されています。また、医療費の抑制を目的として推進されている後発医薬品の製造・販売メーカーの需要も増していく可能性があるでしょう。
医薬品業界で進んでいる取り組みや注目されている分野などを、以下で詳しく説明します。
スイッチOTCが増加傾向
近年は、スイッチOCTが増加傾向に。スイッチOCTとは、これまで医師の診断や処方箋を必要としていた医療用医薬品が、ドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品に転用(スイッチ)した薬のことを指します。政府は「自分の健康に責任を持ち、軽度の不調は自分で対応する」というセルフメディケーションの考え方を推進しているため、スイッチOCTの増加はさらに加速しているようです。
ゲノム創薬が注目されている
近年は、ゲノム(遺伝子)の情報から病気の原因となる遺伝子を分析し、ターゲットを絞り込んで薬を開発するゲノム創薬が注目されているようです。ゲノム創薬には、ターゲットを絞ることで新薬の開発期間の短縮を図れる、患者の遺伝子情報を利用することで副作用の少ない薬を作れるといったメリットがあります。
アンメットメディカルニーズへの取組強化
アンメットメディカルニーズとは、いまだ有効な治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズのこと。医薬品業界では、たとえば、がんや関節リウマチ、アルツハイマー病といった治療法が確立されていない疾患へのニーズに応えるため、多くの製薬会社が新薬の創出に力を入れています。その背景としては、近年、医療上の必要性の高さに対して患者数が少なく、研究が進まない医薬品(=オーファンドラッグ)などの研究開発において公的な援助が行われるようになったことが大きいようです。
医薬品開発におけるAIの活用
近年は、医薬品開発においてAIを活用する企業が増加傾向にあります。新薬を作るためには、多くの物質の組み合わせを試し、そのなかから絞り込まなければいけません。この作業でAIを活用し、組み合わせを絞り込む時間の短縮を図る取り組みが行われています。
医療や服薬のオンライン化の拡大
新型コロナウイルス感染症が流行した影響で、医療や服薬のオンライン化が拡大しています。これまでは特例の対応として実施されていましたが、2022年からオンライン診療や服薬のルールが緩和されたため、今後も拡大していくことが予想されるでしょう。
リアルワールドデータ(RWD)の活用
医薬品業界では、リアルワールドデータ(RWD)の活用も注目されています。リアルワールドデータ(RWD)とは、さまざまな病院や保険組合、薬局などから収集された医療データの総称です。具体的には、電子カルテやレセプトデータ(医療費明細書)、保険者データなどを指します。
RWDを活用することで、膨大な数の実臨床データから患者の病状や薬の効果などを参照できるようになるため、新薬の研究開発における生産性の向上や、製薬業界のパーソナライズ化につながるでしょう。
なお、RWDには、厚生労働省が提供しているNDB(National Data Base)や、民間企業が提供するものなどさまざまなデータベースがあるようです。たとえば、厚生労働省の「第9回NDBオープンデータ【解説編】」によると、NDBでは特定検診や、医科入院レセプト、調剤レセプトなどさまざまなレセプトから集計したデータを、誰でも利用できるように公表しています。
参照元
厚生労働省
第9回NDBオープンデータ
DTx(デジタル技術)による患者フォロー
DTx(デジタル技術)とは、アプリを活用して患者の治療をフォローしようという試みのこと。たとえば、治療内容にあわせて患者の血圧や服薬状況、食事、運動などをアプリが管理・サポートし、病院での処方だけではなく生活面における治療を行うという取り組みです。すでに他国企業と共同でアプリの開発に着手している製薬会社もあるようですが、今後は他業界の参入も考えられるなど、DTxへの取り組みはより活発化する可能性があります。
医薬品業界のメリット・デメリット
医薬品業界での仕事には、やりがいを感じられる、平均年収が比較的高いといったメリットがある一方で、仕事で求められるスキルが高いというデメリットが挙げられるでしょう。医薬品業界の仕事の魅力と大変さについて紹介します。
医薬品業界の魅力とやりがい
医薬品業界の魅力は、開発・販売した医薬品が患者の手に渡り、多くの人を助けるといったやりがいにあるでしょう。また、仕事で求められるスキルが高い分、平均年収が比較的高い傾向にあります。医薬品の研究や開発には膨大なコストと時間がかかりますが、やりがいを感じながら安定した収入を得られることは大きな魅力です。
医薬品業界の大変なところ
医薬品業界の研究や開発、調剤といった専門職に進むためには、医学部や薬学部といった難関学部を卒業することが必要となります。資格や知識を有したあとに入社することになるため、相当する学力がなければ就職が困難になるでしょう。また、近年では海外メーカーによる新薬の開発もなされ、国内での開発の難易度が上がっているようです。
医薬品業界の志望動機
医薬品業界を志す人には、知識だけではなく、責任感をもって仕事に取り組む意欲や、柔軟なコミュニケーション能力などが必要です。医薬品業界に向いている人の特徴とそれを踏まえた志望動機を紹介します。
医薬品業界に向いている人
医薬品業界の仕事は、自発的に学ぶ意欲や責任感などが求められるでしょう。それぞれの理由を以下にまとめました。
責任感をもって仕事に取り組める人
