退職金はいつから発生する?基礎知識や計算方法を解説!

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この記事のまとめ

  • 退職金がいつから発生するかは企業によって異なるが、勤続3年以上4年未満が多い
  • 勤務先が制度を導入していなければ、退職金は発生しない
  • 退職金制度の種類は、大きく分けて「退職一時金制度」と「退職年金制度」の2つ
  • 退職金制度の導入率と支給額は減少傾向にある
  • 就職や転職を検討するときは、退職金以外の面もチェックしよう

会社を退職するときに受け取る退職金。定年退職の時に支払われるイメージがあるかもしれませんが、実は勤続年数が短くても支払われることがあります。このコラムでは、退職金はいつから発生するのか、支給額はいくらになるのかをご紹介。税金や制度の仕組みといった、退職金に関する複雑な部分も分かりやすくまとめているので、退職をお考えの方はぜひ参考にしてください。

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退職金はいつから発生する?

厚生労働省の「退職手当制度」によると、退職金制度のある会社では、勤続3年以上から支払われることが多いです。3年以上4年未満を必要最低勤続年数としている企業の割合は、自己都合が42.2%、会社都合が56.2%と、それぞれ約半数を占めています。

引用元:厚生労働省「退職手当制度

退職金制度があっても一定の勤続年数に満たなければ、支払われない場合があります。退職金に関する規定は変更されることもあるので、逐一チェックしましょう。

退職金の支給時期は社内の規定によって異なる

退職金の支給時期は社内の規定によって異なります。規定に沿って支給額の計算や書類作成を行うため、早くても支給までに1ヶ月はかかるでしょう。詳しくは後述しますが、共済に加入している場合は手続きが増えるため、退職金の支給までに半年ほど掛かる場合もあります。退職を検討するときは、あらかじめ担当者に「退職金はいつから発生するか」を確認しておくと安心です。

退職金制度がない会社もある

退職金は法律による支払い義務がなく、退職金制度自体がない企業もあります。退職金は必ずもらえるわけではないので、事前にきちんと確認してください。

退職金の規定や条件を確認する方法

退職金に関する規定は企業で決めているため、勤務先の就業規則や賃金規定を確認しましょう。退職金制度がある場合は、支給金額や支払日といった決まりが記載されているはずです。分からないことがあれば、総務部や人事部に確認することをおすすめします。

退職金を貰うには3年以上働くべき?
先述のとおり、退職金は何年働いたら必ずもらえるというものではありません。1年未満でも退職金が支給される企業もあるので、3年以上という年数は目安の一つにしかならないでしょう。とはいえ、一般的に「3年は同じ会社に勤めたほうが良い」とされるのは、技術や忍耐力を身につけるほかに、退職金が出る年だからとも考えられるでしょう。退職金がいつから発生するのかについては、「退職金は何年働いたらもらえる?退職金制度の種類と相場を徹底解説!」のコラムもご参照ください。

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退職金制度とは何?

退職金とは、退職後に会社から支給される賃金のこと。そして、退職金制度とは退職金の支給する仕組みを指します。退職金の支給方法は、大きく分けて「退職一時金制度」と「退職年金制度」の2つです。

厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概要 退職給付(一時金・年金)制度」によると、退職金制度がある企業は80.5%と高く、なかには「退職一時金制度」と「退職年金制度」、両方の制度を併用しているところもあります。
それでは、それぞれの退職金制度の特徴について確認しましょう。

退職一時金制度

退職一時金制度とは、退職時にまとまった金額を支給される退職金制度です。勤続年数や基本給、社内評価などを反映した金額が支払われます。退職までに規定が変わらなければ、企業の経営状況に関わらず、支払いが確約されていることが特徴です。先述した厚労省のデータによると、退職金一時金制度のみを導入する企業は、全体の73.3%と高く、多くの人がイメージする退職金制度といっても良いでしょう。

退職年金制度

退職年金制度は、企業年金とも呼ばれる、退職金を分割して受け取れる制度です。公的な年金ではなく私的年金のため、会社によって確定給付型や確定拠出型など種類が異なります。長期に渡って支給されるので、老後も安定した収入を得ることが可能です。厚労省のデータによると、退職年金制度のみを導入する企業は全体の8.6%と少なめ。どちらかというと、退職一時金制度と併用する企業のほうが多いでしょう。

退職金共済という制度もある!
退職金制度の一つに退職金共済というものがあります。先述した2つの制度との違いは、企業ではなく加入先の共済が退職金の積立と支払いをすることです。自社だけでは退職金の用意が難しい中小企業が多く利用しており、一定金額の支払いが保障されます。個人ごとに5,000~30,000円まで掛け金が選べ、長く加入するほど利息が付いて退職金が増えるのが特徴です。

参照元
厚生労働省
平成30年就労条件総合調査 結果の概要

退職金の相場はどれくらい?

