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ゲーム業界の仕事
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ゲーム業界とは
ゲーム業界とは、娯楽サービスや商品を展開する業界です。主に、ゲームセンターや家庭用ゲームの本体とソフトの開発や販売をしています。
また、スマートフォンで遊べるアプリゲームやオンラインゲームを開発するベンチャー企業の参入も特徴的です。室内娯楽が注目を集めた影響で、売上は増加傾向にあります。
代表的な仕事
ゲーム業界における代表的な仕事は、以下のとおりです。ここでは、それぞれの仕事の概要を解説します。
ゲーム業界の代表的な仕事
- ゲームハードメーカー
- サードパーティー
- ゲームデベロッパー
- ゲームパブリッシャー
- アプリゲーム開発企業
ゲームハードメーカー
ゲームハードメーカーは、ゲーム機本体を開発する企業のこと。ゲームハードメーカーは大企業であり、自社でソフト開発を行っているのが特徴です。
ゲーム業界では、ハードウェアをプラットフォームともいいます。プラットフォームとは、ゲームを動かすのに必要なゲーム機器やゲームソフト、ネットサービスの総称です。
ゲームハードメーカーは、ゲーム機を製造しているだけでなく、プラットフォームの開発や運営も行っています。
サードパーティー
ゲームハードメーカーと関係がないソフトメーカーを「サードパーティー」といいます。ゲームハードメーカーは、自社のゲーム機器に使用するソフトしか作りません。
しかし、サードパーティーはどのゲーム機器にもソフトを提供できます。ゲーム業界の動向に応じて、売れ行きの良いゲーム機器に使えるソフトを作れるのが強みです。
ゲームデベロッパー
ゲームデベロッパーとは、ゲームソフトの開発を行う企業です。ゲームの作成が主な事業のため、社内におけるクリエイターの割合が高いのが特徴といえます。
ゲームパブリッシャー
ゲームソフトの企画や販売をする企業がゲームパブリッシャーです。大手のゲームパブリッシャーはデベロッパーを兼ねており、ソフトの開発も行います。開発部門をもたないゲームパブリッシャーは、デベロッパーにソフト開発を依頼するようです。
アプリゲーム開発企業
アプリゲーム開発企業は、スマートフォンのアプリゲーム開発を手掛けている企業です。主な開発企業は、かつてソーシャルゲームを開発していたベンチャー企業ですが、最近では家庭用ゲームソフトを手掛けていた企業も参入してきています。
ゲーム業界に関連する業界
ゲームに関連する業界としては、オンラインゲームの展開に関わる通信業界や、ノベライズやアニメ化などのメディアミックスで関わる出版業界やテレビ業界など、さまざまな分野があります。ここでは、ゲーム業界に関連する主な業界をまとめました。
ゲームに関する業界
- 通信業界
- レジャー業界
- おもちゃ業界
- メディア業界
- 小売業界
通信業界
オンラインゲームやアプリゲームの普及により通信速度の向上が期待され、通信業界の動向が注目されています。大手通信企業が提供する移動通信システムでは、5G(第5世代移動通信システム)が話題です。5Gが普及すれば、さらなる大容量のデータ通信や通信速度の向上、同時接続の増加などが実現するといわれています。
通信業界については「通信業界の仕事」のコラムで詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
レジャー業界
レジャー業界も、ゲーム業界と親和性の高い業界です。人気ゲームと遊園地など大型娯楽施設とのコラボレーションは、娯楽施設の売上にも影響しています。
おもちゃ業界
近年おもちゃ業界は、子どもだけでなく大人も購買層として意識しています。人気ゲーム作品に関連するおもちゃの開発や販売は売上を大きく伸ばしており、海外からの注文も年々増加しているのが特徴です。
メディア業界
ゲーム業界は、人気ゲーム作品のノベライズやコミカライズ、映画化やアニメ化など、ほかのメディアとの共同作品が多いのも特徴的です。これらをメディアミックスと呼び、人気ゲームであるほど売上が期待できるので頻繁になされる傾向があります。
ゲームの情報サイトも人気
Webサイトでゲームの攻略法を発信するメディアもあります。攻略法だけでなく、新作ゲームの情報を掲載したり動画を用いて解説したりする情報サイトもあり、人気を集めているようです。
小売業界
ゲーム機やゲームソフトなどの発売は、小売業界にも影響を与えます。人気タイトルの新作が発売すると、小売店の売上に影響を与えるようです。
