退職金にも税金はかかる?課税の種類・計算方法・注意点について解説

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この記事のまとめ

  • 退職金に課税される税金は所得税・住民税・復興特別所得税
  • 退職金には生活資金という役割があり、税金に対しての特別な軽減措置が取られている
  • 退職金にかかる税金の課税対象は、支給額から退職所得控除額を引いた額の50%
  • 退職金を対象とした軽減措置のためには「退職所得の受給に関する申告書」の提出が必要
  • 退職金額は会社の就業規則で確認できる

退職金にかかる税金がどれくらいなのか、気になる方も多いでしょう。これから先のライフプランを考えるなら、退職金の額はきちんと知っておきたいところ。退職金には所得税、住民税、復興特別所得税が課税されます。このコラムでは、退職金の受け取り方や計算方法などをまとめました。退職することが決まっている、検討しているという人は参考にしてみてください。

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退職金にも税金はかかる?

退職金にかかる税金は所得税、住民税、復興特別所得税(2013年1月1日から2037年12月31日まで)の3つです。ただし、退職金は退職後の生活資金としての意味合いが強いことから、税負担が大きくならないよう軽減措置が取られています。

所得税

個人の所得に対して発生する税金のこと。収入金額の全てに課税されるわけではなく、1年間の総所得から各種所得控除額を差し引いて計算した「課税所得」に対して適用されます。また、退職金に関しては退職金を一時金で受け取るのならば「退職所得控除」、年金で受け取るのならば「公的年金等控除」も存在しています。所得税の控除については、「所得税の控除ってなに?仕組みや種類を知ろう」でも詳しく取り上げているので、ぜひご覧ください。

復興特別所得税

東日本大震災の復興に使用される税金で、2013年から2037年の24年間における各年の所得が対象。復興特別所得税の税額は、所得税額×2.1%で算出できます。

住民税

住民税は、都道府県民税と市区町村民税を合わせた名称であり、その年の1月1日時点での住所地に納税します。前年の所得金額に応じた「所得割」と所得の額に関わらず定額で課税される「均等割」で成り立っています。

退職金の制度については「退職金は何年目から出る?基礎知識や計算方法を解説!」のコラムでもご確認いただけます。

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退職金の受け取り方によって税金の種類や額が変わる

退職金は、一括もしくは分割のいずれかで受け取れます。受け取り方によって税金の算出方法が変わるため、ライフプランと合わせて確認しておきましょう。

退職金を一時金として受け取った場合

退職金を全額一括で受け取る方法。一時金として受け取ると「退職所得」となり、税金の計算時に退職所得控除が適用されます。退職所得控除は勤続年数に応じた優遇措置のこと。退職所得控除を差し引いた残りの半分が課税対象となります。

年金形式で受け取る

退職金を分割して「年金形式」で受け取ると、公的年金に含まれるため、税法上は「雑所得」として扱われることになります。そのため、「公的年金等控除」という控除の対象になるのです。公的年金等控除は収入や年齢によって異なってきます。国税庁の「公的年金等の課税関係」によれば、65歳以上で年金収入が330万円未満ならば年間110万円、65歳未満で年金収入が130万円未満なら年間60万円が控除の対象に。将来の年金額を確認したうえで、控除内に収まるように受け取り方を工夫すると、税負担を少なくできるでしょう。公的年金制度について詳しく知りたい方は、「公的年金制度とは?その仕組みや未加入・未納の違いについても解説!」のコラムをご参考ください。

受け取り方法は自分に合ったものを選ぼう

退職金を一時金として受け取ると、大きな額を手にできるため住宅ローンなどを完済できる可能性が高まります。ただし、気が大きくなって無駄遣いをする可能性も。分割で受け取ると管理がしやすく、無駄遣いも防ぎやすくなりますが、課税対象期間が長くなるため、一時金に比べて課税額が大きくなることもあるでしょう。退職後の生活についてよく考え、自分に合った受け取り方を選んでください。

