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大学院中退は後悔する?辞めるメリット・デメリットや就活への影響を解説!
更新日
この記事のまとめ
- 大学院中退後の進路が明確だと、辞めたことを後悔しにくい
- 大学院を中退する理由は「転学」「就学意欲の低下」「就職」「経済的困窮」など
- 大学院中退のメリットは、中退後の時間を有意義に使えること
- 大学院中退のデメリットは、教授や先輩の人脈を頼った就活がしにくくなること
- 大学院中退者は既卒枠で就職活動をするのが一般的
「大学院を中退したら後悔する?」と不安に思う方もいるでしょう。大学院を中退したあとに後悔するかどうかは、中退理由によって異なります。中退後の目標が明確であれば後悔しにくいですが、何の目的もなく中退した場合は後悔する可能性があるでしょう。このコラムでは、大学院を中退するメリット・デメリットや就職への影響などをまとめているので、中退すべきか悩んでいる方はぜひお役立てください。
大学院を中退すると後悔する?大学院中退の実態
大学院の中退を後悔するかどうかは、中退理由によって異なります。たとえば、「大学院に通学する以外の明確な目標ができた」「希望の企業から内定をもらった」など、辞めたあとの進路がはっきりしている場合は中退を後悔しにくいでしょう。一方、「何となく現状から逃げたい」「とりあえず中退してから進路を考えたい」など、人生設計が曖昧なまま辞めてしまうと、中退を後悔する可能性があります。
大学院の中退者は約2.9%いる
文部科学省の「令和5年度 学生の中途退学者・休学者数の調査結果について」によると、2023年度の大学院の中退率は2.85%です。前年度の中退者数や中退率との比較は以下をご覧ください。
2023年度 | 2022年度 | |
---|---|---|
中退者数 | 7,647人 | 9,430人 |
中退率 | 2.85% | 3.55% |
参照:文部科学省「令和5年度 学生の中途退学者・休学者数の調査結果について 1.中途退学者の状況」
2023年度の大学院の中退率は、2022年度より低下していることが分かります。
大学院の中退率は「大学院中退率と就職に与える影響を解説!就活で後悔しないポイントも」のコラムでより詳しく解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
参照元
文部科学省
学生支援 学生の修学状況(中退者・休学者)等に関する調査
大学院を中退したら末路はどうなる?
「大学院を中退したらどのような末路をたどる?」と心配な方もいるかもしれませんが、就職することは可能です。ただし、先のことを考えずに大学院を中退してしまうと後悔する可能性があるので、きちんと準備や対策をして就活を進めましょう。大学院を中退した理由を明確にし、面接で聞かれた際に前向きな回答ができるようにしておくことが大切です。
大学院を中退する主な4つの理由
文部科学省の「令和5年度 学生の中途退学者・休学者数の調査結果について」によると、大学院生を含む中退者の主な中退理由は以下のとおりでした。
- ・転学/進路変更等(22.0%)
- ・学生生活不適応/修学意欲低下(16.5%)
- ・就職/起業等(14.4%)
- ・経済的困窮(13.6%)
それぞれの中退理由について以下で解説しているので、チェックしてみてください。
大学院を中退する主な理由
- 転学・進路変更等
- 学生生活不適応・修学意欲低下
- 就職・起業等
- 経済的困窮
1.転学・進路変更等
上記のデータを見ると、転学・進路変更等を理由に大学院を中退する方が最も多いことが分かります。転学のきっかけとしては、「研究内容に興味がなくなった」「人間関係に問題が生じた」「新たに学びたい分野ができた」など、さまざまな理由があるようです。
2.学生生活不適応・修学意欲低下
修学意欲の低下を理由に大学院を中退する方もいます。たとえば、大学院に入学すること自体を目的に勉強していた場合は、入学と同時に目標が達成された状態になってしまい、その後の学習へのモチベーションを維持できずに中退に至る場合があるようです。
3.就職・起業等
大学院中退者のなかには、就職や起業のために大学院を辞めた方もいます。先述した「転学」や「修学意欲の低下」にもつながりますが、大学院進学後に研究内容に興味をもてなくなったり、勉強のモチベーションを維持できなくなったりして、就職・起業を選ぶ方が一定数いるようです。
4.経済的困窮
親が働けなくなったり自分がアルバイトをできなくなったりするなど、金銭面での困窮のために中退することもあります。経済的な理由が原因で大学院を中退した場合は、そのまま就職を目指して活動を始める場合もあるでしょう。
大学院を中退したいと思う理由は「大学院を中退したいのは逃げではない!就職までの流れや体験談も解説」でも詳しく解説しています。大学院を中退したい理由が曖昧な場合は、ぜひお役立てください。
参照元
文部科学省
学校に関する状況調査、取組事例等
大学院中退のメリット