小売業界については「小売業界の仕事」のコラムもあわせてご一読ください。
ゲーム業界に必要な資格やスキル
ゲーム業界への就職・転職に必要となる資格はありませんが、志望する職種によっては専門の知識やスキルが求められます。また、人との関わりが多く、コミュニケーション力やチームワークも大切です。
ここでは、ゲーム業界への就職・転職で必要となるスキルを解説します。
ゲーム業界に必要なスキル
- コミュニケーション力
- 細部までこだわる意識
- デザインソフトやCGソフトの操作スキル
- プログラミング言語の習得
- 専門用語の理解
コミュニケーション力
ゲーム業界において、コミュニケーション力は重要な要素です。ゲームの開発プロジェクトは大勢の人が関わっているため、周囲の人と連携を取りながら進める必要があります。
ゲーム制作の仕事では黙々と作業を進めるイメージをもつ人もいるでしょう。作業そのものはコツコツ進めても、プロジェクトには社内外の人が関わるため、チームワークや円滑なコミュニケーションが求められます。
細部までこだわる意識
ゲーム業界のなかでも制作関連の職種に就職・転職をしたい人には、きめ細やかさが必要です。ゲームの世界観を作り上げるには、細かい部分にもこだわるプロ意識が求められます。
ゲームは大勢の人が関わって作るので、一人でも手を抜いてしまうと良い商品にはなりません。自分の仕事にこだわり抜ける人が、ゲーム業界に向いています。
デザインソフトやCGソフトの操作スキル
IllustratorやPhotoshopといったデザインソフトやMAYAなどの3DCGソフトの操作ができると、ゲームデザイナーの仕事で活躍できる可能性があります。しかし、ゲームデザイナーには美的センスや発想力なども問われるので、芸術系やデザイン系の学校を卒業した人のほうが就職・転職において有利になりやすいようです。
プログラミング言語の習得
プログラミング言語の習得は、ゲームプログラマーの仕事に必須です。ゲーム開発に使用する言語はゲームの種類などによって異なるので、自分が開発に携わりたいジャンルに使われる言語を確認しておくと良いでしょう。
家庭用ゲームでは主にC言語、アプリゲームならSwiftやObjective-C、JavaやKotlinといったものが使われているようです。また、ブラウザゲームであればC言語のほかJava、Python、PHPと開発に多くの言語が使用されます。
ゲームプログラマーは複数の言語を習得していると良いですが、まずは自分の携わりたいゲームを決めて、汎用性の高い言語から勉強するのがおすすめです。
専門用語の理解
ゲーム業界では専門用語が多いので、就職・転職前に理解しておきましょう。以下は、ゲーム業界を目指す際に知っておきたい専門用語の例です。
用語 | 概要 |
---|---|
F2P(Free to Play) | 月額課金がなく、基本的に無料でできるオンラインゲームのこと。アイテムを購入する際に課金は必要です。 |
RPG(Role Playing game) | 参加者がゲームの登場人物を担当し、冒険や謎解き、戦闘などをゲームのなかの世界で行います。ゲームの種類の一つです。 |
FPS(First Person Shooter) | シューティングゲームの一種。ファーストパーソンは「一人称」と訳され、「一人称視点のシューティングゲーム」ともいわれます。主人公が1人で戦いながら進んでいくゲームです。 |
MMORPG(Massively Multiplayer Online Role Playing Game) | 数百〜数千の人が参加できるオンラインゲームです。参加者同士で相談し、協力することもできます。プログラミングされた敵や味方ではなく、参加者が考えて行動できるのがRPGと違う点です。 |
VR(Virtual Reality) | 「仮想現実」と訳され、現実に近い体験ができる人工的な空間をいいます。スポーツゲームやシューティングゲームなどのVRゲームがあるほか、新しいゲームが次々に開発されているようです。 |
DApps(Decentralized Applications) | 「分散型アプリケーション」といい、ブロックチェーンを利用し、中央管理者を立てずに参加者同士で管理する仕組みのアプリです。 DAppsゲームでは仮想通貨を用い、ゲームのなかで土地の売買やアイテムの取引きを行えます。 |
e-sports | 「エレクトロニック・スポーツ」の略称で、ゲームを用いた対戦を「競技」とすることを指します。スポーツゲームだけでなく、FPSやパズルゲームなどもe-sportsの一つです。 |
専門用語を知っていると、入社後に仕事を早く覚えるのに役立ちます。
