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国家公務員に高卒からなれる?大卒との給与の違いや試験の種類を紹介
更新日
この記事のまとめ
- 公務員は大きく分けると国家公務員と地方公務員の2種類がある
- 国家公務員・地方公務員の採用試験は高卒者も受けられる
- 国家公務員・地方公務員の給与額は、高卒者より大卒者の方が高い
- 国家公務員の採用名簿に登録される人数は、高卒より大卒者の方が多い
- 高卒で就職して安定を求めるなら、公務員がおすすめ
- 将来的に副業や転職を考えているなら、公務員より民間企業への就職がおすすめ
高卒から目指せる国家公務員とは
公務員には、大きく分けて「国家公務員」と「地方公務員」の2種類があります。国家公務員になるには人事院が実施する「国家公務員試験」に、地方公務員になるには都道府県庁や市区町村が実施する「地方公務員試験」への合格が必要です。高卒者が目指せる国家公務員の職種は、「国家公務員一般職」「税務職員」「裁判所職員一般職」「刑務官」など。地方公務員では、「都道府県庁」「市区町村役場」「警察官」「消防士」といったものが挙げられます。
高卒者が公務員就職を目指す前に知っておくべきこと
この項では、大卒者と比較した高卒公務員の給与や採用数をご紹介します。「雇用が安定しそうだから」という漠然としたイメージだけで公務員を目指すと後悔する可能性もあるので、以下で現状を把握しておきましょう。
大卒に比べて高卒公務員の給与は低い
高卒公務員の給与は、大卒公務員の給与に比べて低いという現状があります。国家公務員と地方公務員における高卒・大卒の平均給与は以下のとおりです。
高卒者と大卒者の国家公務員の給与
人事院が発表した「令和5年度国家公務員給与等実態調査の結果 第7表 適用俸給表別、経験年数階層別、給与決定上の学歴別人員および平均俸給額」によると、高卒公務員と大卒公務員の平均初任給額、35年以上勤務時の平均給与額は下記表のように示されます。
経験年数階層 | 高校卒 平均給与額 | 大学卒 平均給与額 |
---|---|---|
1年未満 | 170,079 円 | 199,387 円 |
35年以上 | 407,410 円 | 444,565 円 |
参考:人事院「令和5年国家公務員給与等実態調査の結果 第 7 表 適用俸給表別、経験年数階層別、給与決定上の学歴別人員及び平均俸給額 」
高卒公務員の平均初任給額は約17万。一方、大卒者の場合は、約20万円となっています。また、35年以上勤めたときの高卒公務員の平均給与は約40万円で、大卒者の場合は約44万円です。高卒で国家公務員になった方の給与は、勤続年数に関わらず大卒者よりも低いことが分かります。
参照元
人事院
令和5年国家公務員給与等実態調査の結果
高卒者と大卒者の地方公務員の給与
総務省の「令和5年 地方公務員給与実態調査結果の状況 第2表の1 団体区分別、男女別、職種別、学歴別、経験年数別職員数及び平均給料月額」
を見ると、高卒の地方公務員の給与も大卒者より低いことが分かります。
経験年数 | 高校卒 平均給与額 | 大学卒 平均給与額 |
---|---|---|
1年未満 | 168,894 円 | 208,527 円 |
35年以上 | 395,133 円 | 435,119 円 |
参考:総務省「令和5年 地方公務員給与実態調査結果の状況 第2表の1 団体区分別、男女別、職種別、学歴別、経験年数別職員数及び平均給料月額」
勤続年数が1年未満の平均給与額は、高卒の場合は約16万円、大卒の場合は約20万円です。また、高卒で35年以上勤めた場合の平均給与は約39万円、大卒の場合は約43万円となっています。高卒で公務員になろうと考えている方は、このように学歴による給与の差が生じることを認識しておきましょう。
なお、高卒で就職を考える際、給与以外にも確認しておきたい事柄がいくつかあります。詳しくは「高卒就職の良さと後悔する点を解説!大卒との違いを把握して進路を決めよう」に記されているので、あわせてご参照ください。
参照元
総務省
令和5年 地方公務員給与実態調査結果の状況
高卒の国家公務員採用数は大卒者より少ない
人事院は「令和4年度における採用状況」にて、国家公務員採用候補名簿記載者数は、大学(大学院)卒程度が15,930名、高卒程度は7,985名と発表しています。過去の発表からも、高卒の採用数は大卒者より例年少ない傾向にあるようです。受験者数や採用予定者数の違いがあるとはいえ、高卒者に対する国家公務員の門戸は一概に広いとはいえないでしょう。
参照元
人事院
令和4年度 年次報告書
高卒で公務員になるか民間企業に就職するか迷ったら?