大学院を中退することは、就職活動においてメリットになる場合もあります。たとえば、「時間を有効に使える」「専攻分野を超えた就職活動がしやすくなる」などです。以下で詳しく確認していきましょう。
大学院中退のメリット
- 授業や研究などのストレスがなくなる
- 学費の負担がなくなる
- 大学院中退後の時間を有意義に使える
- 専門分野以外での就職活動がしやすくなる
- 社会人としてのキャリアを早く積める
1.授業や研究などのストレスがなくなる
授業や研究などに大きなストレスを抱えている人にとっては、そのストレスがなくなることがメリットといえるでしょう。大学院では大学よりも専門的で高度な知識を学びます。授業や研究の内容のレベルが上がるため、日々のストレスは自然と大きくなってしまうもの。「授業内容を理解することが困難」「研究やレポートに費やす時間が多過ぎる」などの悩みは、大学院生活でよくある悩みといえるでしょう。
2.学費の負担がなくなる
大学院に通っている間は、高額な学費を払い続けなければいけません。大学院を中退するとその負担がなくなることもメリットの一つといえるでしょう。学費を捻出するためにアルバイトをしている場合、授業料の支払いがなくなることは大きなメリットです。
3.大学院中退後の時間を有意義に使える
大学院を中退すると、その後の時間を有意義に使えます。在学中は授業と就職活動を両立しなければなりませんが、中退後は就職活動に専念することが可能です。将来やりたいことが大学院を修了しなくてもできる場合は、中退してすぐに就職するのも一つの手でしょう。
4.専門分野以外での就職活動がしやすくなる
場合によっては、大学院を中退すると、研究していた専門分野以外の企業への就職活動がしやすくなることもあります。「大学院を中退してまでほかの分野に進みたい」という強い意思が伝わりやすいからです。
大学院修了者の就職活動については「博士課程に進むと就職は難しい?メリット・デメリットや卒業後の進路を解説」のコラムでも解説しているので、参考にしてみてください。
5.社会人としてのキャリアを早く積める
大学院を中退すると、ほかの大学院卒の人に比べて社会に出る時期が早くなります。社会人としての期間が長くなるため、より多くの経験を積めるでしょう。社会人経験が長いと、キャリアプランの選択肢の幅が広がる可能性もあります。「早めにキャリアを積みたい」という方には、大学院を中退することはメリットといえるでしょう。
中退してもそれまでの経験は無駄にならない
大学院を中退後、「それまでの経験が無駄になった」や「就職できない」と不安になる必要はありません。大学院の入学試験を突破した事実や、一つの分野を専門的に学んでいた事実は変わらないからです。しかし、いくら経験が無駄にならないからといって、「大学院を中退してもなんとかなる」と考え、早期に中退してしまうと、選考でも就職後の早期離職を懸念される恐れがあるので注意しましょう。
ハタラクティブアドバイザー後藤祐介からのアドバイス
大学院中退のデメリット
大学院を中退することにはデメリットもあります。大学院を中退すべきか迷っている方は、あらかじめデメリットについても確認しておきましょう。
大学院中退のデメリット
- 大学院中退者は新卒扱いにならないことが多い
- 教授や先輩の人脈を頼った就職活動がしにくくなる
- 大学院修了者より就職後の給与が低くなる場合がある
- 大学院修了見込みの学生を募集する求人に応募できない
1.大学院中退者は新卒扱いにならないことが多い
大学院を中退した場合、「新卒」として就職できないことがデメリットの一つです。新卒採用は大企業や中小企業など、多くの企業が一斉に開始します。そのため、募集人数や求人数が多く、幅広い選択肢から就職先を選ぶことが可能です。一方で、中途採用は新卒採用より求人数が少ないうえ、転職者も応募するため、採用ハードルが高くなりやすいでしょう。
ただし、一部の企業は大学院中退者を新卒として扱ってくれる場合もあるようです。
既卒3年までなら新卒として応募可の企業もある
厚生労働省の「3年以内既卒者は新卒枠で応募受付を!!」によると、「青少年雇用機会確保指針」が改正され、「既卒3年までなら新卒扱いとする」という指針が発表されました。これにより、大学院を中退しても大学卒業後3年以内であれば、新卒採用枠を狙える可能性があります。
ただし、この指針は義務ではないため、企業によっては既卒者は新卒採用枠を利用できないことも。応募する前に募集要項をしっかりと確認しておきましょう。
参照元
厚生労働省
3年以内既卒者は新卒枠で応募受付を!!~「青少年雇用機会確保指針」が改正されました~
2.教授や先輩の人脈を頼った就職活動がしにくくなる
大学院を中退することで人脈を頼れなくなることは、就職活動をするうえでデメリットの一つといえるでしょう。大学院生は関わりのある教授から推薦を得て、企業に就職する方も多くいるのが現状です。また、大学院のOB・OGからの紹介で研究職や技術職に就く方もいるでしょう。しかし、大学院中退者は教授や先輩などのコネクションに頼った就職活動がしにくくなります。
