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院卒は就職で不利になる?院卒の就職事情や就活のポイントを解説
更新日
この記事のまとめ
- 院卒は大卒より年齢が高く社会人経験が少ないため就職で不利になりやすい
- 院卒は分析力などに優れる傾向にあるが、就職で専攻を活かしにくいのが不利な点
- 進学するかどうか判断する際には院卒で就職活動をするメリットやデメリットも考慮する
- 院卒で就職活動するのが不利だと感じたら、就職支援サービスの利用を検討すると良い
院卒は大卒に比べて就職に不利なのではと悩む人もいるでしょう。大学院での研究は専門分野が限られているため、活かせる求人が見つかりにくいのが現状です。さらに、学部生より高い年齢や研究で忙しく就活の準備に充てる時間が限られてしまう点から、就職で不利になる場合も。このコラムで院卒の就職活動のメリットやデメリットを押さえ、研究内容や修了後の進路をよく考えたうえで大学院に進学するかどうかを判断してください。
院卒が就職で不利になりやすい3つの理由
院卒が就職で不利になりやすい3つの理由
- 年齢が高いわりに社会経験が少ない
- 専攻分野を活かす求人が見つかりにくい
- 就活に充てる時間が限られてしまう
大学院卒が就職で不利になりやすい主な理由には、年齢の高さや専攻分野の狭さなどが挙げられるでしょう。以下、それぞれ解説します。
1.院卒は比較的年齢が高いわりに社会経験が少ないから
院卒は大卒と比較して年齢が高いわりに社会経験が少ないという点が、企業にとってマイナス面にうつるようです。大学院を修了すると大卒に比べて修士で2歳以上、博士で5歳以上年齢が高くなります。大卒で就職している人と比べてそれだけ社会経験の差があるので、未経験者にポテンシャルを期待する企業にとってはあまり魅力的でない可能性があるでしょう。
2.専攻分野を活かす求人が見つかりにくいから
大学院で専攻する研究内容は非常に狭く専門的。専攻を活かせる求人がもともと少ないことに加え、企業の募集タイミングと院生の求職タイミングが合致しない場合もあります。よって、学んだ内容が活かせず、大卒に比べて年齢だけで不利になってしまうこともあるようです。
3.研究や卒論が忙しく就活に充てる時間が限られてしまうから
大学院では研究に加え、修士論文の執筆量が多いため、より多くの実験をしたり文献を読みこんだりする必要があります。事前に日程調整をしっかり行っておかなければ、院生の就職活動はよりハードなスケジュールになるでしょう。十分な準備ができないまま就活に挑むということにならないためにも、早めの対策が重要です。
院卒者の就職事情
文部科学省が実施した「学校基本調査(p6~8)」によると、学部卒業者の74.5%が就職しているのに対し、修士課程修了者の就職割合は76.1%。しかし博士課程修了者になると、就職割合は69.3%まで落ち込みます。
さらに、雇用契約期間が1年未満の有期雇用労働者として働く人も、学部卒業者では1.2%、修士課程修了者では1.1%、博士課程修了者では6.6%と増えていることが分かるでしょう。
大学院卒と学部卒の違いについては、「大学院卒と学部卒の違いは?就活アドバイザーに詳しく聞いてみました!」のコラムでも詳しく紹介しています。また、博士課程へ進学するか悩んでいるなら、「博士課程に進むと就職は難しい?メリット・デメリットや仕事の例を解説」のコラムが参考になるでしょう。併せてご確認ください。
参照元
文部科学省
令和4年度学校基本調査
院卒の就活はいつから?