高卒で公務員と民間企業のどちらを目指すか迷っている方は以下をご覧ください。公務員と民間企業の違いを解説します。
将来的に転職や独立を考えるなら公務員より民間企業
転職や独立を視野に入れるのであれば、高卒後は民間企業に就職したほうが有利です。公務員の場合は、専門職や技術職に就かない限り、主に事務の仕事を担います。事務の仕事は、窓口対応や書類作成などのルーティンワークが多く、非正規の方でも対応できる業務が多いのが特徴です。そのため、ほかの企業で活かせる能力を培うのが難しくなります。
一方、民間企業では、専門分野に特化して仕事を進めることが多いでしょう。専門スキルが身に付けば、職場を変えても同じ業界や職種で応用できるので、転職や独立がしやすくなります。高卒で就職しても、定年まで同じ職場で働き続けるとは限りません。将来を見据えてどのようなキャリアを築いていきたいかをイメージして、就職先を考えることが大切です。
副業したいなら公務員より民間企業
副業をしたい高卒者の方にも、民間企業への就職がおすすめです。民間企業では副業が可能な会社も多く、本業と両立できれば所得を増やせます。一方、国家公務員の副業は、私企業からの隔離が明記された「国家公務員法第百三条」により、固く禁じられています。地方公務員も「地方公務員法第三十八条」に営利企業への従事等の制限が明記されており、厳しく制限されているのが現状です。副業が自由にできないのは、「公務員の信用を失う行為につながる」「守秘義務が守れなくなる」「本業に専念できなくなる」といった理由が背景にあります。もし公務員が法に違反して副業をすれば、免職や停職などの罰則が課されることもあります。副業の内容によっては一部認められることもありますが、制限されたくない方は民間企業への就職を考えたほうが良いでしょう。
参照元
e-Gov法令検索
昭和二十二年法律第百二十号 国家公務員法
昭和二十五年法律第二百六十一号 地方公務員法
経済的な安定を求めるなら公務員
就職して安定した収入を手にしたい高卒者には、公務員がおすすめです。民間企業では倒産やリストラが起きる可能性がありますが、公務員の場合は、国の機関や地方自治体に所属するのでそのような心配がありません。また、民間企業で受け取れる給与や賞与は、業績によって決まることがほとんどです。一方、公務員は一定の給与やボーナス、退職金を受給でき、福利厚生も充実しています。年功序列で、年齢が上がるごとに給与額もアップしていくため、経済的な面で将来の不安を感じることは少ないでしょう。
公務員の良い点と民間企業の良い点は異なるので、幅広く情報を集めて将来を考えることが大切です。高卒で就職できる仕事には公務員以外にどんなものがあるか知りたい方は、「高卒の就職先におすすめの業界・職種一覧!向いている人の特徴も紹介」や「高卒者が就職するのにおすすめの仕事は?正社員になるメリットや方法も紹介」をご覧ください。
高卒で公務員として就職するメリット・デメリット
この項では、高卒で公務員になるメリット・デメリットを紹介します。それぞれを理解したうえで公務員を目指すかどうかを検討しましょう。
高卒で公務員として就職するメリット
高卒で公務員に就職するメリットは、進学に必要な学費がかからないことです。専門学校や大学などに進学するには高額な費用を捻出する必要があり、親に負担をかけたり、奨学金を借りて卒業後に返済したりしなければなりません。しかし、進学せずに高卒で公務員になればいち早く自立した生活を送れます。
また、高卒で公務員になると、手厚い待遇が受けられるのもメリットです。前述したように、公務員は福利厚生が充実しています。国や自治体は民間企業の手本となる必要があるため、率先して各種制度を整えているからです。たとえば、女性公務員の場合は、出産すると育児休暇を最長で3年取得できます。男性公務員も、育児参加休暇や配偶者出産休暇の利用が可能です。女性・男性ともに、公務員になると仕事と子育てが両立しやすくなることが考えられるでしょう。さらに、住居手当、ボーナス、退職金の支給などもあるため、経済的に安定した生活を送れる可能性が高まります。
高卒で公務員として就職するデメリット
高卒で公務員になるデメリットは、年功序列で就職後すぐには給与アップが望めないことです。
どれだけ仕事を頑張ってもすぐに給与には反映されず、段階的にしか支給額は上がっていきません。そのため、若いうちから成果を出して昇進したい方や高収入を得たい方にとっては、公務員という選択肢が最適とはいえないでしょう。
さらに、前述したように公務員として就職すると転職や独立が難しいという面もあります。仕事でさまざまなことにチャレンジして、将来キャリアアップしていきたいと考える方にとってはデメリットに感じる可能性が高いです。また、公務員試験の実施は通常年に1回なので、既卒で目指す方は就職する時期が延びてしまうことも念頭に入れておく必要があるでしょう。
公務員という仕事以外にも、高卒就職にはメリット・デメリットがあります。「高卒で就職するメリット・デメリットは?大卒との違いやおすすめの職業を紹介」で詳しく紹介しているので、気になる方はぜひご覧ください。