3.大学院修了者より就職後の給与が低くなる場合がある
大学院を中退すると最終学歴が大卒になるため、大学院を修了した場合と比べて給与が下がる可能性もあります。厚生労働省が発表した「令和5年 賃金構造基本統計調査」によると、最終学歴が大卒と大学院卒の賃金差(男女計)は以下のとおりです。
大卒 | 大学院卒 | |
---|---|---|
20~24歳 | 23万9,700円 | 27万4,000円 |
25~29歳 | 27万2,600円 | 29万6,200円 |
30~34歳 | 30万9,000円 | 36万200円 |
35~39歳 | 35万4,100円 | 43万9,300円 |
40~44歳 | 39万4,700円 | 49万8,300円 |
45~49歳 | 43万900円 | 55万9,900円 |
引用:厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査(3)学歴別にみた賃金 第3表 学歴、性、年齢階級別賃金及び対前年増減率」
大卒者と大学院卒者の賃金差は、20代のうちは2万円ほどですが、40代になると10万円以上に広がっています。
参照元
厚生労働省
令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
4.大学院修了見込みの学生を募集する求人に応募できない
大学院を中退した場合の履歴書(修士課程の場合)は、「△△大学大学院 修士課程中途退学」と記載することが一般的です。そのため、大学院を修士課程で中退した場合は、「大学院修了見込みの学生」が応募条件の求人には応募できません。興味のある求人が「大学院修了見込みの学生」を応募条件にしている場合、大学院中退という経歴が大きなデメリットになります。
採用後に大学院を中退すると内定取り消しになることも
内定の条件に「大学院修了見込み」が含まれている場合は、中退によりその条件を満たせなくなるため、内定を取り消される可能性があります。ただし、内定獲得後に大学院を中退した場合の措置は企業によって異なるので、大学院中退前に内定先へ連絡するのが無難でしょう。
大学院中退が内定取り消しにつながるかどうか、より詳しく知りたい方は「大学院中退で内定取り消し?就職にどう影響するかを解説」のコラムも要チェックです。
大学院を中退すると就職活動は不利になる?
大学院を中退することによって、就職活動が不利にならないか不安な方もいるでしょう。ここでは、大学院中退による就職への影響を解説します。中退を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
大学院を中退しても必ずしも不利になるとは限らない
大学院を中退したからといって、必ずしも就職が不利になるとは限りません。大学院を中退する理由は、人それぞれ異なるからです。
たとえば、大学院に進学したものの、経済的な理由や病気などでやむを得ず通学が難しくなった場合は、事情を説明すれば理解してもらえる可能性が高いでしょう。一方で、「勉強についていけなくなった」「単位を落とした」など、修学意欲の低下をイメージさせる中退理由は、マイナスの印象を抱かせてしまう可能性があります。
大学院修士課程修了が条件の場合は不利になることも
企業によっては、「大学院修士課程修了者」を応募条件に求人を出しているので注意が必要です。大学院中退者は応募ができなかったり、応募ができても不利になったりする可能性があるでしょう。
志望する業界や業種で「大学院修士課程修了者」を条件にしている企業が多い場合は、就職先の選択肢自体も狭まってしまいます。
大学院中退後の就職活動は「既卒」扱いになる
大学院中退後の就職活動は、新卒ではなく「既卒」として行うのが一般的です。既卒とは、教育機関を卒業してからおよそ3年以内で、正社員としての就職経験がない方を指します。既卒者は本来、新卒者向けの求人には応募できません。
しかし、「1.大学院中退者は新卒扱いにならないことが多い」で述べたように、厚生労働省の通達に従って既卒者を新卒枠で受け入れている企業も一定数存在するようです。大学院中退者の採用枠については、「大学院中退予定の就活のポイント」でも詳しく解説しているので、気になる方はチェックしてみましょう。
大学院中退者は第二新卒として採用される可能性もある
第二新卒は、新卒で就職したものの、3年以内に離職した方を指すのが一般的。しかし、選ぶ企業によっては、大学院中退者を第二新卒として扱ってくれることもあるようです。第二新卒枠を設けている企業は、入社後に人材を育成する前提で採用する場合が多く、研修や教育制度が充実している傾向にあります。そのため、既卒枠にとらわれ過ぎず、第二新卒枠の気になる求人をチェックしてみるのも良いでしょう。
ただし、社会人経験があることを前提に第二新卒を採用したいと考える企業もあるので、応募前に応募可能か確認するのがおすすめ。必ずしもすべての企業の第二新卒枠に応募できるわけではない点に注意が必要です。
理系の大学院を中退すると就職活動は厳しい?