また、面接で専門用語が出てくる可能性もあるでしょう。意味が分かれば自信をもって回答でき、ゲーム業界への関心度の高さを示せます。
業界研究で先輩社員に聞いてみよう
業界研究を行い、実際にゲーム業界で働いている先輩社員に話を聞くのがおすすめです。
「覚えておいたほうが良い専門用語はありますか?」「入社後に役立つ勉強内容はありますか?」のように聞いてみましょう。先輩社員に会う方法は、OB・OG訪問や企業説明会、職場見学などがあります。
ゲーム業界の具体的な職種
ゲーム業界の具体的な職種には、以下のようなものが挙げられます。業界未経験の方にとっては難しい職種も多いですが、就職・転職に際して将来どの職種を目指したいかを決めておくのは大切です。
ゲーム業界の具体的な職種
- 企画職
- デザイナー職
- エンジニア職
- その他の職種
企画職
企画職とは、ゲームの製品開発に携わる職種です。ゲーム制作の開発スケジュール調整や予算の管理、デザイナー職やエンジニア職と連携を取り、制作進行を務めるのが主な仕事。
また、市場調査やプロモーション、ゲームの販促など幅広く手掛けることから、ゲーム開発には欠かせない職種といえるでしょう。
ゲームプロデューサー
ゲームプロデューサーは、ゲームの開発プロジェクトの指揮を取る仕事です。ゲームの方向性を決めるほかに、予算やスケジュールの見積り、開発する人員の選定などプロジェクトの基幹となる事柄を決定します。
また、作業の進捗管理やトラブルの対応などプロジェクト全体の管理をするのが主な業務です。豊富な知識と経験が求められるため、ゲーム業界に就職・転職していきなりゲームプロデューサーになれる可能性は低いでしょう。
ゲームプランナー
ゲームの具体的な設定を考えるのは、ゲームプランナーの仕事です。ゲームプランナーは、登場キャラクターやシナリオ、画面のレイアウトといった細かいところまで企画するのが特徴。社内のプレゼンテーションを経て承認されると、制作メンバーに向けて仕様書を作成します。
ゲームディレクター
ゲームディレクターは、ゲーム開発における現場監督の役割を担います。プロデューサーが決めたスケジュールとプランナーが作成した仕様書に則り、納期までに開発作業が進むように管理するのが仕事です。
そのほか、開発メンバーに作業の指示を出したりゲームの品質をチェックしたりして、現場の責任者として全体をけん引します。ディレクターの指示がゲームの出来栄えを左右するため、ゲーム業界である程度経験を積んでから目指す人が多いようです。
デザイナー職
デザイナー職とは、ゲーム内のキャラクターや背景、モーション(動き)などを制作する職種です。作業工程は細分化されており、ゲームの顔を作る重要な役割としてイメージを明確化する高いスキルが求められます。
ゲームデザイナー
ゲーム内に出てくるアイテムやキャラクター、背景などをデザインするのがゲームデザイナーです。ゲームデザイナーは、見た目を担当するグラフィックデザイナーと、動きを担当するCGデザイナーに分かれる特徴があります。デザイナーの技術がゲームのクオリティを左右するため、ゲーム業界において重要な職種といえます。
グラフィックデザイナー
グラフィックデザイナーは、ゲームのキャラクターや背景に加え、商品パッケージやタイトルロゴなどのデザインを担当します。考案したデザインを紙面やデザインソフトなどで実際に書き起こすのが主な仕事です。
グラフィックデザイナーとして経験を積んでから、ゲーム全体のデザインを指揮する「ゲームアートディレクター」を目指す人もいます。
CGデザイナー
CGデザイナーは、グラフィックデザイナーが考案したキャラクターなどを動かす役割を担います。CG技術を用いてゲーム内で2Dや3Dの動きを表現するのが主な仕事内容です。専門ソフトを扱う必要があるため、CGクリエイター検定の資格を取得していると役立ちます。
「デザイナー未経験での就職は厳しい?グラフィックやWebに関わる仕事とは」のコラムでもCGデザイナーに役立つ資格を紹介しているので、参考にしてみてください。
エンジニア職
エンジニア職とは、ゲーム機の開発に携わる職種です。家庭用ゲーム機やVRゲーム端末を開発するゲームエンジニアや、設計書に合わせてゲーム内のプレイ環境をプログラミングするゲームプログラマーなどが該当します。
ゲームエンジニア
ゲームエンジニアとは、仕様書に沿ってゲーム機の開発を行う仕事です。ゲーム開発の分野は幅広く、家庭用ゲーム機の端末からオンラインゲームの開発や運用、VRゲームの制作などに携わります。
また、開発領域によって要件定義も変わってくるため、IT技術に幅広く精通している必要があるでしょう。