医薬品業界のどの職種であっても、責任感をもって仕事に取り組むことや、医薬品の正しい知識をもつことが求められます。医薬品は生命に関わる製品であり、慎重に取り扱う必要があるからです。
コミュニケーション能力がある人
医薬品業界の仕事では、医療関係者や患者さまと関わる機会が多くあります。信頼関係を築きながら、製品の有用性を詳しく説明する必要があるため、「顧客との信頼関係を築ける能力」や「顧客のニーズを知り、それに合った製品の提案ができる能力」が求められるでしょう。
積極的に学んでいく意欲がある人
医薬品業界での技術は日々更新されるため、自身の知識も継続して更新し続けることが求められます。研究職や開発職だけではなく、営業や販売などの職種も、常に情報をキャッチする力が必要になるでしょう。
未経験者の志望動機
ここでは、異業界の営業職から医薬品業界の営業職(MR)へ転職を希望している人を想定して、未経験者の志望動機の例を紹介します。
未経験者の場合は、医薬品業界を志望するに至った理由と熱意をアピールするのが効果的です。また、製薬会社への就職・転職を希望する場合は、応募先企業の力を入れている製品の下調べも念入りに行うようにしましょう。
例文
「私は前職で△△の営業を担当しておりました。前職でお客さまと接するうちに、コミュニケーション能力や、提案力、交渉力などを身につけることができました。業務を経験していくうちに、身につけた営業のスキルを人々の健康に関わる医薬品業界で役に立てたいという思いが強まりました。
今回貴社に応募させていただいたのは、○○という治療法や○○という有効成分を扱っており、強く興味を持ったのがきっかけです。貴社であれば、最先端の医薬品の知識を日々身につけながら、顧客と向き合う働き方ができるのではないかと考えています。異業界からの転職なので、まだ知識不足な点はあると思いますが、前職で培った営業スキルや経営知識を活かし、1日も早く貢献したいと思います。現在はMR認定試験のための勉強中です。」
経験者の志望動機
経験者の場合は、自分がどのような分野に携わってきたのか、なぜ他社に移ろうと思ったのかについて書くと良いでしょう。また、志望する会社の方針や特性を事前に調べておくのも大切です。これまで学んできたことや身についたスキルと照らし合わせながら、これからどうなりたいか、どのような仕事をしていきたいかを具体的に説明できると、志望動機の説得力が増します。
「患者さまの病気治療のための手助けをしたい」という気持ちを伝えられるとより効果的です。以下では研究職、開発職経験者の志望動機の例を紹介します。
例文
「私は前職で△△の研究に携わり、新薬の開発に貢献してきました。その中でも特に○○を通して、自分自身の成長に繋がる経験を積むことができました。しかし、新しい環境への挑戦も必要だと感じ、貴社へ応募いたしました。貴社は、医薬品業界において、多くの実績を持ち、高い技術力を誇っています。また、貴社が掲げている「○○○○」という理念に向けた取り組みに共感いたしました。私は前職の△△で身につけたスキルを活かし、貴社のビジョンに貢献したいと考えています。」
「志望動機の作り方を解説!好印象な回答をするポイントとは」のコラムでは、志望動機の作成のポイントや注意点を詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
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医薬品業界に関するFAQ
ここでは、医薬品業界の仕事に興味のある方に向け、よくある質問をまとめています。
医薬品業界の年収はどれくらい?
医薬品業界の職種は幅広く、さらに保有資格や企業規模などによって年収は変わるので一概にはいえません。厚生労働省の職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tagによると、医薬品業界の主な職種ごとの平均年収は次のとおりです。薬学研究者は740.2万円、医薬情報担当者(MR)は579.5万円、治験コーディネーター(CRC)は459.3万円、薬剤師は577.9万円、登録販売者は361万円となっています。求められるスキルが高い分、安定した給与を得られる職種が多いでしょう。
参照元
厚生労働省
職業情報提供サイト(日本版O-NET)job tag
文系だと医薬品業界に転職するのは厳しい?
職種によっては、文系の方であっても医薬品業界への転職は可能です。製薬会社の営業職(MR)や、医薬品の登録販売者などの職種であれば、卒業した学部に関わらず就業できるでしょう。登録販売者の場合は、資格を取得する必要がありますが、特別な条件や年齢制限などは設けられておらず、合格率も40〜50%ほどのようです。製薬会社の営業職(MR)は必須で取得しなければならない資格は設けられていません。文系の大学で培った文章力やプレゼン力が活かせる職種といえます。
未経験者が医薬品業界に転職するにはどうしたら良い?
医薬品業界は専門的な知識や学歴が必要不可欠な職種が多く、未経験者向け求人の数は多いとはいえないのが現状です。ただし、製薬会社の営業や販売促進、事務職、ドラッグストアの登録販売者など、未経験からチャレンジしやすい職種も存在します。
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。
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