理系の大学院を中退後、業種・職種にこだわらなければ就職先の選択肢は豊富にあります。世の中には数多くの仕事があるので、これまで勉強してきた分野にとらわれ過ぎずに就活を進めましょう。理系の大学院を中退して就職しようと考えている方は、「理系の大学院中退から就職を目指すのは逃げ?就活のコツを解説!」もお役立てください。
大学院中退者におすすめの就活方法
「大学院を中退した後、どうやって就活を進めたら良いか分からない…」と不安に思う方もいるでしょう。ここでは、大学院中退者におすすめの就活方法を紹介します。
大学院中退者におすすめの就活方法
- スケジュールを立て早めに就活を始める
- 自己分析を行い希望条件を洗い出す
- 条件に合う企業や職種の求人を探す
- 「大学院中退」特有の対策をする
1.スケジュールを立て早めに就活を始める
大学院を中退すると既卒扱いになるため、できる限り早めに就活を始めるのがおすすめです。空白期間が長引くと、企業に「働く意欲が低いのでは?」と思われてしまう可能性があるでしょう。就活全体のスケジュールを立て、就職までに必要なタスクを洗い出したり、目指す業界や仕事を明確にしたりしましょう。
2.自己分析を行い希望条件を洗い出す
自己分析で、自分の得意なことや将来的な理想像を明確にするのも大切です。自己分析とは、過去の経験を振り返って自分の強みや適性を探る作業のこと。大学院を中退した原因も含めて自己分析を進めれば、「どういった仕事に就きたいか」「どのような条件で働きたいか」が探れるでしょう。自己分析で就活の軸を定めることで、入社後のミスマッチや早期退職を防げる効果が期待できます。
自己分析の詳しいやり方については、「自己分析とは?実施するメリットや簡単に行う方法をご紹介」のコラムを参考にしてみてください。
3.条件に合う企業や職種の求人を探す
自己分析をもとに自分の目指す業界や職種が明確になったら、そのなかから希望条件に合う企業を絞り込みます。希望条件に合う求人を探す際は、求人サイトの内容をしっかり読み込むだけでなく、企業のリクルートサイトや説明会などを活用するのがおすすめ。社風や職場環境、待遇などさまざまな観点から情報を集め、自分の希望を叶えられる仕事を探しましょう。
希望条件をもとに求人を探す際のポイントは、条件に優先順位をつけること。希望するすべての条件を満たす求人はなかなかないため、給料や通勤時間、仕事内容などから「絶対に譲れない」と思う条件を3つほど選んで仕事探しをしてみてください。
大学院を中退した方が仕事探しをする際は、第二新卒や既卒向けの求人検索サイトやエージェントを利用すると良いでしょう。
4.「大学院中退」特有の対策をする
応募書類を作成する際や、面接対策を行う際は、大学院中退者特有の準備を進めましょう。選考対策を念入りに行っておけば、面接の場面でも落ち着いて受け答えしやすくなります。
応募書類を作成する
履歴書を作成する際は、大学院を中退したことについて必ず記載しておきましょう。なぜなら、中退歴を書かないことで「学歴詐称」と見なされる恐れがあるためです。
修士課程で中退した場合は「××学修士課程 中途退学」と記載し、博士課程で中退した場合は「××学博士課程 中途退学」と記載します。修業年限内に博士号を取らずに大学院を辞めた場合は、「単位取得満期退学」と記載しましょう。
大学院中退者の履歴書の書き方については、「大学院中退の履歴書はどう書く?学歴の正しい記載方法と就職の叶え方」のコラムで詳しく解説しています。履歴書の記入例もあるため、参考にしてみてください。
面接対策を徹底する
大学院中退後の就職では、面接対策を丁寧に行いましょう。なぜなら、大学院を中退した事実に対して、面接官は「仕事もすぐに辞めてしまうのでは」と懸念を抱く可能性があるためです。
「長く仕事を続けたい」という意欲と誠実な人柄をアピールして面接官の不安を払拭するためには、受け答えの内容を考えたりマナーを習得したりして、入念な準備をする必要があります。
大学院中退後の就職活動で聞かれやすい質問については、次の項でまとめています。また、面接の流れや基本的なマナーについては、「面接で落ちない人になるためには?基本的なマナーやポイントを解説」のコラムを参考にしてみてください。
大学院を中退した方が面接でよく聞かれる質問
