就職などで国民健康保険から社会保険に切り替えるときは、必ず脱退の届出を行う
「就職が決まったら国民健康保険の手続きはどうするの?」と気になっている方もいるでしょう。国民健康保険に加入している方が就職や転職などで社会保険に加入する際は、必ず国民健康保険の脱退手続きを行う必要があります。
このコラムでは、国民健康保険の脱退手続きの流れや、保険証切り替え時の注意点を詳しく解説。就職や転職が決まってから慌ててしまわないように、届出の流れや必要なものなどを確認しておきましょう。
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就職したら国民健康保険から社会保険への切り替え手続きが必要
国民健康保険に加入している方が就職や転職をしたときは、社会保険(職場の健康保険)への切り替えが必要になる場合があります。なお、従来の紙の健康保険証は2025年12月に使用できなくなっており、現在はマイナ保険証や「資格確認書」などで受診する仕組みに変わっているため注意しましょう。
ここでは、国民健康保険の概要や、切り替えの際に必要な手続きについて解説します。
国民健康保険とは
国民健康保険とは日本の医療保険制度の一つで、原則として社会保険に加入していない国民すべてが加入対象者(被保険者)です。ただし、生活保護を受けている人や後期高齢者医療制度の対象となる人は加入条件から外れます。
国民健康保険の加入対象者となる人の具体例は、自営業や農林漁業従事者、退職して職場の社会保険から抜けた人、社会保険に入っていないパート・アルバイト、扶養に入っていない学生などです。
就職した際に、いわゆる社会保険と呼ばれる健康保険や厚生年金保険の加入手続きは入社した先の会社が行ってくれますが、国民健康保険の脱退手続きは自分で行う必要があります。
就職が決まったら原則14日以内に手続きが必要
国民健康保険の脱退手続きは、資格喪失日から14日以内に行うことが国民健康保険法施行規則
で定められています。資格喪失日とは、就職先の健康保険(社会保険)に加入した日の翌日のことです。市区町村は加入者の就職状況を自動的に把握することができないため、必ず自分で届け出る必要があります。
国民健康保険の脱退手続きを忘れた場合
国民健康保険の脱退手続きを忘れると、就職して職場の健康保険に加入しているにもかかわらず、国民健康保険の資格(マイナ保険証としての利用登録や資格確認書など)がそのまま有効な状態で残ってしまいます。その状態で誤って国民健康保険の資格を使って受診してしまうと、国民健康保険の保険者(都道府県や市区町村など)が負担した医療費を返還しなければならなくなるので注意が必要です。
会社への就職が決まり社会保険に加入するときは、必ず14日以内に国民健康保険の脱退手続きをしましょう。
会社の社会保険に入れない場合もある
職場が社会保険の適用事業所でない場合は、社会保険への加入対象外です。また、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ職場の正社員(通常の労働者)の4分の3未満の場合も、原則として加入対象外となります。
ただし、この場合でも週の所定労働時間が20時間以上であることなど一定の要件を満たすと加入対象となることがあり、対象となる企業の範囲は段階的に拡大されています。ご自身が加入対象となるかどうかは、勤務先または年金事務所に確認するとよいでしょう。加入対象外の場合は、国民健康保険の脱退手続きは行わず、引き続き加入することになります。
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参照元: 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」
資格取得日・資格喪失日とは
資格取得日とは、就職先の健康保険(社会保険)に加入した日のことで、通常は入社日と同じです。一方、国民健康保険の資格喪失日とは、国民健康保険をやめる日のことで、社会保険の資格取得日の翌日にあたります。
国民健康保険の脱退手続きの期限や保険料の計算は、資格喪失日を基準に行われるため、自分の入社日を正しく把握しておくことが大切です。
手続きについて相談できる窓口
国民健康保険の脱退手続きについて分からないことがある場合は、お住まいの市区町村の窓口に相談できます。「保険年金課」や「国民健康保険係」など、相談窓口の名称は自治体により異なるので確認が必要です。
また、就職にともなう社会保険の加入自体について不安がある場合は、勤務先の担当部署や年金事務所に相談することもできます。就職・転職活動そのものについて相談したい方は、ハローワークや民間の就職・転職エージェントを利用するのも一つの方法です。
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就職が決まったら国民健康保険料はいつまで払う?