参照元
国税庁
公的年金等の課税関係

退職金に課税される税金の計算方法:一時金

退職金は「長年の勤務に対する報償的給与」と位置づけられるため、一時金として受け取る場合は通常に比べて優遇されるのが特徴。ここで税金の計算方法について確認しておきましょう。

退職金に対する所得税の計算

課税されるのは、退職金総支給額(額面)ではありません。国税庁の「退職金を受け取ったとき(退職所得)」によれば、支給額から退職所得控除額を引いた残額の1/2(50%)が、「課税退職所得金額」として課税対象になります。計算式は以下のとおりです。

課税退職所得金額=(退職金の総支給額-退職所得控除額)✕50%

また、国税庁「退職金と税」によれば、「課税退職所得金額」を計算するために必要な退職所得控除額は、勤続20年までは年40万円、21年目以降は年70万円ずつ。なお、1年未満の端数は切り上げて1年として計算します。

退職所得控除額

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数
20年超800万円+70万円×(勤続年数-20年)

引用:国税庁「退職金と税

表のとおり、勤続年数が20年を超えた場合は、20年目までの控除額「40万円×20=800万円」をベースに、21年目以降は年70万円が追加されます。勤続30年で退職金を受け取った場合は、「800万円+70万円×10年=1,500万円」が退職所得控除額です。先に説明したように、課税対象となる退職金は「(退職金の総支給額-退職所得控除額)✕50%」です。そもそも退職金の額が退職所得控除額の範囲内に収まれば、課税対象となる退職金はないので非課税となります。
一方、支給される退職金が退職所得控除額を超えた場合は、超えた額の50%が課税対象となり、下記の税率に応じた税金を支払います(対象となる額に応じた税率を掛け、控除額を差し引いた額が税額)。

2023年分所得税の税額表 (求める税額=A×B-C)

A課税退職所得金額B税率C控除額
1,000円~1,949,000円5%0円
1,950,000円~3,299,000円10%97,500円
3,300,000円~6,949,000円20%427,500円
6,950,000円~8,999,000円23%636,000円
9,000,000円~17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円~39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

引用:国税庁「退職金と税

上記のとおり、退職所得金額に応じた所得税がかかる仕組みになっています。

参照元
国税庁
退職金を受け取ったとき(退職所得)

退職金と税

 

退職金に対する住民税の計算

総務省」によれば、住民税は市町村民税6%と都道府県民税4%を合わせた計10%が一律で課税されます。計算式は以下のとおりです。

退職時に支払うべき住民税=課税退職所得金額✕10% 

参照元
総務省
個人住民税

退職金に対する復興特別所得税額の計算

国税庁「個人の方に係る復興特別所得税のあらまし」によれば、退職金にかかる復興特別所得税の税率は、所得税額の2.1%です。

退職時に支払うべき復興特別所得税額=所得税額✕2.1%  

参照元
国税庁
個人の方に係る復興特別所得税のあらまし

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退職金から税金を引いた手取り額はいくらになる?

先ほどの計算式を使って、実際に退職金の手取り額を算出してみましょう。

勤続年数30年で退職金が3,000万円の場合

・退職所得控除額=800万円+70万円✕10年=1,500万円
・課税退職所得金額=(3,000万円-退職所得控除額)✕50%=1,500万円✕50%=750万円
・所得税額=課税退職所得金額✕23%-控除額=172万5000円-63万6000円=108万9000円
・復興特別所得税額=所得税額✕2.1%=108万9000円✕2.1%=2万2869円
・住民税=課税退職所得金額✕10%=750万円✕10%= 75万円
・退職金手取り額=3,000万円-(108万9000円+2万2869円+75万円)=2,813万8131円

続年数24年と3ヶ月で退職金が2,000万円の場合

・退職所得控除額=800万円+70万円✕5年(勤続年数は端数切り上げ)=1,150万円
・課税退職所得金額=(2,000万円-退職所得控除額)✕50%=850万円✕50%=425万円
・所得税額=課税退職所得金額✕20%-控除額=85万-42万7500円=42万2500円
・復興特別所得税額=所得税額✕2.1%=42万2500円✕2.1%=8,872円(1円以下端数切り捨て)
・住民税=課税退職所得金額✕10%=425万円✕10%=42万5000円
・退職金手取り額=2,000万円-(42万2500円+8872円+42万5000円)=1914万3628円 