ゲームプログラマー
ゲームプログラマーとは、ゲームの根幹となるプログラムを制作する仕事です。企画書の指示に沿ってゲーム内システムを設定し、UIの動作やエフェクト効果の調整などを行います。
企業によってはゲームプログラマーもゲームエンジニアに内包されているため、ゲームプログラマー職を探す際は注意が必要です。
その他の職種
上記で紹介した職種以外にも、ゲーム内で使用するBGMを作成するサウンドクリエイターや、ゲームのストーリーを考えるシナリオライターなどの仕事があります。
また、ゲーム制作に注視するため、細やかな事務作業や経理を担当する事務系職種もゲーム業界に欠かせない存在です。
シナリオライター
シナリオライターは、ゲームのストーリーや性格、セリフといったキャラクターの設定を考える仕事です。ゲームプロデューサーが決めた大まかな方向性やゲームの世界観を踏まえて、ストーリーやキャラクターの具体的な設定を考えます。
サウンドクリエイター
サウンドクリエイターの担当は、ゲームのBGMや効果音の作成です。作曲だけでなく、音をデジタルデータ化するのも重要な仕事となります。ゲームサウンドはゲームの世界観を作るうえで大切な要素なので、プロデューサーやディレクターと密にコミュニケーションを取ることが求められます。
デバッガー
デバッガーは、ゲームのバグを見つける役割を担っています。完成に近づいたゲームを実際にプレイし、何度も同じ作業を繰り返しながらプログラムの不具合を探すのが主な作業内容です。
プログラムの不具合が見つかればその箇所や頻度、発生条件を調べてプログラマーに報告し、修正を依頼しています。開発段階のゲームのうち、メイン部分がプレイできる「アルファ版」とより完成度の高い「ベータ版」をプレイしてバグを探し、発売できる品質にするようです。
バックオフィス系職
エンジニア職やデザイナー職を支える重要な役割を果たすのが、バックオフィス系職です。人事や採用、商品クオリティの品質管理、カスタマーサポートなど、事務面での仕事を広範囲で担い、ゲーム制作を支えるポジションとなります。
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ゲーム業界の現状と課題
ゲーム業界は変化が激しく、流行に左右されやすいのが特徴です。また、通信技術の発達などによってもゲーム業界を取り巻く環境は大きく変わります。ゲーム業界は時代の変化の影響を受けやすい業界であるといえるでしょう。
以下、ゲーム業界の現状と課題を解説します。
ゲーム業界の市場規模
経済産業省が調査する「活況を呈する国内ゲームソフト産業;ゲームソフト産業の今後の見通しは? ゲームソフト売上高(国内企業)と国内外のゲームソフト市場規模」によると、2020年のゲーム業界における国内企業の売上高は約1兆102億円でした。2013年の4,363億円から右肩上がりに伸びています。
同調査の「巣ごもり需要で売上が伸びたゲームソフト業界 ゲームソフト指数の推移」によると、2015年を100として伸び率を測ったところ、2020年4月は370.2%と大幅に伸びていました。
参照元
経済産業省
統計トップページ
ゲーム業界の現状
近年はスマートフォンの普及により、ゲーム業界が大きく変化しました。従来のコンシューマーゲームと呼ばれる家庭用ゲーム機や携帯ゲーム機のようなハードにソフトを入れてプレイするタイプのゲームを、スマートフォンで楽しめるソーシャルゲーム(アプリゲーム)が追い上げている状態です。
経済産業省の「日本の2大コンテンツ、ゲームとアニメの制作企業の実像を比較する」から、2015年時点でアーケードゲームやハードウェアの市場が減少し、オンラインゲームの市場が拡大していると分かります。
引用:経済産業省「日本の2大コンテンツ、ゲームとアニメの制作企業の実像を比較する(p5)」
海外企業の参入も相次いでいるため、アプリゲーム市場にも企業独自のさらなる工夫が必要といえるでしょう。
参照元
経済産業省
統計トップページ
ゲーム業界の時代と流れ
日本で初めてコンピューターゲームが発売されたのは、1970年代半ばです。当時は卓球ゲームやテニスゲームなどのシンプルなゲームが主流でしたが、1970年代後半にゲームセンターで戦闘機ゲームが大ヒットし、アーケードゲームの全盛期となりました。1980年代に入ると家庭用ゲーム機が一大ブームとなり、RPGを中心としてゲームソフトも大ヒットが続きます。
その後、ゲームハードメーカーが新しいゲーム機器を出すと人気が移り変わり、時代に合わせてヒットするソフトも変わりました。2000年代には、脳トレゲームや健康系トレーニングゲームなどが人気を集めたこともあります。さらに、スマートフォンが普及してアプリゲームが主流になりました。