退職金の相場は、退職の仕方が自己都合か会社都合かによって異なるほか、企業規模や学歴、勤続年数などが影響します。ここでは、退職金の相場を中小企業と大企業に分けてまとめました。

自己都合退職・会社都合退職って何?
自己都合退職とは、転居や結婚、病気療養などにより自ら望んで退職することです。会社都合退職とは、倒産やリストラ、退職勧奨などで退職を余儀なくされることを指します。

中小企業の退職金相場

東京都産業労働局が従業員数10~299人の中小企業を対象に行った調査「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」では、モデル退職金が算出されています。モデル退職金とは、学校卒業後すぐに働き、平均的な成績と能力で勤務した場合の退職金の値を表したものです。以下のデータを参考にして、自分の学歴や経験年数に応じた退職金を考えてみましょう。

【高卒の退職金】

勤続年数年齢自己都合退職会社都合退職
3年21歳18万4000円25万6000円
5年23歳34万円45万1000円
10年28歳89万6000円114万8000円
20年38歳278万8000円333万2000円

【大卒の退職金】

勤続年数年齢自己都合退職会社都合退職
3年21歳23万1000円34万6000円
5年23歳42万3000円60万3000円
10年28歳113万5000円148万3000円
20年38歳353万4000円425万円
引用元:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)

 

なお、高卒で定年退職した場合の退職金は1031万4000円、大卒の場合は1118万9000円でした。

大企業の退職金相場

次に、中央労働委員会が大企業を対象に行った調査「賃金事情等総合調査(退職金・年金及び定年制事情調査)」の結果を参考に、モデル退職金をご紹介します。

【高卒の退職金】

勤続年数年齢自己都合退職会社都合退職
3年21歳21万3000円58万円
5年23歳42万2000円96万6000円
10年28歳122万8000円230万8000円
20年38歳526万2000円719万5000円

【大卒の退職金】

勤続年数年齢自己都合退職会社都合退職
3年21歳32万2000円68万7000円
5年23歳50万9000円123万8000円
10年28歳137万5000円312万8000円
20年38歳525万5000円965万9000円

※自己都合退職のモデル退職金は、事務・技術労働者・一般職の場合

引用元:中央労働委員会「賃金事情等総合調査(退職金・年金及び定年制事情調査)

大企業は、中小企業に比べて多くの退職金が支給され、会社都合の場合はさらに金額が上乗せされます。退職金が多い理由は企業母体が大きく、安定した資金運用ができていることにあるでしょう。

退職金の計算方法

退職金の算出方法は、主に「基本給連動型」「ポイント制」「定額制」「別テーブル制」の4つです。自分でおおよその退職金の支給額を知りたいときは、勤務先の就業規則を確認して算出方法を調べましょう。

基本給連動型

基本給連動型の場合、基本給のほかに勤続年数や退職理由を考慮して退職金を算出します。

退職金=退職時の基本給×支給率(勤続年数によって変動)×退職事由係数

支給率や退職事由係数は、企業によって異なるものの、一般的に勤続年数に比例して退職金が高くなる傾向にあります。また、役職に応じた金額を上乗せすることもあるようです。なお、基本給連動型の算出方法は、基本給の見直しが退職金にも大きく影響します。そのため、最近は別の方法に移行する会社が増えているようです。

ポイント制

ポイント制の場合、年齢や人事からの評価、会社への貢献度によって従業員にポイントを付与し、累積ポイント数に応じて退職金を決定します。

退職金=退職金ポイント×ポイント単価×退職事由係数

ポイント制は、業績や能力が高いほど退職金が増えるため、努力した分がしっかり返ってくる算出方法といえます。年功序列を撤廃し、実力主義の企業はポイント制を導入していることが多いでしょう。

定額制

定額制の場合、勤続年数に連動して退職金が決まります。基本給や従業員の貢献度、年齢に関わらず、勤続5年で30万円、勤続10年で90万円というように、退職金が最初から固定されているので、計算式は必要ありません。定額制には、一目で退職金が分かり将来設計を立てやすいメリットがある一方で、会社への貢献や業績を評価されないため、自分の頑張りで退職金を増やせないデメリットがあります。

別テーブル制

別テーブル制の場合、基本給連動型と同じように、勤続年数と退職事由を含めて退職金を算出します。基本給連動型とは異なるのは、基本給ではなく、役職や等級に応じた金額を元に計算を行うことです。

退職金=基礎金額(役職や等級に応じて変動)×支給率(勤続年数によって変動)×退職事由係数

別テーブル制は、従業員の貢献度を反映できる特徴があります。基本給連動型と似ているため、算出方法を別テーブル制に変更する会社も増えているようです。

退職金の計算方法について詳しく知りたい方は、「自己都合で退職金はもらえる?計算方法や注意点を解説!」「退職金は貰えるの?退職金の計算方法とは」のコラムもご参照ください。