大学院を中退した方が特に聞かれやすい質問を把握しておけば、面接時にも慌てず落ち着いて回答できます。ここでは、事前に回答を用意しておきたい質問を3つ紹介します。
大学院中退の理由
大学院をなぜ中退したのか、その原因や理由を聞かれることは多いようです。「大学院中退」という経歴だけを見ると、「何か問題があるのでは」「仕事も長続きしないのでは」というマイナスイメージを抱かれてしまう恐れもあります。大学院を中退した理由は、嘘をつかず、できるだけポジティブな言葉で中退理由を説明することが大切です。
大学院で身につけたこと
大学院で学んだことや身につけたことも、大学院中退後の就職活動でよく聞かれる質問の一つです。「大学院に進学したことで何を得たのか」という質問から、企業は「どのようなスキルをもっているのか」「何の仕事に向いている人材か」などを判断していると考えられるでしょう。
今後のキャリアプラン
大学院を中退し、これからどのようなビジョンを描いているか、という点も企業は確認したいと考えられます。今後の明確なキャリアプランを答えられれば、大学院中退という経歴がマイナスにはならず、むしろ「将来を見据えたうえで求人に応募してくれた」という好印象につながるでしょう。
キャリアプランの例文が知りたい方は「面接でキャリアプランを質問されたら?答え方のコツと状況別の例文をご紹介」のコラムもあわせてご覧ください。
大学院中退の理由をポジティブに伝える回答例
「大学院中退の理由を伝えると採用されないのでは…」と不安な方もいるでしょう。しかし、伝え方を工夫すれば、マイナスイメージを払拭できる可能性があります。ここでは、中退理由別のポジティブな回答例をご紹介します。
やりたいことが見つかったため
ほかにやりたいことが見つかって大学院を中退した方は、以下の例文を参考にしてみてください。
「私はそもそも、××の分野で活躍したいという夢があったため大学院に進学しました。当初は大学院で××についての十分な知識を得たうえで就職したいと思っていたのですが、御社の求人を拝見し、より実践的な環境でいち早く××の仕事に従事できることを知ったため、大学院中退を選びました。これまで大学院で学んだ知識を活かし、御社で専門家として事業に貢献できればと考えております」
経済的な事情のため
以下は、経済的な事情でやむを得ず大学院を中退しなければならなかった方向けの例文です。
「両親の仕事の影響で大学院に通い続けることが難しくなったため、中退の道を選びました。在学中は私も学費を捻出するためアルバイトをしていたのですが、学業とアルバイトの両立は厳しく、どちらも中途半端に続けるよりはと思い大学院を中退した次第です。これまで私の学業を応援してくれた両親には感謝しており、今後就職し仕事をしながら恩返ししていきたいと思っています」
精神的・肉体的な不調のため
以下の例文は、精神的な理由や肉体的な不調で大学院中退を決めた場合に活用できます。
「大学院1年生のときに事故で入院したため、長期間のリハビリ生活が続いておりました。最初は休学も考えたのですが、経済面を考慮して中退を決意し、その後は治療に専念したため現在は完治しています。現在も数ヶ月に一度は経過観察のため通院しておりますが問題はなく、業務を行うにあたって支障はありません」
人間関係の問題のため
大学院を人間関係の問題で中退した場合は、以下の例文を参考にしてみてください。
「大学院では××の研究に力を入れていましたが、研究室の仲間内でトラブルが発生した際、人間関係を上手く修復できずそのまま孤立してしまいました。改善のためできる限りの努力はしたのですが、心身ともにつらい時期が続き、中退を決意した次第です。この経験から、相手の意見に耳を傾け、相手を尊重することの大切さを学びました」
学業不振のため
学業不振で大学院を中退した際は、以下の例文を応用してみましょう。
「大学院時代は学費のため××のアルバイトをしていたのですが、学業との両立が難しく、アルバイトのほうに比重をおくようになってしまいました。その結果、単位を落としてしまったのは、自己管理の甘さが原因だと反省しています。このままずるずると中途半端に研究生活を続けるよりも、中退して就職し、アルバイトで培ったスキルを活かしたいと思ったため、大学院を中退しようと思いました」