経済産業省の「ゲーム産業は依然高水準!」によると、アプリゲームは2020年まで順調に成長を続けていました。2021・2022年には、家庭用ゲーム機向けのヒット作やパソコン向けゲームの伸長に押され気味なものの、未だに高水準で推移しています。
現在はアプリゲームだけでなく、PC版オンラインゲームの人気も高いようです。今後、ゲーム業界の変化の激しさは勢いを増すと予想できるでしょう。
就職・転職の際には業界研究を行い、今後も成長していきそうな企業を探してみるのがおすすめです。新事業の立ち上げでは、大量に人を採用する場合もあります。
参照元
経済産業省
統計トップページ
ゲーム業界の課題
現在のゲーム業界の課題としては、流行などに大きく影響を受けます。そのため、不安定な業績や莫大な開発費用の調達、人材の不足などが挙げられるでしょう。
以下、それぞれの課題について詳しく解説します。
ゲーム業界の課題
- 業績の安定化
- 開発費用の不足
- 人材の不足
業績の安定化
ゲーム業界の課題の一つが、業績が流行に影響されることです。ゲーム業界は日本国内における産業の一つとして地位を確立しています。
しかし、流行や社会動向に左右されやすいのが業界全体の課題です。流行の移り変わりは早く、新しいプラットフォームが出れば市場を占める割合も変わり、企業の業績に影響を及ぼします。海外企業に市場の大半を占められる可能性もあるため、ユーザーを確保し業績を安定させるための工夫が求められるでしょう。
開発費用の不足
技術の発達やゲーム機の性能競争などにより、開発コストの上昇も課題です。世界的に競争が激しくなるなか、ゲームのクオリティは高くなる一方で、ユーザーの目も肥えています。前作を上回るクオリティを出し続けるためには、スキルの高い人材の確保、技術開発への投資が必要です。
しかし、売上が伸びそうなタイトルでないと大きな開発費用を掛けられないため、コストを削りながら良い作品を生み出すのは難しいといえるでしょう。
リビルドと呼ばれるビジネスモデルもある
すでにリリースされたゲームを買収し、作り直すことをリビルドといいます。登場人物やストーリーをブラッシュアップし、価値を高めて販売する手法です。
新しいゲームを販売するのに比べて開発費用を抑えられるうえ、売上においても失敗するリスクが少ないのがメリット。ゲーム業界の課題を回避する手法の一つとされています。
人材の不足
ゲーム制作の人材が不足しているのも、ゲーム業界の課題といえます。
ユーザーのニーズに応えるために専門技術がある人材を必要としている企業が多いものの、十分な人数を確保できていないのが現状です。また、求められるスキルが多様化しているのも人材不足の要因となっています。
以前は家庭用ゲームが主流でしたが、現在はスマートフォン向けのアプリゲームやオンラインゲームなどを開発しなければいけません。さらに、今後はVRを活用したゲームも増えると予想されており、人材確保が重要になるでしょう。
ゲーム業界の将来性
ゲーム業界の市場は世界的に拡大傾向にあり、これからますます発展が望めるといえるでしょう。
ゲーム業界の今後の動向
ゲーム業界の動向で今後注目される分野としては、VR・ARゲームやeスポーツなどが挙げられます。通信システムの主流が4Gから5Gへと移行すれば、容量の重いVR・ARゲームやeスポーツが広まるでしょう。
以下で、それぞれの今後の動向を解説するとともに、フリーランスのゲームクリエイターについてもご紹介します。
VR・ARゲーム
VR・ARゲームは仮想現実を作り出すための最新技術で、その市場は拡大傾向にあるようです。
ヘッドマウントディスプレイといった特殊な機器をつけて行うのがVRゲーム。スマートフォンやタブレットでGPS位置情報を使いながら、キャラクターとバトルして捕まえるといった遊び方ができるのがARゲームです。
専門スキルをもつ技術者が少なく開発が遅れているようですが、注目分野の一つであるのは確かでしょう。
eスポーツ
格闘ゲームやレーシングゲームなど、対戦型のスポーツゲームはすでにありますが、5Gが広まることでeスポーツとしての市場が拡大すると見込まれているようです。大きな大会でeスポーツが正式競技として認められつつあり、ビジネスチャンスは広がる可能性が高いといえます。
フリーランスで働くゲームクリエイター
今後はゲーム業界に就職せず、個人で開発する人も増えるでしょう。いわゆる「ゲームクリエイター」と呼ばれるフリーランスの働き方をする人です。ゲームそのものに魅力があれば、企業に頼らずヒットを出せる可能性があります。
