ハローワークの求人はブラックしかない?活用ポイントや優良企業の見分け方

ハローワークの求人はブラックしかない?活用ポイントや優良企業の見分け方の画像

この記事のまとめ

  • ハローワークを利用するメリットは、求人数が豊富で選択肢の幅があることなど
  • ハローワークで優良企業を見極めるコツは、年間休日数や求人の掲載期間を確認すること
  • ハローワークだけではなく就職エージェントを利用するのも一つの手

仕事探しにハローワークの利用を考えている方のなかには、「ハローワークはブラック企業が多い?」といったイメージを持っている方もいるでしょう。結論からいうと、ハローワークはブラック以外の求人も多く取り扱っています。
このコラムでは、ハローワークの活用方法やいい求人の見つけ方を紹介。また、ハローワークを利用するメリットもまとめたので、ぜひご一読ください。

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ハローワークの求人情報がブラックばかりといわれる理由

ハローワークの求人情報がブラックばかりといわれる理由は、「無料で求人を掲載できるから」「掲載の審査が厳しくないから」などが考えられます。
一方で、ハローワークの求人がブラックばかりとは一概にいえません。ここで紹介する理由はあくまで一例なので、参考程度にご覧ください。

無料で求人を掲載できるから

ハローワークの求人情報がブラックばかりといわれる理由の一つに、企業が無料で求人を掲載できる点があります。一般的な求人サイトは、企業が求人を載せるのに一定の料金がかかることがありますが、ハローワークは国が運営する公共機関のため無料で掲載が可能です。

そのため、利益が少ない企業も求人を出しやすくなります。こうした企業の求人は、「基本給が10万円程度と著しく低い」「残業が50時間以上ある」など、適切な労働条件ではない場合があり、それを見た求職者が「ブラックだ」と感じるのです。このような求人が存在することが、「ハローワークの求人はブラックばかり」といわれる原因の一つになっています。

ハローワークにブラックリストはある?

結論からいうと、ハローワークにブラックリストは存在しません。ただし、「最低賃金法」や「労働基準法」に違反した企業が労働基準監督官から注意を受け、それを無視した場合に求人の受付を停止することがあります。違反企業がブラックリスト化されているわけではなく、違法な労働環境が改善されない場合に施行される措置です。

求職者が、ハローワークの求人情報から、企業の実態をすべて把握するには限界があります。求人票に記載されている情報をすべて鵜呑みにせず、企業のWebサイトで応募先の情報を調べることが、ブラック企業の求人を見分けるポイントといえるでしょう。

参照元
e-Gov 法令検索
トップページ

掲載依頼は基本的に断れないから

ハローワークは求人の掲載依頼を原則として断れません。国の機関であり、公平性を保つ必要があるためです。したがって、労働基準法といった法令に明確に違反していない限り、どのような企業の求人も掲載される仕組みになっています。その結果、ブラック企業と疑われるような求人が掲載されることもあるようです。

中小企業の求人掲載が多いから

ハローワークには中小企業の求人が多く、それも「ハローワークの求人はブラックばかり」といわれる理由の一つでしょう。中小企業は大企業よりも数が多く、賃金が低めな傾向があるため、求職者が「労働条件が悪い求人が多い」と感じやすいのです。

中小企業庁の「中小企業・小規模事業者の数(2021年6月時点)の集計結果を公表します」によると、中小企業の割合は99.7%と、大企業の0.3%と比べ圧倒的に多いことが分かります。

大企業0.3%(1万364者)
中企業15.2%(51.2万者)
小企業84.5%(285.3万者)
合計100%(337.5万者)

参照:中小企業庁「中小企業・小規模事業者の数(2021年6月時点)の集計結果を公表します 集計結果の概要

中小企業の割合が多くを占めるということは、自ずとハローワークに登録される求人数も多くなってくるということです。

また、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況(4)企業規模別にみた賃金」によると、2023年度の大企業の賃金は346,000円なのに対し、中企業は311,400円、小企業は294,000円でした。