勤続年数20年で退職金が1,000万円の場合

・退職所得控除額=40万円✕20年=800万円
・課税退職所得金額=(1,000万円-退職所得控除額)✕50%=200万円✕50%=100万円
・所得税額=課税退職所得金額✕5%-控除額=5万-0円=5万円
・復興特別所得税額=所得税額✕2.1%=5万円✕2.1%=1,050円
・住民税=課税退職所得金額✕10%=100万円✕10%=10万円
・退職金手取り額=1,000万円-(5万円+1050円+10万円)=984万8,950円

退職金に課税される税金の計算方法:年金

退職金を年金形式で受け取る場合は、基礎年金と同じく雑所得とみなされ、金額に応じた控除額が差し引かれたうえで税額が決まります。なお、公的年金があれば合算します。国税庁「高齢者と税」によれば、「公的年金等に係る雑所得の速算表は」以下のとおりです。65歳未満の方と、65歳以上の方で異なります。

<65歳未満>

公的年金等の収入金額公的年金等に係る雑所得の金額
60万円以下0円
60万円超130万円未満収入金額-60万円
130万円以上410万円未満収入金額×0.75 -27万5千円
410万円以上770万円未満収入金額×0.85 -68万5千円
770万円以上1,000万円未満収入金額×0.95 -145万5千円
770万円以上1,000万円未満収入金額×0.95 -145万5千円
1,000万円以上収入金額-195万5千円

引用:国税庁「高齢者と税

次に、65歳以上の方の場合の表は下記のとおりです。

<65歳以上>

公的年金等の収入金額公的年金等に係る雑所得の金額
110万円以下0円
110万円超330万円未満収入金額-110万円
330万円以上410万円未満収入金額×0.75 -27万5千円
410万円以上770万円未満収入金額×0.85 -68万5千円
770万円以上1,000万円未満収入金額×0.95 -145万5千円
1,000万円以上収入金額-195万5千円

引用:国税庁「高齢者と税

どちらの表においても、「公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額」が1,000万以下の場合となっています。
また、雑所得は年金のほかに給与所得や不動産所得なども合算する「総合課税」です。退職金のほかにも所得があれば、税額はまとめての算出となるので注意しましょう。

参照元
国税庁
高齢者と税

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退職金を受け取るときは必ず「退職所得の受給に関する申告書」を提出しよう

退職の際は「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出することで、源泉徴収による納税が可能になります。もし「退職所得の受給に関する申告書」の提出がないと、退職金を対象にした税制上の軽減措置を受けることができず、所得税は一律20%に。軽減措置を受けるためには、税額を再計算してもらうための確定申告が必要になります。
「退職所得の受給に関する申告書」は、税務署で入手または国税庁のWebサイトからのダウンロードが可能です。なお、退職金を年金形式で受け取る場合、「公的年金等の収入金額が400万円以下」かつ「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下」だと確定申告は不要です。

退職金の額は会社の「就業規程」で確認しよう

今仕事を辞めたら退職金はいくらもらえるのか、これからのライフプランを考えるうえでも正確な数字を知っておきたいところです。退職金については会社の就業規則で確認することができます。一般的には退職金を算出するための計算方法が記載されているので、その式に勤続年数を当てはめれば退職金額がわかります。ただし、退職金の支給は企業に義務づけられているわけではありません。もし、就業規則に退職金に関する記載がなければ、退職金は出ないと考えた方がいいでしょう。
一方、退職金の記載がある場合も、支給額を算出する計算式は企業によって異なります。勤続年数が同じ人でも企業によってその額は大きく変わるということを覚えておきましょう。また、会社都合退職か自己都合退職かによっても、退職金額は変わる可能性が高いので、気になる方は確認してみると良いでしょう。

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