大学院生の場合は、基本的に学部卒と変わらず「3月に情報解禁、6月から面接、10月に内定」に準じて採用活動を行います。夏季休暇中に行われるインターンシップに参加することも考えると、就活は早めに行うのが理想的です。修士1年の春には、すでに情報収集や自己分析をスタートさせると良いでしょう。
院卒の就職先の例
ここでは、文部科学省「修士課程(6 年制学科を含む)在籍者を起点とした追跡調査(11-5 就職先の事業内容(学問分野別))(p33)」をもとに、大学院卒業後の就職率の高い業種をまとめました。
文系の場合
文学や社会学、人文学、経済学、法学、教育学部などを内包する文系学部。深い洞察や批判的思考力が養われ、一般教養も豊富になることでしょう。以下は、文系学部出身者の就職先の業種です。
人文学部
- ・教育、学習支援業(23.0%)
- ・情報通信業(16.6%)
- ・公務(13.8%)
社会学部
- ・情報通信業(14.9%)
- ・学術研究、専門・技術サービス業(14.1%)
- ・製造業(12.1%)
「文系だと就職できないのでは…?」と気になっている方へ。「文系は就職が難しい?就活を有利に進める方法やおすすめの業界を徹底解説!」も合わせて確認すると、より理解が深まるはずです。
理系の場合
数学や物理学、化学、生物学科、地学、生命科学などを内包する理系学部。専門知識を学ぶうえで論理性や分析力が養われ、これらのスキルを活かして働ける業種が人気のようです。
理学部
- ・製造業(31.2%)
- ・情報通信業(26.2%)
- ・学術研究、専門・技術サービス業(9.8%)
工学部
- ・製造業(51.0%)
- ・情報通信業(13.6%)
- ・建設業(11.4%)
農学部
- ・製造業(29.3%)
- ・農業、林業、漁業(14.6%)
- ・公務(12.3%)
理系に人気の職業については、「理系出身者に人気の職業とは?就職しやすい業界について解説」でも詳しく解説していますので、理系ならではの詳しい就活事情について、深掘りしてみてください。
参照元
文部科学省
修士課程(6 年制学科を含む)在籍者を起点とした追跡調査
院卒で就職するメリット・デメリット
院卒での就職には研究活動で培った能力を活かせるといったメリットがある一方で、専攻を活かせる求人が見つかりにくかったり給与額が学部卒と変わらなかったりする場合があるといったデメリットがあります。
以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。
院卒で就職する3つのメリット
院卒で就職するメリットは、以下の3つです。
1.培った専門知識を活かせる
大学院では、大学に比べより高度な専門知識やスキルを身につけることができます。また、研究を進める過程で分析力が身につくうえ、自分の研究を発表する機会が多いことから、プレゼン能力もおのずと高まるでしょう。
これらのスキルはビジネススキルとしても非常に有効なので社会人として仕事をするにあたっても役立ちます。
2.研究者として採用されるチャンスがある
求人の数は少ないものの、研究者の求人は院卒を条件とする場合が多いようです。よって、企業で研究職に就きたいのであれば大学院に進むのが望ましいでしょう。
また、専攻分野を選ぶ際には、自分の研究が入りたい企業のニーズと合っているのか今一度確認するのが重要です。
3.研究室推薦を受けられることがある
大学院では、研究室に求人が来たり選考の際に教授の推薦を受けられる場合があります。そのようなつてを頼ることができるのも院卒で就職するメリットでしょう。
しかし、必ずしも推薦を受けられるわけではなく、ほとんどの院卒はつてのない状態で就活に望むようです。
院卒で就職する3つのデメリット
院卒で就職しようとすると、以下のようなデメリットを感じやすいようです。
1.社会人経験がないことがマイナスの印象を与えやすい
院卒の人は大卒より年齢が高いわりに社会人経験が少ないため、年齢の若さや実務経験を重視する就活市場ではあまり良い印象を与えないことも多いようです。
また、研究で培った分析力や論理的思考が、フレッシュさを求める企業にとってはかえって「理屈っぽい」「扱いにくい」という印象につながってしまう場合もあるでしょう。
2.専攻を活かせる求人が見つかりにくい