就職が決まったときの国民健康保険料は、資格喪失日の月の前月分まで支払うことになります。
国民健康保険の資格喪失日は、職場の社会保険の資格を取得した日の翌日です。つまり、就職が決まったときは、入社日が職場の社会保険の加入日となります。
国民健康保険料は月割で計算し、加入した月の分は計算に含みますが、離脱した月の分は計算に含みません。しかし、納期ごとの保険料額と月割の保険料額は一致しないため、社会保険に加入したあとにも国民健康保険料を納めなければいけない場合も。その際は、国民健康保険の脱退手続きが完了したあとに、市町村より再計算した保険料額が「国民健康保険税更正通知書」として送られてくるので支払う必要があるでしょう。
払い過ぎてしまった保険料は返金される
国民健康保険の保険料は、一定期間分を一括して前納することができます。前納した期間の途中で就職が決まり国民健康保険から社会保険へ切り替える場合は、払い過ぎてしまった分の国民健康保険料は返金されるので二重払いになることはありません。
その計算も、国民健康保険の脱退手続きの際に行われます。就職が決まり社会保険に加入するときは、忘れずに国民健康保険の脱退手続きをしましょう。
アルバイトとして働く場合も健康保険証の切り替えは必要?
アルバイトとして働く場合も、一定の条件を満たせば社会保険への切り替え(国民健康保険の脱退)が必要になります。厚生労働省の「社会保険適用拡大特設サイト」によると、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ職場の正社員(通常の労働者)の4分の3以上であれば、原則として社会保険の加入対象です。4分の3未満であっても、「週の所定労働時間が20時間以上」「雇用期間が2か月を超えて見込まれる」「賃金が月8.8万円以上」「学生ではない」という条件をすべて満たし、かつ勤務先が従業員51人以上の企業(2024年10月以降の基準)であれば、加入対象となります。

上記の条件に一つも該当しない場合は、社会保険への切り替えは不要で、引き続き国民健康保険に加入することになります。
参照元:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」
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国民健康保険の脱退手続きに必要なもの
国民健康保険の脱退手続きには、いくつかの持ち物や証明書類が必要です。手続き方法や必要書類は市区町村によって異なる場合があるため、事前に確認しておくとスムーズに進められます。

ここでは、手続きの窓口や必要書類の内容について解説します。
脱退の手続きをするには市役所に行く必要がある?
国民健康保険の脱退手続きは、オンラインや郵送でも可能です。ただし、市区町村によってはオンライン手続きを行っていない場合もあります。あらかじめ、お住まいの市区町村の「保険年金課保険係」へ確認のうえ手続きを進めて行きましょう。
資格喪失証明書とは?いつ・どこで発行してもらえる?
「資格喪失証明書」とは、健康保険の資格を失ったことを証明する書類のことです。国民健康保険から社会保険への切り替えるケースでは、国民健康保険の脱退手続きの際に、新しく加入した社会保険の資格を証明する書類(「資格情報のお知らせ」「資格確認書」「健康保険被保険者資格証明書」など)の提示を求められるのが一般的です。
反対に、退職などで社会保険から国民健康保険へ切り替える場合には、それまで加入していた健康保険(協会けんぽや健康保険組合など)から資格喪失証明書の発行を受け、それを国民健康保険の加入手続きに使用します。証明書の名称や発行元は自治体・加入していた保険により異なるため、事前に窓口へ確認しておくと安心です。
資格喪失証明書がもらえない・会社が発行してくれない場合の対応
就職先から資格情報のお知らせや資格確認書がすぐに発行されない場合は、まずは勤務先の担当部署(人事・総務など)に発行状況を確認しましょう。健康保険の加入手続きには一定の時間がかかることがあるため、入社直後は書類が揃わないことも珍しくありません。
手元に必要な書類がない状態で国民健康保険の脱退手続きを行いたい場合は、お住まいの市区町村の窓口に相談し、ほかの方法(勤務先発行の「健康保険被保険者資格証明書」の提示など)で対応できないか確認するとよいでしょう。
脱退手続きに必要な持ち物一覧
国民健康保険の脱退手続きには、主に以下のものが必要です。
- ・国民健康保険の資格確認書(交付を受けている場合)
- ・本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- ・「資格情報のお知らせ」「資格確認書」「健康保険被保険者資格証明書」など、社会保険の資格を証明できるもの
- ・マイナンバーが分かるもの
- ・印鑑(自治体により不要な場合があります)