また、企業に所属しないことがメリットになり、多種多様な人とコラボレーションして、これまでの枠にとらわれない新しいゲームソフトやプラットフォームが生まれる可能性もあるでしょう。技術の進化や働き方の自由化により、ゲーム業界は多様化が進むと予想されています。
サブスク化
近年さまざまな業界でサブスクが存在しており、その影響はゲーム業界にも広がっています。話題作品や過去作品を定額で利用できることに魅力を感じる人は多いようです。
今後はソフトの購入だけではなく、定額で楽しめるゲームのサブスクの需要が高まっていくことが予想されます。
隙間時間にできるゲーム開発
スマートフォンの普及により、スマートフォンで遊べるゲームアプリ市場が拡大してきています。通勤時間や休憩時間などの隙間時間に娯楽を楽しめるのがメリットです。
今後はゲーム開発だけではなく、収益を出すために課金につなげる工夫を凝らす必要があります。
新しいサービスを開発するベンチャー企業が登場している
AR・VRやゲーム配信の分野で、新しい商品やサービスをリリースしたベンチャー企業が出てきています。低価格で手軽なのが注目を集め、なかには巨額の投資を受けた企業もあるようです。
大企業ではなく、中小のベンチャー企業から新しい技術が開発されている点が、ゲーム業界の変化の激しさを物語っているでしょう。
ゲーム業界のメリット・デメリット
ゲーム業界には新しい業務に挑戦できるといった魅力がある一方で、納期が厳しく過重労働になる恐れがあります。以下で、ゲーム業界へ就職・転職したときのメリットとデメリットをそれぞれ見ていきましょう。
ゲーム業界の魅力とやりがい
ゲーム業界では新しい技術に触れる機会が多いでしょう。そのため、クリエイターにとっては刺激が多く、社内外からの反応も感じられるのが魅力です。また、自分が携わったゲームをユーザーが楽しんでいる様子を目にしたときは大きなやりがいを感じられるでしょう。
ゲーム業界の魅力とやりがい
- 新しいことに挑戦できる
- 自分の手掛けたゲームで喜びを与えられる
- 制作技術が社内外で評価される機会がある
新しいことに挑戦できる
ゲーム業界は変化が激しく、日々クリエイティブな刺激を得られるでしょう。AR・VRといった最新の技術に触れる機会があり、技術職を目指す人にとっては学びが多いのも魅力です。
自分で手掛けたゲームで喜びを与えられる
エンターテイメントを提供する立場であるゲーム業界は、ユーザーに楽しい機会を提供できるのが魅力です。自分が手掛けたゲームをユーザーが楽しんでいる様子や商品が長く愛される様子を見ると、やりがいを感じられるでしょう。
制作技術が社内外で評価される機会がある
新作ゲームは新しい技術を世に送り出す機会でもあるため、社内外の評価をやりがいと考えているクリエイターもいるようです。ユーザーだけではなく競合他社からも注目が集まり、やりがいに感じるでしょう。ゲームがヒットして売上に貢献できれば社内での評価も高まり、キャリアアップにつながる可能性があります。
専門職は年収が高め
ゲーム業界の年収は、一般的な平均年収に比べて高めといわれています。プログラマーやCGデザイナーは、年収が高い傾向にあるようです。厚生労働省の職業情報提供サイト(日本版O-NET)によると、プログラマーの平均年収は557万6,000円でした。
ただし、中途で採用されるためには経験やスキルが必要になります。
参照元
厚生労働省
職業情報提供サイト(日本版O-NET)
ゲーム業界の大変なところ
ゲーム業界で働くと大きなやりがいを感じられる一方で、労働環境が過酷な傾向にあります。ゲーム業界を目指す場合、以下の内容を把握しておきましょう。
ゲーム業界の大変なところ
- 労働環境が過酷な傾向にある
- 作品が完成するまで時間が掛かる
- 常にメンテナンスが必要になるゲームが多い
労働環境が過酷な傾向にある
ゲーム業界は納期が厳しく、締め切り前は残業が続く恐れがあります。また、限られた時間のなかで結果を生み出すために、労働環境が過酷になりがちなようです。
しかし、近年は在宅ワークを取り入れる企業も増えており、以前よりもワークライフバランスを意識した働き方へ変化しているといえます。
作品が完成するまで時間が掛かる
ゲーム業界は、構想から完成まで長い年月を要する場合があります。完成を目指して取り組んでいたプロジェクトがなくなったり、ゴールが見えない作業を続けたりと、モチベーションを保つのが難しい側面もあるようです。
常にメンテナンスが必要となるゲームが多い
昨今はオンラインゲームが人気で、常に内容のアップデートやバグの対応が求められます。