大学院では大学より専門的な分野の研究を行うため、活かせる求人が限られていて非常に狭き門になっている場合も。専攻を活かせる求人が元々少ないことに加え、企業の募集タイミングと院生の求職タイミングが合致しないことから、専攻と関係ない職に就かざるを得ない人もいるようです。
特に理系は専攻する人数も多く、希望の求人の倍率が高くなる可能性もあるため、分野によっては大学院卒が必ずしも就職に有利とは限らないといえるでしょう。
3.給与額が学部卒と変わらないこともある
研究職として大学院卒が求められる場合には大卒より高い給与が設定されますが、専攻を活かした業務でない場合には一般の大卒と同様に扱われる場合が多いようです。よって、自分で進学する意義を明確に見出していないと待遇に不満を感じることになるでしょう。
大学院へ進学するか迷ったときの判断基準
大学院へ進学するかどうか迷った場合には、進学する意義を自分なりに見出すことが大事です。以下、具体的な判断基準を見ていきましょう。
大学院でやりたい研究があるか
まず、大学院で自分がしたい研究と進学後の進路を検討してみましょう。「就職するならどのような企業の求人を受けられそうか」や「就職活動に活かせず大卒よりやや不利になってしまっても進学したいのか」などを十分考慮したうえで、後悔しない選択をするのが大事です。
就活を先延ばしにしようとしていないか
就活を先延ばしにするための大学院進学は避けたほうが賢明です。なかには「就活がうまくいかないために大学院に進学してもう一度新卒枠を狙う」という人も。しかし、進学したぶん年齢を重ねることや多額の学費がかかるのを考えれば、就活を続けたほうがメリットが大きいといえるでしょう。
目的のない進学の危険性については、「就活に失敗したら大学院に行けばいい…本当に大丈夫?」のコラムも参考にしてください。
「とりあえず進学」の危険性
特に就きたい仕事がない、就職がうまく行かないといった理由で「とりあえず大学院に進学する」というのは避けたほうが良いでしょう。院卒者として就活を行えば学部卒者に比べて最低でも2年の差が生まれます。多くの企業は定年まで少しでも長く働いてくれる人材を求めているため、この2年を埋められるほどのスキルやアピールポイントがないと、就職は難しくなるでしょう。
また、院卒の強みがなくなることも危険です。企業は大学院卒者に対して「学部生では持っていない専門性」「研究などを通して身につけた高い知識」などを求めています。「就職できなかったから」「周りが進学するから」といった理由では、研究に高い意欲を持てずに企業が求めるスキルや人材に及ばず就職が難しくなることも予想できるでしょう。
院卒の就活のポイント
院卒の就活のポイント
- 早い段階から就活を始める
- 推薦制度を活用する
- 就職支援サービスを利用する
院生が就活を成功させるポイントとして、早い段階から就活を始めることや、推薦制度を活用することが挙げられます。それぞれ下記で詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
早い段階から就活を始める
まずは早めに情報収集と自己分析を始め、自分の知識が活かせる企業を見つけましょう。研究や執筆作業で忙しく、就活の準備に充てる時間が限られてしまう大学院生。そのため就活を始める時期が遅れてしまうことも少なくありません。
しかし、就活の準備を早めに行わなかった場合、丁寧な企業研究が行えなかったり、自己分析や自己PRが十分に練られなくなる恐れがあります。時間がなくて就職先を妥協することがないよう、しっかりと時間を確保してから取り組みましょう。
推薦制度を活用する
理系の院生の場合は、推薦制度を積極的に活用すると良いでしょう。推薦制度を活用することによって、内定率が高くなる可能性や、一部の選考過程が省略されることがあります。ただし、専攻によっては推薦枠を設けていない場合もあるので推薦制度を活用できるのか事前に確認することが重要です。
就職支援サービスを利用する
大学院生の就職活動で就職支援サービスを利用すると「自分の強みの活かし方を教えてもらえる」「院卒に対して意欲的に採用する企業と出会いやすい」などのメリットがあります。以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。
自分の強みをどう活かすべきかアドバイスがもらえる
就職支援サービスの魅力は、最初のカウンセリングで自分の強みをどう活かしたらよいのかアドバイスをもらえることです。研究内容が活かせない仕事でも大学院の研究活動で培った強みを就活でアピールすれば、採用可能性はぐっと高まります。その効果的なアピール方法をプロの目線で教えてくれるのが大きなメリットといえるでしょう。