もちろん、中小企業の求人すべてがブラックだというわけではありません。しかし、求職者のなかには、給与水準の低さから「条件が悪い」と感じる人もいて、それが「ハローワークの求人はブラック」といわれる原因の一つなのです。

中小企業のなかにはホワイト企業も多く存在する

中小企業のなかには働きやすい環境を整えているホワイト企業も存在します。したがって、「大企業はホワイト」「中小企業はブラック」と決めつけるべきではありません。

職場のあんぜんサイト:安全衛生優良企業公表制度:優良企業の紹介」では、厚生労働省から「安全衛生優良企業」と認定された企業が、大企業から中小企業まで複数掲載されています。
そもそも、安全衛生優良企業とは、労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善しているとして、厚生労働省から認定を受けた企業のことです。

この認定を受けるためには、過去3年間、労働安全衛生関連の重大な法違反がないことに加え、以下に積極的に取り組むことが求められます。

  • ・労働者の健康保持の増進
  • ・メンタルヘルス対策
  • ・過重労働の防止
  • ・安全管理など

従業員にとって健康で安全、かつ働きやすい企業であることが、安全衛生優良企業の基準となっているのです。

求人を見極める際には、賃金だけではなく職場の雰囲気や福利厚生など、総合的に判断することが大切です。「優良中小企業とは?就職・転職するメリットとホワイト企業の探し方を解説」では、優良な中小企業を探すポイントを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

ホワイト企業の定義はある?

「ホワイト企業」としての明確な定義はありません。ただし、上記で解説したように、厚生労働省が認定する「安全衛生優良企業」が一般的なホワイト企業の基準と認められているようです。
ホワイト企業について詳しく知りたい方は、「ホワイト企業の見分け方とは?働きやすい環境に転職しよう」で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

参照元
中小企業庁
トップページ
厚生労働省
令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
職場のあんぜんサイト
安全衛生優良企業公表制度

そもそもブラック企業とは

厚生労働省が運営する「確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト」によると、ブラック企業の明確な定義はありませんが、一般的な特徴として以下が挙げられています。

  • ・労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
  • ・賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
  • ・上記のような状況下で労働者に対し過度の選別を行う

具体的には、「残業が毎日何時間もある」「上司から業務に関係ないことで叱責を受ける」などが当てはまるでしょう。もし、ブラック企業の特徴をもつ会社に入社して悩んでいる場合は、外部の機関に相談するのも一つの手です。

ブラック企業に入社したときの対処法について詳しく知りたい方は、「ブラック企業の特徴とは?求人や面接から見抜く方法と対処法を解説」で解説しているので、ぜひご一読ください。

参照元
確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト
トップページ

ハローワークを利用して転職・就職活動をするメリット

ハローワークを利用して転職・就職活動をするメリットは、「求人数が豊富で選択肢の幅がある」「地域に密着した求人を見つけられる」などです。以下で詳しく解説します。

求人数が豊富で選択肢の幅がある

ハローワークを利用するメリットの一つは、求人数が豊富で選択肢の幅が広いことです。
厚生労働省の「公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組と実績(p.3)」によると、2023年度の全国のハローワーク新規求人数は1千27万5,000件でした。多くの求人を比較したい方には、ハローワークの利用がおすすめです。

参照元
厚生労働省
ハローワーク

地域に密着した求人を見つけられる

ハローワークでは、地域密着型の求人を多く取り扱っています。地域ごとに管轄が決まっているため、地元の企業の求人が集まりやすいのです。
自宅から近い場所で働きたい方や、今の地域に住み続ける予定がある方にとって、ハローワークの利用は便利だといえるでしょう。

不採用だった場合の理由を教えてもらえることがある

ハローワークを利用するメリットの一つに、不採用だった場合の理由を教えてもらえる可能性があることが挙げられます。
ハローワークインターネットサービスの「求人申込み、採用・選考に当たっての留意事項~ハローワークからのお願い~」によると、ハローワークは企業に対し、応募者を不採用にする際はできる限り理由を伝えることが望ましいとしています。しかし、これは義務ではないため、企業によっては不採用理由を開示しない場合もある点は注意が必要です。