高卒で就職できる国家公務員と地方公務員の違い
国家公務員と地方公務員の役割や試験の種類は異なります。違いを知りたい方は、以下でそれぞれの仕事内容や試験の詳細を確認しましょう。
国家公務員の仕事と試験の種類
国家公務員の仕事と試験の種類は以下のとおりです。
国の仕事をするのが「国家公務員」
国家公務員は中央省庁や地方機関などに勤務し、国の政策に関わる仕事を担います。国家公務員の職種は、「一般職」と「特別職」の2種類です。一般職は行政に関わる事務の仕事をメインに担当し、特別職は政治に直接関わる業務を行います。内閣総理大臣や大臣、裁判官、国会議員などは国家公務員の特別職です。
国家公務員の一般職試験は2種類
国家公務員の一般職は、「国家一般職」と「国家総合職」に分類されます。国家一般職では高卒者試験が行われますが、国家総合職では院卒者試験と大卒程度試験のみ実施。高卒者が大卒程度の試験を受けることは可能ですが、受験者が多いため合格倍率も高いのが特徴です。高卒者が公務員就職を目指すのであれば、高卒程度の試験がある国家一般職を受験するほうが良いでしょう。
地方公務員の仕事と試験の種類
地方公務員の仕事と試験の種類は以下のとおりです。
地域に根差して仕事をするのが「地方公務員」
地方公務員は、地方自治体などに勤務し、地域住民の暮らしを支える仕事をします。職種は、大きく分けると「一般職」と「特別職」の2種類です。一般職は、都道府県庁や市区町村の役所などで行政サービスを担当。警察・消防・教育などの仕事も一般職に該当します。また、特別職に該当するのは、知事や地方議会の議員などです。
地方公務員の試験は3種類
地方公務員の試験は、「大卒程度(上級)」「専門・短大卒程度(中級)」「高卒程度(初級)」の3種類あります。最も難易度が高いのが、大卒レベルの問題が出題される大卒程度の試験です。高卒者が確実に合格を狙うならば、高卒程度の試験を受けると良いでしょう。
高卒で受験できる公務員試験の内容
高卒者が受験できる公務員試験の内容は職種や自治体によって異なりますが、多くの場合は一次試験と二次試験があります。公務員としての就職を目指す高卒者は、以下でそれぞれの試験内容を確認しましょう。
一次試験
公務員試験の一次試験では、筆記テストを行うのが一般的です。英語・数学・国語・理科・社会の教養を問う問題と、職種ごとの専門的な問題が出題されます。出題形式は、記述式と選択式の両方です。出題範囲が広いため、いきなり試験を受けても合格は難しいでしょう。出題傾向を把握して、計画的に勉強を進めることが大切です。
二次試験
一次試験に合格した方は、二次に進み面接試験を行います。面接の形式は、個人面接、集団面接、グループディスカッションなどが一般的です。
個人面接は、受験者1人に対して複数人の面接官が対応する形式。強みや志望動機、就職してやりたいことなどを質問される傾向にあるようです。集団面接は、受験者と面接官がそれぞれ複数人いる面接形式。受験者は面接官の質問に対して、挙手制や指名制で解答します。グループディスカッションは、5~10名ほどのグループに分かれて討論を行うのが一般的です。与えられた課題に対して意見を出し合ったり、面接官に考えを発表したりします。
高卒で公務員就職を目指す場合は年齢制限に注意!
公務員試験には年齢制限があるので、高校を卒業して時間が経っている方は注意しましょう。多くの自治体では、高卒程度の公務員試験における年齢上限を「21歳」と定めています。上限の年齢を超えてしまうと、高卒程度の試験は受けられません。
一方、大卒程度の年齢の上限は「30歳」と定めている自治体が多く、高卒程度よりも高いのが特徴です。年齢の条件を超えていなければ、高卒者も大卒程度を受験することができます。しかし、大卒程度の試験は、難易度が高めです。できるだけ若いうちに、高卒程度試験への合格を目指すのが賢明でしょう。
高卒からの就職は公務員以外に民間企業もおすすめ
高卒者が公務員就職を目指すなら、国家公務員より難易度の低い地方公務員がおすすめ。国家公務員は大卒者や院卒者が多く受験するため、倍率もレベルも高くなる傾向があります。
ただし、万が一試験に落ちてしまった場合は、浪人するか、民間企業に就職するかを考え、そこから再受験や就活の準備をしなければなりません。高卒者が民間企業に就職する場合は、空白期間があまりに長いと就活で不利になることもあるので注意が必要です。当コラムの「高卒で公務員になるか民間企業に就職するか迷ったら?」で考察したように、将来的なキャリアプランによっては民間企業の就職を目指した方が良い場合もあります。安定感が魅力の公務員ですが、難易度や年齢制限をネックに感じるという方は、民間企業への就職を視野に入れるのもおすすめです。
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京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。