また、人気のゲームはサーバーに負荷が掛かりやすく、アクセスが集中してダウンしてしまうことも。ユーザーに楽しく遊んでもらうためにシステムを管理・改善する必要があるので、働き方が不規則になりがちです。
ゲーム業界の志望動機
ゲーム業界には、開発に携わるクリエイター以外に、経理や人事、広報、営業などの職種があります。社員数が多いほど仕事は分担制となり、部署も多くなるでしょう。
どの職種を目指すにしても、「ゲームが楽しい・好き」という気持ちは重要です。また、ゲームファンとしての思いだけでなく、「作り手」であるという意識も大切といえます。
ゲーム制作はチームで行うものです。チームのメンバーと協力したり、相手のイメージや意見を汲み取って作業をしたりと、コミュニケーション能力も必要となります。厳しいスケジュールでの作業や納期直前には激務になるのが予想されるので、体力面や精神面でタフな人が求められるでしょう。
ゲーム業界に向いている人
ゲーム業界は流行に左右されやすく変化が激しいため、新しいものを積極的に取り入れる姿勢や、完成度の高い作品を作ろうとするこだわりがある人が求められます。以下、ゲーム業界に向いている人の特徴をまとめました。
ゲーム業界に向いている人
- 流行に敏感な人
- ものづくりが好きな人
- こだわりが強い人
流行に敏感な人
常にアンテナを張っていて流行に敏感な人は、ゲーム業界に向いています。ゲーム業界は流行の移り変わりが早いので、ユーザーのニーズをいち早くキャッチする力が必要です。
ゲームに限らずエンターテイメント全般に興味をもち、情報にアンテナを張りましょう。
ものづくりが好きな人
ゲーム業界で働くうえで「ゲームが好きな気持ち」は大事ですが、「良い作品を作りたい」という気持ちも重要です。「ゲームで遊ぶのが好き」という気持ちだけが強いと、仕事の厳しさやものづくりの難しさに悩む恐れがあるでしょう。
「新しいゲームを作りたい」「良いものづくりがしたい」といった人がゲーム業界向きです。
こだわりが強い人
ゲーム業界で活躍できるのは、こだわりが強い人です。多くの人に楽しんでもらうゲームを作るには、「ユーザーの求めるものをできるだけ再現しよう」という気持ちをもって開発にあたる必要があります。ただ作業をこなすだけでなく、ゴールが難しくても実現しようとする強い意志をもった人が求められるでしょう。
ゲーム業界の仕事に就職するには
ゲーム業界は一般的に就職難易度が高いとされているため、未経験歓迎かつ募集人数が多めの求人に着目するのが近道です。ここでは、未経験からゲーム業界の仕事に就くための方法を解説します。
「ゲーム会社への就職は難易度が高い?未経験や文系出身からの目指し方」のコラムでは就職が難しいとされる理由をまとめているので、こちらも参考にしてみてください。
ゲーム業界の仕事に就職するには
- デバッガーから入る
- アシスタントから入る
- 企画書を用意する
- 事前に面接準備を行う
デバッガーから入る
デバッガーは頻繁に募集があるうえ、専門知識や技術を問わず未経験歓迎の求人が多いのが特徴です。また、アルバイトから挑戦できる点もメリットです。
しかし、作業量が多く同じ動作を何度も繰り返すため、根気がいる仕事といえます。デバッガー業務を通じて、ゲーム業界の仕事の実態を知れるでしょう。
アシスタントから入る
ゲームプロデューサーやゲームディレクターのアシスタントから入るのも一つの手です。求人のなかには、時折アシスタントを募集しているものもあります。
プロデューサーやディレクターの補助をしながらゲーム業界の仕事の様子を知り、経験を積んでいくのも良いでしょう。
企画書を用意する
面接では、今あるゲームの改善点や新商品の開発など、企画書の提出を求められる場合があります。
企画書を作成する際は、企画内容だけではなく見やすさも意識しましょう。イラストや画像を挿入したり文字に色をつけたりして、分かりやすいように工夫をする必要があります。
事前に面接準備を行う
面接で聞かれる質問を予想して回答を考えたり志望動機を作成したりと、事前に面接準備を行いましょう。
面接では、履歴書・職務経歴書に書いた内容が深掘りされることもあります。矛盾が生じないように内容を確認し、自分の強みを伝えられるエピソードを考えることが大切です。
志望動機を書く前に業界研究をしよう
志望動機を書く前に業界研究をして、応募先企業の立ち位置を理解しておきましょう。
志望動機では、「なぜ応募先企業を選んだのか」「就職後になにがしたいのか」といった点が重視されます。業界研究をせずに志望動機を作成すると、的外れな理由になったり内容が浅くなったりして好印象につながりません。「御社が力を入れている△△は、ゲーム業界で今後必要となる技術だと思いました」といった内容を入れることで、採用担当者に「自社のことをきちんと調べている」「関心度が高い」という印象を残せるでしょう。