不採用の理由が分かれば、自分の課題を把握でき、次の面接に向けた改善点を見つけるきっかけになるでしょう。

参照元
ハローワークインターネットサービス
トップページ

ハローワークでは職業訓練を受けられる

ハローワークでは、職業訓練を受けることも可能です。職業訓練とは、仕事に就くために必要な知識やスキルを学べる、公的な制度のこと。受講は基本的に無料で、条件を満たす人は「職業訓練給付金」をもらいながら職業訓練を受講できます。

IT関連から経理、介護関連まで幅広い内容を受講できるため、自分が学びたい講座を見つけやすいでしょう。職業訓練を受講するためには、ハローワークに申し込みを行い、面接や試験を受ける必要があります。職業訓練について詳しく知りたい方は、「職業訓練とは?ハローワークで受けられるコース一覧と受講のメリットを紹介」をチェックしてみてください。

ハローワークを利用して転職・就職活動をするデメリット

ハローワークを利用して転職や就職活動をするデメリットは、「求人票から企業の情報を得にくい」「掲載情報と実際の労働条件が異なる場合がある」などが考えられます。
ここで紹介するデメリットは一例であり、必ずしもすべてが当てはまるわけではないので、参考程度にご覧ください。

求人票から企業の情報を得にくい

ハローワークを利用して転職や就職活動をするデメリットとして、求人票から企業の情報を得にくいことが挙げられます。
ハローワークの求人票は、賃金や業務内容、就業場所、休日といった必要最低限の情報は記載されていますが、事業内容や企業の特色などの情報は載っていない場合がほとんどです。そのため、求人票だけでは、事業内容の詳細や企業がどのような社風かなどが分からない傾向にあります。

求人票から分からない情報を知りたい場合は、ハローワークの窓口に相談するのがおすすめです。担当者が企業に確認してくれる可能性があるでしょう。

掲載情報と実際の労働条件が異なる場合がある

ハローワークを利用して転職や就職活動を行っていくなかで、掲載情報と実際の労働条件が異なる場合があることも考えられます。
厚生労働省の「令和5年度 ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数」によると、2023年にハローワークに寄せられた申し出は3,761件でした。その内、「求人票の内容が実際と異なる」という申し出が1,609件と、最も多かったようです。

ハローワークに寄せられた申し出件数
求人票の内容が実際と異なる1,609件
求人者の説明不足1,221件
言い分が異なる等により要因を特定できないもの450件
求職者の誤解307件

参照:厚生労働省「令和5年度 ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数 要因別件数(主なもの)

具体的には、「求人票よりも低い賃金額を提示された」「休憩時間は求人票よりも少ない時間と言われた」「求人票に正社員募集と書いてあったのに面接では契約社員だと言われた」などが、実際の事案として挙げられています。

もし「掲載内容と実際の労働条件が違う」と感じた場合は?

ハローワークで公開されている求人情報と、実際に面接に行った際に確認した労働条件が異なる場合は、「ハローワーク求人ホットライン」を利用しましょう。ハローワークの担当者が事実を確認し、会社に対して是正指導を行ってくれます。
実際と異なる求人情報をそのままにして入社しても、「やっぱり思っていたのと違った…」と感じ早期退職の原因になりかねません。一人で悩まず早めに相談しましょう。

参照元
厚生労働省
ハローワークの求人票と実際が異なる旨の申出等
ハローワークインターネットサービス
トップページ

職員によってフォローの丁寧さが異なる

ハローワークの職員は、把握している企業の情報に差があるため、フォローの丁寧さも異なる場合があるようです。求人情報の詳細や企業の内部事情について詳しく知っている職員もいれば、基本的な情報しかもっていない人もいるでしょう。そのため、同じ企業の求人について相談しても、対応する職員によって対応やアドバイスにばらつきが生じる場合があります。

もし、不安を感じた場合は、担当者を変更してもらうことも可能です。一人で抱え込まず、窓口や電話で相談してみましょう。

ハローワークで優良企業の求人を見極めるコツ

ハローワークで優良企業の求人を見極めるコツは、「年間休日数が105日を下回っていないか確認する」「賃金や昇給の条件をチェックする」などです。優良企業の求人を見つけるコツを押さえ、転職を成功に導きましょう。