院卒を意欲的に採用する企業と出会いやすい
就職支援サービスを利用することで、院卒を意欲的に採用する企業と出会いやすいのもメリット。就職支援サービスでは事前に応募者の情報を企業に伝えたうえで選考をセッティングするからです。企業情報を熟知した就活のプロが選考を申し込むので、自分で求人を探すよりも選考通過率が高まります。
論文執筆で忙しいなか就活をサポートしてもらえる
就活を全面的にサポートしてくれるのも就職支援サービスの大きな魅力です。大学院では学部の卒業論文に比べて執筆量が多いため、より多くの実験をしたり文献を読みこんだりする必要があります。そのため、大卒で就活をするよりハードなスケジュールになるでしょう。就職支援サービスでは、応募先企業とのやり取りや面接のスケジューリングに加えて選考対策もしてくれるのがメリット。よって、忙しいなかでも就活をよりスムーズに進められるでしょう。
就職支援サービスはハローワークやジョブカフェといった公的なものと、民間企業の運営する就職エージェントに大きく分かれます。ハローワークやジョブカフェが幅広い人を対象としておりその求人も多岐にわたる一方で、就職エージェントは企業ごとに扱う業界や支援対象が違うのが特徴的。
よって、より自分に合った求人を探したいのであれば就職エージェントの利用がおすすめです。利用者が限られるぶん、就活アドバイザーのサポートが行き届きやすいのも魅力。論文執筆で忙しいなかの就活では頼もしい味方になってくれるでしょう。
院卒で就職活動に苦戦している方は、20代向け就職エージェントのハタラクティブをご利用ください。ハタラクティブはスキルや経験が少ないとお悩みの方に向け、人柄やポテンシャルを重視する企業の求人をご紹介しています。「院卒は就職に不利なのでは…」とお悩みの方にも、専任の就活アドバイザーがカウンセリングであなたの強みをアドバイス。また、求人選びから選考対策まで全面的にサポートいたしますので忙しい研究活動の合間に効率の良い就活が叶います。ハタラクティブのご登録、ご利用はすべて無料。どうぞお気軽にご相談ください。
院卒の就職活動に関するQ&A
ここでは、院卒の就職活動に関してよくある質問と回答をご紹介しています。
院卒は就職活動で不利になる?
一般的に大卒と比べてやや不利になるのは否めません。その理由としては「年齢が高いのに社会人経験が少ない」「研究内容を活かせる就職先を見つけるのが難しい」といったものが挙げられるでしょう。大学院に進むべきか迷っている方は、「目的意識を持つことが、大学院卒後の就活を左右する?」のコラムでも、ポイントをまとめてますのでぜひ参考にしてください。
院卒で就活する場合には何をアピールすれば良い?
院卒の就活では、研究で培った専門知識や論理的思考力、プレゼン力などをアピールすると良いでしょう。
また、社会人未経験でもあるので、大卒よりは落ち着いていながらも若々しい熱意ややる気を見せると効果的です。社会人未経験の人の就活については「社会人経験なしから正社員就職できる?成功のための準備やコツを紹介!」のコラムをご参照ください。
大学院に進学するか就職するかで迷っています。
進路で迷った場合は大学院進学の意義を明確にしてください。
考慮すべきは「就きたい仕事と自分の専攻分野が合致しているか」、または「研究を活かせず就職でやや不利になったとしても進学したいかどうか」の二点です。学費もかかり年齢も重ねるので、就職浪人の代わりに進学するのは辞めたほうが無難でしょう。
就活中の大学院生ですがうまくいかずに困っています…
就活がうまくいかない大学院生の方は、就職支援サービスを利用すると良いでしょう。
大学院の学位論文は大学の卒業論文よりも専門性が求められるため、執筆中に読み込む文献や実験の数も多く就活との両立は大変です。そのため、就活のプロにサポートしてもらいながら短期間で効率よく就活を進めるのがおすすめです。ハタラクティブでは20代の院卒の方に向け、未経験者を意欲的に採用する企業の求人をご紹介していますので、一度ご相談ください。
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京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。