業界研究のやり方は「業界研究のやり方から情報収集の仕方・ノートのまとめ方まで徹底解説!」のコラムで詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
未経験者の志望動機
ゲーム業界未経験の人はスキルや経験がないぶん、ゲーム業界に向いている要素をこれまでの就業経験からアピールすると良いでしょう。以下で、未経験からゲーム業界を目指す方向けの志望動機の例文を紹介します。
志望動機の例文
「私は、ゲームによって現実にはない経験が生み出せる点に魅力を感じ、転職を決意いたしました。ゲームを介して人とつながったり、非日常を味わえたりすることが生活を豊かにすると感じています。
これまでマーケティング部で市場調査に関わってきましたが、そこで身につけたスキルをゲーム業界に活かし、社会の課題や消費者のニーズにゲームで応えていきたいと考えています。
マーケティング部では、商品の販売データからターゲット層を分析し、新しい商品企画に反映したところ、前年に比べて120%の売上を達成した実績があります。前職で培った調査・分析力を活かし、貴社でのゲーム企画に関わりたいと考え志望いたしました」
前職の実績をアピールする場合は、具体的な数字を使って示すと効果的です。業界が違っても、仕事で成果を挙げた経験は評価してもらえる可能性があります。
経験者の志望動機
経験者の場合は、自分がどのようなゲームに携わってきたのか、なぜ他社に移ろうと思ったのかを書くと良いでしょう。以下に、ゲーム業界経験者の志望動機の例文をご紹介します。
志望動機の例文
「私はこれまで△△社でゲームデバッガーとして4年ほどアクションゲームに携わってきました。大学で情報工学を学び、最先端の技術に携わりたいと考えてゲーム業界に入りました。
デバッガーの仕事で技術を学びましたが、制作として腕を試したいという思いが強くなり、転職を決意いたしました。アクションゲームを得意とする貴社で、ゲームの操作性を多角的に見てきた経験を活かし、制作アシスタントとして貢献したいと考えております」
「なぜその企業を選んだのか」「どのような経験が活かせそうなのか」に触れるのがポイントです。経験者の場合は、前職で培ったスキルや能力をできるだけ明確に書きましょう。採用担当者にあなたの入社後の姿をイメージしてもらいやすくなります。
ゲーム業界に関するQ&A
ここでは、ゲーム業界の仕事に興味がある方によくある質問と回答をご紹介しています。
ゲーム業界には未経験可の求人はある?
経験者を求める求人が多いものの、未経験可の求人もあります。未経験から応募できる仕事には、デバッガーと呼ばれるゲームのバグを探す仕事や、ディレクターのアシスタント職などがあるようです。 「未経験からゲーム業界に挑戦するのは難しい?内定を勝ち取るコツを解説」のコラムも参考にしてみてください。
ゲーム業界に向いている人の特徴は?
ゲーム業界は変化が激しく流行に左右されやすいため、常に新しいことに興味をもつ人に向いています。また、ユーザーの満足度を重視し、こだわりをもってゲーム制作にあたれるかという点も大事です。
ゲーム業界を含むクリエイティブ職への適性に関しては、「クリエイティブ職の適性とは?仕事内容や未経験からの転職方法も解説」のコラムでも詳しくご紹介しています。
ゲーム業界の求人はどのように探したら良い?
求人情報サイトや就職・転職エージェントを通じて探すと良いでしょう。
ただし、ゲーム業界の未経験者向け求人はあまり多くないのが現状です。そのため、まずはアルバイトで入社して経験を積むのも方法の一つといえます。また、ゲーム開発企業の事務や営業といった職種で関わることもできるでしょう。
一人で求人を見つけられるか不安な人は、ハタラクティブにご相談ください。応募先企業にあわせたアピール方法をアドバイスします。
- 経歴に不安はあるものの、希望条件も妥協したくない方
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京都大学工学部建築学科を2010年の3月に卒業し、株式会社大林組に技術者として新卒で入社。
その後2012年よりレバレジーズ株式会社に入社。ハタラクティブのキャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを経て2019年より事業責任者を務める。
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