退職金に関する注意点

退職金は、単に「会社を辞めるときに貰えるお金」と考えている方は注意が必要です。退職金を受け取る際は税金がかかることや、制度が在職中に変更され支給額が減少する可能性もあることを理解しておきましょう。

退職金には税金がかかる

退職金には所得税と住民税がかかります。特に、「退職一時金」を受け取る場合は一度に多額を受け取るため、相応の税金がかかることを念頭に置く必要があるでしょう。とはいえ、退職金は退職後の大切な生活資金になるため、税制優遇を受けることも可能です。また、ほかの所得と別に課税されるため、過度な税金がかかる心配はありません。

退職所得控除について

退職一時金を受け取る際に受けられる控除を、退職所得控除と呼びます。控除額は勤続20年前後で変わり、計算に基づいた金額より退職金が少なければ、税金がかかることはありません。また、勤務先で書類を提出すれば確定申告も不要です。なお、退職年金として受け取る場合には雑所得に分類され、公的年金等控除を受けることになります。

控除額の計算方法

退職所得控除の計算式は以下のとおりです。

【勤続年数20年以下の場合】勤続年数×40万円
※算出された金額が80万円に満たない場合は退職所得控除は80万円

【勤続年数20年超の場合】(勤続年数-20年)×70万円+800万円

たとえば、勤続30年で退職金700万円の場合の退職所得控除は、(30年-20年)×70万円+800万円=1,150万円となります。控除額1,150万円に対して、退職金は700万円のため税金はかかりません。

退職金は必ず支給されるとは限らない

退職金は今後必ず支給されるとは限りません。なぜなら、支給額も退職金制度がある企業も減少傾向にあるためです。厚生労働省の「就労条件総合調査」では、平成20年には83.9%の企業が退職金制度を導入していたものの、平成30年には80.5%と減少しています。さらに、退職金の平均支給額は10年間で700万以上も低下していることが分かりました。

退職金の導入率や支給額低下の理由として考えられるのは、少子高齢化や会社の資産運用の難しさです。また、近年元来の終身雇用や年功序列を撤廃し、中途採用を歓迎する成果主義の企業が増えており、ニーズに合った退職金制度への移行する企業も増加傾向にあります。

就職・転職の際は退職金制度以外も確認することが大切
就職や転職を考えるときは、退職金制度の有無だけに注目して仕事探しをしないことが大切です。先述したように、退職金は会社ごとに指針が異なるので、必ず支給されるとは限りません。就職や転職の際は、退職金制度のほかに、仕事のやりがいやキャリアアップについても考慮し、自分の人生設計に合っているかを確認しましょう。

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いつから発生する?退職金に関するお悩みQ&A

勤務先を退職する際に、「退職金はいつから発生するの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。ここでは、退職金に関する疑問を、Q&A形式で回答します。

自己都合の退職で退職金はもらえる?

退職金は、自己都合の退職でも受け取れることが多いようです。とはいえ、退職金の支給は、会社が退職金制度を導入しているかどうかによって変わります。勤務先の就業規則や賃金規定を確認し、退職金制度の有無や受給条件を確認したほうが良いでしょう。詳しくは、「自己都合で退職金はもらえる?計算方法や注意点を解説!」をご覧ください。

解雇されたら退職金はもらえない?

退職金がもらえるかどうかは、解雇の種類によるでしょう。懲戒解雇は懲戒処分のなかで最も重い処分であるため、退職金は支給されないのが一般的です。ただし、同じ解雇でも「諭旨解雇」であれば、退職金が支払われる場合も。諭旨解雇とは、会社の配慮で懲戒解雇よりも軽めの条件で解雇になることです。詳しくは「諭旨解雇は懲戒処分の1つ!退職金や失業保険はどうなる?」でも触れているので参考にしましょう。

退職金が支払われません…

退職金の支給対象にも関わらず、支給時期を過ぎても支払いがない場合は、未払いであることを会社に報告しましょう。もしも7日以内に支払いがなければ、会社側の違法行為にあたります。担当者に問い合わせても支給されないようであれば、労働基準監督署に問い合わせましょう。円満に退職金を受け取れるのが一番良いですが、万が一の場合を考えて対処法を理解しておくことが大切です。

非正規雇用でも退職金はもらえる?

契約社員やパート、アルバイトといった非正規雇用の場合、退職金は発生しません。退職後の生活資金に不安がある方は、「個人年金保険」や「個人型確定拠出年金」などの加入を検討してみてください。また、合わせて失業手当の給付が受けられるかどうかも確認しておくと良いでしょう。退職金制度のある会社に正社員として就職したいとお考えの方は、ハタラクティブにご相談ください。あなたのご希望に合った求人を紹介いたします。

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