大学院を中退した理由の伝え方が気になる方は、「大学院中退の理由と就職活動で回答するときのポイント」もあわせてぜひご覧ください。
大学院中退者向けの就職支援サービス
ここでは、大学院を中退した方におすすめの就職支援サービスを紹介します。就活の始め方や相談先に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
ハローワーク
大学院中退後の就職活動では、ハローワークのなかでも35歳未満の方を対象としている「わかものハローワーク」が利用できます。わかものハローワークは、若年層の就職活動をサポートしてくれる機関です。マンツーマンのきめ細やかなサービスが受けられるため、活用してみると良いでしょう。
わかものハローワークの利用方法が気になる方は、「わかものハローワークとはどんなサービス?利用内容や注意点を解説」のコラムもあわせてご覧ください。
職業訓練校
大学院で研究していた分野とは異なる業界への就職を目指すなら、職業訓練校に通うのも手段の一つです。スキルや経験が不足している場合、職業訓練校で勉強してから就活に臨めるため、自信にもつながるでしょう。
地域によってどのようなプログラムが受けられるかは異なるため、気になる方は一度管轄のハローワークまで問い合わせてみてください。
就職エージェント
一人で就活を始めるのが不安な方や、相談する相手がおらず困っている方には、就職エージェントの利用も検討してみましょう。就活全般をサポートしてもらえるため、効率良く就活を進められます。大学院を中退した方の場合は、新卒や既卒など若年層向けのサポートの充実している就職エージェントがおすすめです。
「大学院中退の経歴があって就活が不安…」という方は、ぜひ就職エージェントの活用を検討してみてください。就職・転職エージェントのハタラクティブは、若年層の既卒や第二新卒、フリーターなどを対象に、求人の紹介から内定獲得までをサポートしています。専任のキャリアアドバイザーがカウンセリングし、一人ひとりに合った求人を紹介するので、自分の適性が分からない方も安心です。面接対策だけでなく、履歴書や職務経歴書などの作成についても相談できます。そのほかに、1分程度でできる適職診断も利用可能。サービスはすべて無料なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
大学院中退に関するFAQ
ここでは、大学院を中退した方のよくある悩みを解消します。大学院を中退しようか迷っている方や、大学院を中退した後のことについて不安を感じている方は参考にしてみてください。
大学院を中退することはよくある?
大学院を中退する方は決して少なくありません。文部科学省の「令和5年度 学生の中途退学者・休学者数の調査結果について」によると、2023年度の大学院中退者は7,647人、中退率は2.85%でした。2022年度との比較はこのコラムの「大学院の中退者は約2.9%いる」でも紹介しているため、参考にしてみてください。
参照元
文部科学省
学生支援 学生の修学状況(中退者・休学者)等に関する調査
大学院を中退したときの最終学歴は?
大学院中退者の最終学歴は「大学卒業」です。最終学歴は「最も高い教育機関を卒業した経歴」のため、「大学院中退」は最終学歴にはなりません。ただし、履歴書には「大学院中退」と記載しておきましょう。
大学院を中退したときの履歴書の書き方は、「大学院中退の履歴書はどう書く?学歴の正しい記載方法と就職の叶え方」のコラムで確認してみてください。
大学院を中退して公務員になれる?
大学院を中退した後に、公務員になることは可能です。ただし、公務員試験の年齢制限には注意しましょう。大学院中退から公務員を目指したい方には「大学院中退から公務員に就職!内定をもらう方法と成功のコツ」のコラムもおすすめです。
大学院中退後の就職活動にお悩みの方は、就職・転職エージェントのハタラクティブにご相談ください。
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一人ひとりの経験、スキル、能力などの違いを理解した上でサポートすることを心がけています!
京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。