就職すると、会社側で社会保険の加入手続きを行いますが、資格情報のお知らせや資格確認書が手元に届くまでには1週間から2週間程度かかることが一般的です。必要な書類がすぐに用意できない場合や、これらが届く前に国民健康保険の脱退手続きを行いたい場合は、勤務先に依頼して「健康保険被保険者資格証明書」を発行してもらう方法もあります。健康保険被保険者資格証明書とは、マイナ保険証の利用登録や資格確認書の交付が済むまでの間、これらの代わりとして使用できる書類です。事業主または被保険者本人が年金事務所(勤務先が健康保険組合に加入している場合は、その健康保険組合)に申請することで発行されます。
なお、自治体によっては郵送・オンラインで手続きした場合も資格確認書は別途返却が必要なことがあります。また、有効期限が過ぎているものは自身で破棄してOKとしている自治体もあるようです。必要書類は自治体により異なるため、事前に確認しておきましょう。
就職して保険証を切り替えるときの注意点
保険証を切り替えるとき、つまり国民健康保険から社会保険への切り替え時には、下記のポイントに注意しましょう。特に、資格情報のお知らせや資格確認書が手元に届くまでの間の医療費の扱いや、保険料の二重払いには注意が必要です。
国民健康保険料と社会保険料の二重払い
会社への就職が決まったあとに、国民健康保険の脱退手続きを行うのを忘れると、国民健康保険料が口座から自動で引き落とされてしまうことも。また、すでに数ヶ月分の保険料をまとめて支払っていた場合も、社会保険と国民健康保険の保険料を二重払いしてしまう可能性があります。自治体によって国民健康保険の支払い方法、分割方法が異なるため注意が必要です。
二重払いをしてしまっても、国民健康保険料は2年間分まで返金されます。心当たりがある場合は、早めに加入手続きをした役所に問い合わせてみましょう。
払いすぎた保険料は還付される
二重払いをしてしまっても、国民健康保険料は多くの自治体で2年間分まで還付(返金)されます。心当たりがある場合は、早めに加入手続きをした役所に問い合わせてみましょう。
保険証がないときの医療費の支払い
就職が決まり国民健康保険を脱退したあとは、勤務先の資格情報のお知らせや資格確認書が手元に届くまでにおよそ1週間から2週間程度の時間がかかることがあります。マイナ保険証の利用登録や資格確認書の交付が済む前に医療機関を受診した場合は、医療費を一旦全額自己負担することになるケースがあります。
その場合は、加入した健康保険の保険者(協会けんぽや健康保険組合など)に「療養費支給申請書」を提出することで、自己負担分を除いた額の払い戻しを受けられます。申請には領収書や診療報酬明細書(レセプト)などが必要です。この請求権の時効は2年ですが、忘れないうちに早めに申請することをおすすめします。なお、同じ月内であれば医療機関の窓口で精算に応じてもらえる場合もありますが、対応は医療機関により異なります。また、事前に勤め先の会社から交付してもらえる「健康保険被保険者資格証明書」を使用することで、資格確認書がなくても医療費を全額負担せずに受診できる場合もあります。
国民健康保険に未加入のまま就職してしまった場合はどうする?
国民健康保険への加入手続きをしていなかった期間があっても、就職して社会保険に加入した場合は、原則としてそれ以降は社会保険が適用されるため、あらためて国民健康保険に加入する必要はありません。
ただし、無保険だった期間については、お住まいの市区町村から遡って国民健康保険料の納付を求められる場合があります。国民健康保険は、届け出の有無にかかわらず要件を満たした時点で資格が発生する制度のためです。心当たりがある方は、早めにお住まいの市区町村の窓口へ相談することをおすすめします。
前職で任意継続や扶養に入っていた場合の切り替え
前職を退職した際に、健康保険の任意継続被保険者制度を利用していた方や、家族の扶養に入っていた方が新たに就職する場合も、勤務先の社会保険への加入手続きが必要です。任意継続を利用していた方は、就職して新たな社会保険の資格を取得したタイミングで任意継続の資格を喪失するため、あわせて脱退の手続きを行いましょう。
なお、任意継続は在職中に会社が負担していた分も含めて保険料を全額自己負担する制度であり、国民健康保険のほうが保険料が安くなる場合もあります。申出は退職日の翌日から20日以内に行う必要があるため、期限を過ぎないよう注意しましょう。
家族の健康保険の扶養に入っていた方が就職し、勤務先の社会保険に加入した場合は、収入額にかかわらずその時点で扶養から外れます。扶養していたご家族の勤務先を通じて、被扶養者からの削除手続きが必要です。手続きが遅れると、扶養を外れたあとに使った医療費の返還を求められることがあるため、就職が決まったら早めにご家族へお伝えください。なお、社会保険の加入要件を満たさない働き方を続ける場合は、年収などの収入要件を満たす限り扶養にとどまれます。
マイナ保険証への移行で保険証の扱いはどう変わる?
マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」への移行にともない、従来の紙の健康保険証は2024年12月2日に新規発行が終了し、2025年12月2日にはすでに発行されていたものも含めてすべて使用できなくなりました。
現在は、マイナ保険証を医療機関の受付で提示するか、マイナ保険証を持たない方は自治体や健康保険組合などから交付される「資格確認書」を提示して受診する仕組みになっています。就職して新しく社会保険に加入する際は、まず「資格情報のお知らせ」が交付されるのが一般的で、マイナ保険証を利用しない場合はあわせて「資格確認書」が交付されます。就職・転職にともなう保険の切り替え手続き自体(国民健康保険の脱退や社会保険の加入の届出)の基本的な流れは、従来の保険証を使っていた頃と変わりません。
参照元:厚生労働省「カンタン!便利!マイナ保険証」
まとめ
就職や転職で国民健康保険から社会保険に切り替える際は、資格喪失日から14日以内に国民健康保険の脱退手続きを行うことが法律で定められています。手続きを忘れると、保険料の二重払いや医療費の返還といったトラブルにつながるおそれがあるため、早めの対応を心がけましょう。
また、従来の紙の健康保険証は廃止され、現在はマイナ保険証や資格確認書で受診する仕組みに変わっています。書類の名称や手続きの窓口に戸惑うこともあるかもしれませんが、分からないことがあれば勤務先やお住まいの市区町村の窓口に相談しながら、一つずつ手続きを進めていきましょう。
就職や転職の準備そのものに不安がある方は、就職・転職エージェントのハタラクティブにご相談ください。専任のキャリアアドバイザーが、一人ひとりの状況に合わせて選考対策から入社後のフォローまでサポートします。
就職した場合の国民健康保険に関するQ&A
ここでは、就職したときの保険証や国民健康保険に関するお悩みをQ&A方式で解決します。
就職後は国民健康保険から会社の社会保険に自動で切り替わる?
就職したあとの社会保険の加入手続きは入社した会社が行ってくれますが、国民健康保険の脱退手続きは自分で行う必要があります。国民健康保険の脱退手続きは、社会保険の資格取得日の翌日(国民健康保険の資格喪失日)から14日以内に行うのが原則とされているので注意しましょう。お住まいの市区町村によってはオンラインや郵送でも手続きができることがあるので、詳しくはお住まいの市区町村にお問い合わせください。
国民健康保険の脱退を忘れて二重払いした場合、返金されますか?
国民健康保険の脱退手続きを忘れて社会保険と保険料を二重に支払ってしまった場合、払い過ぎた分の国民健康保険料は還付(返金)されます。ただし還付を受ける権利には時効があり、多くの自治体で2年以内とされています。心当たりがある方は、早めにお住まいの市区町村の窓口に相談しましょう。
なお、誤って国民健康保険の資格を使って受診してしまった場合は、国民健康保険が負担した医療費分を返還しなければならないケースもあるため、脱退手続きは忘れずに行うことが大切です。
新しい保険証がまだ届かないうちに病院に行きたい場合はどうすればいいですか?
資格情報のお知らせや資格確認書がまだ届いていない場合は、勤務先に依頼して「健康保険被保険者資格証明書」を発行してもらうことで、これらが届く前でも保険診療を受けられます。証明書の準備が難しく医療費を全額自己負担した場合も、加入した健康保険の保険者に「療養費支給申請書」を提出すれば、自己負担分を除いた額の払い戻しを受けられます。
退職して社保から国保へ切り替える際、離職票や資格喪失証明書は必要ですか?
退職して社会保険から国民健康保険へ切り替える場合は、多くの市区町村で、以前の健康保険の資格を喪失したことを証明する「資格喪失証明書」が必要になります。会社によっては離職票や退職証明書などで代用できる場合もあるため、お住まいの市区町村の窓口にあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
就職先の保険証がない状態で国民健康保険を脱退できますか?
国民健康保険の脱退手続きには、勤務先の健康保険に加入した日を証明できる書類が必要です。就職先から交付される「資格情報のお知らせ」や「資格確認書」、「健康保険被保険者資格証明書」のほか、マイナポータルで表示できる資格情報画面でも手続きできる自治体があります。必要書類は市区町村により異なるため、お住まいの自治体にご確認ください。