年間休日数が105日を下回っていないか確認する

ハローワークで優良企業の求人を見極めるコツは、年間休日数が105日を下回っていないかを確認することです。年間休日105日を下回っている場合、「労働基準法第41条の2の4」に違反している可能性があります。

勤務日数が長くなるほど、心身ともに疲弊し負担が大きくなっていく場合も。その結果、体調を崩し退職につながることも考えられます。「年間休日の平均を企業規模や業種別に紹介!最低ラインについても解説」では、年間休日数の基準を紹介しているので、求人をチェックする際の参考にしてみてください。

参照元
e-Gov 法令検索
労働基準法

賃金や昇給の条件をチェックする

入社時の賃金や昇給の条件などをチェックすることも、求人を見極めるコツの一つ。もっている資格やスキルによって給料が決まる場合も考えられるため、ハローワークに確認してもらうのがおすすめです。

仕事内容が詳細に書かれているかを確認する

ハローワークで優良企業の求人を見極めるために、求人票に仕事内容が詳細に書かれているかを確認するようにしましょう。仕事内容が1行しか書かれていなかったり、曖昧な表記になっていたりすると、入社後に想定外の仕事を割り当てられる可能性もあります。
仕事内容が詳しく書かれている求人票をチェックし、「自分に合いそう」と感じるものに応募するのがコツです。

求人情報の掲載期間が長過ぎないかチェックする

ハローワークで優良企業の求人を見つけるためには、求人情報の掲載期間が長過ぎないかもチェックしましょう。「そもそもブラック企業とは」で紹介したように、ブラック企業は従業員にとって働きにくい環境のため、退職者が多く常に人手不足な状態に陥っている傾向にあります。そのため、いつまでも人材が定着せず、求人の掲載期間が長期間になるようです。

その反面、常に求人を掲載している企業のなかにも、ホワイト企業は存在します。事業拡大による人材確保や、業績が良いため人手を集めている場合などが考えられるでしょう。求人を探す際は、企業のWebサイトもチェックし、売上高がどれくらい伸びているかを確認するのがおすすめです。

口コミサイトでの評判を見る

ハローワークで気になる求人を見つけたら、転職・就職関連の口コミサイトをチェックして、会社の雰囲気や働きやすさなどを確認しておくこともおすすめです。
口コミサイトは会社を退職した人や現在退職を考えている人、就業中の人が企業に対し感じたことを投稿する傾向にあります。多少の低い評価は仕方がないかもしれませんが、あまりにも低評価の場合は、応募を辞めておくことも視野に入れましょう。

ハローワークの職員に聞いてみるのも方法の一つ

ブラック企業とホワイト企業の求人を見分けたいときには、ハローワークの職員に聞いてみるのも方法の一つです。紹介したように、ハローワークは国の公平的な公共機関なので、「企業の良い部分しか教えない」といった情報の偏りがありません。求人票や応募を検討している企業について、アドバイスをくれる可能性もあるでしょう。

ハローワークの利用や相談できることについて知りたい方は、「ハローワークとはどんなところ?サービス内容と利用の流れを解説!」を参考にしてみてください。

ブラック企業に就職しないためにほかのサービスも併用しよう

ブラック企業を避けて転職・就職活動を行うには、ハローワークと併用してほかのサービスも利用するのがおすすめです。複数のサービスを利用することで、さまざまな転職に関する情報を得られ、選択肢の幅が広がるでしょう。

具体的には、以下のようなサービスがおすすめです。

  • ・地域若者サポートステーション(サポステ)
  • ・ジョブカフェ
  • ・求人サイト
  • ・転職エージェント

特に、転職エージェントは非公開の求人も取り扱っているため、「多くの求人を見比べたい」という方にとってメリットがあるでしょう。詳しくは、「就職の相談はどこでできる?支援内容や就活で効果的に活用するコツも解説!」をチェックしてみてください。

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